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17.初めての感情(Side亮祐)
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彼女、並木百合は、
なんて無防備で、無自覚で、可愛くて、
なんて手に入れたいと思わせる女なんだろう。
それがこの週末、俺が抱いた感想だったーー。
日曜の朝。
予想通り、彼女はとても動揺していて、俺を見るなり何度も謝罪の言葉を繰り返し、恐縮しきりだった。
その様子が面白いやら、可愛いやら、俺は笑いを堪えるので大変だった。
昨日の状況を説明すると、コーヒーにも手をつけず、どんどん身を小さくしていく。
「穴があったら入りたい」と言わんばかりの態度が面白い。
ついつい苛めたくなった俺は、お詫びしたいという彼女の言葉を利用して、今日1日を一緒に過ごす約束を取り付けた。
こんなに楽しい気分は久しぶりで、もう少し彼女と過ごしたいなと思ったのだ。
ふと彼女が身をぶるっと震わせたのに気づき、そういえば昨日はシャワーも浴びていないんだなと思い当たる。
手を出そうと思っているわけではないので、警戒心を抱かせないように気を配りつつ、「シャワーを浴びてきたら?」と提案する。
素直に俺の提案に従いバスルームを使うことになったのだが、まさか彼女があんなに無防備だとは思わなかった。
バスルールから出てきた彼女は、サイズの合ってない大きな長袖Tシャツだけしか身につけていなかったのだ。
長袖Tシャツの裾が太ももより上の長さのため、艶かしい彼女のスラリと伸びた白い足が見えている。
あろうことか、恥ずかしそうに少し俯きながら頬を染めているではないか。
まるで襲ってくれと言わんばかりだった。
思わず「誘ってる?」と聞いてしまったのは至極当然だと思う。
(いつもこんなに無防備なのか‥‥?)
ただでさえ男を惹きつける容姿なのに、これでは簡単に襲われるだろう。
これはちょっとそのことを自覚させないとなと思った俺は、少しからかうつもりで彼女を壁まで追い詰めた。
手は出さないと言った手前、ただちょっとからかうつもりが、彼女の小さな喘ぎで吹き飛んだ。
壁に追い詰めながら、俺より背の低い彼女を見下ろして話しかけると、彼女が僅かに身をよじり「んっ‥‥」と色っぽい声を漏らしたのだ。
化粧を落としたいつもより幼くあどけない素顔で発せられるその声は、情欲を煽る以外の何者でもない。
俺の目に欲望が滲んだ色が浮かぶ。
戸惑う彼女を無視して、思いのままに抱きしめた。
(こんなに無防備な姿を男の前で晒したらどうなるか身をもって知ればいい‥‥)
抱きしめた彼女からは、俺と同じシャンプーの香りがして、なんだか嬉しく感じた。
一方、抱きしめられた彼女は驚いているのか身を硬くしている。
(そろそろ解放してあげるかな)
そう思って身を離そうとした直後、今度は彼女が目を潤ませて俺を見上げてくる。
(手は出さないつもりだったのに、こんな目で見つめられたら我慢できないじゃないか。他の男の前でやられたら大変だ)
俺の前で以外見せるなと忠告しておく。
そして我慢できずに、彼女の唇を奪おうとして顔を近付ける。
その最中、彼女の驚く顔が視界をよぎり、一瞬理性を取り戻した俺は、唇を避けてその柔らかな頬にキスを落とした。
(危なかった‥‥。たぶん唇を奪ってしまったらそのまま止められなかっただろうな。それにしても彼女は無防備なうえに無自覚に男を煽りすぎだ)
そのことを再度忠告した後、俺は平常心を装いながら、何事もなかったようにソファーに戻りパソコンに目を落とした。
しばし立ち尽くしていた彼女だったが、しばらくするとこちらに移動してきて、俺と同じくソファーに腰をかける。
ソファーに座ると、長袖Tシャツの丈がさっきより短くなり、悩ましい足がのぞく。
俺は極力そちらを見ないようにパソコンに集中する。
パソコンでのメールチェックを終えると、今日どうするかを彼女と話し合った。
結局、今日は家でのんびりすることになった。
彼女が俺の家で過ごしてくれるというそのことだけで満足だ。
昨夜飲みに行った時にも思ったことだが、彼女とは話しているだけで楽しい時間を過ごせる。
女性と会話だけを楽しみ過ごすなんて、今まで経験したことがなかった。
やはり彼女は俺に初めてをもたらす貴重な存在だと改めて思う。
(もう手放せないな‥‥。というか手に入れたい。他の男に渡したくない)
生まれた時から、大手食品メーカーの創業者一族という立場や整った容姿に恵まれ、これまで自分から手に入れたいと執着心を持つような女性はいなかった。
俺にとって初めての感情だった。
今日も彼女はただ話すだけだというのに、俺を楽しませてくれる。
家の話をしていたかと思うと、いつの間にか仕事の話になっていて、挙げ句の果てには今後に向けて俺に仕事の根回しをしてくる。
これには思わず声を出して笑ってしまった。
一生懸命に話す彼女が可愛くてたまらない。
普段の仕事ぶりは素直に賞賛に値するし、こういう仕事に対する姿勢も彼女の魅力だなと思う。
「仕事脳だと言われない?」と軽い気持ちで聞いてみると、そこで彼女は突如顔を曇らせた。
(もしや過去に仕事のことが理由で男となんかあったのか‥‥?)
