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変身ヒーローと未知の国
状況の報告と女王の提案
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謁見の間に入ったのは、俺と俺に背負われたままのマーシャ。マーシャの仲間のエルフ二人に、フィリー。
つまり、車に乗っていたメンバーは全員そのまま女王様の前に出た。
まずフィリーが一歩前に出てお辞儀をしてから跪く。
一つ一つの所作が様になっていて、格好いいんだけど……。
素直に褒められないのは女王様以外への態度があまりに正直だから。
「ご報告いたします。近衛隊のメンバー三十名の内、重傷三名、軽傷十名。死者はゼロ。我が国に近づこうとした魔物と魔族については、私よりもこちらの四名の方が詳しいはずです」
……フィリーの報告は俺にはピンとこなかった。
近衛隊が三十人もいたとは知らなかったし、俺が助けたのはこの三人だけだ。
どこか別の場所で戦っていたのだろうか。
「……何をしているのです。早く女王様にご報告しなさい」
「は、はい!」
俺たちの後ろにいたエルフ二人が前に進み出て跪いた。
その様子を見てフィリーがほんの少しだけ首を横に振った。
焦ってお辞儀をすっ飛ばしてしまったことが気に食わなかったみたい。
とはいえ、女王様は咎めるような雰囲気ではないから特に何も言わなかった。
後で、怒りそうではある。
「あ、あの……魔物と魔族は全て討伐しました」
右側のエルフがそう言うと左側のエルフに顔を向けた。
視線が絡み合って、左側のエルフが狼狽する。
「……敵はどれくらいの規模で、どのように戦ったのかくらいは報告してください」
うんざりするような表情でフィリーがフォローする。
「あ、はい。えーと、マーシャさんの指示で、三人から五人のチームを組んで敵の迎撃に当たりました。それから、エルフの国が近いことを知られないように一応人間に姿を変えて戦っていたのですが……」
声のトーンが段々下がっていく。
そう言えば、俺が助けに入ったときには三人ともエルフの姿だった。
変身を維持できないほどの戦いだった、と言うことか。
「申し訳ありません。魔物の数は数える余裕がないほど多かったとしかわかりません。魔族は十名ほどでした」
「十名? たったそれだけの魔族を相手にするのに、これほどまでに苦戦させられたのですか?」
「魔物の討伐に消耗させられてしまったので、魔族との交戦に入ったときにはチームのほとんどがバラバラにされてしまい……」
「敵の作戦に嵌まったというわけですか、情けない」
女王様が何も言わないからか、フィリー一人が強い口調で批難する。
エルフ二人は顔を見合わせたまま、苦虫を噛みつぶしたような表情をさせた。
「……フィ、フィリーさん。あまり二人を責めないで――え?」
話し声で目が覚めたのだろう。
マーシャがそう言って体を起こしたが、そのまま石像のように固まってしまった。
「えーと、おはよう。目が覚めたなら、出来れば降りて欲しいんだけど」
「――そ、その前にどうして私がアキラさんにおんぶされているのですか!?」
バタバタ暴れそうになったので危うくバランスを崩しそうになる。
「ちょっと待てって、まずは降りろ」
「――~~……」
何か言いかけたが、黙って床に足を下ろした。
「俺が魔族を討伐したところまでは覚えているよな」
眉間にしわを寄せながらもコクリとうなずいた。
「その後、倒れるように寝てしまったことは?」
「……おぼろげですが……」
「マーシャの部下も戦闘で疲れている状況で、マーシャを運べと言えると思うか?」
「……わかりました。ですが……このようなことを他のエルフに見られてしまった以上、責任は取っていただきます」
「責任って、それほどのことか?」
「アキラさん。私たちエルフにとって男の方に触れると言うことは心を許したものにしか許されません。つまり、結婚しているものでなければ」
俺の質問に答えたのはエリザベス女王だった。
いつもの朗らかな表情を湛えたままさも当たり前のように言う。
「……結婚……? いや、待て待て。不可抗力だろ、あれは。置いていくわけにもいかないし」
「……ですが、手を触れるどころか服越しとはいえ、体を密着させてしまいましたし……」
「その言い方に悪意と誤解が感じられる」
おんぶが理由で結婚だなんて、どんな世界だここは。
