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始まりの日:月
第2話
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「サラ、あんたまだ掃除して……って、掃除も終わってないじゃん! あんた何やってたのよ!?」
頭の中に突き刺さるような強い口調でリータ先輩が怒った。
だけど、口調から感じられるほどの威圧感はない。
何しろ見た目があまりに可愛らしすぎるのだ。
絹糸のように美しい金髪。見つめられたものが捕らわれてしまうほどのつぶらな瞳。細く美しい指先に同じようなスレンダーな体。きめ細かくつるつるの肌は十代前半と言っても過言ではないほど。
リータ先輩が本当は二十代だと言っても誰も信じてくれないだろう。
サラだって、未だに自分の妹くらいの年なんじゃないだろうかと疑っているほどだ。
これほど可愛らしい生き物をサラは見たことがなかった。
「あんた、今何気に失礼なこと考えたでしょ?」
リータ先輩がキッとサラを睨みつける。
こういう風に先輩に睨みつけられたら、普通なら萎縮しちゃうところだけど、サラは少しウットリしてしまった。
「いんや、決してそがなことは」
「あんたさあ、もうここに勤めて二年も経ってるんだから、いい加減その方言を何とかしなさいよ」
「そっだらこと言われても、わだすはこの言葉しかわがんねーがらなぁ」
「ったく、これだから田舎ものと一緒に仕事するのは嫌なのよ」
ぶつくさ言いながら扉を閉めようとしたところで、リータ先輩の後ろからもう一人の先輩――レイナ先輩が顔を出した。
ちなみに、リータ先輩の名前はリティーシャ=オーリードで、リータはマリリン亭で呼ばれている先輩の愛称だった。
レイナ先輩の名前はレイナ=テレーズで特に愛称とかはなかった。
もちろん、簡単な名前であるサラにも愛称はない。
「リータ先輩、サラちゃんがどうして仕事を遅らせてしまったのか、聞かなくていいのですか?」
聞く者の心を癒やすような優しい口調でレイナ先輩が言った。
「へ? そ、それはこれから聞くところだったのよ」
サラに聞くべきことを忘れてしまったことを誤魔化すように咳払いをして、リータ先輩はレイナ先輩と並んでサラを見下ろした。
こうして二人が並んでいるのを見ると、女であるサラでさえため息を出してしまう。
レイナ先輩も、リータ先輩とは違った意味で魅力的な女性だった。
長いストレートの黒髪は日の光に当たると反射で辺りが輝くほど艶々。細く妖艶な切れ長の目は、きっと見る者の心を狂わせてしまう。
十代後半とは思えないほど発育のよい体は男を虜にする力に満ちていた。
リータ先輩とレイナ先輩はマリリン亭の二枚看板。
お客さんのほとんどが二人のファンだった。
「とにかく中に入りなさい。入り口で説教しててもマリリン亭の印象が悪くなるだけだし」
「はい」
ひっそりとした空気と、昨日の残り香が漂う酒場のホール。
その一角の椅子に、サラはリータ先輩とレイナ先輩に向かい合うように座った。
「……で、こんな時間までいったい何をしていたのよ?」
リータ先輩はさっきまでのヒステリックな雰囲気ではなく、落ち着いて低い口調で聞いた。
それは別に、さっきほど怒っていないわけではなく、むしろより怒っているという合図でもある。
気持ち、サラを睨む目も細めている。
……残念ながら、迫力はあまり出せていないが。
それは顔が可愛らしすぎるからであって、決してリータ先輩にとって悪いことではない。
「サラちゃん、私たちは別にサラちゃんが理由もなくただ仕事をサボっていたなんて思っていませんよ。きっと何か理由があったのですよね」
「ちょっと、レイナ。勝手に私たちにしないでくれる? 私は別に……って、あんたに聞いてるんだから、いい加減黙ってないで答えなさいよ」
黙っているつもりはなかった。
ただ、どう言ったらいいのかわからなかった。
「それが、わだすにもよぐわがんねーんだ」
だから、結局答えもその思ったまんまを言っただけだった。
パウロのことを上手く説明する自信はなかった。
何しろ覚えていない人と交わした約束のことで、おまけに結婚なんて話だもの。
話したところで信じてもらえるかどうか。
「はぁ!? あんたねえ、自分のことでしょ? わかんないって、どういうことよ?」
「朝っぱらからうるさいわねぇ。今日は宿泊のお客さんがいないからいいけど、近所迷惑だからもう少し静かにして頂戴」
野太い声がホール内に響いた。
階段の奥からドスドスと音を立てて大男――もとい、女将であるマリリンが降りてきた。
