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4「三つの黒石」

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4「三つの黒石」

  サキはミルキーを京子のところに連れてきた。 

「京子さんケンタさんに聞いてると思うけど、こちらが二風谷のミルキーさん」 

「あなたがミルキーさんね、私は京子ですよろしく」

「あっ、ミルキーです。 初めましてダニ」

「あなたが赤い石の持ち主さんね? 詳しく聞きたいなその石のこと」
 
「はい、昔から我が村に先祖代々伝わった石ダニ。 
紫と青と赤の三つがあって我が村のフチセの家計に伝わるものダニ。 
この石の効果は今ひとつ解らないけど、先日ケンタさんから少し教わったダニ。 
なんでもこの会の黒い石と波長が似てるからって言ってたダニ。 
制限を外す効果があるっていってたダニ」

京子が「三つの石か赤石ね……」 

「どうかしたダニか?」 

「いや、この会の黒石はケンタくんが神社の裏で拾った物なんだけど、
それ以外にも存在するのかなって思ったのよね」  

「サキはあるような気がします」 

「でしょ、私もなんか気になるのよね。 別にほしい訳じゃないけど、
あるならお目に掛かりたいものよね」  

サキが続けた「ミルキーさんが人捜しをした時に、石同士が共鳴するからその
振動を追うって言ってましたよ」 

「そうなんだ? なるほどね」京子はなにか閃いた。 

「ねえ、ミルキーさん。先日見たシリパの会の黒石も波長の共振を感じ取れる?」  

「はいダニ」

「それ感じ取ってほしいのね。 見てみたいのよ他の石も探してくれない?」 

「いいダニよ」  

「サキさんミルキーはカムイの窓に行ってくるダニね。 夜には帰るダニ」 

「ミルキーさんごめんね。 お願いします」サキが言った。

京子が「サキさん、ミルキーはしばらく札幌に居るの?」  

「なんでも、せっかく札幌に来て知り合いも出来たから、しばらく滞在したいって言ってましたけど」 

「私、ミルキーさん見ていて感じたんだけど、動物のこと詳しいと思うの。 それでサキちゃんがあの子からその能力をレクチャーして貰うのよ。 そのお返しに私が石の能力をもっと開花させるわ。 お互いの能力を教え合うのよ。 これどう?」

サキは「何だか楽しそう! 戻ったら聞いてみます」

ミルキーが戻った。 

「ただいま戻りましたダニ。 解りましたよ。 
札幌には無いけど全部北海道にあるダニ。
にっき? 大切な山は神河の東黒? そんな町ミルキー知らないダニ」
 
「ミルキーさんありがとうね、ごめんね。 
それでさっきサキさんと話したんだけど・・・」京子は経緯を話した。 

「ミルキーさんはどう?」 

「楽しいダニ。 この石もっと知りたいダニ」 

「じゃあ成立ね」 

サキが「ミルキーさん、動物の事そんなに詳しいの?」 

「動物も食物も木や花も解るダニ」

 ミルキーのレクチャーが始まった。 

「基本的に動物は感性で生きてるダニ。自然環境と波長を合わせながら生きてるダニよ。
コツは匂いと雰囲気と波長ダニ。 目はオーラを確認する為に使うダニ。 
捕食して自分に害があるかどうかはオーラで判断するダニ。 
当然、動物によって見え方が全部違うダニ。 人間は犬とか猫を飼うけど、
犬は単純で無邪気だけど猫の方が犬より賢くレベルは上ダニ。  木の意識は穏やかで感情は一定。 
植物は繊細で空気と光が栄養源で私たちの遊び場ダニ」 

サキが「人間の考えと似てるけど人間は考えが基本人間的なのよね。 
オーラで視るなんて思ってなかったわ。 さすが妖精ミルキーさん、凄く解りやすいね。 
ところで犬とかですぐ吠える犬が多いでしょ、あれはどういうこと?」 

「威嚇、恐怖、遊び、臆病犬の警戒心、色々あるダニ。 猫は状況判断の天才ダニ。 
猫は風を感じてるダニ。 山の猫はそれ以上でその山全部を感じて行動してるダニ。 
犬はどちらかというと目先のことだけダニ。 ミルキーは猫のお友達多いダニ。 
ずる賢いのは狐や狸、ミンクもそう。 熊なんかすごく単純さんダニ。 
余計なこと考えないで食べることが好きなだけ。 
食べ物のために一日で山ひとつ越えるダニよ。 でもみんな私の仲間ダニ」  

「人間の思いこみって勝手ね。 反省しなくちゃね……だって人間中心の考えだもの。 
ミルキーさんゴメンね」  

「基本、明るい暗い、腹減った腹いっぱい、繁殖と子育て、あとわずかな遊び、そして警戒心ダニ」

「とっても解りやすいわ。 ミルキーさんありがとう。 あと、死に対する捉え方は?」

「淡々としてるダニよ。 基本死は怖くない。 だ
から死の恐怖ってあることはあるけどそんなに怖くないダニ。 当然私たちもダニ」

「ありがとう。 じゃあミルキーさんから質問どうぞ」

「黒石と私の赤石、違うけどどうしてダニ?」 

「私の解る事は、シリパの会の黒石はこの世の硬い石だけど、
赤石はこの世での物ではない石なのね非物質なの。 
だから普通の人間には視えないでしょ? そこを除けば二つは一緒の波調だよね。 
あとは使い方のコツかな。 私の知る限りパラレルワールドや
タイムスリップに多く使うけど、それ以外の可能性もあると思うわ。 私は試したことないのね」  

「なるほど…… でもパラレルワールドやタイムスリップってなんですか?ダニ」 

「そっか、それは今度ゆっくり説明するね。 あと、この会の石のことを
制限を外す石とケンタさんは言ってたけど」 

「制限?」ミルキーはしばらく黙った。  

「なるほどダニ。制限を付けるからそれ以上になれない。 
つまり出来ないと勝手に勘違いするということ…… なるほどダニ」 

サキは、この子はどんどん知識を吸収する恐るべし妖精と思った。

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