「まあ、悪意だなんて……私たちエルフにそんなものはありません。純粋に思ったことを口にしただけです」
マーシャはプイと顔を背けて頬を膨らませた。
助けただけなのに、どうしてこんなに俺が追い詰められなきゃならないんだ……。
「とにかく、結婚はしないからな。前にも言ったけど、俺には好きな人がいる」
「あら、そうだったのですか? でしたら、お二人と結婚してしまえばいいじゃありませんか」
さらっととんでもないことを口にしたのは、やはりエリザベス女王様だった。
「……結婚って普通、一人とするものだろう?」
「人間の世界ではそう言う風習のようですが、私たちは違います。まあ、人間とは生きる長さが違いますし、数もそれほど増えません。種族を存続するには、子作りをする相手が一人だというのはあまりに効率が悪すぎるのです」
確かにエルフはそれなりに見てきたけど、まだ子供のエルフは見ていない。
人間のように数が増えないというのはわかる。
千人規模の種族でパートナーが一人だとすると、夫婦は子供を最低でも二人は作らないと先細りしていく。
「風習や文化と言うよりも、そう言ってくれた方がまだ納得は出来るが……」
「マーシャさん。アキラさんもこう言っていますし、今度ここで結婚の儀を執り行いましょう」
いきなり話が飛んだ。
何を考えてるのかわからないって意味じゃAIの言うことにも一理ある。
「あのな。納得するってのと、俺がマーシャの気持ちに応えるってのは別だろ」
「では、責任を取るつもりはないと言うことですか?」
「そういう言い方は止めてくれ。俺は好きじゃない女と結婚するつもりはない」
「……わかりました。今はアキラさんの気持ちを尊重します」
やっと話がまとまった。ホッとしたのも束の間、マーシャはさらに言葉を続けた。
「ですが、その真っ直ぐで一途なところも好きですから、私はいつでもアキラさんが私の気持ちに応えてくれることをお待ちしてます」
……考えたくはないが、これも本当に演技なのだろうか。
違うなら、AIの分析が間違っていることになるし、正しいならよほどの演技力だと思う。
全てを明らかにしたい気持ちもあるが、今は問題を解決する方が優先されるか。
ホッとしていたのは俺だけじゃなかった。
俺とマーシャのやりとりを唖然とした表情で見ていたフィリーが咳払いをする。
「マーシャさん、私はあなたの部下を責めるつもりで言っているわけではありません。客観的に状況を整理しているだけです」
「……どこまでご報告したのかはわかりませんが、敵の作戦に嵌められたというよりは、魔族たちは全員バラバラに行動していたのです」
「ですから、それがこちらの戦力を分散させるための作戦だったのではと言っているのです」
マーシャとフィリーの話し合いはどこか噛み合わなかった。
「私たちが防衛陣形を取る前に、すでに戦いは始まっていました」
「何ですって? 一体誰と戦っていたのです? エルフの国の入り口となっている町に住む人間は、全てエルフが人間の目を誤魔化すために変身した姿だったはずです」
「魔物と魔族が同士討ちをしていたというか……」
「同士討ち?」
「魔族は全部で十人ほどいたのですが、その内の二人が中心となって魔物を従えて戦っていたのです」
「それでは、実質的に私たちの敵となる魔族は八人だったのでしょう。それでなぜ、そこまで追い詰められた状況になったのですか」
「状況を把握しきれずに、混乱したまま魔族同士の乱戦に巻き込まれてしまったことが、戦況を悪くした原因だと思います」
魔族同士の戦いか……相手が二人ってのもちょっと気になる。
「なあ、その魔族と敵対していた魔族ってのは、女と少年だったか?」
「え? いえ、二人とも男性でしたよ」
予想はあっさり外れた。
魔族と敵対する魔族なんてそうはいないはずだから、ヨミとアスルかと思ったが……。
「そいつらはどうなった?」
「さすがに八人もの魔族を相手にするのは難しかったようで……」
俺がマーシャを助けたときには、魔族は三人しかいなかった。
しかも、そいつらはマーシャたちを殺そうとしていたわけで、二人組の魔族はすでに倒されてしまったと言うことか。
「そいつらを助けたり、協力したりってのは出来なかったのか?」
「魔族と協力? そんなこと出来るわけありませんよ」
「やっぱり、人間と同じでエルフにとっても魔物や魔族は討伐の対象でしかないってことか……」
もし俺がヨミやアスルと仲間だと知ったら……。
いや、俺のことを調べたんだから、それくらいは知ってるはずだよな。
