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10「母さんの塩むすび」

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10「母さんの塩むすび」

  あ~よく寝た。 昨日は花子と下北沢で遅くまで飲んでたのに、この清々しい気持ちの朝は何だろう? 
花子と飲むとストレス感じないから?

Hisaeは布団から出てPCの電源を入れた。 一日の作業はここから始まる。

メールが入っていた。

「Hisae様、初めてメールいたします。 
先日、他界した友達のこと書いて欲しくてメールしました。 
その友達の名前は納谷勝雄と申します。 勝雄と僕は高校からの友達です。 
その勝雄が先日肝硬変で他界しました。 五十六歳でした。 僕は彼から沢山のことを学びました。

勝雄は高校卒業後調理師を目指し専門学校に入り、その後調理師として三十六年頑張ってきました。 
ごく普通の優しい二児の父親としての生涯と、料理の本質を見極めようと鋭く厳しい目を持った人間です。 
そんな彼を偲び小説という形にしたいと考えメールしました。

内容は、Hisae様のアレンジで結構です。 勝雄にはこれという大きなエピソードはありません。 
平凡なので逆に表現が難しいと思いますがお願いいたします。 松岡幸彦」

う~ん。これといったエピソードが無いのか。 チョット難しいかもね、まっ、何とかするけども…… 
よし引き受けようか。

「松岡様 お引き受けしたいと思います。 執筆にあたり納谷さんの人柄と、お二人の写真があれば
添付して下さい。 私の中にお二人のイメージを作りたいのです。 
あらすじが出来上がったらメールいたします。 Hisae」

「ありがとうございます。 写真は二年前の同窓会の集合写真と本人の近影です。 
あと、彼の性格は地味で自分から表面に出るタイプではありません。 
いつも影から冷静な視線でものごとを見つめ適切なことを言ってくれます。 
侍の調理師のような男でした。

僕が若い頃、東京で家庭を持っていました。 長女の出産も東京でした。 
出産を知った彼はわざわざ札幌から東京に日帰りでお祝いを持って来てくれたんです。 
あの時は本当にビックリしましたと同時に感激しました。 
僕は妻の実家小樽に住みついてから、数度だけ酒を交わしました。 
お互いに休みが合わず飲む回数は少ないほうでした。 今になって悔やんでおります。 
もっと飲みたかったと……

最後に飲んだのが二年前のクラス会。 本当に良い想い出になりました。 
その後、僕は大阪に転勤となり現在に至っております。 
今、心には空白ができております。 どうぞ宜しくお願いいたします。  松岡」

Hisaeは考えた。調理師か、私、料理苦手だからどこまで表現できるか? 
こんな事なら料理の基本だけでも学ぶんだった~

「母さんの塩むすび」

あらすじ
彼の名は納谷勝雄。 人は彼のことを調理界の哲学者と呼ぶ。 
類い希な才能を持つ彼は、高校時代、調理人の兄が作ってくれた一杯のラーメンの味に魅了され、
自分も高校を卒業したら料理の道を極めてみたい。 そう思い立ち調理の道に足を踏み入れることになった。

調理学校を出た。 彼は調理の世界に馴れるため学校で斡旋しているレストランで働くことになった。 
その後、調理に道は一ヶ処に止まってはいけない。もっと料理を学びたいという思いから複数の店を歩いた。 
調理の世界の閉塞感を感じながらも三十八年間思考錯誤を重ねてきた。 
彼が心に秘めた調理にはある思いがあった。 調理仲間には話せないが、高校時代からの親友で今は
調理の世界から離れ公務員になった、心の友である松岡に密かに語っていた。 
勝雄流の料理に対する哲学があった。

その極意とは『塩むすび』という四文字。 そのたった四文字に納谷勝雄の調理人生が表わされていた。 
決して華やかではないが数日間じっくり煮込んだスープのように、奥深く味わいのある彼の人生を綴った作品」

