オネェの髭Ⅱ 全9作

當宮秀樹

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八「エバの青春」

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八「エバの青春」

  エバの部屋がラジオで放送され三ヶ月。 好評で相談の申し込みが局に殺到していた。

チーフデレクターの相木が「エバさん、今日もよろしくお願いいたします」

「こちらこそよろしく。 面白そうな内容届いてない?」

「そうですねぇ…… 最近多いのが『エバさんってどんな人? とかエバさんの生い立ちが聞きたい、
知りたい』という問い合わせが増えてますけど」

「あら、わたしのこと聞いてどうするのかしらねぇ、物好き? 怖いもの見たさ?」

「エバさんの子供の頃とか、思春期など興味あるのかも、私も聞いてみたいと思いますもん」

「相木ちゃんまで? 聞いてどうすんのよ」

「だって、普通一般と違う世界の生き方って興味ありますよ。 リスナーの皆さんも同じだと思いますけど」

「そんなものなの?」

「そうですよ。 エバさんはある意味新しい風なんです」

「新しい風ね…… んじゃぁ、今日はそれで行きましょうか。 私の子供の頃や思春期の頃から水商売に
デビューするまでの男性だった頃の話しに…… だれか相手してくれない? ひとりで話すのつまんないよ。 
そうだ、相木ちゃんあんた言い出しっぺだからあんたやってよ」

「えっ、私がですか? ありがとうございます。聞きたいです。 でも私がエバさんのお相手ですか…… 
どうしよう」

しばらく相木は考えた

「解りました引き受けます。 じゃあいつもの相談コーナーを割愛します」


 エバはマイクに向かった「こんにちは、エバの部屋始まります。 今日はいつもの相談コーナーを
お休みさせていただき、リスナーの皆さんからのメールの多かった、私に対しての質問のお答えしたいと
思います。 内容はエバの子供から青年期までの男だった頃の話しをしたいと思います。 なんで私みたいな
オネェに興味あるのか解らないけど、物好きな人がいるようで特別企画『エバの秘密部屋』でいきます。

今日、私のお相手してくれるのは、いつもこのブースの外からガラス越しに指示を出してる生意気なお姉様の
相木ちゃんです。 オネェではありませんけど男っぽいおんなです。よろしく」

「こんにちは男っぽいおんな相木です。 よろしくお願いいたします。 押忍! 早速ですがエバさんの生い
立ちから聞いていいですか?」

「私は、神戸市で生まれたの、母と姉二人の家に生まれました。 子供の頃はふたりの姉から着せ替え人形の
ように、スカートなど姉の服を着せられて遊んでいたの。 まっ、それはどこの家でもよくあるある光景よね」

「私も弟にスカートをはかせたりしました」

「でしょ! で、エバは人見知りのせいもあって表で遊ぶよりも家の中でままごとだとか着せ替え遊びなんか
して小学校の中頃までずっと姉と遊んでました。 でも、下の姉が中学に入った頃から姉は私を相手に
してくれなくなったのね。 今考えると当然のことなんだけど、私は急に疎外感を感じたの、
で、私も同級生と遊ぼうとしたんだ。 でも、どうやって遊んだらいいか解らないし。 
来る日も来る日も悩んだけど誰も相談に乗ってくれる人がいなかったの。 
学校から帰ると部屋でままごと遊びをやってたの。 当然ひとりで……

そのうち中学に入学し学生服を着る事になったでしょ。 最初は普通に学ランを着て登校していたの。 
当然男子学生だから。 でも一年の夏休み前頃、突然その学ランに違和感をかんじたの。 ある時すぐ上の
姉のセーラー服着用してみたくなったのね。 姉の留守を見計らって部屋に忍び込んで、
ひとりセーラー服を着てしまったのが女装に興味を持った始まりかな?」

「でも、女装は容姿だけど内面はどうだったんですか?」

「そこ、そこなの…… 野球部の長尾君というクラスメートがいたの、話しはあまりしなかったけど
いいなって憧れみたいなものがあったの。 それが男の人に初めて興味を持ったはじまり」

「その頃のエバさんは奥手だから、上手にお話が出来なかったということですか?」

「そう、でもそれ以外の面で決定的なことがあって登校拒否。 引きこもりになってしまったの」

「決定的な事って? 聞いてもかまいません?」

「私ねぇ、小学校五年頃からなんだけどガイドと話しを出来るの。 最初はたまにだったけど中学に
入った頃からそれが頻繁に起こるようになったの。 友達と話しててもそのすぐ後ろでその友達を慈愛の
目で視てる存在がいるの。 私はそっちと話ししていて友達の話し半分しか覚えてないのね。 
だからよく友達に『おまえ人の話きいてる? 聞きたくないならそっちに行ってな』てな具合。 
そういうことが多くなってきたの」