ってことは、ヨミやアスルが魔物と魔族であると言うことが知られていないと言うことか……。
「アキラさん。少し誤解しています」
エリザベス女王様が足を組み直した。
「誤解?」
「私は魔物も魔族も討伐するつもりはありません。戦うことに意味などありませんから」
そう言えば、その命令は出していないと言っていた。
そもそも女王は諦めている。状況の把握しか求めていない。
そして、マーシャも防御陣形を敷いていたと言っていた。
積極的に討伐するつもりで出て行ったわけでもないってことか。
「それじゃ、話し合って協力することは出来ないのか? 魔族の中にだって戦いを求めないものはいる」
「それはできません」
有無を言わせぬ口調でピシャリと女王様が言った。
「どうして?」
「……エルフと魔族の協力は神が認めません。戦争に天使の介入を許し、世界はより混乱を極めるでしょう」
「なんだそりゃ。それじゃ、まるで神様が戦争を望んでいるみたいじゃ……」
――エルフと魔族。
――人間と魔物。
それを全て創りだしたのが神であるならば、この世界が平穏とはほど遠いことははっきりしてるじゃないか。
「天使……天使ってのは何なんだ? あいつは、人間を殺さないと誓った魔族を殺した。やむを得ずそいつは倒したが……」
その一言で、謁見の間は時間が止まったように静かになった。
エルフたちの視線が俺に集中している。
皆、合わせたように目を見開いていた。
「……て、天使を倒した? ど、どのようにしてですか?」
初めてといって良いくらい女王に動揺が見られる。
あれ? 魔王すら倒したことを知っているのに、天使と戦ったことは知らないのか?
……いや、あの戦いのことを知ってるのは俺たちとエオフェリアの王女であるレオノーラくらいか。
「どのようにって、ネムスギアの必殺技と、仲間の魔法で」
またエルフたちは言葉を失ってしまった。
一分くらい経ってからだろうか、また女王が口を開いた。
「……アキラさん。マーシャたちを救っていただいたと言うことは、そのネムスギアの力を使うことが出来るということですね」
「ああ」
妹の言うように、俺が大地彰でなかったとしても、目の前の命を救いたいと思う心にネムスギアは応えた。
最初からそれが起動コードの認証には必要だってわかっていたはずだったのに、俺は一番大切なことを忘れていたんだ。
「天使をも倒したというその力、一度見せていただきたいのですが」
「意味もなく変身するのは好きじゃないんだけどな。一応エネルギーも使うし」
そこまで言って、女王の前から少し後ろに下がった。
両足を広げて構えを取る。
手を振り上げるように大きくポーズを取り――。
「変身!」
『起動コードを認証しました。ネムスギア、ソードギアフォーム、展開します』
両手首と両足首に光の輪が現れる。
そこから溢れ出た光が全身を包み込み、全身スーツを形成し、さらに上半身には鎧と頭部を覆う兜のようなマスクを造り上げた。
「な……」
すでにこの姿を目にしているマーシャやその仲間たちは特に驚く様子を見せなかったが、フィリーだけが声を上げた。
女王は目を細めてまるで品定めでもしているかのよう。
「……それが、小さな機械の集まりによって形成されている……」
「そう言うことだ」
「ありがとうございます。元の姿に戻っていただいて結構です。戦うわけでもないのにエネルギーを消費させたくありませんから」
俺への皮肉か、そう言って満足そうに微笑んだ。
すぐに変身を解除させて前に進み出る。
「話がだいぶ逸れてしまいましたね。マーシャ、報告の続きをお願いします」
女王に促されて、マーシャは跪いて答えた。
「あ、はい」
こっちも危うくその事を忘れそうになった。
「乱戦の中で怪我を負うものを多数出してしまいましたが、魔物は全て討伐しました。そして、暴れていた魔族も私たちと……アキラさんが討伐してくれたので当面の危機は去ったと考えてよろしいかと思います」
「マーシャ。過程はどうあれ、エルフの国の扉を守ってくれたことには感謝します。しかし、重要なのは魔物や魔族ではありません。魔王の動向はどうなのでしょう」
「そ、それは……依然としてこちらに向かっているようです。幸いなことに飛行魔法は使えないようなので、山脈を越えるのに数日はかかると思いますが……」
「それまでに対策を考えなければ、この地に魔王が侵入する可能性も考えなければならないと言うことですね……」
何か、急に女王がやる気を出しているような気がした。
全てを成り行きに任せるんじゃなかったのか?