「松岡様、簡単ですがこんな内容でどうでしょうか? ご検討願います。 Hisae」

「Hisae様 宜しくお願いいたします。 松岡」

その後、二人は打合せを重ね執筆をする事になった。 

「そっか、調理の世界は出来るだけ避けてきたけど、衣食住に携わることは避けて通れないか。 
Hisaeガンバンべ!」 自分に気合いを入れた。


 「母さんの塩むすび」

 ここは北海道岩内町。 
札幌から東に車で二時間半の港町。 その町で主人公の納谷勝雄は産まれた。 
勝雄は納谷家の次男として育ち、岩内町の中学を卒業し近隣の町、余市町の高校に通った。 
通学に時間が掛かるという理由で下宿生活をした。 その町で高校時代を過ごした。 
勝雄は温厚な性格でたくさんの友達に囲まれ、生涯の友と巡り会ったのもこの時期でであった。

高校三年生の春。

「勝雄、今日の放課後、俺の家でジンギスカンパーテーやろうぜ」仲間のひとり地元出身の
富田が声をかけた。

勝雄が「いいね~。 俺、飲み物担当するよ。 で、何人来るの?」

「十五人位かな」

「なに、そんなに来るの?」

「そう」

勝雄は瞬時に金額を頭の中で計算し「じゃあ一人三百円会費だな」

富田が「ああ頼む、俺がジンギスカン鍋とか燃料を用意してるから、肉と野菜は全部勝雄と
松岡とダイスケに任せていい?」

二人は勝雄の指示で買物に行った。

こうして十五人がジンギスカンを囲んで食べていた。 その話を聞きつけた隣のクラスの
伊藤や曽我部や秀敏が急にやってきた。

松岡は「肉足りなくなりそうだからお前ら、ひとり三百円だから九
百円分の肉を買い足してこいよ楽しくやろうや!」

当然だった。 が、勝雄は違った。

勝雄が「チョット待って。肉だけでなく燃料や野菜も飲み物もトータルで考えて買ってきてよ」

エイジが「うん、さすが勝雄。 ちゃんとポイントをついてるね!」

勝雄はどんな状況であってもその場の感情に流されない冷静に観る目を持っていた。 
些細なことでも瞬間的に判断し、そして対応する目をもった生徒だった。 
反面すこぶる人情もろくすぐ涙するタイプでもあった。 
そこが、勝雄の友達受けする要因でそんな勝雄がみんなに好かれていた。

勝雄のクラス三年C組は普段はバラバラでまとまりに欠けていたが、ここぞという時は
学校でトップのまとまりをみせ、他の生徒や先生をいつもアッといわせた。 
合唱コンクールや球技大会は二年連続総合優勝に輝いた。 
小さいことではあるが開校以来の快挙だった。
球技大会などは練習もしない、意見もバラバラで競技開始寸前まで各々が
適当にやっていたかと思いきや、いざ始まると勝雄の号令で一枚岩のようなまとまりをみせ、
担任の三宅先生を驚かせた。 勝雄はそんなクラスが大好きだった。

一生涯つきあっていく友もこの時期に出来たのだった。 
因みに二年・三年とクラス替えのない学校で、担任の三宅千種は女教師特有の優しさと
暖かみのある指導をしていた。 男子生徒の向井などはいつも勘違いして、好き放題。 
三宅を困らせることがよくあった。
そんな向井に意見するのが決まって勝雄で、一年から卒業まで千種のクラス。 
先生からの信頼も厚く勝雄をいつも心の何処かでたよりにしていた。

三年の秋、秋の学校祭も終わり進学や就職試験の結果も出て、大半の仲間は進路が決定していた。

「学校祭が無事終ったし、みんな僕の下宿先に集まり騒ごうや」と声を掛けたのも勝雄だった。 
その下宿で十名ほどが集り学校祭の打ち上げをやっている最中。 
近所からの通報を受け突然警察官が六名ほどその場に入ってきた。

