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 熱い一夜を過ごして名実ともに夫婦となった私達は朝早くから城に呼び出された。謁見の間へと向かえばそこにはクリスティーナとサミュエルもいた。オスカーの予想通り王と王妃は婚約破棄を認めていなかったらしい。特にクリスティーナの方。私はついでのようだ。そんなわけで私は「もう結婚したので今さら婚約破棄は認めないと言われても困ります。殿下が認めてくださったのに」と言った。王も王妃も頭が痛いとばかりのリアクションをしていたが帰っていいと言ってくれた。クリスティーナ達はまだ帰れないようだがサミュエルが付いているのだ。どうにかなるだろう。そんなわけで私とオスカーは家に戻った。

「カズミ様といると飽きませんね」

「ちょっとオスカー、それどういう意味?」

「あなたといるといつも予想外のことばかり起こる」

 聞けばオスカーはこれまで自分がどうしていたかを話してくれた。私が結婚するならオスカーがいいと言ったあの後、オスカーは軍に転属させられたらしい。そして戦地に送られたそうだ。もうこの段階で申し訳なかった。それからいくつもの死線を潜り抜け将軍にまで成り上がったらしい。

「俺は貴族の出でしたからね。功績が付けば成り上がるのも必然だったでしょう」

 オスカーはそう軽く締めくくったけれど、自分の軽率な発言でそんな目に遭うなんてどう謝ればいいのか分からなかった。

「いや、本当にごめんなさい。まさかそんなことになるとは夢にも思わなくて」

「いいんですよ。おかげであなたを娶れたんですから。俺がただの護衛騎士のままだったら陛下はこの結婚を認めてはくれなかったでしょうからね」

「もう結婚してるのに?」

「ええ、どんな手を使っても引き離したでしょう。聖女の結婚相手なんですから」

 それは私には分からない感覚だった。聖女と言われても普通の人間なのだ。いるだけで豊穣をもたらすらしいけどそんな自覚は欠片もないし。

「さあ奥さん、俺達は新婚なんです。つまらない話はやめましょう。今日は朝から叩き起こされたんですから二度寝と洒落込みましょう」

 そう言って私を抱き上げて寝室へと向かうオスカーは楽しそうだった。その首に腕を回して頬に口付ければきょとんとした顔をするものだから私は笑った。ああ、私、今幸せだわ。

 それからしばらくして美穂が隣国の王太子と婚約したと聞いた。王子は捨てられたようだ。まああんな断罪を見せたらねえ。性格が悪いのバレちゃうよね。その後王子はクリスティーナに縋ったようだがサミュエルに見事ブロックされたと聞いてちょっと笑ってしまった。頼りないところのあるクリスティーナにはしっかり者のサミュエルがお似合いだと思っていたがその通りだったらしい。
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