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第五章 天使と勇者と相棒と

第六十四話 遭遇、そして再会

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「クルシュ・ヌゲザド・トムラ・ホムラ」
「何じゃこりゃ!?」

背の高い天使が、謎の呪文を唱えると土塊から謎の人形が大量に這い出てきた。
コイツ、なんでここに…
ユピテルの出したゴーレムとは少し…いや、極端に違う。
禍々しい気配を感じる。

「あーっ!っとおしいなっ!!」
「…貴様。うるさいぞ」
「お前、イルマだったっけ?」

ギロリ、と睨んでくるクール男。
うお…怖。

「そもそも俺らが大魔法大会に出られなくなったのもお前ら天使のせいだからな…!!」
「フン…」

色々ゴタゴタで忘れてたけど、二日目って出場出来るのは10人。
そのうちの1人にイルマもいたのだ。
まあ、ルリィーさんが棄権したのと…確か。ハームルっていう奴が相手に大怪我負わせて2人とも退場。
結果は8人ってことだったけどな。

「人間…滅びろ。裁き…いや、報いを受けろ!!」
「俺達は何もしていない…クソッ。勝ってスズリーナを振り向かせようとしていたのに…」

イルマさーん。
声聞こえてマスヨー。

「…お前」
「何だ?」
「どっか行け」
「はあ!?」

イルマがシッシッと追い払うような仕草をした。

「俺はこの天使をギタギタに叩きのめして実力をスズリーナに見せつける。
そして…プロポーズして婚約を…」
「気が早いな!!」

ツッコミを入れる。
と、

「お前にスズリーナの良さの何が分かる。特に…眼鏡っ娘」
「………」

コイツクールキャラ装ってるだけのただのマニア…オタクだな。
まあ、倒してくれるのはありがたいけど。

「じゃあ、俺は人を避難させてるよ」
「とっとと行け。そして消えろ」

お望み通りに。
とんずらさせてもらうことにした。

















「オーバーヒーリング!」
「た、助かりました…」
「ヒイッ!」
「ブラックホール!!」

あの背が高い天使の出した大量の土塊人形を退場しながら進んだ。
この街の住人を避難させながら回復術を行っていた。

「ア、アンタ…」
「どうした?」

そのうちの1人が俺に話しかけてきた。

「そっちのほうで女性2人と…少年が戦ってるんだ。確か…羽の生えた老人と」
「!!マジか…方向は?」
「ここから東の場所だ」
「分かった!!早く避難しといてくれ!!」

指を差された方向に、走り出す。
にしても…狭いな。
目的地へ向かうにつれどんどん狭くなってくる道。
街ってこんなに狭いっけ…?

「ふ…うぐ」
「ユピテル…!危ない。逃げよう」
「でも、でも…っ!」
「ユピテルに、カロン!?」
「おっお前は…」
「タクヤさんっ!?」

俺の姿を見つけ、驚く2人。
こっちこそ驚きだ。

「タクヤさん。あっちに…」
「ああ!少年だろ?助ける!」
「え!?あの、違うんですっ!」

ユピテルが何か言ったが、急いでいたせいか風のせいか…
何かがかき消された。
急がないと…

ガキンッ!

「へっ…、天使って俺の世界では正しい者だって聞いたんだけど、こっちじゃ違うのか!?」
「フム…我らは裁きを行う者だ。故にこれは神の意志」
「うるせえよ!!殺戮ヤローが!!」

この聞き覚えのある声…
一つはカイル。
もう一つは…

「…拓也?」
「…司?」

見慣れていたはずの顔を、突き合わせた。
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