まあ、それならそれでいいことだとは思うけど。
だけど、対策って戦う以外にあるのか?
先遣隊として魔物や魔族を送り込むような魔王じゃ、対話できるとは思えないが……。
「そもそも、どうしてその魔王はこっちに向かってるんだろうな」
魔王が伝説の勇者に引き寄せられるってことは、見ているからわかるが。
すでに全ての勇者が伝説の武器によって選定されている。
ここを狙う理由があるとしたらそれは、エルフの国だから。くらいしか思いつかない。
「すでに魔王にはエルフの国の所在がバレてるんじゃないのか? あの扉もこの国の結界も凄まじい魔力で維持されているんだろう?」
「……よく、わかりましたね」
AIの分析をヒントに推理した答え。
あの扉に複合戦略魔法並みの魔力がかけられているなら、この国の結界はそれ以上だと考えるのが自然だ。
どういう仕組みでこれだけの町をあの扉の中に隠しているのかはわからないが。
「扉にかけた魔法には、魔力を感じ取ることの出来ない偽装魔法も施したのですが……」
「それって、精神に作用する魔法?」
「ええ。魔力を見定めることが出来るのは精神ですから」
精神系の魔法は俺には効果がない。
おまけに魔力を分析したのはネムスギアのセンサーとAIだ。
どちらの目も誤魔化すことは不可能だったと言うことか。
「魔王にはその魔法も効果がないってことか」
「状況を考えればそうでしょうけど……目の前に来ているのならまだしも、これだけ距離が離れていれば、扉や結界の魔力を感じることは不可能のはずなんですよね」
やっぱり、理由が不可解だな。
闇雲に歩き回っているのなら、偶然こちらに向かっているという可能性も考えられるが、足取りは真っ直ぐこちらに向いている。
もっとも、魔物や魔族が近づいた時点でそれは否定されているか。
魔王は明らかにエルフの国を目指している。
ここは一つ、魔王に目的を聞きに行くか?
伝説の武器を持っていないし、手を出さなければ向こうから攻撃することはないと思うんだよな。
俺が倒した魔王のことを例に出して直接目的を聞き出そうと提案したら、全員から否定された。
「魔王はそんな紳士ぶった魔王だけではありませんよ。近づく者は問答無用で殺すような魔王もいます」
「そうか……」
「ただ、アキラさんはすでに魔王を討伐しているわけですから、戦うことになっても対処できるというなら止めはしませんが……」
女王の提案には乗れなかった。
相手が魔王じゃ、勝てる保証はない。
サバイバルギアが上手く展開してくれれば良いが、相手の力量を見誤ればその前に殺される可能性もある。
「いや、悪いが魔王が相手だと確実に倒せるとは言えない」
「なぜでしょう。アキラさんはその力で魔王を倒したのではありませんか?」
「そうなんだけど、その力は偶然出せたというか……俺が危機に陥らないとそのプログラムが動かないようになってるみたいなんだ」
「そうですか……」
残念そうにそう言ったが、表情は暗くない。
やっぱり、女王の考えていることはよくわからない。
『彰、実は一つ提案があるのです』
「アキラさん、一つ提案があります」
AIと女王がまったく同じことを言った。
「え?」
俺の返事はどちらの話を聞いたら良いのかという意味だったが、女王には脳内の会話なんて聞こえないから勝手に話を続ける。
「私に、ネムスギアを改造させてもらえませんか?」
『な……』
エルフを信用していないAIが驚きの声を上げる。
『なぜ、エルフが私と同じ提案を……』
つまり、車に乗っていたメンバーは全員そのまま女王様の前に出た。
まずフィリーが一歩前に出てお辞儀をしてから跪く。
一つ一つの所作が様になっていて、格好いいんだけど……。
素直に褒められないのは女王様以外への態度があまりに正直だから。
「ご報告いたします。近衛隊のメンバー三十名の内、重傷三名、軽傷十名。死者はゼロ。我が国に近づこうとした魔物と魔族については、私よりもこちらの四名の方が詳しいはずです」
……フィリーの報告は俺にはピンとこなかった。
近衛隊が三十人もいたとは知らなかったし、俺が助けたのはこの三人だけだ。
どこか別の場所で戦っていたのだろうか。
