公爵令嬢として生まれた私は待望された聖女でした。聖女としての才能がなくて見捨てられましたが、武の極みに至る才能はあったみたいです。

ラーゲン王国では、長らく聖女が現れなかった。
100年という長き日を跨ぎ、ようやく生まれた聖女。ティアナ。

公爵令嬢として生まれた彼女は聖女として大いに期待され、王太子との婚約も早々に決まっていた。

順風満帆だった彼女の人生があっさりと崩れ去ったのは、聖女としての力があまりにも乏しいと判明してからだった。

常に人に囲まれていた日々は遠のき、仲が良かったと思っていた他家の令嬢たちは誰一人話しかけてこない。家族と家の使用人以外、味方が居なくなった上にとどめになったのは王太子の言葉だった。

「お前との婚約は破棄だ。無能を后には迎えられない」

私はショックで数日寝込んだ後、水ものどを通らず、耐えかねて神殿でずっと祈りをささげていた。

神様、なぜ私を聖女になど選んだのですか?

答えを返してくれたのはなぜか武をつかさどる神様でした。

「お前は武の極みに至れる」
「はい?」

私は決意しました。強くなろうって。
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