マリリンは身長百八十センチ体重は百キロを超える、大柄な体躯の男性だった。
だがしかし、女将なのである。
無骨な顔と相まって、駆け出しの冒険者風情なら、マリリンに威嚇されただけで震え上がるであろう。
さっきからリータ先輩が睨んでいるが、マリリンなら普通に見つめられただけで謝ってしまうほどの威圧感がある。
まさに、男の中の男と言えるような容姿なのに、化粧をしてパーマのかかったウィッグをつけて胸には詰め物のようなものまでしている。見たことはないけど、ブラジャーまでしているらしい。
いわゆるオカマだった。
着ている物はというと、サラたちルームメイド兼ウェイトレスとまったく同じ格好だった。
黒いワンピースとフリルのエプロンのメイド服。
それがどれほど似合っていないか、想像できるだろうか。
いや、できない。
というか、想像はしない方がいい。
何しろ初めてのお客さんは、たいていマリリンを見て卒倒するのだから。
レイナ先輩の話によると、リータ先輩もレイナ先輩もマリリンを初めて見た時は気絶してしまったらしい。
だから、マリリンを見て気絶しなかったのは、サラだけだった。
「リータ、あんたお腹空いてるからイライラしてるのよ。ほら、ホットミルク作ってあげたからこれでも飲みなさい。もう少ししたら朝食も用意できるから」
真っ白なマグカップがゴツゴツとした手に摑まれて、サラたちの座るテーブルににゅうと現れた。
リータ先輩は「ありがとう」とだけ小さく言い、マグカップを受け取った。
「サラちゃん、どうして掃除ができなかったのか、玄関で何があったのか詳しく教えていただけませんか?」
リータ先輩がホットミルクをちびちび飲み始めたので、代わりにレイナ先輩が言葉を砕いて聞いてきた。
「そごまで言わしてもーたら、言わねばならんね。だども、笑わねーでくんねか」
「ええ、笑ったりしませんよ」
口を真一文字に結んで、レイナ先輩は真面目な表情をさせた。
リータ先輩はマグカップに口をつけながら上目遣いでまだ睨んでいた。
「実は、掃除をしでだら。パウロって男の子が現れて、わだすが好きだがら、結婚せねかって聞いてきだんだ」
「ブーーッ!! アハハハハハッ、あんた自分が何言ってるかわかってんの? クククククッ、ハハハハハハッ!」
リータ先輩は立ち上がって腹を抱えて笑った。
「ちょ……リータ先輩!?」
「だ~がら、言いたぐなかったんだっぺ」
予想通りの反応に、サラはうつむいた。
「アハハハハハッ! む、無理! だって、この田舎もんが好きで、結婚だなんて。ハハハハハハッ! 冗談にしては、おもしろ過ぎよ。クククククッ」
笑いの収まらないリータ先輩に、レイナ先輩は鼻紙を差し出して言った。
「リータ先輩、鼻からミルク出てます。せっかくの可愛らしいお顔が台無しですよ」
「――へ? う、嘘!?」
急にリータ先輩の笑い声が止まる。
反射的にサラは顔を上げてリータ先輩を見てしまった。
すると、確かに白い鼻水が……。
「アハハハハハッ! ほんとだべ」
「ちょ……見るんじゃないわよ」
言いながら鼻紙を受け取って後ろを向いてしまった。そのまま「チーン」と小さく鼻をかみ、落ち着きを取り戻して座った。
「ったく、あんたのくだらない冗談のせいで、えらい目に遭わされたわ」
「そりゃ、わだすかて同じだ。なんかの冗談かと思ったんだども……」
サラの故郷の集落がすでに存在しないことは、先輩たちだって知らない。
マリリンにしか話していないのだ。
あの集落は偶然見つけられるようなところじゃない。
森に囲まれた小さな集落。
地図に書かれていても見つけるのは困難だろうが、その地図にさえ書かれてはいないのだ。
それをあのパウロは知っていた。
だから、彼のことも彼との約束も、サラが覚えていないだけなのではないだろうかと思った。
それなのに、約束を守ろうとしたらよく考えるように言われてしまった。
意味がわからない。
むしろ、全てが冗談ならわかりやすい話なのだが……。
「ねぇ、サラちゃん。話しかけてきた男の人……パウロって名乗ったのよね」
レイナ先輩が真剣な表情をさせて聞いてきた。
「そーだども……」
「……パウロ……パウロ……どこかで聞いたことがあるような気がするんですよね……」
腕を組んでレイナ先輩が考え事をすると、リータ先輩まで同じ格好をした。
「……確かに、言われてみると私も聞いたことがあるような気がするわ」
「もしかしたら、あたしたちマリリン亭の女の子を狙った新手のストーカーかも知れないわよ」
朝食を作っていたマリリンが品を作ってそう言ったので、サラは正直に言った。
「マリリンにだけはねーべ」
「――あ? なんかゆーたか、われ?」
