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26話 何だかいろいろ動き出しました

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御祖母様おばあさま達のところへ?」

「そうです。あの方々は破天荒なところはありますが、このような時は結構頼りになりますしいろいろ聞きたいことがありますので。それにこういうことには異常なまでの鼻が利きますのでこちらから言ってけん制しておかないといきなり乗り込んで来られても面倒なことになりそうなんですよ。」

セバスチャンはため息交じりに言った。

御祖母様おばあさま達には3年前に会ったきりだ、お父様に公爵家を譲った後、領地にて4人でのんびりと隠居暮らしを楽しんでいるようだ。いつも会うたびに4人にかわいがってくださるのはいいのだけどそれがどんどんエスカレートしていくのが難点だ。
いつだったか、私が一番喜ぶプレゼントは何かで揉めて、御祖父様おじいさま達は国宝級の大きな宝石を御祖母様おばあさま達はなんとドラゴンを持ってきた! とりあえず両方とも丁寧にお断りした。ドラゴンはちょっと寂しそうだったから領地で飼うことに(だって持って帰ったりしたら王都の人たちがパニックを起こしてしまうわ)なって領地に行った時に遊んだりしている。
そういえばリュウは元気かしら。

「でも、この時期に王都を離れるのはまずいのではなくて? お父様はお仕事もおありでしょうし。」

「それはちょっと細工してまいりました。まず初めに、お嬢様は今回の事で心神喪失して病に伏せられているということになりました。療養のためお祖母様方のいらっしゃる領地に行かれると、旦那様はその付き添いで一緒に向かわれるということになっております、表向きはですが。そしてアレク様が護衛をするという手はずとなっております。」

「ちょっと待って、アレク様は怪我をされているのよ? 護衛なんて無理ですわ!」

「お嬢様、落ち着いてください。何もアレク様が直接行かなくてもいいのですよ。『行った』と見せかければよろしいのです。」

「見せかける? 替え玉を用意するということ?」

「さようにございます、先ほどの騎士様をアレク様の代わりに変装させて同行させていただきます。あとお嬢様の代わりはメイを連れて行きます。本当はメイをここへ残しておきたかったのですが適任者が他におりませんでしたので。」

「ここは私1人でも大丈夫だわ! ね? アレク様」

「あ、ああ、まあな……。」

「領地には急いでも一週間ほどお時間がかかりますそれまでアレク様はこの屋敷から出ないようお願い致します。どうしても出られるときは変装をしてくださいませ。」

「わかった。こちらとしても怪我を表沙汰にはしたくなかったので助かる。そっちが帰ってくるまでに治しとく。」

「旦那様はあなたに怪我を負わせたこと大変、悔いておりました。本当は這ってでも謝罪に行くと申されたのですが私がお止めしたのです。主にかわって……。」

セバスチャンが謝ろうとしているのを遮ってアレクが言った。

「いや、それはいらないぞ。何者かの干渉での事だったのならルイスのせいではない。とにかくあいつに精神攻撃してきた者を突き止めるほうが先だろ?」


「おっしゃる通りでございます。私はこれから支度がございますのでこれで失礼させていただきます。―― お嬢様、申し訳ないのですが下にいる騎士様とメイを呼んできてはもらえませんか?」

「うん、わかったわ!」

私はそう言うとアレクの部屋を出て階下へと向かった。






「そうそう、アレク様。旦那様からご伝言がありまして。」

「―― なんだ?」

アレクは何だか嫌な予感がしたが聞かないわけにはいかない。

「『ヴィクトリアの事をよろしく頼む、あと貴殿には紳士的対応をお願いする。くれぐれも私の信頼を裏切るようなことがないように』とのことでした。まあ、軽いけん制ですね。」

「ったく、どんだけ親ばかなんだよ。それに俺はあんなじゃじゃ馬をどうこうしようとか思うもの好きでもねえよ。そう言っとけ。」

「はは、お言葉承りました。しかし、お嬢様は天性の人たらしでございますからお気をつけください。」

そう言って、セバスチャンは意味ありげに笑った。


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