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変身ヒーローと異世界の国々

魔族たちの事情

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 アスルが知っていると言うだけでなく、実際に人間を守ったその行動からもバルトラムは信用してもいいと思った。
「アスル、バルトラム、悪いがその話は後にしてもらえるか? 今はグレースのことを聞かせてくれ。バルトラムはグレースがレオノーラを狙うといったが、あれはどういう意味だ?」
「魔族のプライドです。人間をエサと定めている主流派の魔族にとって、獲物を逃がすと言うことは恥なのです。このまま魔界へ帰ればグレースだけでなく両親も馬鹿にされることになるでしょう」
「プライドね……」
 確かにグレースはレオノーラを殺すことに何かこだわりのようなものを感じた。
 そうでなければバルトラムと戦ってはいないだろうし、俺やアスルが介入した時点で逃げるはずだろう。
 魔族にとってプライドというものがそれだけ大切ってことか。
「だけど、それじゃ人間と共生しようとしている魔族って魔界じゃどういう扱いなんだ?」
「……主流派の魔族からは見下されています」
 その辺りのことは人間とたいして変わらないな。
 この世界の人間だって魔物や魔族と仲良くしていることをよく思わない人間の方が多いだろう。
 見下されるというよりは奇異の目で見られることになるだろうが。
「しかし、その事情を考えるとレオノーラを守るにはグレースを倒すしかないんじゃないか?」
「……いえ、彼女は僕が説得して見せます」
 少しだけ声のトーンが落ちた。
 それが容易じゃないことはバルトラムもわかっているんだろう。
 金のためや仕事で人を襲っているならまだ利害があるだけ交渉も出来るだろうが、プライドという心が相手じゃ交渉の余地はない。
 ものの見方や考え方はそう簡単に変えられるものじゃないと思う。
「グレースは主流派の魔族なんだろ? バルトラムの言葉は聞き入れないだろ」
「確かに彼女は主流派の魔族です。以前は人間のことをエサとしてしか見ていなかった。ですが、今のグレースは違う。僕と出会って彼女は変わったのです」
「どこが変わったと言えるんだ? 結局は人を襲ってるわけだぞ。レオノーラが殺されなかったのはバルトラムや俺たちが介入したからじゃないか」
 俺の指摘にバルトラムは唇を噛んだ。
「あの人間を襲ったのは、グレースの本心からではありません」
「どういうことだ?」
「そもそも、グレースがどうして人間を襲うようになってしまったのかと言いますと、ご両親が僕との交際を認める条件として、一人前の魔族になるために人を殺してくるように彼女に言ったからなのです」
「それじゃ、バルトラムとグレースは恋人なのか?」
 黙って見守っていたアスルが茶化すように言った。
「は、はい。一応……」
「主流派の魔族が父さんの仲間と付き合うなんて、すげーな」
「それほどでもありませんよ。それよりも僕は、人間と共に生きているあなた方の方が素敵だと思います」
「そうか?」
「ええ。人間と共生したいと思っていても、僕はそれを実行する勇気が持てませんでした。あなた方は人間と魔物と魔族なのに、まるでごく当たり前のように自然に一緒にいる。アスラフェル様の今のお姿を見たら、きっとフェルラルド様もお喜びになるはずです」
「父さんが?」
 バルトラムの言葉にアスルは照れたり喜んだりと忙しそうに表情が変わっていた。
 俺はグレースの置かれている状況を知って、複雑な心境だった。
 バルトラムの恋人じゃ、容易に倒すという結論は出せない。
 せっかく人間と共生したいと思う魔族に出会えたのに、俺がグレースを倒してしまったら、それを仕方のないことだと割り切ってはくれないだろう。
