上 下
60 / 104
第四章 魔法使いと大会

第五十六話 実力

しおりを挟む
「ではタクヤ・サカモト選手とウラク・ヤーコブ選手は舞台にあがってください」

その声に従い、舞台にあがる。
………!

「ワアアアアアアッ!!」
「凄い歓声だな…」

歓声に驚きながらも観客を見回した。
と、

「フフ…フフフ…」
「?」

相手のウラクがプルプル震えだした。
何だ…?

「ついに…ついにこの日がやってきたっ!!」
「!?」
「俺のイケメンと実力を証明する日がっ!!」
「………」

コイツ、どう見てもナルシストだな。

「そこのお前っ!!「コイツヤバい奴だな」見たいな目で見るなっ!!」

いや、そうだろ。

「試合、開始!!」

イリスの声が響いた瞬間、ウラクは詠唱をし始めた。

「炎よ!!燃え盛れ!!ファイアー!!」
「…っ」

ボオオオッと激しく炎が地面から吹き出した。
あ、暑い…
だが。俺の得意属性は…水だ。

「ウォーターボール!!」

バシャッ!

勢い良く水の玉が降り注ぎ、炎を打ち消した。

「お、お前…!たかが「ウォーターボール」でそれだけの威力…オマケに詠唱を端折るとは…あなどれんっ!!」

一瞬たじろいたが、すぐに呪文を唱えるウラク。

「炎よ!!煉獄より集まりて形を成せ!!ファイアーホース!!」

炎が集まり、馬の形を作った。

「ヒヒィィィンッ!!」

馬がいななき、俺に向かって突進して来る。と。

『ここはサリィちゃんにおっまかせ~!!』
「サリィ!?」
「なっ…伝説の妖精、サリフィルト!?」

突然現れたサリィに驚く。

「おまかせって…お前、炎の妖精だろ?」
『んもうっ!黙って見てて!』

ボボボッとその小さな背後に金色の炎が集結した。

『勇者の炎…なめないでよね』

そして、猛突進してくる馬に狙いを定め、…放った。

『ゴールデンファイアーショット!!』

その金色の炎は弾丸のようなスピードで馬を貫いた。
ぐらり、と揺らめいて馬は消えた。

「お…お前っ!何者だ!その使役している妖精は伝説の妖精サリフィルト!!魔力が少なくとも500なければ今頃死んでいるはずだぞ!?」
「死んでないってことは魔力があるってことだろ」

そう、あれはアリスと会った時。
オマケでもらった効果は実は、魔力を消費しまくればしまくるほど莫大に魔力が増えるという代物だった。
普通に消費しても魔力は増えるのだが、アリスはそれの5倍ぐらいのスピードで増えるようにしてくれたのだ。

『私は魔力のある奴と…気に入った奴としか契約しないわよっ』
「ならば、お前は勇者か!?」

しばし、沈黙が続く。
…いや、そうじゃない。

「俺はただ、勇者の親友である魔法使いだよ」
「なっ…!?だ、だとしても魔力の限界値を超えてそんなに平然としていられる訳がない!!…いや、まだ魔力は底をつきていないのか!」
「当たりだよ」

腕を持ち上げ、呪文を繰り出す。

「ルミナス・ライトスマッシュ!」

これは、光を圧縮して大きな爆発を生み出す力。

「この…この感じは…お前っ…まさか、勇者のあいぼ…」
「さて、ご退場願おう」

ドオオココンッ!!

「………お…おおっ!凄いぞ!?」
「舞台が…削られた…」

観客の呆気にとられた声を聞いた。
確かに、俺もここまで威力があるとは思ってなかったけど…
舞台は、半分以上削り取られていた。

「しょうがないか…ラストレーション」

光が溢れ、しばし何も見えなくなったが…

「舞台が直ってる!?」
「嘘だろ…おい」
「魔力どんだけあるんだよ…」

舞台は無事、「修復」出来たっぽかった。

「しょ…勝者!!タクヤ!!」

「スッゲエェェエッ!!」
「お前、サイコーだぜぇ!!」

観客の歓声を受け取り、控え室に戻った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど

富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。 「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。 魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。 ――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?! ――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの? 私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。 今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。 重複投稿ですが、改稿してます

異世界転移したので、のんびり楽しみます。

ゆーふー
ファンタジー
信号無視した車に轢かれ、命を落としたことをきっかけに異世界に転移することに。異世界で長生きするために主人公が望んだのは、「のんびり過ごせる力」 主人公は神様に貰った力でのんびり平和に長生きできるのか。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

婚約破棄と追放をされたので能力使って自立したいと思います

かるぼな
ファンタジー
突然、王太子に婚約破棄と追放を言い渡されたリーネ・アルソフィ。 現代日本人の『神木れいな』の記憶を持つリーネはレイナと名前を変えて生きていく事に。 一人旅に出るが周りの人間に助けられ甘やかされていく。 【拒絶と吸収】の能力で取捨選択して良いとこ取り。 癒し系統の才能が徐々に開花してとんでもない事に。 レイナの目標は自立する事なのだが……。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

自重知らずの転生貴族は、現在知識チートでどんどん商品を開発していきます!!

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
無限の時空間の中、いきなり意識が覚醒した。 女神の話によれば、異世界に転生できるという。 ディルメス侯爵家の次男、シオン・ディルメスに転生してから九年が経ったある日、邸の執務室へ行くと、対立国の情報が飛び込んできた。 父であるディルメス侯爵は敵軍を迎撃するため、国境にあるロンメル砦へと出発していく。 その間に執務長が領地の資金繰りに困っていたため、シオンは女神様から授かったスキル『創造魔法陣』を用いて、骨から作った『ボーン食器』を発明する。 食器は大ヒットとなり、侯爵領全域へと広がっていった。 そして噂は王国内の貴族達から王宮にまで届き、シオンは父と一緒に王城へ向かうことに……『ボーン食器』は、シオンの予想を遥かに超えて、大事へと発展していくのだった……

転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~

柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。 想像と、違ったんだけど?神様! 寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。 神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗ もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。 とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗ いくぞ、「【【オー❗】】」 誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。 「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。 コメントをくれた方にはお返事します。 こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。 2日に1回更新しています。(予定によって変更あり) 小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。 少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_

処理中です...