「母親とかに相談しなかったですか?」

「何度か母に話したことあったけど全然取り合ってくれないの。 そのうちガイドの話しは自然と
わたしからは言わなくなったわ」

「それが切掛けで引きこもりになったんですか?」

「ガイドのことは黙っていればすむことなんだけど、心の奥ではみんなとの違和感。 なんでこんな事で
みんな喜んでいるの?  本当にこんなことで喜べるの? あんた達みんなに合わせてるだけなんでしょって、
そういう角度で友達を見るようになったの。 私はみんなとなんか違う、体も心もすべてがどこか違うと
思いこんだの。 そしたら学校に行くのが苦痛でどうしようもなくなったの」

「わかります。 楽しくないけど一緒に喜んでいないと疎外感が感じられる、わたしもそうでした。 
嫌だけど私は笑いました。 そして自己嫌悪になりました」

「私は引きこもりを選んだのよ。 何ヶ月も何ヶ月もひとり。 他人に合わせようとする心の葛藤がなくなった
から楽だった。 でもそのうち自己嫌悪になったの。 生きてるんだけど霧の中にいるみたいだった。 
自分が何処にいるのか? 何処に行きたいの?
自分ってなに? 誰? なにしにこの家に生まれてきたの? もう、疑問と不安で頭の中パンパンだったわよ。

このまま死んだら楽なのかなって、そう思ったら今度は死に方を考えたの。 ガス・リストカット
・飛び降り・劇薬だとかそんなことしか考えられないのよ。 相談する友達もいない。 
そんな時だった姉が声をかけてくれたの。 私は胸の内を話した『なんのために生まれたのか? 
その答えを教えてほしい……』って。姉には返す言葉がなかった」

「そうですね、難しい問題ですよね」

「そんな私の悩みを無視してかどうか解らないけど、母は高校進学という進路を提示してきたの
『もし母親の決定に従わないなら家を出て行きなさい』ってハッキリ言われたの。
そんなに状態になってる私に三年間学校に行けっていうの。 どうして? 今度は頭の中真っ黒。 
母親の話のあと幾日か過ぎたころ、テレビを見ていたら禅宗のお坊さんが『白陰禅師曰く、泣きたいときには
泣くがよき候、苦しいときには苦しむがよき候、笑いたいときには笑うがよき候』ってことを言ってたのね。

なんか解らないけど胸が急に熱くなり涙が出て止まらないの。 どのくらい泣いたか解らないけど
そのうちなんか知らないけど、開き直ったっていうか胸の奧にあった何かが落ちて急に楽になったの。 
なんで? 今までのわたしってなに? どうかしたの? そんな感じだった。 あの経験があってから
確実に自分が変わったの」

「で、学校行ったんですか?」

「うん、登校した。 そんなある時母親が学校から帰ってきて泣いてたの。 私の進路の件で担任に相談したら。簡単に無理ですねってあしらわれたの、そんな肩を落とした母を見てわたしはがぜんやる気が出たの。 それから猛勉強してとりあえず都立の工業高校に受かったわよ。 その先生に『絶対無理だ』って言われてた高校にね」

「エバさん根性あるんですね」

「だって目の前で、しかも私のせいで肩を落としてる母親を見てごらん。 申し訳ないの気持ちでいっぱいよ」

「で、工業高校ですか?」

「そう、何でだと思う?」

「機械とか電気関係が好きだから」

「そんなありきたりの事でないの」

「う~ん…… 解りません?」

「工業高校の九〇%以上は男子生徒なのよ」

「えっ! それだけの理由ですか?」

「それだけの理由ってどういうことよなんか文句あるの?」

「あっ、いや、なにもありません」

「高校時代は男ばっかりで気が楽だったわよ。 ちゃんとカミングアウトもしてみんな理解もしてくれたよ。 
今でも付き合ってるよ生涯の友ね。 私以外にも数人オネェもいたし、それなりに高校生活は楽しかったよ。 
当然お気に入りの男子も三人いたし」

「三ツ股ですか……」

「イヤらしいこといわないの、その頃はプラトニックなんだから」

「じゃあ、案外普通の学生生活だったということですね?」

「表向きはね。 ガイドとの会話などで気が紛れた部分もあるの。 たしかにガイドとの会話は最初は
戸惑うこともあったけど、慣れたらどってことないのよ。 いろんなこと教わったよ。 
商売、特にエバの部屋では役に立ったの。 ここにこうして座ってるのもその頃の対話が役に立ってるの」

