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超大規模依頼編
第三話 顔合わせ
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後日、学園が終わり次第早速討伐メンバーの顔合わせが行われた。
アレク達がギルドに向かえば、久しぶりに見るギルドマスターが迎えてくれた。
「待ってたよ三人共」
「こんにちは!」
「今から部屋に案内するから、ついてきてくれ」
ギルドマスターに案内されたのは、ギルドの奥にある一室だった。
ドアを開ければ、視線が一斉に集中する。
「……ギルドマスター。そいつ誰」
厳しげな声音が飛んでくる。
こちらを睨んでいるのは、頬杖をついた女性であった。
黒の髪を三つ編みにして垂らしているのを見て、アレクは東部出身の者だろうかと場違いなことを考える。
「みんな、ガディ君やエルルさんのことは知っているね。この子はアレク君。彼らの弟だよ」
女性はアレクを再び睥睨すると、「はあ?」と凄んだ。
「子供のお守りでもしろって言うの? それでわざわざ集められたっていうんじゃないわよね」
「違う。アレク君は回復メンバーだ」
「は? この子供が?」
「そうだ。彼の実力は折り紙付きだ」
「ふーん」
すると、女性は突然自分の腕に向かって呪文を唱えた。
途端風の刃が発生し、彼女の腕を切り裂く。
大量に血が飛び散ったのを見て、周囲にどよめきが広がった。
「ほら、治してみな」
平気そうに腕を突き出され、アレクは慌ててその腕に向かって治癒魔法をかけた。
元通りになった腕だが、彼女が傷ついた証拠として血痕は地面に残ったままだ。
「無詠唱に治癒魔法の速さ……まあ、これくらいなら大丈夫か」
女性が言い終わるかどうかのタイミングで、一人の少年がゆっくりとアレクの前に立った。
「お前……」
「?」
「アレク、といったな」
「はい」
「俺のこと、覚えてるか?」
ずい、と少年が顔を近づけてくる。
残念ながらアレクには、少年の顔に見覚えはない。
「いいえ……」
「……そうか。すまない、人違いだったかもしれない。髪と目の色も違うしな」
髪と目の色が違うのは、恐らくハイ・カラーリングの影響だろう。
なんとなく後ろめたさを感じるが、アレクにはやはり少年のことがわからない。
すると少年はそんなアレクに気を遣ってか、声を少し大きくして言った。
「まず俺から自己紹介させてもらおう。俺はラフテル・アインバイル。科学の国、アルスフォードから助っ人としてやってきた。よろしく頼む」
「!」
アインバイルという名前には、アレクにも聞き覚えがあった。
エルミアの親友であり、アルスフォード国が科学の国と呼ばれる原因を作った天才であるガーベラの苗字だ。
アルスフォードは今や四大大国の一つであり、トリティカーナと並ぶ発展国である。
すると、先程話しかけてきた黒髪の女性が面白げに瞳を弓なりに細める。
「アインバイルって、アルスフォードの英雄家じゃない。ウチでいうムーンオルトみたいな……まあ、こっちは没落したけど」
嫌味たらしくこちらを見てくる女性に、何だか居心地が悪くなりアレクは目を逸らす。
するとエルルがアレクの前に出た。
「レンカ。私達が嫌いなのはわかる。でも、アレクは関係ない」
「……へえ。言うじゃん」
「やめろレンカ」
ギルドマスターが静止したことにより、レンカと呼ばれた女性の勢いが止まる。
彼女は不服そうにしながらも名乗った。
「レンカ・ミゾウ。このギルドのナンバー3。攻撃魔法が得意。よろしく」
簡潔な説明を終えて、これ以上関わるつもりはないのかレンカは口を閉ざしてしまった。
「……ハウンドです」
続いて根暗そうな男性が名乗るだけ名乗り、そのまま蹲ってしまった。
なかなかに澱んだ空気を引き締めるように、最後にヨークが締めた。
「ヨーク・フールだ。今回は俺が皆を集めさせてもらった。この討伐に参加してくれてありがとう」
昨日の荒々しさは鳴りを潜め、ヨークは堅実に礼を言った。
ギルドマスターはメンバー達に指示を出す。
「明日から早速、大悪魔の捜索に乗り出す。探索スキル持ちのエルルさんに頼ることになるから、できる限り彼女をサポートしてくれ、それでは、本日は解散とする」
