上 下
50 / 104
第四章 魔法使いと大会

第四十六話 メンバー発表

しおりを挟む
「さて、今から皆さんには相手となる人を聞いてもらおうと思います。自分が何番かもちゃんと聞いてくださいね?」
「「相手ぇ?」」

二つの声が重なる。
もう一つはヒラル。
もう一つは…
…うわ、コイツもか…

「あ、元標的サン」
「…タイル」

コイツも選手か…
ピンク色の髪も今は見れば見るほど目が痛い…
もう、見たくないな…

「なんですかぁ?そのげんなりした顔は。安心してください。殺りはしませんって」
「じゃあなんでこの大会に…」
「うーん、暇つぶし?」
「へぇ」
「俺たちが負けたら国王様に狙うなって言ってやるよ。だけど、俺たちが勝ったら…う~ん、どうしようか」

一人でうんうん唸っているタイルをほっといて司会のイリスは話し出した。

「では、まず第一戦目です。カイル・レッテーカート選手とユピテル・シビリオル選手」
「あれ?あのおじいさんじゃない」

ナナカが指差す方向にはさっきのおじいさんが立っていた。
魔力は俺よか下…だけど、俺はアリス直々に能力アップしてもらってるからあのおじいさん相当強いぞ。
で、相手のユピテルってのは…

「はわわわわわわっ、なんでこんな出来損ないの私がこんな場所にぃ」
「………ユピテル。落ち着け」

あわあわとした女性だった。
おだんご頭を相当振り回し、自虐を続けている。
それを落ち着かせている…ようには見えないが落ち着けと言っている女の人。
これは見てる限りでは友人にねぎらいの言葉をかける人では…なさそう。

「第二戦目、スズリーナ・ムヒュル選手とタイル・マスズリー選手」
「お」
「え」
「ええ~!?スズりんとタイルが勝負かあ」

あっと顔を見合わせる二人。
ここで一人消えるのはありがたい。

「第三戦目、リサーナ・アントニオ選手とルリィー・アリル選手」
「リサーナ…あたしだ!」

元気そうな少女が飛び跳ねた。
ううん、俺よか年下かな…?
ヒラルよりは年上っぽい。

「君、予選ですごかったっていう子ね?」
「ん?あなたは…」
「ルリィーよ。Aグループだったわ。ギルドチーム《銀狼の息吹》に所属してるの。そこの《青龍の逆鱗》と同じくチームで出たんだけど、勝ち残ったのは私だけ…」
「ギルド?」
「《青龍の逆鱗》もギルドのチーム名よ」
「ナナカ。ギルドって…」
「腕に自信のある奴が入るとこで、色々な任務をこなして報酬を受け取る所」
「ご説明どうも」

ナナカはもう俺に説明するのを慣れてしまったらしい。
淡々と話すようになってしまった。

「俺はタクヤです」
「よろしく。タクヤ君」
「さて、第四戦目、ナナカ・ルルベリーナ選手とヒラル・コンチェーチェ選手」
「あっ!ナナカと一緒なのね!」
「う、嘘…でしょ」
「本当本当」
「あ…アギトおじい様の名に恥じぬように戦わねば…!」
「えっへへ~」

ご機嫌なヒラルとは逆に必死に覚悟を固めるナナカ。
この二人は相性悪いかもしれないな。
アギトおじい様こと長老様…最近会ってない。
大会終わったら顔出そう。

「第五戦目、タクヤ・サカモト選手とウラク・ヤーコブ選手」
「お、俺か」
「タクヤっ!頑張ってね!私と戦うためにっ!」
「私が勝つのよ!?ちょっと!」

そこの二人、静まってくださいな。

「第六戦目、イルマ・タシューネ選手とライル・ホークズ選手」
「ふん…俺か」
「「イルマーーっ!頑張ってーーーっ!」」
「うるせーよ」

クール男イルマさん。
若干とげとげしいッスネ。

「第七戦目、ハームル・アシュビル選手とカルト・クイナルス選手」
「げ、ハームル…」
「ハームルって?」

横にいたヒラルが嫌そうな顔をしたので聞いた。

「あいつ、超絶嫌な奴よ。関わらないほうがいいけど…今回はしょうがないわね」

見れば、ボキボキと骨を鳴らしている男がハームルらしい。
ヤバい奴かも。

「第八戦目、アルル・ムヒュル選手とハネス・マガ選手」
「あれっ?アルル君?」
「…よう。ヒラル姉」
「この子は?」
「スズりんの弟~」
「スズ姉には見つかりたくなかった…ぎゃっ!?」
「バカ」