「君達、何をやってる!」ひとりの警官が大きな声を張り上げた。

「オイ、そこ、すぐタバコを消しなさい」

当然だった。学生服を着た高校生が喫煙していたのだから。

その警官が「ここで、何をしている? 君達はどこの学生だ」威厳のある声で尋問した。

勝雄が「全員、後志高校です」

「何年生かね?」

「はい、三年です」

「近所から不穏な動きがあると通報があった。 おい、そこタバコを消しなさいと言ってるだろ!」

「す、すいません」トシアキだった。

勝雄が「はい、今日は最後に就職が決まった、上野くんの就職祝いで集まってました。 
喫煙しうるさくして大変申し訳ありません」

勝雄は深々と頭を下げた。 続く全員も深く頭を下げた。

警官は「他に薬だとか、シンナーの類は所持してないのか? あるならさっさと出しなさい。 
あとで出したら面倒くさい事になるからな」

勝雄が「そんな悪いことやってません」

「そんなって、未成年のタバコも悪いことだろが」

「そうでした。 すみません」

「いいか、君達。 折角就職も決まったというのに警察に厄介になったら内定も台無しだろう。 
そんなことも解らんで浮かれてたのか?」

「何度も何度も面接で落とされて、やっと受かったんです。 僕達すごく嬉しくてつい軽は
ずみな行動を取ってしまいました」 勝雄の半分泣いたような神妙な声だった。

その偉そうな警官は「解った、今回は目を瞑ろう。 
但し、今度このような騒ぎを起こしたら学校に連絡するから心しなさい。 
今日は即刻解散しなさい」

下宿人の勝雄と他三人を残して解散した。 後日、あれは演技だったと勝雄が話していた。
全て、勝雄が咄嗟に考えた嘘、いや、シナリオであった。 勝雄はこのように瞬時のアドリブに長けていた。

勝雄が進路を決める切掛けになったのは「札幌の兄が作ってくれたラーメンが
美味しかったから、将来調理人になりたい」と松岡に話していた。

松岡も勝雄からその話しを聞かされ、調理の世界は面白そうと考え調理学校に進路を決めた。 
学校を卒業して数年後。 松岡は仕事で東京に転勤し妻は身籠もった。 
そして女の子をもうけた。 出産のことは当時東京に住んでいた富田だけに知らされていたが、
何処から聞いたのか勝雄の耳にも入り、彼は東京に出産祝いを渡しにわざわざ上京。 
その日のうちに札幌に帰省した。 
後日、松岡が仲間と酒を飲む時は必ず嬉しそうにその時のことを語っていた。 

調理師になった勝雄は最初、小さなホテルで働いていたが、経営不振で倒産。 
その後上司から紹介されたレストランに移ったがそこも業績不振で閉鎖。 
幾度か職場を変わって気づいたことがあった。 人の数だけ調理方法があって、
味付けも考え方もみんな違う。諸先輩の理屈はみなごもっとも。 
でも、持論が多すぎて憤りを感ずることが多多あった。

最後の二十二年は大型病院の経営するレストランの調理長として晩年を終えた。 
事あるごとに高校時代の仲間と酒を交わす機会も多く、若い頃のエピソードを話すのが
勝雄の楽しみだった。 決まって出る話題が下宿での警察沙汰になったときの話題。 
本当に楽しい三年間だったようである。

また、料理の哲学をよく語っていた。 心の底から調理が好きだった。 
ある時、勝雄とダイスケとミノルが居酒屋で飲んでいた。

ミノルが「勝雄は職業だからしかたないけど、料理に凄いこだわりが強いようだけどなんでなの?」

勝雄は笑顔で「うん、いい塩梅ってひと口に表現するけど、どの辺りの加減をいうと思う?」

「いい塩梅か? う~~ん、おいしさ加減?」ミノルが言った。

「でも、その加減って人によってみんな違うよ。 たとえば家庭環境や国の違い、
体調や季節の違いなどきりがないと思わない?」勝雄は焼酎を含みながら言った。

ミノルが「うん、そうだよね、焼酎だってロックもあれば、水割りだってある。 
人それぞれ好みの加減があるよね……」

ダイスケが「そうだけど、それ言ったらきりがないけど」

勝雄が「そこなんだ。 料理って案外絶対数の問題で、美味しいっていう人が多いとその
味はいいと評価される。 たとえば納豆なんて外人が初めて臭いを嗅いだら絶対に
食べたいと思わない食べ物だよ。 どう考えても腐ってるとしか思えないよ。 
つまり、味は目と鼻と舌と思い込みの感覚なんだ。 特に感覚って個人差がある。 
つまり美味しいって幻影だと思ったんだ。 早い話が錯覚だよ。錯覚……

