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間話 アビ・ユートルアの日記
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この世はクソッタレだ。
俺はクソッタレな世の中で、それ以上にクソッタレな人間として生きている。
医学の道を極めるため、伝説と呼ばれる『治癒魔法』を研究していたところ、同じく『治癒魔法』を研究する団体にスカウトされた。
医療学院を卒業後、俺はすぐそこの研究者となった。
王宮の地下に研究室を構え、王族の名の元で研究するらしい。
俺は王宮に入ってみたいということもあり、また、給料が良かったことで、入るのに躊躇いはなかった。
ちょっとした興味本位であった。
なぜ王宮の地下に研究室があるのか、疑問に思わなかったのか。
地下といえば、罪人や凶暴化した動物が閉じ込められているという噂があったというのに。
そこで俺は、地獄を見た。
始めは実験動物を使っての実験だった。
傷ついた動物の体を、無属性魔法の応用で操り、傷を塞ぐ。
確かに傷は塞がれるものの、失われた血液は戻らない。
下手すれば出血死してしまう。
これは『治癒魔法』とは言えない。
物語の『治癒魔法』はいつでも万能で、どんなものでも癒してきたのだから。
研究はどんどんエスカレートしていき、とうとう人間にまで手を出すようになった。
当初の俺は研究材料にされる人間を可哀想に思いつつも、罪人なので仕方ない、と思っていた。
いざ罪人を用いて実験をしてみれば、罪人からは絶叫が上がった。
「な、何なんだこれはァ!?」
「『治癒魔法』の副作用だよ」
「副作用だとォ!?」
「無理やり体を操るんだ。体には不可がかかり、それは激痛となって返ってくる」
「なんだとォ……!?」
淡々と実験のデータを取る同僚に、俺は思わず青ざめる。
異常だ。
あまりに恐ろしい実験内容。
罪人の傷はたちまち治っていったが、罪人達の精神的苦痛はあまりに大きかった。
何人もの人間が正気を失った。
特に酷かったのが、病気にかかった人間の治療だ。
薬で治せないほどの難病者を、奇跡と評される『治癒魔法』の模造品で治そうとするなど、それは間違った判断だったに違いない。
やはり病人は病気が治る前に繊細な体のつくりをぐちゃぐちゃにされ、こと切れていった。
医療の進歩には必要な犠牲。
そう言われて簡単に切り捨てられていった者達を、俺は何人も見送った。
地下に研究室があったのは、罪人をすぐに実験台にできるから。
頭を回せば、すぐにわかったことだったというのに。
仕方ないんだと、自分に言い聞かせてきた。
そんなある日のことだった。
「ユートルア。お前が面倒を見ろ」
上司に押し付けられた子供は、オルガといった。
濃い緑の髪にピンクの瞳が印象的な、見た目的には派手な子供だ。
そいつは奴隷としてここに送られてきたらしい。
とにかく、やかましい子供だ。
「ねえねえねえねえ、アビ先生はさっ、『治癒魔法』ができんの?」
「……うるせェ。ガキは黙って寝ろ」
「アビ先生、オルガ、頑張ったんだよ? 今日も実験、頑張った。褒めてよ」
「………」
包帯に巻かれた体を見て、俺は何も言えなかった。
『治癒魔法』で治されているはずの体が、傷だらけに見えたから。
それでもオルガは元気だった。
オルガが、俺を正気でいさせてくれた。
事件が起こったのは、オルガと会って1年が経ったある日のことだった。
「じっ、実験番号25番が暴走!! 研究員は避難せよっ!!」
オルガが正気を失い、暴れている。
オルガは子供だ。
それも、奴隷であることや実験されていることが災いして、痩せている。
それなのにも関わらず、研究員達は誰一人オルガのことを止めることができなかった。
実はオルガの他にもこのような症状を発症する者は多かった。
人間だけではなく、動物も凶暴化してきた。
いつもは兵士がそのような暴走者を止めるのだが、行き先は牢屋と決まっている。
俺は堪らず飛び出した。
「オルガッ!!」
「……アビッ、せんせっ」
俺がオルガの前にたどり着くと、オルガはようやく止まってくれた。
既にオルガの暴走に巻き込まれた研究員達数名は気絶しており、オルガの体は血だらけになっている。
オルガを刺激しないようにゆっくりと近づくと、オルガは怯えるように首を振った。
「や、こないで。こないでよ、先生」
「オルガ」
「先生を、傷つけちゃう……! オルガ、変なんだよ、物が勝手に壊れるの……! オルガ、触っただけなのに。周りの人が、オルガを殺そうとしてくるの……!」
「オルガ、落ち着け」
「オルガ、悪い子? オルガ、殺されちゃう?」
