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ユニコーン編
第百十七話 戦闘開始
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「動きを止めるから、ここから立ち回って」
ユリーカが前に出て、魔法の詠唱が始まる。
しかし、魔法使いの大きな欠点といえば、詠唱の長さであった。
普段は無詠唱を採用しているユリーカだが、慣れない魔法となれば詠唱は不可欠となる。
詠唱の間に、魔物の追撃が飛んできた。
「アイスロック!」
飛び上がった魔物を、アレクが空中で氷漬けにする。
一瞬凍ったのを束の間、氷を叩き割りすぐさま獣が牙を剥いた。
「がぁああっ!」
「っ!」
間一髪で風魔法で食い止め、アレクに魔物の体重がかかる。
その瞬間、ユリーカが詠唱を終えた。
「グラビティ・ホール!」
重力の魔法が、魔物を押さえつける。
しかし遺跡の床を抜けば、自動的に遺跡が崩れ去ることになる。
調節をしながらも慣れない魔法を使うのは、至難の技であった。
「くっ」
「うぉおおおおっ!」
ライアンが剣を振り上げ、魔物に攻撃をしかける。
その瞬間、重力魔法を弾き飛ばした魔物がライアンに突っ込んだ。
「がはっ」
「ライアン!」
遠くへとすっ飛ばされ、ライアンは痛みに悶える。
しかし、想定以上のダメージはない。
「シオンの付与魔法がなかったらヤバかったな……!」
とうのシオンは、こちらへの付与魔法継続のために動けない。
魔物はそれを理解したらしく、虎視眈々とシオンに狙いを定めていた。
「させない!」
アレクが木の魔法を使おうとしたが、そこで気がつく。
普段利用している大地のエネルギーが感じ取れない。
ここでは木の魔法が使いづらい。
「ぐぉおおおおっ!」
魔物が吠える。
アレクは炎魔法へとシフトし、業火で防御壁を張った。
しかし、魔物はそれをものともせずに飛び込んでくる。
「うわっ!」
咄嗟に右へと飛べば、頬を掠って爪の一撃が飛んでくる。
少しでも反応が遅れればやられていた。
(シオンの付与魔法に助けられた)
「にしても、狭いし戦いづらいな……!」
アレクの得意としている魔法は、範囲の広い巨大魔法だ。
こうしたチマチマとした魔法攻撃は、魔物にとっても与えられる威力が少なくなってしまう。
それに加え、遺跡という特殊な環境が、アレクの本領を邪魔していた。
「アレク君っ、水魔法で魔物を捕まえて!」
ユリーカが叫ぶ。
ハッと顔を上げ、アレクが急いで魔法を唱える。
「ウォーターロック!」
水魔法で魔物を捕える。
魔物は水魔法の中でもがくも、脱出するまでにそう時間はかからないように思えた。
しかし、この量の水を地面に落とすのは悪手だ。
下手をすれば滑り、魔物の攻撃をもらってしまう。
「その間になんとかなれば……!」
一方、少年は未だ遺跡の扉の仕組みを解除できずにいた。
「くそっ、足りない!」
悔しげに扉を叩く。
タペストリーの模様を完成させるための一ピースが、どうしても見当たらなかった。
「う……」
アリスが力を使い、リリスの干渉を解こうと躍起になる。
複雑な仕組みだ。
それと、思いつかないような突飛な絡み方をしている。
「面倒臭い……!」
かけられた力を、一つ一つ解くようにして念を送る。
ようやく解けたかと思った時、アリスも違和感に気がついた。
「ピースが足りないから、力も解けない!」
模様を完成させるピースがないと、やはり扉は開かない。
二人は必死になって辺りを見回した。
「ピース落ちてないか!?」
「ない!」
「よく見ろ!」
「見てるってば!」
しかし、どれだけ探しても見当たらないものは見当たらない。
途方に暮れる時間もなく、魔物の追撃も止まらない。
「ーーあ」
少年が声を上げた。
「魔物の背中……! 背中にある!」
