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モノローグ

モノローグ

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 私はどこにでもいる普通のOL。
だけど、アラサー近いし、もう私に魅力を感じる男はいないはず。
だから、自分の人生を歩もうかなと考えていた。

 私は野良猫をよくかわいがっていた。猫の集会に参加することもあった。
 餌をあげたりもした。
 家では猫を飼えない。
 猫カフェに行くお金もないし、ペットショップでは猫を眺めるだけ。
 いいなあ。私も猫がほしい。

 ある日の仕事帰りに私は会社の人の車に乗った。
 よく知っている間柄だし、車に乗るくらいいいかなと気軽な気持ちだった。
 そこで、私の日常が崩れるとも知らずに。
 車の助手席で普通に寝たりもした。

 三毛猫が喋っていて「この人は危険だにゃ」と言っていた。

「因果応報と言って、人にやったことは自分に帰ってくるにゃ」
「この猫、何なの?」
「どんな猫でもいいにゃ。こんな悪い子こそ、お仕置きだにゃ」
「ふん、俺は最強なんだ」
「最強じゃないにゃ。いつか、痛い目みるにゃ。覚悟しとくにゃ」
 男が、猫を攻撃しようとしたら、猫が消えた。

 そして、複数の三毛猫がどこからか現れた。
「何なんだ?この三毛猫は?」
 男が、ナイフを持った。

「くそ、猫なんて、所詮クズだ」
 男が、三毛猫にナイフで襲いかかろうにも、三毛猫はみんなそれを避けていった。

 そして、三毛猫が航の体に集まり、「何なんだ」と叫んだ。
 そして、一匹の三毛猫が肉球で、ナイフを追った。

「やめるんだ」
 男の顔は、恐怖そのものだった。
「みんな、必殺技にゃ」
「にゃ」と猫たちが言うと、
「にゃんこパンチ」と猫たちが航にパンチをすると、男が天井を突き抜け、どこまでも飛んで行った。

「さて、これで一件落着にゃ」
「助けてくれてありがとうございます。だけど、家に帰れないと思います」
「帰れんるにゃ。諦めるにゃない」
「あれから何年もたつし」
「男と、君が幼馴染でなくすことはできるにゃ。
何もかも時間を巻き戻すにゃ」

三毛猫の集団があったけれど、野良猫だろうと思い、そのまま行こうとしたら、「ちょっと待つにゃ」という声がしたら、三毛猫だった。
「これで、いいのかにゃ?」
「猫が喋った?」
「彼氏とやらと結婚の約束してよかったのかにゃ?」
「当然」
「ふうん、心変わりするかもしれないのに、将来の相手を決めていいのかにゃ。
今すぐ結婚するにゃらまだしも、そんな何年も先のこと、決めていいのかにゃ?
自分の人生、決めているようなものにゃ」

「さて、約束とやらを果たす時が来たかにゃ」
「ああ、そうだな」

 車から降りてきたかと思えば、目の前に一人の男と一匹の黒が多くて、茶色と白があまりない三毛猫が現れた。
「誰?」
「俺はサタンだ」
「わたちは、ルシファーだにゃ」

「約束は約束だにゃ」

 三毛猫のルシファーも、ジャンプして一緒に乗ってきた。
 ルシファーは、シートベルトはしていないものの、後ろの座席に座っていた。

 私は、助手席に座らされた。
 サタンは、運転席にいる。
 
 抵抗すれば逃げられるはず。
 だけど、男の人の力に勝てなかった。

「見事な芸術だにゃ」
「我ながら、そう思う」

 車は動いて、サタンが運転するけれど、何故かシートベルトをしていなかった。
 おかしい。
 普通は運転席にいる人こそ、シートベルトをしなくてはならないのに。
 シートベルトをしているのは、私だけだった。