「さーて、遅れちまったけんども。朝食の前に通りの掃除でも終わらしてくっかな」
ドスの利いたマリリンの声を受け流して、サラは外に向かった。
頭の中に突き刺さるような強い口調でリータ先輩が怒った。
だけど、口調から感じられるほどの威圧感はない。
何しろ見た目があまりに可愛らしすぎるのだ。
絹糸のように美しい金髪。見つめられたものが捕らわれてしまうほどのつぶらな瞳。細く美しい指先に同じようなスレンダーな体。きめ細かくつるつるの肌は十代前半と言っても過言ではないほど。
リータ先輩が本当は二十代だと言っても誰も信じてくれないだろう。
サラだって、未だに自分の妹くらいの年なんじゃないだろうかと疑っているほどだ。
これほど可愛らしい生き物をサラは見たことがなかった。
「あんた、今何気に失礼なこと考えたでしょ?」
リータ先輩がキッとサラを睨みつける。
こういう風に先輩に睨みつけられたら、普通なら萎縮しちゃうところだけど、サラは少しウットリしてしまった。
「いんや、決してそがなことは」
「あんたさあ、もうここに勤めて二年も経ってるんだから、いい加減その方言を何とかしなさいよ」
「そっだらこと言われても、わだすはこの言葉しかわがんねーがらなぁ」
「ったく、これだから田舎ものと一緒に仕事するのは嫌なのよ」
ぶつくさ言いながら扉を閉めようとしたところで、リータ先輩の後ろからもう一人の先輩――レイナ先輩が顔を出した。
ちなみに、リータ先輩の名前はリティーシャ=オーリードで、リータはマリリン亭で呼ばれている先輩の愛称だった。
レイナ先輩の名前はレイナ=テレーズで特に愛称とかはなかった。
もちろん、簡単な名前であるサラにも愛称はない。
「リータ先輩、サラちゃんがどうして仕事を遅らせてしまったのか、聞かなくていいのですか?」
聞く者の心を癒やすような優しい口調でレイナ先輩が言った。
「へ? そ、それはこれから聞くところだったのよ」
サラに聞くべきことを忘れてしまったことを誤魔化すように咳払いをして、リータ先輩はレイナ先輩と並んでサラを見下ろした。
こうして二人が並んでいるのを見ると、女であるサラでさえため息を出してしまう。
レイナ先輩も、リータ先輩とは違った意味で魅力的な女性だった。
長いストレートの黒髪は日の光に当たると反射で辺りが輝くほど艶々。細く妖艶な切れ長の目は、きっと見る者の心を狂わせてしまう。
十代後半とは思えないほど発育のよい体は男を虜にする力に満ちていた。
リータ先輩とレイナ先輩はマリリン亭の二枚看板。
お客さんのほとんどが二人のファンだった。
「とにかく中に入りなさい。入り口で説教しててもマリリン亭の印象が悪くなるだけだし」
「はい」
ひっそりとした空気と、昨日の残り香が漂う酒場のホール。
その一角の椅子に、サラはリータ先輩とレイナ先輩に向かい合うように座った。
「……で、こんな時間までいったい何をしていたのよ?」
リータ先輩はさっきまでのヒステリックな雰囲気ではなく、落ち着いて低い口調で聞いた。
それは別に、さっきほど怒っていないわけではなく、むしろより怒っているという合図でもある。
気持ち、サラを睨む目も細めている。
……残念ながら、迫力はあまり出せていないが。
それは顔が可愛らしすぎるからであって、決してリータ先輩にとって悪いことではない。
「サラちゃん、私たちは別にサラちゃんが理由もなくただ仕事をサボっていたなんて思っていませんよ。きっと何か理由があったのですよね」
「ちょっと、レイナ。勝手に私たちにしないでくれる? 私は別に……って、あんたに聞いてるんだから、いい加減黙ってないで答えなさいよ」
黙っているつもりはなかった。
ただ、どう言ったらいいのかわからなかった。
「それが、わだすにもよぐわがんねーんだ」
だから、結局答えもその思ったまんまを言っただけだった。
パウロのことを上手く説明する自信はなかった。
何しろ覚えていない人と交わした約束のことで、おまけに結婚なんて話だもの。
話したところで信じてもらえるかどうか。
「はぁ!? あんたねえ、自分のことでしょ? わかんないって、どういうことよ?」
「朝っぱらからうるさいわねぇ。今日は宿泊のお客さんがいないからいいけど、近所迷惑だからもう少し静かにして頂戴」
野太い声がホール内に響いた。
階段の奥からドスドスと音を立てて大男――もとい、女将であるマリリンが降りてきた。
マリリンは身長百八十センチ体重は百キロを超える、大柄な体躯の男性だった。
だがしかし、女将なのである。
無骨な顔と相まって、駆け出しの冒険者風情なら、マリリンに威嚇されただけで震え上がるであろう。