「なあ、人間の世界と魔族の世界の間には遙か昔に天使が作った結果があるって話だったけど、バルトラムたちや他の魔族が人間界に来ているってことはその結界はなくなっちまったと考えていいのか?」
「いえ、まだ結界はあります。ただ、酷く不安定なときがありまして、僕やグレースは揺らぎを見つけて人間の世界に飛び込んできたのです」
「それじゃ、その揺らぎとやらをこちら側から見つけて魔族の世界へ入ることは可能なのか?」
「難しいですけど、不可能ではありませんよ。僕とグレースもいずれは魔界に戻らなければなりませんし」
「何々? 魔界へ行くのか?」
 嬉しそうにアスルが駆け寄ってくる。
 そう言えば、成り行きでアスルの保護者になってしまったが、アスルも親元に帰してやらなければならなかった。
 天使によって誘拐されたようなものだし、アスルの親だって心配しているだろう。
「魔界に帰ったら父さんに言っておかないと」
「そうだな。ちゃんとこれまでのことを報告して元の生活に戻った方が良い」
「え? そうじゃねーよ。兄ちゃんより強くなるまで修行してくるって言うんだ」
「あのな、アスルには帰るべき場所があるんだし、まだ子供なんだから、親と一緒に暮らすべきだろ」
「オレはもう十分大人だよ」
 そう言うと、あかんべをして謁見の間の出入り口へ向かってしまった。
「おい、まだ話は終わって……」
「姉ちゃんを手伝ってくる!」
 そう言うと元気に飛び出していった。
「あの、どうして魔界へ行こうと考えたのですか? 僕のように人間と共に生きていこうと考えている魔族ははっきり言って少ないですよ。殺されに行くようなものです」
 すぐには、答えられなかった。
 グレースが人間を襲っている動機を考えれば、グレース本人を説得するよりも両親を説得しなければならないような気がした。
 ただ、バルトラムの言うように主流派の魔族は人間をエサとしてしか見ていない。
 俺たちにとって危険だと思われる魔界の中でも、より危険なところへ近づくことになる。
 グレースを説得する方がまだ現実的な解決策か。
 何だか、レオノーラを囮に使っているようで、あまり気乗りしない方法ではあるが。
「僕の知っていることは全てお話ししたので、あのレオノーラという人間の護衛に向かいます。すでに二度襲われていますから、先ほどの戦いによるダメージから回復したらまた襲ってくるでしょう」
 俺はバルトラムの言葉に愕然とさせられた。
「ちょっと待て、今“二度襲われている”と言ったか?」
「はい。一昨日大きな湖の畔でレオノーラという少女を助けて、彼女を町まで送り届けようとしていたところで再び襲撃されたときに、アスラフェル様が加勢してくれたのです」
「そう言う大事なことは早く言ってくれ!」
 言いながら駆け出す。
 その話を知っていれば、レオノーラを城から出したりはしなかった。
 二度あることは三度あると言う。
 城の門をくぐったところで大きな爆発音が聞こえてきた。
「な、なんだ!?」
 門番が武器を構えて辺りを見回す。
「アキラさん! あちらのようです」
 バルトラムが指し示した方向に煙が上がっているのが見えた。
 そちらに向かって走り出すと、前方から多くの人間が必死の形相で走ってくるのが見えた。
 軽いパニックになっている。
 町中で魔族が暴れているとなれば、仕方のないことだが、このままじゃ俺たちまで人波に押し戻される。
「変身」
 ファイトギアが展開されると同時に、バルトラムを片手で抱えてジャンプした。
 建物の屋根に降り立つと、煙が複数上がっているのが見えた。
 こりゃ、急がないと町に大きな被害が出る。
「屋根を進もう。下は通れそうもない」
 バルトラムを下ろして、道を屋根の上から見下ろして言った。
「わ、わかりました」
「悪いが、先に行かせてもらう」
 そう言い残して本気で走り出すと、ものの数秒で煙の上がっている場所に着いた。