それを踏まえた上で僕はいい塩梅を追求したくなったんだ。 色々試したり考えたりしたけど
結果解らなかった…… そして三十数年間試行錯誤して、やっとひとつ見えたことがあるんだ。 
目隠しして鼻も塞いで何か食べたらどうなる?」

ダイスケが「……? 味気ないと思う。 美味しいか旨くないのかがわからない」

「そう、つまり味って観念でも決まるんだ。 
たとえば、カレーの味はさ、頭の中に子供の頃からインプットされてるからあの味がカレーといえるんだ。 
あれがカレー風シチューだったらカレーかシチューかどっちだと思う?」

ミノルが「シチュー」

勝雄が「でも、カレーっていって出されたら?」

ミノルが「……? カレーかな?」こころなしか声が少し小さくなった。

「そう、他から与えられた観念でカレーになると思わない?」

ダイスケが「言ってることがいまいち解らないけど」

「うん、早い話が脳で味わうっていうこと」

ダイスケが「勝雄悪いがもう少し解りやすく説明してくれないかなあ?」

「うん、味は味わう人によって変化したり。 作ってる人のひと言でも変化する。 
つまり観念で変化する。 それが僕の結論なんだ」

ミノルが「したらさぁ。 作る側の立場はどうなるの?」

「美味しく食べられるように、食材に魔法を掛けるんだ」

「……魔法って? じゃぁ、勝雄が一番美味しいと思う最高の料理はなに?」

「海苔の巻いてない、具も何も入ってない死んだ母さんが子供の頃作ってくれた塩むすびなんだ。 
今のところそれが一番美味しかったんだ。 もう二度と味わえないけど心にあるお袋の味。 
ただの塩むすびさ! 工夫もなにもない塩だけのおむすび」

ミノルとダイスケは納得した。

ミノルが「確かに! あれは無条件で旨い。 絶対あれ以上シンプルで美味しい料理は無いかも……」

勝雄が「あれこそ塩加減で簡単に味が左右される食べ物は無い。 
シンプルイズベストな食べ物。 それが、かあさあの塩むすび」

ダイスケが「言ってることよく解る。 勝雄は食の哲学者だね」

勝雄が「哲学者か、ダイスケ面白いこというね。 
今まで料理の世界でしか表現できなかったけどさ。 
なんか人生でも同じ事がいえるような気がする。 
人生経験豊富な人や金銭面でも何不自由してないで、高い車に乗っていい家に住んで
宝石をたくさん飾って、それって豪華なフランス料理か日本料理みたいでさ。

でも、時が経つどんなに優雅な料理でも消えるんだよね、絶対最後は無くなるんだ。

腐った高価なフランス料理と、腐ったただの塩むすびと何処が違うと思う? 
結局腐ったら同じだと思わない? 最後に残るのは思いで。 
これは詭弁で究極の例えかも知れないけどさ。 最近になってそんなこと考えたんだ。 
そしたら急に数年前に他界した母親の作ってくれた塩むすびが頭に浮かんだんだ。 
オレ、胸が熱くなり涙が出て来たんだ。

世界各国、色んな食材や調理のしかたがあるけど、最後は母親の作った手料理に敵わないかも。 
料理の味プラス愛情。 味って脳の何処かにインプットされる。 
それが生涯に渡って味覚の好みにも出るんだ。 途中どんなに手の込んだ料理を食しても、
最後は母親の素朴な手料理に戻るような気がする。

あと料理って絶対笑顔で食べて欲しい……  
母親の通夜の席での料理は全然美味しくなかった。 
味が美味しいとかそうじゃなく僕の心が沈んでたんだ。 
そういう意味では笑顔はバイブレーションを上げてくれるんだ。 
今日みたいに普通にある居酒屋料理でも。