「……何をしているのです。早く女王様にご報告しなさい」
「は、はい!」
俺たちの後ろにいたエルフ二人が前に進み出て跪いた。
その様子を見てフィリーがほんの少しだけ首を横に振った。
焦ってお辞儀をすっ飛ばしてしまったことが気に食わなかったみたい。
とはいえ、女王様は咎めるような雰囲気ではないから特に何も言わなかった。
後で、怒りそうではある。
「あ、あの……魔物と魔族は全て討伐しました」
右側のエルフがそう言うと左側のエルフに顔を向けた。
視線が絡み合って、左側のエルフが狼狽する。
「……敵はどれくらいの規模で、どのように戦ったのかくらいは報告してください」
うんざりするような表情でフィリーがフォローする。
「あ、はい。えーと、マーシャさんの指示で、三人から五人のチームを組んで敵の迎撃に当たりました。それから、エルフの国が近いことを知られないように一応人間に姿を変えて戦っていたのですが……」
声のトーンが段々下がっていく。
そう言えば、俺が助けに入ったときには三人ともエルフの姿だった。
変身を維持できないほどの戦いだった、と言うことか。
「申し訳ありません。魔物の数は数える余裕がないほど多かったとしかわかりません。魔族は十名ほどでした」
「十名? たったそれだけの魔族を相手にするのに、これほどまでに苦戦させられたのですか?」
「魔物の討伐に消耗させられてしまったので、魔族との交戦に入ったときにはチームのほとんどがバラバラにされてしまい……」
「敵の作戦に嵌まったというわけですか、情けない」
女王様が何も言わないからか、フィリー一人が強い口調で批難する。
エルフ二人は顔を見合わせたまま、苦虫を噛みつぶしたような表情をさせた。
「……フィ、フィリーさん。あまり二人を責めないで――え?」
話し声で目が覚めたのだろう。
マーシャがそう言って体を起こしたが、そのまま石像のように固まってしまった。
「えーと、おはよう。目が覚めたなら、出来れば降りて欲しいんだけど」
「――そ、その前にどうして私がアキラさんにおんぶされているのですか!?」
バタバタ暴れそうになったので危うくバランスを崩しそうになる。
「ちょっと待てって、まずは降りろ」
「――~~……」
何か言いかけたが、黙って床に足を下ろした。
「俺が魔族を討伐したところまでは覚えているよな」
眉間にしわを寄せながらもコクリとうなずいた。
「その後、倒れるように寝てしまったことは?」
「……おぼろげですが……」
「マーシャの部下も戦闘で疲れている状況で、マーシャを運べと言えると思うか?」
「……わかりました。ですが……このようなことを他のエルフに見られてしまった以上、責任は取っていただきます」
「責任って、それほどのことか?」
「アキラさん。私たちエルフにとって男の方に触れると言うことは心を許したものにしか許されません。つまり、結婚しているものでなければ」
俺の質問に答えたのはエリザベス女王だった。
いつもの朗らかな表情を湛えたままさも当たり前のように言う。
「……結婚……? いや、待て待て。不可抗力だろ、あれは。置いていくわけにもいかないし」
「……ですが、手を触れるどころか服越しとはいえ、体を密着させてしまいましたし……」
「その言い方に悪意と誤解が感じられる」
おんぶが理由で結婚だなんて、どんな世界だここは。
「まあ、悪意だなんて……私たちエルフにそんなものはありません。純粋に思ったことを口にしただけです」
マーシャはプイと顔を背けて頬を膨らませた。
助けただけなのに、どうしてこんなに俺が追い詰められなきゃならないんだ……。
「とにかく、結婚はしないからな。前にも言ったけど、俺には好きな人がいる」
「あら、そうだったのですか? でしたら、お二人と結婚してしまえばいいじゃありませんか」
さらっととんでもないことを口にしたのは、やはりエリザベス女王様だった。
「……結婚って普通、一人とするものだろう?」
「人間の世界ではそう言う風習のようですが、私たちは違います。まあ、人間とは生きる長さが違いますし、数もそれほど増えません。種族を存続するには、子作りをする相手が一人だというのはあまりに効率が悪すぎるのです」