「無駄です! あなたの魔法攻撃は見切りました」
「く……うるさい! 闇の神と火の神の名において、我が命ずる! 無情なる紅蓮の炎よ、破壊の力を示せ! ダークフレア!」
 頭の上と左右から闇に包まれた炎の塊がヨミに迫る。
 ヨミの背中にはレオノーラが身をかがめていた。
 助けに行く必要はなさそうだ。
 ヨミはすでにダーククロースアーマーで全身を覆っている。
「はあっ!」
 右足の回し蹴りでそれらを難なく弾き飛ばしていた。
「今度はこっちの番だ!」
 アスルがグレースの頭上から踏みつけるように降りてくる。
 とっさに後ろに下がって躱すが、アスルのキックの衝撃によってバランスを崩していた。
 そこへ追い打ちをかけるようにアスルが向かって行く。
「チッ! また私の邪魔をするつもりなの!?」
 接近戦ではアスルに分がある。
 森の中での戦いのようにグレースは防戦一方だった。
 このままアスルに任せてもバルトラムがここへ来る前に決着がつきそうだ。
 俺は屋根から飛び降りて、ヨミの所へ行った。
「何があったんだ? 町中でいきなり襲ってきたのか?」
「……それが、ですね……」
 ヨミはレオノーラを見たまま困ったような表情をさせるだけで、口をつぐんでしまった。
「な、何よその目は」
 レオノーラは動揺が隠しきれていなかった。ヨミの視線から逃れるようにそっぽを向く。
「私が言っていいならそうしますが……」
「べ、別に私は悪いことはしていないわ。自分の生活費を稼いだだけよ。王族を捨てて自分の力だけで生きていくんだから」
 強気な態度で言ってはいるが、所々声が裏返っていて焦っているのがバレバレだ。
「ヨミ、埒が明かないから教えてくれ」
「はぁ……それがその、私が追いかけたときにはすでにレオノーラさんを中心にして人だかりが出来てまして……レオノーラさんは踊ったり歌ったりしていて……」
 ヨミの説明はあまり要領を得ないものだった。
 たぶん、そう言う文化を知らなかったから言葉が出てこなかったんだろう。
 要約すれば、町の真ん中で路上ライブをやったわけだ。
 レオノーラは王族であることを捨てているつもりでも、それを知らない一般の人からしたら可愛らしい王女が路上ライブをやっているようにしか思わない。
 自分の価値をよくわかっている。人も集まるだろうし、確かに金にはなりそうだ。
 王女をやるよりも金が稼げるんじゃないか。
 ダグルドルドの大統領辺りが知ったら、レオノーラをプロデュースしてこの異世界初のアイドルとして一稼ぎしそう。
 ……それじゃ、ここへ来るときに見かけた人波は、レオノーラの路上ライブを見ていた客だったってことか。
 それだけ目だった行動をしていたら、グレースが攻撃を仕掛けるのも当然だ。
「レオノーラ、もうちょっと危機感を持った方が良い。あの魔族はレオノーラを狙っているらしいからな」
 言いながらグレースの方へ目を向けると、
「イビルスラッシュソード!」
「ぐあっ!!」
 グレースの手が大きく掲げられ、伸ばされた指の先から闇の刃が怪しい輝きを放っていた。
 そして、アスルの腕が斬り飛ばされている。
「ハァ……ハァ……奥の手だったのに、まさかこの魔法まで使わなければならないとは思わなかったわ」
 今の一撃、ただ腕を斬り落としただけじゃない。
 アスルの魔力が減っている。
 このままじゃ腕を再生させるまでに時間がかかるだろう。
「アスル! 逃げろ!」
「これで、終わりよ!」
 グレースが手を振り下ろす。
 アスルが逃げるのは無理だ。
 俺が止めるしかない。
 そう思ったときにはすでに体が動いていた。
 身体機能をナノマシンで爆発的に高めることで、一気に加速を得る。
 その中では、みんなの動きが相対的に遅く感じた。
 アスルが残された腕で頭を守ろうとする。
 グレースの手刀がゆっくりとアスルに迫っていた。
『チャージアタックワン、メテオライトブロー!』