後ろからゲンコツで殴られる少年。
確かにスズリーナの面影はある、やんちゃそうな少年だ。

「第九戦目、キュリオス・ティンク選手とカローナ・ムルフィー選手。そして…第十戦目、サダル・ヒューリオ選手とマカッサル・トルテール選手。以上20人です」
「20人もいたんだな」
「A~Dグループで5人ずつ出したからね~」
「さて、第一戦目のカイル・レッテーカート選手とユピテル・シビリオル選手は準備してください」
「あわわ~っ」
「ふむ…力試し、といこうかのぅ」

2人の選手は、準備を始めたまもなく大会。
緊張を抑えて第一戦目を見守ることにしたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【猫画像あり】島猫たちのエピソード

BIRD
エッセイ・ノンフィクション
【保護猫リンネの物語】連載中! 2024.4.15~ シャーパン猫の子育てと御世話の日々を、画像を添えて綴っています。 2024年4月15日午前4時。 1匹の老猫が、その命を終えました。 5匹の仔猫が、新たに生を受けました。 同じ時刻に死を迎えた老猫と、生を受けた仔猫。 島猫たちのエピソード、保護猫リンネと子供たちのお話をどうぞ。 石垣島は野良猫がとても多い島。 2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。 「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。 でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。 もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。 本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。 スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。

ゲロトラップダンジョン-女騎士は適量とペースを守って酒なんかに負けたりはしない!-

春海水亭
ファンタジー
女騎士ノミホ・ディモ・ジュースノーム(20)は王命を受け、ダンジョンの攻略に挑む。 だが、ノミホの屈強なる精神力を見込まれて赴いた先は、 すえた吐瀉物と濃いアルコールの臭いが立ち込めるゲロトラップダンジョンであった。 ノミホは先人が残した嘔吐マッピング機能を利用して、ゲロトラップダンジョンの攻略を開始する。

弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜

秋元智也
ファンタジー
友人を庇った事からクラスではイジメの対象にされてしまう。 そんなある日、いきなり異世界へと召喚されてしまった。 クラス全員が一緒に召喚されるなんて悪夢としか思えなかった。 こんな嫌な連中と異世界なんて行きたく無い。 そう強く念じると、どこからか神の声が聞こえてきた。 そして、そこには自分とは全く別の姿の自分がいたのだった。 レベルは低いままだったが、あげればいい。 そう思っていたのに……。 一向に上がらない!? それどころか、見た目はどう見ても女の子? 果たして、この世界で生きていけるのだろうか?

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

Gateau chocolat & Cupcake

nao@そのエラー完結
BL
高校の卒業式を終え、大学入試の結果を待つばかりの春休み。春樹は、双子の弟妹たちにカップケーキを焼いていた。 お菓子作れる男子は可愛いという話。短編。 ガトーショコラ × カップケーキ

王妃となったアンゼリカ

わらびもち
恋愛
婚約者を責め立て鬱状態へと追い込んだ王太子。 そんな彼の新たな婚約者へと選ばれたグリフォン公爵家の息女アンゼリカ。 彼女は国王と王太子を相手にこう告げる。 「ひとつ条件を呑んで頂けるのでしたら、婚約をお受けしましょう」 ※以前の作品『フランチェスカ王女の婿取り』『貴方といると、お茶が不味い』が先の恋愛小説大賞で奨励賞に選ばれました。 これもご投票頂いた皆様のおかげです! 本当にありがとうございました!

→誰かに話したくなる面白い雑学

ノアキ光
エッセイ・ノンフィクション
(▶アプリ無しでも読めます。 目次の下から読めます) 見ていただきありがとうございます。 こちらは、雑学の本の内容を、自身で読みやすくまとめ、そこにネットで調べた情報を盛り込んだ内容となります。 驚きの雑学と、話のタネになる雑学の2種類です。 よろしくおねがいします。

闇の子まどいし光の子~暗黒魔導師と勇者の物語

根上真気
ファンタジー
闇の子と光の子が出会う時、世界は大きく動き始める。若き女勇者セレスに訪れる危機。若き暗黒魔導師の青年レードに訪れる転機。一方、古の四天王と呼ばれたかつての魔王の側近は、何者かの計り知れぬ陰謀を嗅ぎ取り迫っていく。光と闇は惹かれ合い交錯し、進んでいく果てに待ち受ける驚愕の真実とは?謎が謎を呼ぶ世界を揺るがす壮大なる冒険ファンタジーが今ここに幕を開ける! 【作者より】 この小説は、元々あった別作品のプロットをブッ壊して再構築して完全な新作として創作したモノです。自ら作ったプロットを自ら裏切るようにひたすら先の読めない展開にしようと書いています。読めば読むほど否が応でも引き込まれていく、そんなファンタジーにしたいと考えていますので、どうかお楽しみいただければと思います!

処理中です...