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28.深まる愛(Side亮祐)
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「亮祐、今回のことは本当に迷惑かけて申し訳なかったね」
百合と甘い夜を過ごした翌朝、朝一番に叔父から電話がかかってきた。
ちょうど目を覚まし、ベッドの中で百合を抱きしめ百合がそれに応えるように俺の胸に顔を埋めてきた時だった。
俺は百合を腕の中に閉じ込めたそのままの状態で、スマホに手を伸ばしその電話に出る。
百合は驚いたように一瞬身じろぎしたが、息を潜めて大人しくしている。
「まぁ、まさかあんな記事が出るとは思わなくて驚いたね。でも俺も迂闊だったよ」
「奈々も亮祐に本当に申し訳ないってすごく謝っていたよ。改めてお詫びは2人でさせてもらえればと思ってる」
「お詫びは別にいい。それで、今日予定されている結婚発表はどうなった?」
「さっき報道各社に奈々の事務所がFAXしたし、ホームページやSNSでも公表したよ。役所へも婚姻届を提出して、正式に入籍したしね」
「それはおめでとう」
おそらくこれで熱愛報道は結婚報道に切り替わり、俺との熱愛は誤報であったことが知れ渡るだろう。
この件もこれでひと段落かと思うと安堵の息が漏れた。
耳に息がかかったのか、百合がピクっと身体を震わせ反応している。
「亮祐の彼女にもお詫びしなくてはね。いるんだろう?」
「なんでそう思ったの?」
百合の可愛い姿を見ていると意地悪心が芽生えてきた。
叔父と電話で会話を続けながら、スマホを持たないもう片方の手で百合の耳を弄る。
百合は声が漏れそうになるのを抑えるように自身の手で口を塞いでいる。
「この前亮祐のマンションに行った時に女性の影を感じたんだ。しかも真剣交際なんだろうなと思ってね。だからあの報道で誤解されて大変なことになってるんじゃないかと心配だったけど大丈夫?」
「大変な思いをさせてしまったけど、説明したらちゃんと理解してくれたよ」
「それなら良かった。その彼女を僕に紹介してくれるのを楽しみにしてるよ」
「まぁそのうちね」
実際はすでに会ったことあるけどと心の中で呟いた。
叔父との電話を切ると、百合に目を向ける。
必死に声を殺そうとしていたせいか顔が真っ赤になっていた。
「そんなに赤い顔してどうしたの?」
「‥‥亮祐さんのイジワル」
「中途半端に触られて身体が疼いてツラいからイジワルしないでって意味?」
俺はワザと百合の羞恥を煽るように問いかける。
案の定、百合は恥ずかしさで目を潤めた。
「そんなにツラいなら楽にしてあげないとね」
身に纏っているバスローブの胸元を脱がすと、下着をつけていない上半身の肌が剥き出しになる。
透けてしまいそうな白い肌に吸い寄せられ、俺は唇を落とす。
さんざん昨夜も交わったのに全然飽きないのが不思議だ。
こうして百合の甘い声を堪能しながら週末が始まった。
それから俺たちがベッドを出て、シャワーを浴びて落ち着いた頃にはすでに昼になっていた。
百合は俺から叔父との会話の内容を聞くと、スマホでネットニュースやSNSをチェックし報道状況の確認を始めた。
さらにテレビを付け、ワイドショーでも報道されていないかを確認しているようだ。
さっきまでの甘く淫らな出来事はなかったかのようにそんな雰囲気は消し飛ばされている。
こういう姿を見ると百合はやはり仕事脳だなと思うし、自分の仕事に責任を持っているのだなと好感が高まる。
「ネットニュースにはすでに結婚報道が出てますね。SNSでは昨日の熱愛報道が誤報だったことも話題になってるみたいです。亮祐さんの個人名が露出してるというより、大塚フードウェイの御曹司ってワードが使われてますね」
「叔父も大塚フードウェイの御曹司だけどね」
