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6インゲンと禅
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6インゲンと禅
ある朝ケンタは不思議な夢で目がさめた。 ケンタは座禅を組んでいた。
するとそのままエレーベーターに乗ってるかのように禅を組んだまま上昇した。
途中いくつもの雲の層が確認できた。
その雲の層には全ての階に人の集団があった。
そのまま上昇し最上階と思われるところで止まった。
そこには僕を含め三人が三角形になり禅を組んでいたんだ。
次の瞬間声なき声が聞こえた。
「インゲンよくやった、インゲンよくやった」と胸に伝わってきた。
夢から覚めたケンタは久々に石を取り出した。 今回はテーマを決め、その世界を視てみたい。
今日の夢、そう念じて石を握りしめた。
トリップした。 あれっ……? ここはお寺? あれ?なんか感覚が変?
僕は宙を浮いてる…… 意識だけがトリップしたわけ? なにこれ……?
初めての体験。それにここはどこ?
お寺の山門に黄檗山万福寺と書いてあった。 ここは中国? 中国風の大きなお寺だった。
次の瞬間 「日本、京都宇治」
万福寺か? へぇ…… 面白い。 山門を入って正面に布袋様の像があった。
とても厳粛な感じがする。 向こうから読経の声。
いままで聴いたこと無いお経。
耳をすますと中国語?
ここは中国?
たくさんのお坊さん達がお勤めしている。
指導者らしきお坊さんが何か話している?
これが坊主の説教っていうやつだな。
それも中国語だ? ここは中国のお寺と確信した。
えっ? 解る……言葉は解らないけどいってることが理解できる。
ちょっと内容が小難しいけど。
念仏と禅のかかわり……?
この偉そうなお坊さんを前にして話しを聞いてるのは、ちょ、ちょんまげ姿のお侍さんと全員和服姿。
日本だった! しかも現代と違う!
いつ時代かな……?
「四八〇年程前の京都だよ。あのお坊さんは隠元和上といって立派なお坊さんなの。
当時衰退した禅宗を立て直すために中国から幕府が招いたの。 その時大工さんだとかも一緒に
中国から来たのね。 隠元豆だとか豆腐など持ち込んできたのよ。 当時他宗のお坊さんが
全国から噂を聞いて集まってきたの」
横から声がした。
えっ誰?
「私、ヒサエっていうの宜しくね」
また新しいガイドさんなの? 今度は女性?
「ここはあなたと関係が深い場所。 聞きたい事があれば聞いて」
「その前に、あなたはヒサエって名前はわかるけど身体がないね」
「はは、面白い。 そういうあなたも同じなのよ」
「あれ? そっか!」
「それはねアストラル体というボディーだけがトリップしたの。 アストラル体とは、
ある意味もうひとつの身体でエネルギー体なのね。 今までは微細でもボディーがあったから
身体を視覚で意識できたの。 でも今回は意識だけなの。 でもボディーが欲しければ念ずる
とボディーが出来る」
「ヒサエさんひとついいですか? 僕なんでここに来たのかなあ?」
「ケンタくんが夢の解釈を求めたんでしょう…… だから」
「あっそうだった忘れていた」
「ここに来た理由がちゃんとあるの。 ちなみに偶然は万にひとつもない。 これ大事なこと」
「じゃあ僕とヒサエさんの関係も?」
「当然。 君は私で私は君」
「また同じこといわれた。 いつも同じこと言われるけどどういうことですか」
「ふふっ」
やっぱ、ちょっとむかつく。
「ご立腹? お節介すると台無しになる。 ガイドは皆そのこと知ってるから同じこという。
もっというと教えてはいけない。 自分で悟るもの」
「じゃあ質問変えます。 ここは禅のお寺なの?」
「そう。ケンタくんが夢の解釈を念じたでしょう? それでここに来たのよ」
