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善悪がわからない。
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「なんじゃっこりゃあああ!?」
レオン様が横で素っ頓狂な叫び声を上げました。
まあーーこの光景を見れば当たり前の反応でしょう。
ロールの部屋周りを守るように、とんでもない数の魔術師人形が溢れかえっています。
「レオン様、ラティアンカ様! 我々の後ろへ!」
ついてきてくれた兵士さん達が、果敢に人形に向かって剣を抜きました。
魔術師の人形がそれに気づいたのか、ぐりんとこちらを恐ろしい勢いで振り向きます。
「ひっ!」
恐れで小さく悲鳴を上げた兵士さんが、人形をどうにかしようと剣を強く握ったのを見て。
「ダメです!!」
思わず叫んでいました。
咄嗟に止まった兵士さんは、呆然とした表情で私のことを見てきます。
「へ……?」
「ダメです。人形を傷つけないでください」
「おい、どういうことだラティアンカ。説明しろ」
納得のいかない様子でレオン様が私に詰め寄りました。
「人形操術を使っているのは、2人の女の子です」
「ガキか?」
「小さい子でした」
「……何でんなことわかるのかは知らねぇが、傷つけるなってどういうことだ」
「私は今から、その術師の子供達とお話をしに行きます。敵と見做されては厄介です」
「へぇ、お話しね」
レオン様の目が自然とロールの部屋へ向かいました。
きっと彼もロールの部屋に2人がいることに気づいたのでしょう。
「ここはどうか、剣をひいてください。危ないと思ったら、攻撃しても構いませんので」
「……逆に、攻撃しなきゃこっちがやられるんじゃないのか?」
「いえ。見てください」
現に人形達は私達に興味を無くしたように、壁にだらんともたれかかっていました。
「マジかよ……」
「はい。お願いします」
「まあ、わかった。ついていっていいか」
「ぜひともお願いします」
私は自衛ができませんので、どうしても戦える方についてきてもらう必要があります。
1人で突っ走ってどうこうできる問題ではありませんからね。
ロールの部屋のドアに手をかけ、ゆっくりと開けばそこには幼い2人の少女が立っていました。
「こんにちは! アストロの人!」
「歓迎するわ!」
「……ええ、こんにちは。あなた達、2人?」
「うん。私達だけよ」
無邪気に笑って答えた2人に、どうやら兵士さん達はさまざまな感情を抱いたようです。
疑心に、困惑に、不安。
彼らの表情にありありと現れています。
「どうしてここへ?」
「お父様が、神子を殺してこいって」
「神子は邪悪な者なのでしょう? だから殺さなくちゃいけない!」
「でも私達、関係ない人を殺せとは言われてないわ」
「それにお姉さん、とっても綺麗だもの。招待しちゃった」
あくまでも純粋にロールを殺そうとしているようです。
お父様。それに、人形操術。
この子達は勇者の末裔だろうと予想できますので、お父様となればーー国王のことでしょうか。
「なぜ神子が邪悪か、お父様に教えていただきました?」
「? うーん……教えてもらってないや」
「でも、お父様が言ったもの! だからやらなくちゃいけないの!」
なんてこと。
これだけ強力な術を扱いながらも、父である国王に殺せと言われて人を殺そうとするなんて。
その残酷さに頭がくらりとしました。
「神子は邪悪な者ではありません。寧ろこの国では慕われています」
「ええ? 嘘だぁ!」
「そうよそうよ! だってお父様が、神子がいると大変なことになるって」
「でも、あなた達と何も変わらない女の子です」
「女の子……?」
おや、2人の顔色が変わりましたね。
ロールが、神子が女とわかって、少し迷うような色を見せました。
「はい、女の子です」
「え? そ、そうなの?」
「可愛い女の子ですよ」
「でも……女は、役に立てないじゃない。私達みたいに力がなきゃ。神子にも特別な力があるの?」
「いいえ。確かに普通の獣人より秀でた能力を持ってはいますが……あの子はあの子です」
「でも、お父様はそんな、女を殺せって言う人だったの?」
「役に立たないのに?」
パチクリと、その綺麗な目を何度も瞬きさせて、少女達はお互い向き合っています。
ロマドは男女差別がかなり顕著な国です。
かつて、私が話を聞いた少女達も、突然の廃業で困っていました。
女は役に立てない。
そのイメージが否応なしにひっつき回っているのでしょう。
「いいですか? 女が役に立てないことなんてありません。少なくとも、アストロでは男女差別がありませんから」
「男女差別?」
「男の人が偉いことです」
「当たり前じゃない! 私達、王族だから優しくしてもらっているけど……普通の子だったら、多分力を怖がられて、殺されてたわ」