確かにエルフはそれなりに見てきたけど、まだ子供のエルフは見ていない。
人間のように数が増えないというのはわかる。
千人規模の種族でパートナーが一人だとすると、夫婦は子供を最低でも二人は作らないと先細りしていく。
「風習や文化と言うよりも、そう言ってくれた方がまだ納得は出来るが……」
「マーシャさん。アキラさんもこう言っていますし、今度ここで結婚の儀を執り行いましょう」
いきなり話が飛んだ。
何を考えてるのかわからないって意味じゃAIの言うことにも一理ある。
「あのな。納得するってのと、俺がマーシャの気持ちに応えるってのは別だろ」
「では、責任を取るつもりはないと言うことですか?」
「そういう言い方は止めてくれ。俺は好きじゃない女と結婚するつもりはない」
「……わかりました。今はアキラさんの気持ちを尊重します」
やっと話がまとまった。ホッとしたのも束の間、マーシャはさらに言葉を続けた。
「ですが、その真っ直ぐで一途なところも好きですから、私はいつでもアキラさんが私の気持ちに応えてくれることをお待ちしてます」
……考えたくはないが、これも本当に演技なのだろうか。
違うなら、AIの分析が間違っていることになるし、正しいならよほどの演技力だと思う。
全てを明らかにしたい気持ちもあるが、今は問題を解決する方が優先されるか。
ホッとしていたのは俺だけじゃなかった。
俺とマーシャのやりとりを唖然とした表情で見ていたフィリーが咳払いをする。
「マーシャさん、私はあなたの部下を責めるつもりで言っているわけではありません。客観的に状況を整理しているだけです」
「……どこまでご報告したのかはわかりませんが、敵の作戦に嵌められたというよりは、魔族たちは全員バラバラに行動していたのです」
「ですから、それがこちらの戦力を分散させるための作戦だったのではと言っているのです」
マーシャとフィリーの話し合いはどこか噛み合わなかった。
「私たちが防衛陣形を取る前に、すでに戦いは始まっていました」
「何ですって? 一体誰と戦っていたのです? エルフの国の入り口となっている町に住む人間は、全てエルフが人間の目を誤魔化すために変身した姿だったはずです」
「魔物と魔族が同士討ちをしていたというか……」
「同士討ち?」
「魔族は全部で十人ほどいたのですが、その内の二人が中心となって魔物を従えて戦っていたのです」
「それでは、実質的に私たちの敵となる魔族は八人だったのでしょう。それでなぜ、そこまで追い詰められた状況になったのですか」
「状況を把握しきれずに、混乱したまま魔族同士の乱戦に巻き込まれてしまったことが、戦況を悪くした原因だと思います」
魔族同士の戦いか……相手が二人ってのもちょっと気になる。
「なあ、その魔族と敵対していた魔族ってのは、女と少年だったか?」
「え? いえ、二人とも男性でしたよ」
予想はあっさり外れた。
魔族と敵対する魔族なんてそうはいないはずだから、ヨミとアスルかと思ったが……。
「そいつらはどうなった?」
「さすがに八人もの魔族を相手にするのは難しかったようで……」
俺がマーシャを助けたときには、魔族は三人しかいなかった。
しかも、そいつらはマーシャたちを殺そうとしていたわけで、二人組の魔族はすでに倒されてしまったと言うことか。
「そいつらを助けたり、協力したりってのは出来なかったのか?」
「魔族と協力? そんなこと出来るわけありませんよ」
「やっぱり、人間と同じでエルフにとっても魔物や魔族は討伐の対象でしかないってことか……」
もし俺がヨミやアスルと仲間だと知ったら……。
いや、俺のことを調べたんだから、それくらいは知ってるはずだよな。
ってことは、ヨミやアスルが魔物と魔族であると言うことが知られていないと言うことか……。
「アキラさん。少し誤解しています」
エリザベス女王様が足を組み直した。
「誤解?」
「私は魔物も魔族も討伐するつもりはありません。戦うことに意味などありませんから」
そう言えば、その命令は出していないと言っていた。