「インゲンさんて人の名前なの?」
「そう、ここ万福寺を開山した僧侶で、中国から幕府が招いた有名な禅宗の隠元隆琦というお坊さん。
あなたが夢で見た」
「あっそっか!夢でインゲンよくやったインゲンよくやったと誰かがいってた。 そ
のインゲンさんか…… でっ僕とその六五七年前のインゲンという坊さんと何の関係が?」
「それはご自分解釈すること。 ちなみに『禅』はとっても大事。 過去の偉いお坊さんや先達者は
宗派に関係なくみんななんらかの形で禅や瞑想・念仏などしていた。 あの座った形も大きなポイント。
別にあの形でなくてもみんな普通に瞑想してるけどね」
「どういうこと?」
「音楽・絵・踊りなどに集中して何かをやっていて我を忘れるときがある。
その瞬間は瞑想状態と同じ。 マラソンランナーでもランナーズハイと呼ばれる意識感覚がそうなの。
走る瞑想。 そして現代人はもう成熟してるから禅に頼らなくてもその人なりの切っ掛けで
悟れる時代」
「どういうこと?」
「今の時代は成熟した魂が多くいるということなの。 肉体が死んだら悟る。というか元の悟った意識に
戻るというわけ。 死んだらその遺体を仏さんっていう。 仏(ほとけ)の本当の意味は悟った人のことを
指す言葉。 一般的な解釈とちょっと違う。 ちなみに肉体が死んでも汚れた魂は仏になれない」
「どうして?」
「固執した思いや心の執着心が強いと、心の狭い世界に繋がる。 そして死後そのまま自分の想念の世界に
移行しするから。 死後にガイドが修正しようと色々な方法で働きかけるけど、聞く耳を持たない魂が多い。
自分の我や利益ばっかで余裕がないから。 あなたもそういう世界を見てきた。 私たちガイドも悟って
もらおうと手助けするけど最終的には自分で悟るしかない。
せっかくだから禅の話し続けるけど、ある禅僧がこんなことを言ったの。
「禅とは泣きたいときに泣く 笑いたいときに笑う 何のためらいもなくこれが自然に出来たら
禅が極まった証し」
ケンタは解ったような解らないような気持ちで元に戻った。
ある朝ケンタは不思議な夢で目がさめた。 ケンタは座禅を組んでいた。
するとそのままエレーベーターに乗ってるかのように禅を組んだまま上昇した。
途中いくつもの雲の層が確認できた。
その雲の層には全ての階に人の集団があった。
そのまま上昇し最上階と思われるところで止まった。
そこには僕を含め三人が三角形になり禅を組んでいたんだ。
次の瞬間声なき声が聞こえた。
「インゲンよくやった、インゲンよくやった」と胸に伝わってきた。
夢から覚めたケンタは久々に石を取り出した。 今回はテーマを決め、その世界を視てみたい。
今日の夢、そう念じて石を握りしめた。
トリップした。 あれっ……? ここはお寺? あれ?なんか感覚が変?
僕は宙を浮いてる…… 意識だけがトリップしたわけ? なにこれ……?
初めての体験。それにここはどこ?
お寺の山門に黄檗山万福寺と書いてあった。 ここは中国? 中国風の大きなお寺だった。
次の瞬間 「日本、京都宇治」
万福寺か? へぇ…… 面白い。 山門を入って正面に布袋様の像があった。
とても厳粛な感じがする。 向こうから読経の声。
いままで聴いたこと無いお経。
耳をすますと中国語?
ここは中国?
たくさんのお坊さん達がお勤めしている。
指導者らしきお坊さんが何か話している?
これが坊主の説教っていうやつだな。
それも中国語だ? ここは中国のお寺と確信した。
えっ? 解る……言葉は解らないけどいってることが理解できる。
ちょっと内容が小難しいけど。
念仏と禅のかかわり……?
この偉そうなお坊さんを前にして話しを聞いてるのは、ちょ、ちょんまげ姿のお侍さんと全員和服姿。
日本だった! しかも現代と違う!
いつ時代かな……?