「でもそれって不思議なこと?」
「おかしいこと?」
キョトンとして、首を揃って傾げる2人。
この状況に何の疑問も抱いていないようでした。
「……あなた達は、それでいいんですか?」
「え?」
「お父様に言われるがまま、人を殺し続けて。悲しくないんですか?」
「で、でも。お父様が、これは世界のためだって」
「あなた達のお兄様方は、あなた達と同じような扱いを受けましたか」
「そんなことないわ! お兄様達は男だもの」
「男の人だから、そんなことしなくてもいいのよ!」
「……………」
この徹底ぶりに、一周回って感心すらでてきました。
これが普通だと叫ぶ彼女達に、どうすれば異常なことだと伝えられるのでしょうか。
「……とりあえず、人形を止めてもらえませんか?」
「どうして? 神子は殺さないと」
「神子は邪悪じゃないんです。あなた達のお父様に説明してみせます。ですので、お願いします」
「でもお姉さん、信じられないよ」
「それなら、質問を変えます。人を殺すのは楽しいですか」
すると、怒ったようで眉を吊り上げて2人は怒鳴ります。
「楽しいわけない!」
「助けてって、言われるの。凄く苦しそう!」
「でも私達は世界のための犠牲なんだよ」
「だからやらなきゃ」
「……楽しくないことなんて、やる必要ありませんよ」
「「?」」
「何がしたいのですか?」
2人はしばし考え込むと、輝かしい笑顔で素直に答えてくれました。
「お絵かき!」
「お人形遊び!」
「それで、美味しいお菓子を食べる!」
「とっても素敵ですね。そちらのほうがいいと思いませんか?」
「でも、お父様に怒られる」
「なら私がお父様を説得します。ひとまず、人形を止めましょう。疲れているでしょう?」
「「う」」
図星だったようで、痛いところを突かれたように2人は声を揃えました。
魔術は使えば使うほど疲弊していくものです。
場合によっては命に関わります。
2人は最後まで考え込み、そしてーーくい、と指を振りました。
「決めた! 私達、神子に会って本当に悪い人か確かめるわ!」
「素敵よお姉様!」
「それがいいですね。そうしましょう」
「そうする!」
キャアキャアと笑う2人に、後ろのレオン様と兵士さんが力を抜いたのがわかりました。
先ほど部屋を包んでいた緊張感が解け、幼い少女の笑い声だけが響いています。
「お姉さんも遊んでね!」
「はい。お話ししましょうか」
「する!」
この子達から色々聞かせてもらいましょう。
レオン様が横で素っ頓狂な叫び声を上げました。
まあーーこの光景を見れば当たり前の反応でしょう。
ロールの部屋周りを守るように、とんでもない数の魔術師人形が溢れかえっています。
「レオン様、ラティアンカ様! 我々の後ろへ!」
ついてきてくれた兵士さん達が、果敢に人形に向かって剣を抜きました。
魔術師の人形がそれに気づいたのか、ぐりんとこちらを恐ろしい勢いで振り向きます。
「ひっ!」
恐れで小さく悲鳴を上げた兵士さんが、人形をどうにかしようと剣を強く握ったのを見て。
「ダメです!!」
思わず叫んでいました。
咄嗟に止まった兵士さんは、呆然とした表情で私のことを見てきます。
「へ……?」
「ダメです。人形を傷つけないでください」
「おい、どういうことだラティアンカ。説明しろ」
納得のいかない様子でレオン様が私に詰め寄りました。
「人形操術を使っているのは、2人の女の子です」
「ガキか?」
「小さい子でした」
「……何でんなことわかるのかは知らねぇが、傷つけるなってどういうことだ」
「私は今から、その術師の子供達とお話をしに行きます。敵と見做されては厄介です」
「へぇ、お話しね」
レオン様の目が自然とロールの部屋へ向かいました。
きっと彼もロールの部屋に2人がいることに気づいたのでしょう。
「ここはどうか、剣をひいてください。危ないと思ったら、攻撃しても構いませんので」
「……逆に、攻撃しなきゃこっちがやられるんじゃないのか?」
「いえ。見てください」
現に人形達は私達に興味を無くしたように、壁にだらんともたれかかっていました。
「マジかよ……」
「はい。お願いします」
「まあ、わかった。ついていっていいか」
「ぜひともお願いします」
私は自衛ができませんので、どうしても戦える方についてきてもらう必要があります。
1人で突っ走ってどうこうできる問題ではありませんからね。
ロールの部屋のドアに手をかけ、ゆっくりと開けばそこには幼い2人の少女が立っていました。
「こんにちは! アストロの人!」
「歓迎するわ!」
「……ええ、こんにちは。あなた達、2人?」
「うん。私達だけよ」
無邪気に笑って答えた2人に、どうやら兵士さん達はさまざまな感情を抱いたようです。
疑心に、困惑に、不安。
