役立たずの俺は異世界で「取得」と呼ばれるスキルで成り上がります

第三章 グローフ商会と商売

第三十七話 転生者2

驚いてしまった。
スカーレットは9歳であんなにひどい扱いを受けていたのか…
それを思うと男が許せない。
が…
まずスカーレットさんよ。
あなた何歳だったんです？地球で。

「なあスカーレット…地球で何歳だったんだ？」
「おとめにとしをきくなんて、しつれいよ」
「…サリィに似てるな」

少なくともこれは20歳以上…仕事してたし。
スカーレットは俺の年上ということだ。

「さあ、みんなのところにもどりましょう」
「そうだな」
「ちなみにもどったら、なにごともなかったふうにしてね。こんなちいさいこどもがいろいろしゃべって、オマケにまほうをバカスカうったなんていわれたくないから」
「むしろ言えないよ」

スカーレットがこんな大人の女性だったとは…ナナカが知ったら嘆くだろうな…
ちょっと可哀想だ。

「スカーレット。質問」
「なに？」
「この世界って普通魔法ってみんな使えるのか？」
「…みんなつかえるけど、いりょくはまりょくによってちがうよ。まりょくがおおきくしょうひされると、たいせいがついてまりょくがおおくなるんだよ」
「そうなのか…」

そう言えば、村には水魔法の使い手が一人もいなかった。
いたら少なくとも渇きは抑えられるだろうし…な。

「あとスカーレットは聖女なんだよな？」
「そうだよ」
「…じゃあ回復術使えるか？」
「うん」
「ポーション作ってもらおう」
「いいわよ！せいじょだし！」

胸をはるスカーレット。
この辺は9歳っぽいんだけどな～…










「あっ！スカーレット！」
「ななかおねえちゃん～」
「よかったあ！！」

売り場に戻ったとたん、スカーレットにナナカが抱きついた。
心配していたのか、強く強く抱きしめた。

「売り物は取り返せましたか？」
「おお」

気絶した女から取り上げたこのシャツ。銀貨3枚は3000円。
お高い…
取り返せて良かった。
でもあの女も切羽詰まっていたけど…どうしたんだろう。

「なあ、あの女はどうしてあんなにシャツを欲しがったんだ？」
「…貧困層の者ですかね？あの格好は。お金が無い者たちがああやって盗みを働くのはよくあることですよ」

ニシェルはよく知っているみたいだ。
…今の状況を。

「…そうなんですね」
「まあ、一回宿に戻りましょう。また商品を作らねば」











『タックヤ～～！！』
「サリィ！？」

宿部屋に入ったとたん、サリィが飛び出して来た。
サリィは俺を驚かせて満足そうだ。

『むっふふ～。手伝いに来たのよ！』
「商品作るの手伝ってくれるの！？じゃあスカーレットとポーションお願い！」
『ふえ？』
「…ようせいさん？」
『キャアアアア！？』
「ふわふわ、きらきら」

もはやスカーレットは完全に9歳バージョン…
日本語で話す時には大人の時と同じように話せるらしいが、異世界語で話すとどうにも9歳レベルになってしまうらしい。
もう9歳にしか見えないため、さっきまでのスカーレットが別人に見えてしまう。

「さて、シャツとズボンを～…て、羊の毛が無いっ！？」
『！！（助かったわ！この子なんか大変そうだしっ！）私が取ってきてあげるわよっ！』

なにかとつぶやきが聞こえたような聞こえなかったような…サリィはすぐに消えてしまった。

「…ようせいさん…」
「じゃあスカーレット。俺と作るか」
「うん！」

もうさっきまでのスカーレットは面影0である。
可愛い…どうか日本語で話さないでくれ…