そもそも女王は諦めている。状況の把握しか求めていない。
そして、マーシャも防御陣形を敷いていたと言っていた。
積極的に討伐するつもりで出て行ったわけでもないってことか。
「それじゃ、話し合って協力することは出来ないのか? 魔族の中にだって戦いを求めないものはいる」
「それはできません」
有無を言わせぬ口調でピシャリと女王様が言った。
「どうして?」
「……エルフと魔族の協力は神が認めません。戦争に天使の介入を許し、世界はより混乱を極めるでしょう」
「なんだそりゃ。それじゃ、まるで神様が戦争を望んでいるみたいじゃ……」
――エルフと魔族。
――人間と魔物。
それを全て創りだしたのが神であるならば、この世界が平穏とはほど遠いことははっきりしてるじゃないか。
「天使……天使ってのは何なんだ? あいつは、人間を殺さないと誓った魔族を殺した。やむを得ずそいつは倒したが……」
その一言で、謁見の間は時間が止まったように静かになった。
エルフたちの視線が俺に集中している。
皆、合わせたように目を見開いていた。
「……て、天使を倒した? ど、どのようにしてですか?」
初めてといって良いくらい女王に動揺が見られる。
あれ? 魔王すら倒したことを知っているのに、天使と戦ったことは知らないのか?
……いや、あの戦いのことを知ってるのは俺たちとエオフェリアの王女であるレオノーラくらいか。
「どのようにって、ネムスギアの必殺技と、仲間の魔法で」
またエルフたちは言葉を失ってしまった。
一分くらい経ってからだろうか、また女王が口を開いた。
「……アキラさん。マーシャたちを救っていただいたと言うことは、そのネムスギアの力を使うことが出来るということですね」
「ああ」
妹の言うように、俺が大地彰でなかったとしても、目の前の命を救いたいと思う心にネムスギアは応えた。
最初からそれが起動コードの認証には必要だってわかっていたはずだったのに、俺は一番大切なことを忘れていたんだ。
「天使をも倒したというその力、一度見せていただきたいのですが」
「意味もなく変身するのは好きじゃないんだけどな。一応エネルギーも使うし」
そこまで言って、女王の前から少し後ろに下がった。
両足を広げて構えを取る。
手を振り上げるように大きくポーズを取り――。
「変身!」
『起動コードを認証しました。ネムスギア、ソードギアフォーム、展開します』
両手首と両足首に光の輪が現れる。
そこから溢れ出た光が全身を包み込み、全身スーツを形成し、さらに上半身には鎧と頭部を覆う兜のようなマスクを造り上げた。
「な……」
すでにこの姿を目にしているマーシャやその仲間たちは特に驚く様子を見せなかったが、フィリーだけが声を上げた。
女王は目を細めてまるで品定めでもしているかのよう。
「……それが、小さな機械の集まりによって形成されている……」
「そう言うことだ」
「ありがとうございます。元の姿に戻っていただいて結構です。戦うわけでもないのにエネルギーを消費させたくありませんから」
俺への皮肉か、そう言って満足そうに微笑んだ。
すぐに変身を解除させて前に進み出る。
「話がだいぶ逸れてしまいましたね。マーシャ、報告の続きをお願いします」
女王に促されて、マーシャは跪いて答えた。
「あ、はい」
こっちも危うくその事を忘れそうになった。
「乱戦の中で怪我を負うものを多数出してしまいましたが、魔物は全て討伐しました。そして、暴れていた魔族も私たちと……アキラさんが討伐してくれたので当面の危機は去ったと考えてよろしいかと思います」
「マーシャ。過程はどうあれ、エルフの国の扉を守ってくれたことには感謝します。しかし、重要なのは魔物や魔族ではありません。魔王の動向はどうなのでしょう」
「そ、それは……依然としてこちらに向かっているようです。幸いなことに飛行魔法は使えないようなので、山脈を越えるのに数日はかかると思いますが……」
「それまでに対策を考えなければ、この地に魔王が侵入する可能性も考えなければならないと言うことですね……」
何か、急に女王がやる気を出しているような気がした。
全てを成り行きに任せるんじゃなかったのか?