「四八〇年程前の京都だよ。あのお坊さんは隠元和上といって立派なお坊さんなの。
当時衰退した禅宗を立て直すために中国から幕府が招いたの。 その時大工さんだとかも一緒に
中国から来たのね。 隠元豆だとか豆腐など持ち込んできたのよ。 当時他宗のお坊さんが
全国から噂を聞いて集まってきたの」
横から声がした。
えっ誰?
「私、ヒサエっていうの宜しくね」
また新しいガイドさんなの? 今度は女性?
「ここはあなたと関係が深い場所。 聞きたい事があれば聞いて」
「その前に、あなたはヒサエって名前はわかるけど身体がないね」
「はは、面白い。 そういうあなたも同じなのよ」
「あれ? そっか!」
「それはねアストラル体というボディーだけがトリップしたの。 アストラル体とは、
ある意味もうひとつの身体でエネルギー体なのね。 今までは微細でもボディーがあったから
身体を視覚で意識できたの。 でも今回は意識だけなの。 でもボディーが欲しければ念ずる
とボディーが出来る」
「ヒサエさんひとついいですか? 僕なんでここに来たのかなあ?」
「ケンタくんが夢の解釈を求めたんでしょう…… だから」
「あっそうだった忘れていた」
「ここに来た理由がちゃんとあるの。 ちなみに偶然は万にひとつもない。 これ大事なこと」
「じゃあ僕とヒサエさんの関係も?」
「当然。 君は私で私は君」
「また同じこといわれた。 いつも同じこと言われるけどどういうことですか」
「ふふっ」
やっぱ、ちょっとむかつく。
「ご立腹? お節介すると台無しになる。 ガイドは皆そのこと知ってるから同じこという。
もっというと教えてはいけない。 自分で悟るもの」
「じゃあ質問変えます。 ここは禅のお寺なの?」
「そう。ケンタくんが夢の解釈を念じたでしょう? それでここに来たのよ」
「インゲンさんて人の名前なの?」
「そう、ここ万福寺を開山した僧侶で、中国から幕府が招いた有名な禅宗の隠元隆琦というお坊さん。
あなたが夢で見た」
「あっそっか!夢でインゲンよくやったインゲンよくやったと誰かがいってた。 そ
のインゲンさんか…… でっ僕とその六五七年前のインゲンという坊さんと何の関係が?」
「それはご自分解釈すること。 ちなみに『禅』はとっても大事。 過去の偉いお坊さんや先達者は
宗派に関係なくみんななんらかの形で禅や瞑想・念仏などしていた。 あの座った形も大きなポイント。
別にあの形でなくてもみんな普通に瞑想してるけどね」
「どういうこと?」
「音楽・絵・踊りなどに集中して何かをやっていて我を忘れるときがある。
その瞬間は瞑想状態と同じ。 マラソンランナーでもランナーズハイと呼ばれる意識感覚がそうなの。
走る瞑想。 そして現代人はもう成熟してるから禅に頼らなくてもその人なりの切っ掛けで
悟れる時代」
「どういうこと?」
「今の時代は成熟した魂が多くいるということなの。 肉体が死んだら悟る。というか元の悟った意識に
戻るというわけ。 死んだらその遺体を仏さんっていう。 仏(ほとけ)の本当の意味は悟った人のことを
指す言葉。 一般的な解釈とちょっと違う。 ちなみに肉体が死んでも汚れた魂は仏になれない」
「どうして?」
「固執した思いや心の執着心が強いと、心の狭い世界に繋がる。 そして死後そのまま自分の想念の世界に
移行しするから。 死後にガイドが修正しようと色々な方法で働きかけるけど、聞く耳を持たない魂が多い。
自分の我や利益ばっかで余裕がないから。 あなたもそういう世界を見てきた。 私たちガイドも悟って
もらおうと手助けするけど最終的には自分で悟るしかない。
せっかくだから禅の話し続けるけど、ある禅僧がこんなことを言ったの。
「禅とは泣きたいときに泣く 笑いたいときに笑う 何のためらいもなくこれが自然に出来たら
禅が極まった証し」
ケンタは解ったような解らないような気持ちで元に戻った。
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