顔色からなんとなく察した俺は、彼女の過去の恋愛についても聞いてみたくなり、さりげなく話を振ってみる。
すると、最初は言い渋っていたが、次第にポツリポツリと吐露しだす。
ーー”本当に俺のこと好きなの?”って。あと別れを受け入れると”なんとも思ってないんだね”って続けて言われました。
ーーいつも同じようなことを言われて振られちゃうんです。仕事ばっかりとは言われてないですけど、そのあたりも含めてだと思います。仕事優先しちゃったりしてるから。
「そんな理由で並木さんを振るなんてもったいないね、その男たちは」
ポロッと本音が漏れた。
仕事を頑張っている彼女はこんなに魅力的なのになと思う。
それに対して、彼女は「そんなことない、私なんて」と謙遜した。
(いや、謙遜というより彼女の場合は自分が男を惹きつけることを本気で分かってないんだろうな。無自覚か‥‥)
俺が常務に就任してまだ約1ヶ月半だが、この短い期間の中でさえ、何人の男から彼女の名を聞いただろうか。
それなのに彼女は‥‥。
少し呆れた気持ちになってしまった。
そこでふと長谷太一のことを思い出す。
彼は並木百合のことを名前で呼び捨てしていたし、彼女のことを語る彼の目には明らかに同僚以上の好意が浮かんでいた。
(もしかすると彼女はそのことにも気づいてないのかもな)
「仲良いね」と突っ込んでみれば、案の定だ。
海外出張の時にいつもお土産を買ってきてくれると嬉しそうに微笑む彼女の表情には、同僚としての好意しか伺えない。
長谷と彼女は同期だというから、入社6年目の彼らの付き合いは結構な長さだ。
長谷がいつから彼女を想っているのかは知らないが、きっとこの調子で全然気付かないのだろう。
(これには長谷に少し同情を禁じ得ないな‥‥)
そんなふうに思っていると、彼女がふいに来週の土曜日が誕生日だと話し出した。
さも今思い出したかのような反応だ。
彼女を手に入れたいと思い至った今、これを利用しない手はない。
こんなに無自覚で好意に鈍感な彼女のことだ、はっきりと分かる形でないと伝わらない可能性が高い。
その点、誕生日は分かりやすく良い機会だ。
しかも今思い出したのなら、おそらく決まった予定はないのだろう。
仕事の時のように、頭の中でそう瞬時に計算した俺は彼女に問いかける。
「へぇ、来週の土曜日が誕生日なんだ。予定はあるの?」
「いえ、特に。誕生日だってことも今の今まで忘れていました」
「じゃあ来週の土曜日も暇なんだ?」
「そうですね、はい」
「それなら俺とどこかへ出掛けよう」
「えっ!?」
「だって予定ないんでしょ?」
「‥‥はい!」
彼女が頷いたのを見て俺は満足する。
照れ臭そうにはにかんだ彼女の表情は、いつも俺が強引に誘う時より嬉しそうだった。
(あとは来週分かりやすく伝えて、彼女を俺のものにしてしまおう)
会話の流れで偶然知った誕生日だったが、来週も彼女と約束が得られた俺は気分が浮き足立つのを感じた。
しかしこの時の俺は知らなかった。
彼女を手に入れるのを来週へ先送りしたことで後悔することになるとはーー。
なんて無防備で、無自覚で、可愛くて、
なんて手に入れたいと思わせる女なんだろう。
それがこの週末、俺が抱いた感想だったーー。
日曜の朝。
予想通り、彼女はとても動揺していて、俺を見るなり何度も謝罪の言葉を繰り返し、恐縮しきりだった。
その様子が面白いやら、可愛いやら、俺は笑いを堪えるので大変だった。
昨日の状況を説明すると、コーヒーにも手をつけず、どんどん身を小さくしていく。
「穴があったら入りたい」と言わんばかりの態度が面白い。
ついつい苛めたくなった俺は、お詫びしたいという彼女の言葉を利用して、今日1日を一緒に過ごす約束を取り付けた。
こんなに楽しい気分は久しぶりで、もう少し彼女と過ごしたいなと思ったのだ。
ふと彼女が身をぶるっと震わせたのに気づき、そういえば昨日はシャワーも浴びていないんだなと思い当たる。
手を出そうと思っているわけではないので、警戒心を抱かせないように気を配りつつ、「シャワーを浴びてきたら?」と提案する。