「話し戻るけど家族にはカミングアウトしたんですか?」

「夜働くようになってまもなく家族みんなの前で言ったわよ。 そしたら『なんで今更なの?前から
知ってるよ』って簡単にいわれたの」

「プッ!」

「相木ちゃんまた笑った。ちょっと顔かしな」

「じゃぁ、エバさんはオネェで困ったこととか心に深い葛藤は?」

「無いけど母親は悩んだみたいよ。 なんせ長男がオネェだから娘が三人になったわけでしょ、あと継ぎが
途絶えたんだから。 たいした家系ではないけどね」

「夜働くようになったのは二十歳過ぎですよね、高校卒業してからの二年間ぐらいなにをなさってたんですか?」

「ミシン売ってたよ。 縁日や地下鉄の入り口でハガキ配ったり、ミシンでハンカチに刺繍したりしてたの。 
それなりに売ったよ、私の場合美容室とか女の集まりそうな店にアポなしで飛び込みで入って行くの。 
女の職場は嫌だったけど我慢したよ。 どの店も私の会話で笑う人が多かったのね。 それが夜の商売で
活かされたっていうか。 ひとつの才能なのかな?」

「夜の世界に入る切掛けはどうしてですか?」

「店舗のディスプレーデザインする会社だったのね。 何度かミシンのカタログ持って出入りしてるうちに
ある時声かけられたの『あなた私の知ってる新宿の店なんだけど、働いてみない? きっと好いホステスに
なるよ』って。 僕は男ですからって言ったら失笑されたけど。 何度か顔を出してうちに同じ事言われたの、
そしてついわたしから『連れてってください』って言ってしまったの。 今考えてもなんであんな事言ったのか
解らないけど」

「それが切掛けでその店で働くようになったんですか?」

「そうなの。 はじめて店に連れて行ってもらったときはビックリしたよ。 だって私みたいな雰囲気の
オネェさんがその店に数人いるんですもの。 むこうも同じ臭いのする客が来たって思ったらしいの。 
その時に相手してくれたホステスさんが後のオネェの髭という店のママ。 色々と教わったわ。 
公私ともに本当に世話になったの、ママが死ぬまで……」

「亡くなったんですか?」

「そう、世をはかなんで逝ってしまったの。 ママが死ぬ前なんだけど数人の客に『エバちゃんを頼む。 
あの娘は欲がないから自分で店を持とうとか思わないと思う。 でも必ず彼女を頼ってくるひとがたくさん
いるの、そんな人たちのためにもエバちゃんが必要なの。 彼女はそんな役割を持ってるし宿命なの。
もし私になにかあったらエバが店をもつ手助けをしてほしい……』といってたらしい」

エバの声が震えていた。

「それは私の店のオープンでみんなが集まった時に初めて聞かされたの。 私はその場で大泣きしました。 
死んでから改めてママに感謝しました。 本当に私のこと思ってくれてたんだって…… 
取り立てて面白いことや賞賛されることなんかなにもない。 ただのオネェ人生」

「そうですかやっぱりエバさんは面白いです……」

「本当に人生どうなるか解らない 。特に人と人の出会いはすばらしい。 巡り合わせってう言葉があるけど。 人は何度も何度も生まれ変わってる、その中でちゃんと出会いがあるの。 めぐりめぐって再び出会うのよ
素敵だと思わない……」

「はい、思います。 今まで思ったことなかったけど今わかりました。 素敵です。 巡り合わせって良い
言葉ですね」

「相木ちゃんも縁のある人と巡り会えますように」

「そろそろ時間になりました。 エバさん。 ラジオお聞きのリスナーの皆さんになにかひと言お願いします」

「今日はお便りにお答えして、わたしの若い頃の話しをしてしまいました。 来週からはまたいつものような
番組でお届けします」


相木が「エバさんお疲れ様でした」

「なんか終わってみると、エバ恥ずかしいよ。 みんなの前で男の頃の話しなんてつまらないこと話して
しまったわ」

「いえ、そんなことないです。 リスナーさんの中には引きこもりの人とか性同一性障害で悩んでる方とか
たくさんおられます。 エバさんなら解ってくれると相談数が増えるかもしれませんよ」

放送後、局には普段の数倍、相談申し込みが殺到した。 相木の予想通り性同一性障害者からの相談が非常に
多くなった。 月に一度、性同一性障害のコーナーが設けられ、たくさんの相談に答えた。
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