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第二章 村の活性化と開発

第十八話 食べ物探して冒険者

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「どうするかな~」

朝。
俺は起きて、机の上に並べてある種の数々を見比べていた。
この種はこの村で育てている植物、食べ物の種なのだが…

「イモ…ばっかだな」

見ればジャガイモのちょっとモソッとしたバージョンのイモばかり。
色々欲しいものだ。
例えば…

「大根…人参…キュウリ…トマト…オクラ…ピーマン…ミョウガ…」

野菜だけ上げてもこんだけあるのだ。欲しい物はまだまだ。

「しっかしなあ…」
『タクヤ様。スキル「採集」で似たものを探してみては?』
「…ナイスアイデア」

さっそく探してみる。
と…

「…うん、なかなかないな」

そこに出たのは…ミョウガや大葉に似たハーブや薬草。
それと…
大根に似たミルコンという植物。

「まあ、これでも大きな進歩だよな。ちなみにそれって…どこにあるんだ?」

それは…裏山のもっと向こう側。
山が連なる場所だった。









「へ…!?お、お前…タナスの山へ行くのか!?」
「うん。ここで取れる食べ物が美味しそうで」
「そ、そんな遠くに…一週間はかかるぞ」

ナナカに報告したとたん、青ざめた。
…たかが一週間。されども一週間。
村には結構な負担になるのかもしれない。

「それなら私が手伝いましょう。私の大鷲、フィーリーなら3日で行けますよ」

カストルさんが横からご登場。
うん、フィーリーには命を助けられたよ。
だから恩は返したい…
けど、また恩をつくってしまいそうだ。

「ほ、本当に行くのか…?なら、私も行く…」
「ナナカ様はダメですよ。村に残ってもらわねば」

どこからともなくリチャードさん登場。
まあ、確かにナナカは長老様の孫。
こればかりは避けられない。

「う…」

明らかに不満そうな顔をしている。

「ナ・ナ・カ・さ・ま」
「…分かったよっ!!」

無理やり頷き、ぐっと俺に視線を向ける。

「いい!?絶対無事に帰ってきてよ!?」
「う、うん」

謎の迫力に戸惑う。
でも、許可はおりたっぽい。

「じゃあ…フィーリー!!」

ピュイッとカストルさんが口笛を吹くと、かつての大鷲、フィーリーが飛んできた。

「じゃあ、行きましょう」
「いや~、助かります」

カストルさんの手を借り、フィーリーに飛び乗る。

「じゃあ、また」
「…いってらっしゃい」

不本意なナナカとバッチリ見守るリチャードさんに挨拶をし、フィーリーが飛び立つ。

「…やれやれ、鈍感もほんとに困ったもんだ」
「え?」

リチャードさん、なんか言った?
…まあ、いいか!










「…フィーリー、ここらで降りよう」

カストルさんがフィーリーに指示を出し、俺たちはそこいらの山で野宿することになった。

「えっと、持ってきたイモを焼きましょうか。
 火よ。我に力を貸し与えたまえ。
 ファイアボール」

カストルさんが起こした火で、イモを焼く。
…イモだけじゃ、物足りないな。

「俺、ここらの野草で食べられるの探してきます」
「え?タクヤ様、なら私も探しますよ」
「…いえ、火をほっといては危険ですので」

とりあえず探しに出る。
なるべく肉も食いたいしな…

「これとかどうかな?」

見つけたのはキノコ。…キノコにご縁を感じる。
「採集」で調べても毒はなさそうだし。

「…お前は、誰だ!?」

突然聞こえてきた女性の声。
思わず振り向いた。

「…え?俺は、拓也」
「タクヤ…何者だ。この森には我が一族の呪いで他の者が入ってこれぬようになっているのに」

姿を現したのは…金髪の女性だった。
長い髪がさらりと腰まで垂れる。
その瞳には、異常なほどの警戒心が灯っていた。

『タクヤ様。この森の呪いはアリス様の加護で打ち消しました』
「え?アリスの…加護で」

と、

「お、お前…アリスと、言ったか?」
「え?あ、うん」
「お前は…いや、分かった」

くるりと向きを変える女性。
静かに、こう言った。

「ついてくるがいい」

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