 家の前につけば、シートベルトを外され、サタンが車から降りて、私を持ち上げた。
 ルシファーは気がついたら、車から降りていて、サタンの後ろについてきた。

「その前に三毛猫バスターズが見つけているかもしれないにゃ」
「ふうん」

「俺は、愛しい人を見つけたんだ。
将来を、未来を、違える人に出会えたんだ」

「はあ、わたちよりも先に婚約者がいたとは」
「ルシファーは、俺のことが好きなのか?」
「好きに決まっている。だけど、この女の方が先なのが許せないにゃ」
「婚約って言うのは早いもの勝ちでな。ごめんな」
「わたちは、サタンのために尽くして、それでもサタンはわたちを好きになってくれないのかにゃ?」
「何度も言っている。俺の気持ちは、この女一筋で、これからも離すつもりはない」
「この女ばっかり・・・。わたちは、サタンのために尽くしたのに、何故?
こんなにサタンのことを思っているのに」
「はあ。そんなの君が勝手に思っていたことであって、俺の気持ちは初めての彼女一筋だけだ」
「初めての彼女なんていなくなればいいにゃ」

 そこで、ルシファーが怒り狂ったように叫んだ。
「この女なんて、いらない!
わたちの恋路の邪魔をした!
滅びの肉球はここにあるにゃ!」

「救いの肉球はここにあるにゃ。時間を巻き戻してあげるにゃ」


 1歳にも満たない一匹の三毛猫ルシファーを飼い始めて、私と先輩で可愛がった。
 まるで、ルシファーは自分の子供みたいだった。

「すごくかわいいですね、先輩」
「うん」

 付き合い始めて一週間もたっていなかった。
 付き合ったきっかけは、私が告白してから、先輩は二つ返事だった。

 今、先輩は大学進学に向けて、受験勉強をしている。
 その間に、私は家に来て、子猫のルシファーを可愛がった。
 
 先輩の家から自分の家に帰る時に、一匹の三毛猫に会った。
 先輩に家猫が家出した?
 よく見ると、先輩の飼っているルシファーとは、なんか違う。

「あたちは三毛猫にゃ。時間を二回巻き戻してきた猫にゃ」

 どうゆうことだろう?
 たしか、先輩は初恋も、初カノも、私が初めてとは聞いたけれど。

「名前を聞いてもいいかな?」
「あたちは、ブラックレディにゃ」
「ブラックレディ?」
「ルシファーの姉だにゃ」
「ルシファーのお姉さん?」
「へえ、ブラックレディは私の飼い猫になってくれるかな?」
「別にいいんにゃが」
「私も猫が欲しかったの」

 こうして、ブラックレディは、私に飼い猫となった。

 近所に小さな三毛猫カフェがあって、そこにはたくさんの三毛猫がいた。
 ルシファーも、赤ちゃんの頃は、三毛猫カフェにいたらしい。

 三毛猫カフェにいる三毛猫の名前は、
 ホワイトレディ、
 タマ、
 さくら子、
 ピンキー、
 スモモ、
 ねず、
 猫姫、
 姫、
 ピース、
 キュート、
 ミケ、
 ちびび、
 ヤサイウーマン、
 ヤサイマン、
 アスミン、
 ジャスミン、
 ミケレディ、
 うしし、
 ネコット、
 ミカエル、
 カール、
 アシェリー、
 さくら二号、
 エリザベス、
 ベス、
 さくらんぼ
 だった。

 高校二年生になった私は、三毛猫カフェに来た櫻《さくら》君と出会った。

「櫻君、今日もかっこいいね」
「恥ずかしいから、やめるですぞ」
「今日の恋バナ、聞かせてよ」
「初恋の人とは、小学が別々になったですぞ」
「え?」

 櫻君は、佐倉さんという同い年の幼稚園の女の子と片思いだったらしい。

「櫻君って、下の名前、何て言うの?」
「それは、キラキラネームですぞ」
「キラキラネーム?」
「水泳《スイミング》ですぞ」

 こうして、私と櫻君は仲がよくなった。
 あれから、4年後。
 櫻君と、私の交際がスタートした。

 ここで、サタンという悪魔が現れた。
「ほう。ここにいたか」
「どちら様か知りませんが、相手にする気はないので」
 私はその場を立ち去った。

「初恋の」
「いいです。初恋だろうとなんだろうと、私は結婚していますので」
「結婚?」
「妊娠もしています。ですので、今後一切関わらないでください」

 変な男にところに行かないのが私。
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