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The 25th episode

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 政宗の酒癖の悪さやら、潤の体調やら、俺は家で待つ環と伊緒の件もあり、わりと早め、3時間くらいでその日は終わった。

 不安要素①の潤は案外それほど酔わず、寝ることもなかった。
 政宗は「ホントーによかったなぁ流星ぃぃ」とこんな具合。

 潤は「あ、二件目入ったわ。じゃね」と一人タクシーに乗り込んでしまい、仕方なく俺が検問のない場所を選んで政宗を送り届けることになった。

「あはぁ、お前にもぉ、子供出来んのかなぁ…」

 最早政宗はただの親戚のおじさんのようになっていた。

「…出来たら報告しますが断然まだ先ですよマジで」

というか忘れていないか政宗。
いや、感傷に浸りすぎてるのか?
環は子供は、臨めないんだぞ。

「そっかぁ…。
 名前俺が考えるわ」
「なんでだし」

しかしなぁ。
現実を突き付けられると少しだけ、まぁ痛い。

「…まずは事件解決したら、結婚してとか…あるからさ」
「そだなー。
 あれからどぉした?」
「あぁ、まぁ…三人で話しましたが、まだ環は考えると」
「ほぉ?」
「いや、政宗が嫌な訳じゃないだろうけど」
「やっぱお前がいいってかぁ?
 だぉなぁ、
流星、ちゃんと守ってやれよー。守れんの、お前だけなんだから…」

あぁ、そうねぇ。

「…まぁ、はい。そりゃ、ここまで来たら考えますよ」
「おー、おっさんは安心したぉ!」
「ん。どうも」

掘り下げず、取り敢えず無難に。

 なぜイライラしてたかはまぁわからんが、政宗の次の話題は「潤…」だった。

「大丈夫かなぁ」
「…まぁ、大分グロッキーだったみたいですね」
「やっぱぃ?んな気ぃした。ちゃんと家帰るかなぁ…あいつぅ」
「母親みたいだな政宗」
「まぁね」

 そう言いながら、少し眠そうに、倒された助手席に寝転び、目元に腕を当てる。
 表情はわからないが、少し口元は笑っている。
だが、何故か哀しそうにも見えた。

 特に声は掛けないで置こうか。なんせ面倒だし、考え事をしているところ、思考遮断に持ち込むのはあまりよくないだろう。

そりゃ、俺だって考えない訳じゃない。

振り返って例え過去となっていたとしても、変えようのないことだ。
しかし、未来は変えられるのかと問われたら微妙な話だ。

「あそこ、やっぱ旨いよな」
「え?あぁ…そうですね」

それでもやはり、思考は過去へ行きがちだ。
あそこは、食にうるさい樹実が選んだ場所だ。

「流石だよな」
「そうですね」

 それ以上会話は続かず、少ししてから寝息が聞こえてきた。
 それから政宗を家まで送り、マンションの前で「じゃな、」と肩を叩かれて終わった。

 漸くこれで一安心と、タクシーを呼んで自宅へ向かうまでは仮眠を取ったらしい。途中までは、樹実の事とか、考えていた気がするが。

さて、きっとそろそろ環は眠いはずだ。寝ていたら起こさないようにしなきゃな。

伊緒は部屋かな。
今日は疲れただろうし寝てるかな。

 アルコールの暑さに夜風が丁度良いと感じる。意外と酔ってるかもしれない。

まずは風呂に入ろうかな。なんか酒臭いのも環に申し訳ないしな。

 そうしようと決めて家の鍵を開け、真っ先に風呂場の脱衣所のドアを開けると。

「あわっ、」

 環が裸で、風呂から出てきたらしい。タオルを肩に掛けて洗面台に立っていた。
 がっつり見えた後ろ姿と、鏡から環と目が合い俯いて「ご、ごめん」と引き戸を閉めようとすれば「おかえりなさい」と言われてまた顔を上げてしまった。

 にこっと笑った顔で振り向いた環に、
てか俺なんでビビってんだよと、至って普通な表情に戻そうとして「ただいま」と返したが、どうにも声が震えた気がしてさっさと閉め、リビングに逃げる。

 電気をつけて冷蔵庫の前に立てば、アルコールすっ飛んだんじゃないの?いや、返って増したんじゃないの?と言うくらい冷や汗をかいた。
 水分を補おうとミネラルウォーターを取り出し、ソファーに座ってガバ飲みして一息吐いた。

 暑さかなんなのかわからんがシャツの第三ボタンまで開けて仰ぐがいやぁ、肌が白くて背中のラインとかお尻とかすごい形よかったなぁとか考えちゃってまた水を飲む。あまり考えていると絶対辛くなる(生理的に)。

「どこまでいったか大体わかるけど」

とか潤に言われたが恐らく猿潤、的外れだ。俺たち実はどこまでもいっていない…。というかこれ、付き合ってるとかいないとか言っていいのかいまいちわからないし。

思いは伝えたんだけど。
ほんでもってクリスマスの次の日ちゃんと伊緒は政宗宅へ行ったんだけど。

二人でゆっくり過ごした。

 これ、潤に言ったら間違いなく「不感症なのお前」と言われるだろうシチュエーション。

いやだって。
なんだかなぁ。

例え「付き合ってる」としても、なんか、環の過去をどうしても考えてしまって。なんて背徳感だとかエゴでしかないけれど。
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