彼らの表情にありありと現れています。
「どうしてここへ?」
「お父様が、神子を殺してこいって」
「神子は邪悪な者なのでしょう? だから殺さなくちゃいけない!」
「でも私達、関係ない人を殺せとは言われてないわ」
「それにお姉さん、とっても綺麗だもの。招待しちゃった」
あくまでも純粋にロールを殺そうとしているようです。
お父様。それに、人形操術。
この子達は勇者の末裔だろうと予想できますので、お父様となればーー国王のことでしょうか。
「なぜ神子が邪悪か、お父様に教えていただきました?」
「? うーん……教えてもらってないや」
「でも、お父様が言ったもの! だからやらなくちゃいけないの!」
なんてこと。
これだけ強力な術を扱いながらも、父である国王に殺せと言われて人を殺そうとするなんて。
その残酷さに頭がくらりとしました。
「神子は邪悪な者ではありません。寧ろこの国では慕われています」
「ええ? 嘘だぁ!」
「そうよそうよ! だってお父様が、神子がいると大変なことになるって」
「でも、あなた達と何も変わらない女の子です」
「女の子……?」
おや、2人の顔色が変わりましたね。
ロールが、神子が女とわかって、少し迷うような色を見せました。
「はい、女の子です」
「え? そ、そうなの?」
「可愛い女の子ですよ」
「でも……女は、役に立てないじゃない。私達みたいに力がなきゃ。神子にも特別な力があるの?」
「いいえ。確かに普通の獣人より秀でた能力を持ってはいますが……あの子はあの子です」
「でも、お父様はそんな、女を殺せって言う人だったの?」
「役に立たないのに?」
パチクリと、その綺麗な目を何度も瞬きさせて、少女達はお互い向き合っています。
ロマドは男女差別がかなり顕著な国です。
かつて、私が話を聞いた少女達も、突然の廃業で困っていました。
女は役に立てない。
そのイメージが否応なしにひっつき回っているのでしょう。
「いいですか? 女が役に立てないことなんてありません。少なくとも、アストロでは男女差別がありませんから」
「男女差別?」
「男の人が偉いことです」
「当たり前じゃない! 私達、王族だから優しくしてもらっているけど……普通の子だったら、多分力を怖がられて、殺されてたわ」
「でもそれって不思議なこと?」
「おかしいこと?」
キョトンとして、首を揃って傾げる2人。
この状況に何の疑問も抱いていないようでした。
「……あなた達は、それでいいんですか?」
「え?」
「お父様に言われるがまま、人を殺し続けて。悲しくないんですか?」
「で、でも。お父様が、これは世界のためだって」
「あなた達のお兄様方は、あなた達と同じような扱いを受けましたか」
「そんなことないわ! お兄様達は男だもの」
「男の人だから、そんなことしなくてもいいのよ!」
「……………」
この徹底ぶりに、一周回って感心すらでてきました。
これが普通だと叫ぶ彼女達に、どうすれば異常なことだと伝えられるのでしょうか。
「……とりあえず、人形を止めてもらえませんか?」
「どうして? 神子は殺さないと」
「神子は邪悪じゃないんです。あなた達のお父様に説明してみせます。ですので、お願いします」
「でもお姉さん、信じられないよ」
「それなら、質問を変えます。人を殺すのは楽しいですか」
すると、怒ったようで眉を吊り上げて2人は怒鳴ります。
「楽しいわけない!」
「助けてって、言われるの。凄く苦しそう!」
「でも私達は世界のための犠牲なんだよ」
「だからやらなきゃ」
「……楽しくないことなんて、やる必要ありませんよ」
「「?」」
「何がしたいのですか?」
2人はしばし考え込むと、輝かしい笑顔で素直に答えてくれました。
「お絵かき!」
「お人形遊び!」
「それで、美味しいお菓子を食べる!」
「とっても素敵ですね。そちらのほうがいいと思いませんか?」
「でも、お父様に怒られる」
「なら私がお父様を説得します。ひとまず、人形を止めましょう。疲れているでしょう?」
「「う」」
図星だったようで、痛いところを突かれたように2人は声を揃えました。
魔術は使えば使うほど疲弊していくものです。
場合によっては命に関わります。
2人は最後まで考え込み、そしてーーくい、と指を振りました。
「決めた! 私達、神子に会って本当に悪い人か確かめるわ!」
「素敵よお姉様!」
「それがいいですね。そうしましょう」
「そうする!」
キャアキャアと笑う2人に、後ろのレオン様と兵士さんが力を抜いたのがわかりました。
先ほど部屋を包んでいた緊張感が解け、幼い少女の笑い声だけが響いています。
「お姉さんも遊んでね!」
「はい。お話ししましょうか」
「する!」
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