「………大丈夫だ」
錯乱するオルガを抱き締めれば、子供特有の高い体温が伝わってくる。
オルガは恐怖で震え、泣き出した。
この時、俺はハッキリとーーようやく理解した。
これ以上ここにいちゃならねぇってな。
◆ ◆ ◆
騒動が終わった後、俺はオルガを連れて研究室を出た。
止められるかと思ったが、もともとオルガは牢屋に入れられる身だったので、難なく出ていくことができた。
自分達が作り出した癖に、こいつらは何の責任も取ることをしない。
オルガは度重なる『治癒魔法』とやらと、薬品の大量摂取で、特異体質となっていた。
腕力や握力がありえないくらいに上がり、回復スピードが高まった。
この研究は、オルガのような異質な者を作り上げてしまったのだ。
「せんせ、怒ってる?」
「……何でだァ?」
「オルガのせいで、先生、追い出されちゃった。ごめんなさい」
「てめぇのせいじゃねぇよ。いちいち大人の事情に首突っ込むんじゃねェ。ガキが」
ぶっきらぼうに頭を撫でると、オルガは嬉しそうに笑った。
……そういやこいつ、親に口減らしで売られたって言ってたな。
「あ~~~、らしくねェ」
「?」
「こっち見んな」
「オルガ嫌いっ!?」
「嫌いじゃねェよ」
「じゃあ、好き?」
「……さァな」
本当にらしくない。
こんなガキに入れ込むだなんて、らしくない。
「先生、仕事どうするの?」
「……これは封印だなァ」
一冊の研究日記とオルガが、俺のあそこでの日常を想起させる。
まさかこんな実験を王家が黙認しているとはな。
考えてもいなかった。
こんなもん捨てちまったほうがいいのに、俺は何してるんだか。
「何で!?」
「『治癒魔法』は人間に使えるシロモノじゃねェ。この技術は誰にも渡さない」
「ーーとか言ってたのに」
2年前のことを掘り返し、オルガはニヤニヤと笑って俺を見た。
ったく、俺だって渡すつもりなかったっての。
「何で渡しちゃったの?」
「……何でかなァ。あいつらだったら大丈夫、誰も犠牲にしないって思えちまった」
あいつらが神様ってわけでもないのに、変なことだ。
オルガはただ上機嫌に鼻歌を歌い出す。
よほどあの二人のことが気に入ったのだろう。
「イリーシャ様に、レオナルドさんかぁ。オルガ、好きだなぁ」
「……お前、俺に話し方似てきてねェ?」
「似てねぇよ~だ」
何でこんな、くそ生意気な子供を拾っちまったんだか。
それは俺にもわからない。
俺はクソッタレな世の中で、それ以上にクソッタレな人間として生きている。
医学の道を極めるため、伝説と呼ばれる『治癒魔法』を研究していたところ、同じく『治癒魔法』を研究する団体にスカウトされた。
医療学院を卒業後、俺はすぐそこの研究者となった。
王宮の地下に研究室を構え、王族の名の元で研究するらしい。
俺は王宮に入ってみたいということもあり、また、給料が良かったことで、入るのに躊躇いはなかった。
ちょっとした興味本位であった。
なぜ王宮の地下に研究室があるのか、疑問に思わなかったのか。
地下といえば、罪人や凶暴化した動物が閉じ込められているという噂があったというのに。
そこで俺は、地獄を見た。
始めは実験動物を使っての実験だった。
傷ついた動物の体を、無属性魔法の応用で操り、傷を塞ぐ。
確かに傷は塞がれるものの、失われた血液は戻らない。
下手すれば出血死してしまう。
これは『治癒魔法』とは言えない。
物語の『治癒魔法』はいつでも万能で、どんなものでも癒してきたのだから。
研究はどんどんエスカレートしていき、とうとう人間にまで手を出すようになった。
当初の俺は研究材料にされる人間を可哀想に思いつつも、罪人なので仕方ない、と思っていた。
いざ罪人を用いて実験をしてみれば、罪人からは絶叫が上がった。
「な、何なんだこれはァ!?」
「『治癒魔法』の副作用だよ」
「副作用だとォ!?」
「無理やり体を操るんだ。体には不可がかかり、それは激痛となって返ってくる」
「なんだとォ……!?」
淡々と実験のデータを取る同僚に、俺は思わず青ざめる。
異常だ。
あまりに恐ろしい実験内容。
罪人の傷はたちまち治っていったが、罪人達の精神的苦痛はあまりに大きかった。
何人もの人間が正気を失った。
特に酷かったのが、病気にかかった人間の治療だ。
薬で治せないほどの難病者を、奇跡と評される『治癒魔法』の模造品で治そうとするなど、それは間違った判断だったに違いない。
やはり病人は病気が治る前に繊細な体のつくりをぐちゃぐちゃにされ、こと切れていった。
医療の進歩には必要な犠牲。
そう言われて簡単に切り捨てられていった者達を、俺は何人も見送った。
地下に研究室があったのは、罪人をすぐに実験台にできるから。