 グレースの横に立ち、赤く輝く拳で無防備になっている脇腹を打ち抜く。
 ドオンという音を立てて、グレースが壁に叩きつけられていた。
 目を瞑っていたアスルがキョトンとした表情で俺を見た。
「……また兄ちゃんに助けられたな」
「それよりも、回復に専念してろ。ここからは俺がグレースの相手をする」
「チェッ、あと少しだと思ったのにな……」
 悔しそうに言いながら、アスルは下がった。
「何なのよ、あんたたちは」
 グレースは壁に半分ほど体をめり込ませていたが、すでにそこから抜け出ていた。
 見たところ、それほど怪我はしていない。
 さすがは魔族と言ったところか。
 一般的な魔物であったなら今の攻撃でクリスタルになっているところだ。
 さて、ここからどうするかだな。
「闇の神と風の神の名において、我が命ずる! 闇夜を斬り裂く鋭き剣、イビルスラッシュソード!」
 グレースは手刀の先に闇の刃を出現させた。
 それも、今度は両手に。
 二つにしたところで、俺を相手にするには意味はないんだけど。
 何しろスピードが違うのだから。
 しかし、次にグレースが取った行動に虚を突かれた。
 闇の刃を投げつけたのだ。それも、俺やアスルやヨミではなく、レオノーラに。
 飛び道具として使えることに驚き、しかもこの状況でも狙っているのがレオノーラであることにも驚かされた。
 レオノーラのそばにはヨミがいた。
 ヨミは冷静にレオノーラを守るように抱きしめる。
 あの闇の刃はアスルの腕を斬り落とすほどの威力だった。
 ダーククロースアーマーで防げるのか?
 そう思ったとき、屋根から飛び降りてきた人影がヨミのさらに前に立ち塞がった。
 音も立てずに、血飛沫だけが見える。
「バ、バルトラム!?」
 グレースが動揺していた。
「あ、ありがとう……い、一応礼は言っておくわ」
 レオノーラは自分を守ったバルトラムの体を痛々しそうに見ていた。
「いや、君が無事ならそれでいいんだ」
 心配させないように気を遣っているのか、バルトラムの表情はとても穏やかで落ち着いているようだった。
「ま、またその女のために……」
「もうこんなことは止めてくれないか? グレースがこんなことをして両親に認められても僕は以前のように君を見ることができなくなってしまう」
「どうしてなのよ! 私は、あなたのためを思って……」
 弱々しくなっていくグレースの言葉に呼応するかのように、バルトラムの体に刺さっていた闇の刃は消滅していった。
「本当に僕のためを思っているなら、人間を襲わないで欲しい」
「それは、許されないわ」
「だとしたら、君が諦めるまで何度もこの人間は僕が守る!」
 バルトラムは真っ直ぐにそう宣言した。
「……そう、わかったわ……。そんなにその女が大切なのね……」
 グレースの瞳が揺らめいているように見える。
 怒りや悲しみや憎悪。いろいろな負の感情が混ざり合ったような表情だった。
「何を言ってるんだ? 僕にとって一番大切なのはグレースに決まっているじゃないか。だからこそ、人を殺すような魔族になって欲しくない」
「え……それじゃ、今まで私を助けてくれたのって……」
 今度はレオノーラまでもが負の感情が溢れたような表情をさせている。
 ……これって、何だか話がややこしくなってないか。
「そこの女! バルトラムは渡さないわ! 必ず殺してやるから!」
「それはこっちのセリフよ。返り討ちにしてやるわ!」
 もはや、グレースもレオノーラもお互いのことしか見ていない。
 バルトラムはいがみ合う女に挟まれてオロオロしているだけだった。
 最初に会ったときも思ったが、バルトラムは本物の天然のようだった。
 お互いに宣戦布告したものの、さすがにこの人数相手じゃ不利と悟ったのか、グレースはまたしても逃げてしまった。
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