味覚以外の部分で美味しく感じる。 当然料理をつくる側も笑顔で作るのが本当は良い。
そんな人の作ってくれた料理って、美味しさや楽しさが食べる側に絶対伝わると思う。

この世界に入って最初の料理長が教えてくれたんだ『納谷いいか、食は命だ。 
どんな料理でも絶対に手を抜くな。 手を抜いていい料理なんてひとつもない。 
俺たちは命を提供してるんだから』そう教えてくれた。 今でもそう思う。

それに食に国境は無い。 中華料理やフランス料理が日本に来るのにパスポート持ってこない。 
話しが周りくどくなってゴメンな……」

ミノルが「勝雄、なんか料理の話しから、すごい話しに進展したね。 
でも、なんか鰹って凄いよ。 まるで、お袋さんの塩むすびが神の啓示に思えるよ」

ダイスケが「その例えおもしろい。 やっぱ、シンプルイズベストって事なの?」

勝雄が「うんそれが俺の結論かも知れない。 やっぱ、料理の基本は母さんの塩むすびかも……」

勝雄の通夜の席で、ミノルがその時の三人の会話を語っていた。

富田は珍しい料理が出ると決まって「勝雄これどういう風に作ったの? これなに?」と質問すると、
勝雄はひとつひとつ丁寧に答えていた。 数年ぶりのクラス会が余市の富田家で有志による
手作り料理のおもてなしで開催された。 勝雄は久しぶりに同級生の顔をみた。

そして「やっぱ友達っていいよな。 高校時代にいつでも簡単に戻れる。 
あの頃は毎日なにをやって遊ぼうか? どういう風にしたら楽しいか? 
そんなことばっか考えてた」

クラス会では明け方まで楽しそうに勝雄は飲んでいた。

翌朝、多少のアルコールが残っていたがみんなの制止も聞かず札幌に帰っていった。
それが全員がみた勝雄最後の姿となった。

二千十四年三月二十一日春分、肝硬変でこの世を去った。 勝夫五十六歳の誕生日の数日後だった。 
葬儀には高校の友人十一名が列席した。通夜の儀が終了し最後の焼香も終った。 
その時、幸夫が他の十名に声を掛けた。

「すまないけど、みんな勝雄の遺影の前に横一列に並んで欲しい。 最後の挨拶をしようよ。 
俺が勝雄に引導を渡す……」

一列に十一名が並んだ。

幸夫が前に出て手を合わせ「合掌」大きな声で言った。 全員合掌した。

「納谷勝雄大変お疲れ様でした。 

俺たちはみんな勝雄が友達だったこと誇りに思ってる。

本当に楽しい想い出ありがとう。 

先にそっちに行ってくれ。 

そのうち必ず俺達も行く。

そしたらまた千種の会やクラス会やろう。 

その時は勝雄が幹事やってくれ、先に死んだ千種先生や敏明も呼んで欲しい。 

先にそっちに行った勝雄の役目だ。 

幹事を頼んだぞ。そして、そして、今度この世に生まれたらまた俺たちみんなと友達になろうな。 

約束だからな! 本当にありがとう。 そ

してお疲れ様でした。合掌」

全員泣きながら合掌して終わった。

                        END

Hisaeは手を止め、製本して松岡に送った。 

やっぱ何度執筆しても死は苦手だね。

最後の松岡が引導を渡す場面は自分で書いてて泣いてしまった。 

実際の葬儀でもでもやればいいのに…… 

訳の解らない僧侶のお経より、友人などの引導の方がよっぽど好いと思うけど…… 

そう思うの私だけかな?

そして、全ての職業や人にもよるけど、ある一線を越えた人って共通する見解があるのよね。 
シンプルが基本みたいな…… 行き着いた人って今回の調理の世界・武道・芸術・音楽・他の分野でも
達人って行き着くところは同じ臭いがする。

昨日一緒に酒を飲んだ花子も同じだった。 

表現は皆違うけどお母さんの塩むすびかも。

        
THE END
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