頭を回せば、すぐにわかったことだったというのに。
仕方ないんだと、自分に言い聞かせてきた。
そんなある日のことだった。
「ユートルア。お前が面倒を見ろ」
上司に押し付けられた子供は、オルガといった。
濃い緑の髪にピンクの瞳が印象的な、見た目的には派手な子供だ。
そいつは奴隷としてここに送られてきたらしい。
とにかく、やかましい子供だ。
「ねえねえねえねえ、アビ先生はさっ、『治癒魔法』ができんの?」
「……うるせェ。ガキは黙って寝ろ」
「アビ先生、オルガ、頑張ったんだよ? 今日も実験、頑張った。褒めてよ」
「………」
包帯に巻かれた体を見て、俺は何も言えなかった。
『治癒魔法』で治されているはずの体が、傷だらけに見えたから。
それでもオルガは元気だった。
オルガが、俺を正気でいさせてくれた。
事件が起こったのは、オルガと会って1年が経ったある日のことだった。
「じっ、実験番号25番が暴走!! 研究員は避難せよっ!!」
オルガが正気を失い、暴れている。
オルガは子供だ。
それも、奴隷であることや実験されていることが災いして、痩せている。
それなのにも関わらず、研究員達は誰一人オルガのことを止めることができなかった。
実はオルガの他にもこのような症状を発症する者は多かった。
人間だけではなく、動物も凶暴化してきた。
いつもは兵士がそのような暴走者を止めるのだが、行き先は牢屋と決まっている。
俺は堪らず飛び出した。
「オルガッ!!」
「……アビッ、せんせっ」
俺がオルガの前にたどり着くと、オルガはようやく止まってくれた。
既にオルガの暴走に巻き込まれた研究員達数名は気絶しており、オルガの体は血だらけになっている。
オルガを刺激しないようにゆっくりと近づくと、オルガは怯えるように首を振った。
「や、こないで。こないでよ、先生」
「オルガ」
「先生を、傷つけちゃう……! オルガ、変なんだよ、物が勝手に壊れるの……! オルガ、触っただけなのに。周りの人が、オルガを殺そうとしてくるの……!」
「オルガ、落ち着け」
「オルガ、悪い子? オルガ、殺されちゃう?」
「………大丈夫だ」
錯乱するオルガを抱き締めれば、子供特有の高い体温が伝わってくる。
オルガは恐怖で震え、泣き出した。
この時、俺はハッキリとーーようやく理解した。
これ以上ここにいちゃならねぇってな。
◆ ◆ ◆
騒動が終わった後、俺はオルガを連れて研究室を出た。
止められるかと思ったが、もともとオルガは牢屋に入れられる身だったので、難なく出ていくことができた。
自分達が作り出した癖に、こいつらは何の責任も取ることをしない。
オルガは度重なる『治癒魔法』とやらと、薬品の大量摂取で、特異体質となっていた。
腕力や握力がありえないくらいに上がり、回復スピードが高まった。
この研究は、オルガのような異質な者を作り上げてしまったのだ。
「せんせ、怒ってる?」
「……何でだァ?」
「オルガのせいで、先生、追い出されちゃった。ごめんなさい」
「てめぇのせいじゃねぇよ。いちいち大人の事情に首突っ込むんじゃねェ。ガキが」
ぶっきらぼうに頭を撫でると、オルガは嬉しそうに笑った。
……そういやこいつ、親に口減らしで売られたって言ってたな。
「あ~~~、らしくねェ」
「?」
「こっち見んな」
「オルガ嫌いっ!?」
「嫌いじゃねェよ」
「じゃあ、好き?」
「……さァな」
本当にらしくない。
こんなガキに入れ込むだなんて、らしくない。
「先生、仕事どうするの?」
「……これは封印だなァ」
一冊の研究日記とオルガが、俺のあそこでの日常を想起させる。
まさかこんな実験を王家が黙認しているとはな。
考えてもいなかった。
こんなもん捨てちまったほうがいいのに、俺は何してるんだか。
「何で!?」
「『治癒魔法』は人間に使えるシロモノじゃねェ。この技術は誰にも渡さない」
「ーーとか言ってたのに」
2年前のことを掘り返し、オルガはニヤニヤと笑って俺を見た。
ったく、俺だって渡すつもりなかったっての。
「何で渡しちゃったの?」
「……何でかなァ。あいつらだったら大丈夫、誰も犠牲にしないって思えちまった」
あいつらが神様ってわけでもないのに、変なことだ。
オルガはただ上機嫌に鼻歌を歌い出す。
よほどあの二人のことが気に入ったのだろう。
「イリーシャ様に、レオナルドさんかぁ。オルガ、好きだなぁ」
「……お前、俺に話し方似てきてねェ?」
「似てねぇよ~だ」
何でこんな、くそ生意気な子供を拾っちまったんだか。
それは俺にもわからない。
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