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オールキャスト

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「集まってくれたメンバーはこれで全員?」

 蒼月のことを気にしていると、わたし達の集まる輪の中心に立った大晴が全員の顔を見回して「まあ、妥当なメンバーか」とひとりで納得したみたいに頷いた。

「映画って、こんな少人数で撮れるの?」
「うん、いけるんじゃない?」

 大晴が机におろしたリュックを開けて手を突っ込みながら、わたしの質問に適当に頷く。

「ほんとに? 大晴が涼晴を誘って、わたしがあやめのこと誘って……。蒼月は誰も誘わなくてよかったの? 特進科で仲良い友達とか」
「え、友達……?」

 わたしが念のため訊ねると、蒼月はあからさまに困った様子で、助けを求めるように大晴のほうを見る。やっぱり、蒼月の様子はこの前会ったときと全然違う。

 わたしが蒼月のことを怪訝な目で見ていると、それに気付いた大晴があっけらかんと笑う。

「あー。いいの、いいの。べつに絶対に誘えって意味で言ったわけじゃないから」
「そうなの?」
「そうそう。映画なんて、撮ろうと思えばひとりでも撮れるからね。それに、今回の映画制作で、出来栄えは全く重要じゃないし」

 大晴の発言に、「は?」と、わたしの表情がゆがむ。

「じゃあ、大晴がひとりで撮ればよくない?」

 せっかくみんなが集まってくれているのに、発言が無責任すぎる。わたし達だって、暇じゃないのに。

「それは違うんだって。言っただろ。おれは、陽咲や蒼月たちと今年の夏休みの記録を残したいんだって」
「記録? 思い出じゃなくて?」

 わたしが不満顔で訊ねると、大晴は微妙な間の後に、にこっと笑った。

「まあ、おんなじようなもんでしょ」

 なにが、どうおんなじなのだろう。なんだか、誤魔化されてうまく逃げられた気がする。

 だけど大晴は、腑に落ちない顔のわたしを無視して、リュックからタブレットを取り出した。

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