「はい。なのでこれ以上亮祐さんが話題にされることもないでしょうし、じきに沈静化するでしょうね。この報道を見たら、社内も週明けは落ち着いていると思います。良かった」
「俺もこれでマンションに帰れそうかな。念のため明日まではホテル滞在にしようとは思うけど」
「それが安心ですね」
百合は俺を気遣うような色を目に浮かべながら微笑んだ。
(心配かけてしまってるな)
何か雰囲気を変えれないかと思い、ふと先日交わした会話を思い出した。
「そういえば、その後百合は英語の勉強はどうなってるの?」
「オンライン英会話を始めました!週3回30分のレッスンを受けてます。オンラインって通学の必要もないし本当に便利です」
「へぇ。じゃあその練習の成果を見せるアウトプットの場として、この週末は俺との会話は日本語禁止にしようか。English Onlyね」
「ええっ!?」
「英語は無理やりにでも使ってる方が上達するよ。ホテルのこの部屋にいる間だけでいいし。はい、じゃあ今からね。Let’s get to it(さぁ始めよう)」
「えっと‥‥Okay, but please speak slowly.(分かった。けどゆっくり話してね)」
こうして週末の百合との時間は英語の特訓タイムに早変わりした。
思い付きで始めたが案外これが良かった。
英語は日本語に比べてハッキリ自分を主張する言語であるため、英語で話す百合の言葉はストレートに伝わってきやすかった。
(これはなかなか新鮮だな!)
百合は知ってる単語や表現を駆使しながら一生懸命に話している。
時折りスマホで言いたいことを英語で何て言うのか検索したり、俺に聞いたりしてメモしている様子も伺えた。
そんな努力を重ねる百合を見ていると愛しく思う気持ちが膨らむのが自分でも分かった。
まだ百合と出会って3ヶ月だが、俺には百合しかいないだろうと確信があった。
叔父が言っていた「理屈じゃないんだよ」と言う言葉が脳裏に蘇る。
(近いうちに百合を両親に紹介しよう。父からお見合いなど面倒ごとを引き起こされて今回みたいに百合を不安にさせたくない)
心の内でそう決めて、目を細めて百合を見つめる。
そして頭では瞬時に計画を立て始めたーー。
百合と甘い夜を過ごした翌朝、朝一番に叔父から電話がかかってきた。
ちょうど目を覚まし、ベッドの中で百合を抱きしめ百合がそれに応えるように俺の胸に顔を埋めてきた時だった。
俺は百合を腕の中に閉じ込めたそのままの状態で、スマホに手を伸ばしその電話に出る。
百合は驚いたように一瞬身じろぎしたが、息を潜めて大人しくしている。
「まぁ、まさかあんな記事が出るとは思わなくて驚いたね。でも俺も迂闊だったよ」
「奈々も亮祐に本当に申し訳ないってすごく謝っていたよ。改めてお詫びは2人でさせてもらえればと思ってる」
「お詫びは別にいい。それで、今日予定されている結婚発表はどうなった?」
「さっき報道各社に奈々の事務所がFAXしたし、ホームページやSNSでも公表したよ。役所へも婚姻届を提出して、正式に入籍したしね」
「それはおめでとう」
おそらくこれで熱愛報道は結婚報道に切り替わり、俺との熱愛は誤報であったことが知れ渡るだろう。
この件もこれでひと段落かと思うと安堵の息が漏れた。
耳に息がかかったのか、百合がピクっと身体を震わせ反応している。
「亮祐の彼女にもお詫びしなくてはね。いるんだろう?」
「なんでそう思ったの?」
百合の可愛い姿を見ていると意地悪心が芽生えてきた。
叔父と電話で会話を続けながら、スマホを持たないもう片方の手で百合の耳を弄る。
百合は声が漏れそうになるのを抑えるように自身の手で口を塞いでいる。
「この前亮祐のマンションに行った時に女性の影を感じたんだ。しかも真剣交際なんだろうなと思ってね。だからあの報道で誤解されて大変なことになってるんじゃないかと心配だったけど大丈夫?」
「大変な思いをさせてしまったけど、説明したらちゃんと理解してくれたよ」
「それなら良かった。その彼女を僕に紹介してくれるのを楽しみにしてるよ」