素直に俺の提案に従いバスルームを使うことになったのだが、まさか彼女があんなに無防備だとは思わなかった。
バスルールから出てきた彼女は、サイズの合ってない大きな長袖Tシャツだけしか身につけていなかったのだ。
長袖Tシャツの裾が太ももより上の長さのため、艶かしい彼女のスラリと伸びた白い足が見えている。
あろうことか、恥ずかしそうに少し俯きながら頬を染めているではないか。
まるで襲ってくれと言わんばかりだった。
思わず「誘ってる?」と聞いてしまったのは至極当然だと思う。
(いつもこんなに無防備なのか‥‥?)
ただでさえ男を惹きつける容姿なのに、これでは簡単に襲われるだろう。
これはちょっとそのことを自覚させないとなと思った俺は、少しからかうつもりで彼女を壁まで追い詰めた。
手は出さないと言った手前、ただちょっとからかうつもりが、彼女の小さな喘ぎで吹き飛んだ。
壁に追い詰めながら、俺より背の低い彼女を見下ろして話しかけると、彼女が僅かに身をよじり「んっ‥‥」と色っぽい声を漏らしたのだ。
化粧を落としたいつもより幼くあどけない素顔で発せられるその声は、情欲を煽る以外の何者でもない。
俺の目に欲望が滲んだ色が浮かぶ。
戸惑う彼女を無視して、思いのままに抱きしめた。
(こんなに無防備な姿を男の前で晒したらどうなるか身をもって知ればいい‥‥)
抱きしめた彼女からは、俺と同じシャンプーの香りがして、なんだか嬉しく感じた。
一方、抱きしめられた彼女は驚いているのか身を硬くしている。
(そろそろ解放してあげるかな)
そう思って身を離そうとした直後、今度は彼女が目を潤ませて俺を見上げてくる。
(手は出さないつもりだったのに、こんな目で見つめられたら我慢できないじゃないか。他の男の前でやられたら大変だ)
俺の前で以外見せるなと忠告しておく。
そして我慢できずに、彼女の唇を奪おうとして顔を近付ける。
その最中、彼女の驚く顔が視界をよぎり、一瞬理性を取り戻した俺は、唇を避けてその柔らかな頬にキスを落とした。
(危なかった‥‥。たぶん唇を奪ってしまったらそのまま止められなかっただろうな。それにしても彼女は無防備なうえに無自覚に男を煽りすぎだ)
そのことを再度忠告した後、俺は平常心を装いながら、何事もなかったようにソファーに戻りパソコンに目を落とした。
しばし立ち尽くしていた彼女だったが、しばらくするとこちらに移動してきて、俺と同じくソファーに腰をかける。
ソファーに座ると、長袖Tシャツの丈がさっきより短くなり、悩ましい足がのぞく。
俺は極力そちらを見ないようにパソコンに集中する。
パソコンでのメールチェックを終えると、今日どうするかを彼女と話し合った。
結局、今日は家でのんびりすることになった。
彼女が俺の家で過ごしてくれるというそのことだけで満足だ。
昨夜飲みに行った時にも思ったことだが、彼女とは話しているだけで楽しい時間を過ごせる。
女性と会話だけを楽しみ過ごすなんて、今まで経験したことがなかった。
やはり彼女は俺に初めてをもたらす貴重な存在だと改めて思う。
(もう手放せないな‥‥。というか手に入れたい。他の男に渡したくない)
生まれた時から、大手食品メーカーの創業者一族という立場や整った容姿に恵まれ、これまで自分から手に入れたいと執着心を持つような女性はいなかった。
俺にとって初めての感情だった。
今日も彼女はただ話すだけだというのに、俺を楽しませてくれる。
家の話をしていたかと思うと、いつの間にか仕事の話になっていて、挙げ句の果てには今後に向けて俺に仕事の根回しをしてくる。
これには思わず声を出して笑ってしまった。
一生懸命に話す彼女が可愛くてたまらない。
普段の仕事ぶりは素直に賞賛に値するし、こういう仕事に対する姿勢も彼女の魅力だなと思う。
「仕事脳だと言われない?」と軽い気持ちで聞いてみると、そこで彼女は突如顔を曇らせた。
(もしや過去に仕事のことが理由で男となんかあったのか‥‥?)