メンバー内の空気はあまりよろしくない。
前途多難なことを察し、アレクはどうしたものかと頭を悩ませた。
アレク達がギルドに向かえば、久しぶりに見るギルドマスターが迎えてくれた。
「待ってたよ三人共」
「こんにちは!」
「今から部屋に案内するから、ついてきてくれ」
ギルドマスターに案内されたのは、ギルドの奥にある一室だった。
ドアを開ければ、視線が一斉に集中する。
「……ギルドマスター。そいつ誰」
厳しげな声音が飛んでくる。
こちらを睨んでいるのは、頬杖をついた女性であった。
黒の髪を三つ編みにして垂らしているのを見て、アレクは東部出身の者だろうかと場違いなことを考える。
「みんな、ガディ君やエルルさんのことは知っているね。この子はアレク君。彼らの弟だよ」
女性はアレクを再び睥睨すると、「はあ?」と凄んだ。
「子供のお守りでもしろって言うの? それでわざわざ集められたっていうんじゃないわよね」
「違う。アレク君は回復メンバーだ」
「は? この子供が?」
「そうだ。彼の実力は折り紙付きだ」
「ふーん」
すると、女性は突然自分の腕に向かって呪文を唱えた。
途端風の刃が発生し、彼女の腕を切り裂く。
大量に血が飛び散ったのを見て、周囲にどよめきが広がった。
「ほら、治してみな」
平気そうに腕を突き出され、アレクは慌ててその腕に向かって治癒魔法をかけた。
元通りになった腕だが、彼女が傷ついた証拠として血痕は地面に残ったままだ。
「無詠唱に治癒魔法の速さ……まあ、これくらいなら大丈夫か」
女性が言い終わるかどうかのタイミングで、一人の少年がゆっくりとアレクの前に立った。
「お前……」
「?」
「アレク、といったな」
「はい」
「俺のこと、覚えてるか?」
ずい、と少年が顔を近づけてくる。
残念ながらアレクには、少年の顔に見覚えはない。
「いいえ……」
「……そうか。すまない、人違いだったかもしれない。髪と目の色も違うしな」
髪と目の色が違うのは、恐らくハイ・カラーリングの影響だろう。
なんとなく後ろめたさを感じるが、アレクにはやはり少年のことがわからない。
すると少年はそんなアレクに気を遣ってか、声を少し大きくして言った。
「まず俺から自己紹介させてもらおう。俺はラフテル・アインバイル。科学の国、アルスフォードから助っ人としてやってきた。よろしく頼む」
「!」
アインバイルという名前には、アレクにも聞き覚えがあった。
エルミアの親友であり、アルスフォード国が科学の国と呼ばれる原因を作った天才であるガーベラの苗字だ。
アルスフォードは今や四大大国の一つであり、トリティカーナと並ぶ発展国である。
すると、先程話しかけてきた黒髪の女性が面白げに瞳を弓なりに細める。
「アインバイルって、アルスフォードの英雄家じゃない。ウチでいうムーンオルトみたいな……まあ、こっちは没落したけど」
嫌味たらしくこちらを見てくる女性に、何だか居心地が悪くなりアレクは目を逸らす。
するとエルルがアレクの前に出た。
「レンカ。私達が嫌いなのはわかる。でも、アレクは関係ない」
「……へえ。言うじゃん」
「やめろレンカ」
ギルドマスターが静止したことにより、レンカと呼ばれた女性の勢いが止まる。
彼女は不服そうにしながらも名乗った。
「レンカ・ミゾウ。このギルドのナンバー3。攻撃魔法が得意。よろしく」
簡潔な説明を終えて、これ以上関わるつもりはないのかレンカは口を閉ざしてしまった。
「……ハウンドです」
続いて根暗そうな男性が名乗るだけ名乗り、そのまま蹲ってしまった。
なかなかに澱んだ空気を引き締めるように、最後にヨークが締めた。
「ヨーク・フールだ。今回は俺が皆を集めさせてもらった。この討伐に参加してくれてありがとう」
昨日の荒々しさは鳴りを潜め、ヨークは堅実に礼を言った。
ギルドマスターはメンバー達に指示を出す。
「明日から早速、大悪魔の捜索に乗り出す。探索スキル持ちのエルルさんに頼ることになるから、できる限り彼女をサポートしてくれ、それでは、本日は解散とする」
メンバー内の空気はあまりよろしくない。
前途多難なことを察し、アレクはどうしたものかと頭を悩ませた。
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