「まぁそのうちね」
実際はすでに会ったことあるけどと心の中で呟いた。
叔父との電話を切ると、百合に目を向ける。
必死に声を殺そうとしていたせいか顔が真っ赤になっていた。
「そんなに赤い顔してどうしたの?」
「‥‥亮祐さんのイジワル」
「中途半端に触られて身体が疼いてツラいからイジワルしないでって意味?」
俺はワザと百合の羞恥を煽るように問いかける。
案の定、百合は恥ずかしさで目を潤めた。
「そんなにツラいなら楽にしてあげないとね」
身に纏っているバスローブの胸元を脱がすと、下着をつけていない上半身の肌が剥き出しになる。
透けてしまいそうな白い肌に吸い寄せられ、俺は唇を落とす。
さんざん昨夜も交わったのに全然飽きないのが不思議だ。
こうして百合の甘い声を堪能しながら週末が始まった。
それから俺たちがベッドを出て、シャワーを浴びて落ち着いた頃にはすでに昼になっていた。
百合は俺から叔父との会話の内容を聞くと、スマホでネットニュースやSNSをチェックし報道状況の確認を始めた。
さらにテレビを付け、ワイドショーでも報道されていないかを確認しているようだ。
さっきまでの甘く淫らな出来事はなかったかのようにそんな雰囲気は消し飛ばされている。
こういう姿を見ると百合はやはり仕事脳だなと思うし、自分の仕事に責任を持っているのだなと好感が高まる。
「ネットニュースにはすでに結婚報道が出てますね。SNSでは昨日の熱愛報道が誤報だったことも話題になってるみたいです。亮祐さんの個人名が露出してるというより、大塚フードウェイの御曹司ってワードが使われてますね」
「叔父も大塚フードウェイの御曹司だけどね」
「はい。なのでこれ以上亮祐さんが話題にされることもないでしょうし、じきに沈静化するでしょうね。この報道を見たら、社内も週明けは落ち着いていると思います。良かった」
「俺もこれでマンションに帰れそうかな。念のため明日まではホテル滞在にしようとは思うけど」
「それが安心ですね」
百合は俺を気遣うような色を目に浮かべながら微笑んだ。
(心配かけてしまってるな)
何か雰囲気を変えれないかと思い、ふと先日交わした会話を思い出した。
「そういえば、その後百合は英語の勉強はどうなってるの?」
「オンライン英会話を始めました!週3回30分のレッスンを受けてます。オンラインって通学の必要もないし本当に便利です」
「へぇ。じゃあその練習の成果を見せるアウトプットの場として、この週末は俺との会話は日本語禁止にしようか。English Onlyね」
「ええっ!?」
「英語は無理やりにでも使ってる方が上達するよ。ホテルのこの部屋にいる間だけでいいし。はい、じゃあ今からね。Let’s get to it(さぁ始めよう)」
「えっと‥‥Okay, but please speak slowly.(分かった。けどゆっくり話してね)」
こうして週末の百合との時間は英語の特訓タイムに早変わりした。
思い付きで始めたが案外これが良かった。
英語は日本語に比べてハッキリ自分を主張する言語であるため、英語で話す百合の言葉はストレートに伝わってきやすかった。
(これはなかなか新鮮だな!)
百合は知ってる単語や表現を駆使しながら一生懸命に話している。
時折りスマホで言いたいことを英語で何て言うのか検索したり、俺に聞いたりしてメモしている様子も伺えた。
そんな努力を重ねる百合を見ていると愛しく思う気持ちが膨らむのが自分でも分かった。
まだ百合と出会って3ヶ月だが、俺には百合しかいないだろうと確信があった。
叔父が言っていた「理屈じゃないんだよ」と言う言葉が脳裏に蘇る。
(近いうちに百合を両親に紹介しよう。父からお見合いなど面倒ごとを引き起こされて今回みたいに百合を不安にさせたくない)
心の内でそう決めて、目を細めて百合を見つめる。
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