まあ、それならそれでいいことだとは思うけど。
だけど、対策って戦う以外にあるのか?
先遣隊として魔物や魔族を送り込むような魔王じゃ、対話できるとは思えないが……。
「そもそも、どうしてその魔王はこっちに向かってるんだろうな」
魔王が伝説の勇者に引き寄せられるってことは、見ているからわかるが。
すでに全ての勇者が伝説の武器によって選定されている。
ここを狙う理由があるとしたらそれは、エルフの国だから。くらいしか思いつかない。
「すでに魔王にはエルフの国の所在がバレてるんじゃないのか? あの扉もこの国の結界も凄まじい魔力で維持されているんだろう?」
「……よく、わかりましたね」
AIの分析をヒントに推理した答え。
あの扉に複合戦略魔法並みの魔力がかけられているなら、この国の結界はそれ以上だと考えるのが自然だ。
どういう仕組みでこれだけの町をあの扉の中に隠しているのかはわからないが。
「扉にかけた魔法には、魔力を感じ取ることの出来ない偽装魔法も施したのですが……」
「それって、精神に作用する魔法?」
「ええ。魔力を見定めることが出来るのは精神ですから」
精神系の魔法は俺には効果がない。
おまけに魔力を分析したのはネムスギアのセンサーとAIだ。
どちらの目も誤魔化すことは不可能だったと言うことか。
「魔王にはその魔法も効果がないってことか」
「状況を考えればそうでしょうけど……目の前に来ているのならまだしも、これだけ距離が離れていれば、扉や結界の魔力を感じることは不可能のはずなんですよね」
やっぱり、理由が不可解だな。
闇雲に歩き回っているのなら、偶然こちらに向かっているという可能性も考えられるが、足取りは真っ直ぐこちらに向いている。
もっとも、魔物や魔族が近づいた時点でそれは否定されているか。
魔王は明らかにエルフの国を目指している。
ここは一つ、魔王に目的を聞きに行くか?
伝説の武器を持っていないし、手を出さなければ向こうから攻撃することはないと思うんだよな。
俺が倒した魔王のことを例に出して直接目的を聞き出そうと提案したら、全員から否定された。
「魔王はそんな紳士ぶった魔王だけではありませんよ。近づく者は問答無用で殺すような魔王もいます」
「そうか……」
「ただ、アキラさんはすでに魔王を討伐しているわけですから、戦うことになっても対処できるというなら止めはしませんが……」
女王の提案には乗れなかった。
相手が魔王じゃ、勝てる保証はない。
サバイバルギアが上手く展開してくれれば良いが、相手の力量を見誤ればその前に殺される可能性もある。
「いや、悪いが魔王が相手だと確実に倒せるとは言えない」
「なぜでしょう。アキラさんはその力で魔王を倒したのではありませんか?」
「そうなんだけど、その力は偶然出せたというか……俺が危機に陥らないとそのプログラムが動かないようになってるみたいなんだ」
「そうですか……」
残念そうにそう言ったが、表情は暗くない。
やっぱり、女王の考えていることはよくわからない。
『彰、実は一つ提案があるのです』
「アキラさん、一つ提案があります」
AIと女王がまったく同じことを言った。
「え?」
俺の返事はどちらの話を聞いたら良いのかという意味だったが、女王には脳内の会話なんて聞こえないから勝手に話を続ける。
「私に、ネムスギアを改造させてもらえませんか?」
『な……』
エルフを信用していないAIが驚きの声を上げる。
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