さっきからリータ先輩が睨んでいるが、マリリンなら普通に見つめられただけで謝ってしまうほどの威圧感がある。
まさに、男の中の男と言えるような容姿なのに、化粧をしてパーマのかかったウィッグをつけて胸には詰め物のようなものまでしている。見たことはないけど、ブラジャーまでしているらしい。
いわゆるオカマだった。
着ている物はというと、サラたちルームメイド兼ウェイトレスとまったく同じ格好だった。
黒いワンピースとフリルのエプロンのメイド服。
それがどれほど似合っていないか、想像できるだろうか。
いや、できない。
というか、想像はしない方がいい。
何しろ初めてのお客さんは、たいていマリリンを見て卒倒するのだから。
レイナ先輩の話によると、リータ先輩もレイナ先輩もマリリンを初めて見た時は気絶してしまったらしい。
だから、マリリンを見て気絶しなかったのは、サラだけだった。
「リータ、あんたお腹空いてるからイライラしてるのよ。ほら、ホットミルク作ってあげたからこれでも飲みなさい。もう少ししたら朝食も用意できるから」
真っ白なマグカップがゴツゴツとした手に摑まれて、サラたちの座るテーブルににゅうと現れた。
リータ先輩は「ありがとう」とだけ小さく言い、マグカップを受け取った。
「サラちゃん、どうして掃除ができなかったのか、玄関で何があったのか詳しく教えていただけませんか?」
リータ先輩がホットミルクをちびちび飲み始めたので、代わりにレイナ先輩が言葉を砕いて聞いてきた。
「そごまで言わしてもーたら、言わねばならんね。だども、笑わねーでくんねか」
「ええ、笑ったりしませんよ」
口を真一文字に結んで、レイナ先輩は真面目な表情をさせた。
リータ先輩はマグカップに口をつけながら上目遣いでまだ睨んでいた。
「実は、掃除をしでだら。パウロって男の子が現れて、わだすが好きだがら、結婚せねかって聞いてきだんだ」
「ブーーッ!! アハハハハハッ、あんた自分が何言ってるかわかってんの? クククククッ、ハハハハハハッ!」
リータ先輩は立ち上がって腹を抱えて笑った。
「ちょ……リータ先輩!?」
「だ~がら、言いたぐなかったんだっぺ」
予想通りの反応に、サラはうつむいた。
「アハハハハハッ! む、無理! だって、この田舎もんが好きで、結婚だなんて。ハハハハハハッ! 冗談にしては、おもしろ過ぎよ。クククククッ」
笑いの収まらないリータ先輩に、レイナ先輩は鼻紙を差し出して言った。
「リータ先輩、鼻からミルク出てます。せっかくの可愛らしいお顔が台無しですよ」
「――へ? う、嘘!?」
急にリータ先輩の笑い声が止まる。
反射的にサラは顔を上げてリータ先輩を見てしまった。
すると、確かに白い鼻水が……。
「アハハハハハッ! ほんとだべ」
「ちょ……見るんじゃないわよ」
言いながら鼻紙を受け取って後ろを向いてしまった。そのまま「チーン」と小さく鼻をかみ、落ち着きを取り戻して座った。
「ったく、あんたのくだらない冗談のせいで、えらい目に遭わされたわ」
「そりゃ、わだすかて同じだ。なんかの冗談かと思ったんだども……」
サラの故郷の集落がすでに存在しないことは、先輩たちだって知らない。
マリリンにしか話していないのだ。
あの集落は偶然見つけられるようなところじゃない。
森に囲まれた小さな集落。
地図に書かれていても見つけるのは困難だろうが、その地図にさえ書かれてはいないのだ。
それをあのパウロは知っていた。
だから、彼のことも彼との約束も、サラが覚えていないだけなのではないだろうかと思った。
それなのに、約束を守ろうとしたらよく考えるように言われてしまった。
意味がわからない。
むしろ、全てが冗談ならわかりやすい話なのだが……。
「ねぇ、サラちゃん。話しかけてきた男の人……パウロって名乗ったのよね」
レイナ先輩が真剣な表情をさせて聞いてきた。
「そーだども……」
「……パウロ……パウロ……どこかで聞いたことがあるような気がするんですよね……」
腕を組んでレイナ先輩が考え事をすると、リータ先輩まで同じ格好をした。
「……確かに、言われてみると私も聞いたことがあるような気がするわ」
「もしかしたら、あたしたちマリリン亭の女の子を狙った新手のストーカーかも知れないわよ」
朝食を作っていたマリリンが品を作ってそう言ったので、サラは正直に言った。
「マリリンにだけはねーべ」
「――あ? なんかゆーたか、われ?」
「さーて、遅れちまったけんども。朝食の前に通りの掃除でも終わらしてくっかな」
ドスの利いたマリリンの声を受け流して、サラは外に向かった。
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