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The 10th episode

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「要するにお前と俺だ」
「は?え?違うよ」
「だーかーらー!スナイパーとスポッターだよ殺すぞ」
「あ、あぁ、なぁんだ。ってあぁ!?」

ムカつく。そして衝撃。

「それも誤解があると思うぞ潤」
「は?え?」
「あたしはあれですよ、こいつが案件持ってくる、それを処理する的な役割っすよ。
 ま、一緒に住んでたし職業柄お互いよーく知ってなきゃなんねぇから一回くらい寝てっけど」
「一回で済んだらいいな」
「それな、ゲス。お前本気でやべぇからな」
「あぁ、その辺本気でどーでもよいでーす。はーい、俺先に仕事戻りまーす」
「まま、お兄さんちょっと待てよつれないなぁ」

意外に面倒な女だなぁ、こいつ。なんなんだ。
 アキコは、にやっと笑ってタバコを揉み消した。

「お兄さん名前は?あたしは横山よこやま暁子あきこ、警視庁の機動捜査隊きどうそうさたいだ」
「あぁ」

機捜隊か。そんな女がどうしたというんだ。

「…厚労省の壽美田流星です」

 なんとなくだが、今迂闊にこいつに部署名を言ってはならない気がする。

「何をやってんのか、野暮なことは聞かないが、どうせスパイみたいなもんだろ?いい仕事があるんだがやらねぇ?」
「…物によるな」
「あ、やっぱあんたの方が上司なんだな。じゃぁ話が早い。
 警視庁幹部にちょっと粉臭ぇヤツがいてな。マトリか、警察庁に持ってこうとしたが、この男がちょっと政府絡みでな。なかなかクリーンな日本人には捜査が出来ねぇが…まぁ、潤なら、クリーンでもなけりゃぁ日本警察じゃねぇし、ある意味。いけねぇかなぁと思ってな。
 ましてやあんた、潤の相棒ならそっち筋だろ?どうだい一躍。あたしも乗り掛かったもんはあんま降りたくねえ主義でさ」
「なるほどな」

この女、そんじょそこらの公安じゃねぇな。

「ちなみに他のそっち系の知り合いに当たったが…そいつは今目の前事案が忙しいらしくてな。何でもコバエがうるせぇとさ」

どっかで聞いた話だな。それは収穫がありそうだが。

「ちなみにそれ、俺や潤が断ったらどこに行く話なんだ?」
「うーん、特本部あたりかな」
「あんた、わかってて言ってんだろ?」
「話が早いな」
「つまりはそっちネタか」
「さぁ。まだ捜査が進んでねぇから、最悪ガセになるかもな」

この女、なに考えてやがる。

「ふっ、」

 潤が笑った。「あんたら相性いいな」と言う。

「なぁアキコ、それってさ、どっち系のネタ?」
「そうさなぁ、どちらかといやぁ内部だな」
「内部…」

つまりは?

「ははー。無駄に仕事が出来るって怖いねぇ。お前盗聴機付いてたら殺されるよ?
 だから俺な訳ね。はい、誰?」
「警視庁長官、速見はやみ秀次郎しゅうじろう
「具体名出しちゃったよ。確たる証拠は?」
「まぁ焦んなよ潤。確たる証拠?んなもんはまだ曖昧だよ」
「だってよ流星。多分こいつは乗らないよ、アキコ」

あぁ、全くもってその通りだ。

「喧嘩売ってんのかてめぇら」
「あ?」
「ほらな。こいつ昔な、」
「うるせぇジゴロ。昔話はすんじゃねぇよ胸クソ悪ぃ。どういったご了見でウチの現場監督官を使おうってんだいお姉さん。え?
 てめぇもてめぇだ。どういったご了見でその仕事やろうってんだ」
「…へぇ、案外、良い男だな潤。お前が珍しくついていくのもわかる気がするな。悪かったよ。喧嘩売る気はねぇんだ。ただ、ある意味喧嘩売ったな」
「だから、どういった」
「まぁ早い話が寝て来いってこったね、ぶちょー」 
「いや…」
「あぁ?」

 静まり返った。
 潤はしれっとタバコにまた火をつけてるしアキコは黙って見てるし。

てめぇら真面目に言ってんのか。

「却下だ」
「でしょうね。
 最近俺そーゆー系で死にかけたんだよ、アキコ」
「またやってんのか」
「またってなんだまたって」
「いやこっちの話だ。あんた、案外わかってねぇな」
「何がだアバズレ。大体てめぇらなんざに頼らんでもありがとな、ヒント貰いましたわ。さっさと戻って仕事するわクソったれ」
「壽美田さん」
「んだよ」
「悪い、ホントにそんなんじゃないんだ。ただ、謝るのは一度だ。今回はあたしが不躾だった」

 そう、少し真面目そうに言ったから。

「…次から気を付けろクソったれ。俺は気が短いんだ」

 それだけ言って喫煙所を後にした。
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