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第四章 魔法使いと大会

第四十八話 仲間と勝負

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「スカーレット!?なんでここに…」
「だって!ひまだもん!」

プクーッと頬を膨らませるスカーレットに思わずため息。
申し訳なさそうにナナカが語る。

「ごめん…実は、あのおじちゃん達が今日宿屋じゃなくてここに見に来てるらしくて。見てくれる人いなかったから…自力でここまで来ちゃったみたい。それで管理員さんに捕まって、迷子として保護者探されてたのよ」
「もう!しつれいしちゃうわ!」

あのおじちゃん達…ああ。
賭事やってスカーレットに全敗したおじちゃん達。
それで確かスズリーナが娘だって。
なるほど…娘の晴れ舞台。来ない訳がない。

「と、いうことでしばらくここにいてもらうことにしたの」
「んー?この子はー?」

ヒラルがスカーレットの顔を覗き込んだ。

「ピギャッ!?」
「敵じゃないよ~」

スカーレットは9歳。ヒラルは12歳ぐらいだからお姉ちゃんっぽい。

「うう~」
「止めなさいよ!スカーレットが怖がってるでしょ!?」
「うるさいなぁ~」

ポリポリと頭をかきながらブツブツとヒラルは文句を述べた。

「さて、いよいよ第二戦目です」
「あ、始まったみたいだ。食べる?」
「!」

ポップスをヒラルに差し出され、素早くスカーレットは頷いた。
スクリーンから歓声が飛び出る。
その中心にいるのは…タイルとスズリーナだった。

「…まさか一回目で仲間と当たるなんて、ついてないわね」
「ついてないもなにも、どうせ戦うだろ?早いか遅いかだよ」

真剣に杖を構えるスズリーナとは対称的にクルクルと杖を回すタイル。
一見やる気のなさそうな人に見えがちだが…あれはあれで戦う気はあるらしい。

「スズリーナァァァァァッ!!頑張れぇぇぇぇぇ!!」
「「娘さーーーーん!」」
「ゲッ…父さんにマルクールおじさんにライアンおじさん…恥ずかしいから、やめてよね」

照れ隠しをするかのように顔を伏せる。

「では…第二戦目、開始です!」
「水よ、古の力を呼び覚ませ!龍の力を与えよ!シー・ドラゴン・ハオ!」
「光よ、かのものに聖なる裁きを!ルミール・ルシア・ランス!」

二人が魔法を放ったのはほぼ同時だった。
激しい煙があがり、スクリーン用映像カメラでは写し出せない。

「はあっ!」
「!!」

ガインッ!

やっと画面が回復したので見える。
杖と杖がぶつかり、鋭い音が響く。
二人とも杖が剣のように鋭くなっているため、互いにぶつかりあうたびにそんな音が響く。

「久しぶりだな…こうやって仲間とやりあう、のっ!!」

タイルが体重をかけるようにぐっと杖を押し込んだ。

「ふっ…甘、いっ!!」

それをはじき返すスズリーナ。
タイルはよろめき、息を切らす。
だが、それはスズリーナも同じ事。

「炎、よっ…形を成して飛んでゆけ!フレイムアロー!」

スズリーナが炎で作った弓矢をタイルに向けた。
すぐさま放つが、避けられる。

「まだまだぁ!風よ!刃を作り切り裂け!ウィンドウブロウ!」
「水よ、揺りかごよ!私を守護せよ!ウォーターシールド!」

タイルの作り出した刃をスズリーナの水壁が受け止めた。
互いに口元を緩め、まるでどちらも相手の強さを理解したようだった。

「腕を上げたな!!」
「そっちこそ!でも…まだ本気じゃない」

後ろに飛んで、構え直す。

「魔力よ…具現せよ!!スノーマン!」
「ゴーレムと似たようなもんか…なら。青竜、ホークル!」
「え!?」

画面越しに見ていて驚いた。
…タイルが、青竜を召喚したからだ。
タツよりかは小さめだが、リンとした空気を纏っている。
そう、まさに青竜。

「どんどん行こうぜ!」

互いに呼び出した者が、ぶつかり合った。
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