顔色からなんとなく察した俺は、彼女の過去の恋愛についても聞いてみたくなり、さりげなく話を振ってみる。
すると、最初は言い渋っていたが、次第にポツリポツリと吐露しだす。
ーー”本当に俺のこと好きなの?”って。あと別れを受け入れると”なんとも思ってないんだね”って続けて言われました。
ーーいつも同じようなことを言われて振られちゃうんです。仕事ばっかりとは言われてないですけど、そのあたりも含めてだと思います。仕事優先しちゃったりしてるから。
「そんな理由で並木さんを振るなんてもったいないね、その男たちは」
ポロッと本音が漏れた。
仕事を頑張っている彼女はこんなに魅力的なのになと思う。
それに対して、彼女は「そんなことない、私なんて」と謙遜した。
(いや、謙遜というより彼女の場合は自分が男を惹きつけることを本気で分かってないんだろうな。無自覚か‥‥)
俺が常務に就任してまだ約1ヶ月半だが、この短い期間の中でさえ、何人の男から彼女の名を聞いただろうか。
それなのに彼女は‥‥。
少し呆れた気持ちになってしまった。
そこでふと長谷太一のことを思い出す。
彼は並木百合のことを名前で呼び捨てしていたし、彼女のことを語る彼の目には明らかに同僚以上の好意が浮かんでいた。
(もしかすると彼女はそのことにも気づいてないのかもな)
「仲良いね」と突っ込んでみれば、案の定だ。
海外出張の時にいつもお土産を買ってきてくれると嬉しそうに微笑む彼女の表情には、同僚としての好意しか伺えない。
長谷と彼女は同期だというから、入社6年目の彼らの付き合いは結構な長さだ。
長谷がいつから彼女を想っているのかは知らないが、きっとこの調子で全然気付かないのだろう。
(これには長谷に少し同情を禁じ得ないな‥‥)
そんなふうに思っていると、彼女がふいに来週の土曜日が誕生日だと話し出した。
さも今思い出したかのような反応だ。
彼女を手に入れたいと思い至った今、これを利用しない手はない。
こんなに無自覚で好意に鈍感な彼女のことだ、はっきりと分かる形でないと伝わらない可能性が高い。
その点、誕生日は分かりやすく良い機会だ。
しかも今思い出したのなら、おそらく決まった予定はないのだろう。
仕事の時のように、頭の中でそう瞬時に計算した俺は彼女に問いかける。
「へぇ、来週の土曜日が誕生日なんだ。予定はあるの?」
「いえ、特に。誕生日だってことも今の今まで忘れていました」
「じゃあ来週の土曜日も暇なんだ?」
「そうですね、はい」
「それなら俺とどこかへ出掛けよう」
「えっ!?」
「だって予定ないんでしょ?」
「‥‥はい!」
彼女が頷いたのを見て俺は満足する。
照れ臭そうにはにかんだ彼女の表情は、いつも俺が強引に誘う時より嬉しそうだった。
(あとは来週分かりやすく伝えて、彼女を俺のものにしてしまおう)
会話の流れで偶然知った誕生日だったが、来週も彼女と約束が得られた俺は気分が浮き足立つのを感じた。
しかしこの時の俺は知らなかった。
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