魔物の背に、最後のピースが括り付けられていた。
「あれどうやって取ればいいんだよ!」
ユリーカが前に出て、魔法の詠唱が始まる。
しかし、魔法使いの大きな欠点といえば、詠唱の長さであった。
普段は無詠唱を採用しているユリーカだが、慣れない魔法となれば詠唱は不可欠となる。
詠唱の間に、魔物の追撃が飛んできた。
「アイスロック!」
飛び上がった魔物を、アレクが空中で氷漬けにする。
一瞬凍ったのを束の間、氷を叩き割りすぐさま獣が牙を剥いた。
「がぁああっ!」
「っ!」
間一髪で風魔法で食い止め、アレクに魔物の体重がかかる。
その瞬間、ユリーカが詠唱を終えた。
「グラビティ・ホール!」
重力の魔法が、魔物を押さえつける。
しかし遺跡の床を抜けば、自動的に遺跡が崩れ去ることになる。
調節をしながらも慣れない魔法を使うのは、至難の技であった。
「くっ」
「うぉおおおおっ!」
ライアンが剣を振り上げ、魔物に攻撃をしかける。
その瞬間、重力魔法を弾き飛ばした魔物がライアンに突っ込んだ。
「がはっ」
「ライアン!」
遠くへとすっ飛ばされ、ライアンは痛みに悶える。
しかし、想定以上のダメージはない。
「シオンの付与魔法がなかったらヤバかったな……!」
とうのシオンは、こちらへの付与魔法継続のために動けない。
魔物はそれを理解したらしく、虎視眈々とシオンに狙いを定めていた。
「させない!」
アレクが木の魔法を使おうとしたが、そこで気がつく。
普段利用している大地のエネルギーが感じ取れない。
ここでは木の魔法が使いづらい。
「ぐぉおおおおっ!」
魔物が吠える。
アレクは炎魔法へとシフトし、業火で防御壁を張った。
しかし、魔物はそれをものともせずに飛び込んでくる。
「うわっ!」
咄嗟に右へと飛べば、頬を掠って爪の一撃が飛んでくる。
少しでも反応が遅れればやられていた。
(シオンの付与魔法に助けられた)
「にしても、狭いし戦いづらいな……!」
アレクの得意としている魔法は、範囲の広い巨大魔法だ。
こうしたチマチマとした魔法攻撃は、魔物にとっても与えられる威力が少なくなってしまう。
それに加え、遺跡という特殊な環境が、アレクの本領を邪魔していた。
「アレク君っ、水魔法で魔物を捕まえて!」
ユリーカが叫ぶ。
ハッと顔を上げ、アレクが急いで魔法を唱える。
「ウォーターロック!」
水魔法で魔物を捕える。
魔物は水魔法の中でもがくも、脱出するまでにそう時間はかからないように思えた。
しかし、この量の水を地面に落とすのは悪手だ。
下手をすれば滑り、魔物の攻撃をもらってしまう。
「その間になんとかなれば……!」
一方、少年は未だ遺跡の扉の仕組みを解除できずにいた。
「くそっ、足りない!」
悔しげに扉を叩く。
タペストリーの模様を完成させるための一ピースが、どうしても見当たらなかった。
「う……」
アリスが力を使い、リリスの干渉を解こうと躍起になる。
複雑な仕組みだ。
それと、思いつかないような突飛な絡み方をしている。
「面倒臭い……!」
かけられた力を、一つ一つ解くようにして念を送る。
ようやく解けたかと思った時、アリスも違和感に気がついた。
「ピースが足りないから、力も解けない!」
模様を完成させるピースがないと、やはり扉は開かない。
二人は必死になって辺りを見回した。
「ピース落ちてないか!?」
「ない!」
「よく見ろ!」
「見てるってば!」
しかし、どれだけ探しても見当たらないものは見当たらない。
途方に暮れる時間もなく、魔物の追撃も止まらない。
「ーーあ」
少年が声を上げた。
「魔物の背中……! 背中にある!」
魔物の背に、最後のピースが括り付けられていた。
「あれどうやって取ればいいんだよ!」
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