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The 3rd episode

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 コーヒーを10本買おうと思って、近くの自販機に金を突っ込み、何回か連打して取れなくなってしまった時、後ろから後頭部を軽く叩かれた。

 誰だ俺の背後を取るなんて強者。

 振り向いたら半笑いの政宗だった。「今時そんなやついるかよ」とか言って手伝ってくれた。

「あー、お前これバカ、何回押したんだよ」
「二個買いボタン3回目で気付いた」
「マジか快挙だな」
「やべぇこれぶっ壊した?ちょっと管理の人呼ぶべき?」
「わかんねぇ、これは人生初経験だわ」

 その後5分くらい二人で四苦八苦してなんとかコーヒーを救出。
 残り4本は怖かったので1本づつ買って部署に戻った。

「随分遅かったですね」

 心配そうに、黒田に言われた。丁度俺に書類を提出したかったらしい。

「すまん、いろいろ事故が…」

 一人一人にコーヒーを配り歩きながら、「こいつアホすぎてさ…」とか政宗がさっきの快挙を触れ回っている。やめてくれ。ホント恥ずかしい。

 それを聞いた一同、瞬時に大爆笑。

「ばっかじゃねぇのお前!」
「いや、だって…」
「いやぁ、流星さんにも弱点あるんだなぁ…」
「おっ、おっかしい…!部長マジかよ俺でもわかる!」
「うっせぇ早坂!次てめぇに行かすぞチビ!」
「ぶちょー意外に可愛いですね♪」

 意外にってなんだ、意外にって。

「確かに普段の流星さんからは想像もつきませんね」

 何故かここで女子二人は納得しあっていた。
 しかし見渡せば、先程までのピリピリした雰囲気は消し去っていた。

「さて仕事に戻るぞー、流星がまたキレる前になー」

 なんだかんだこの部署まとめてんの、政宗のような気がするんだが。

「あ、で、黒田…いや、瞬、書類は?」
「はい。
 流星さんと潤…さんを狙撃したビルの特定、犯人の特定ができました」

 やはり一人でやる分時間は掛かったな。

「この犯人なんですが…。暴力団組織、龍ヶ崎連合会りゅうがさきれんごうかいの會澤組《あいざわぐみ》の山岡やまおか建造けんぞうという男でした」
「そいつは今は?」
「これが時間が掛かった原因なんですが…。
 一昨日、東京湾で発見されました」
「なるほど」
「これが死体の…」
「あ、うん、いまはちょっと…」
「はい?」
「あー。あんねー、君、瞬くんだっけ?そいつねー、死体ダメなんだよ、アドレナリン出てないときは」
「あ、はぁ…」

 茶化すように言う潤を睨み付ける。政宗が向かいのデスクで笑っているのが見えた。

「…なんとなく暴力団員の死体は見なくても想像がつくので大丈夫です。もし異変があったらあそこにいるハウルみてぇな奴に渡してください。
 潤、てめぇ今日から死体担当だ」
「はぁ~。やめてよね人聞き悪い。より変態っぽいじゃん」
「いや、死体担当は私がやりますよ流星さん」

 神的スマイルで言う慧さんがなんか素敵だが怖い。

「あ、どうもです…はい」
「あ、はーいはーい!私もー!」

 瞬の報告を聞いてか、うらが手を挙げて立ち上がった。げんなりするくらいの、どうやったらそうなるんだ?というレベルのなんか露出度だ。

かすみ、俺この前制服直して来いって言ったよな。それやっていいのはジャンキー事務所に潜入捜査するときだけだよ」
「直しましたよぉーいやだなーぁ」
「政宗、最早そいつには警官の制服を買い与えてください。今すぐ発注!サイズは大きめのにしてください」
「えぇー。ぶちょーそーゆー趣味なんですかー?」

 うぜぇ撃ち殺してぇ。

「結果は?」

 総無視。

「はいはーい。えっとぉ、あのぉ」
「うん、手短にね」

 出来るだけ笑顔で対応しているつもりだが少しイライラしてしまう。俺は今日特に機嫌が悪い。

「あのう、ここ最近で選挙違反とかぁ、脱税した人でぇ、ヤクザ繋がり以外の人ぉ、調べましたぁ。はいこれリスト♪」

 どうせ、と目を通せば予想に反した。
 すげぇ、ちゃんとしてる。

「すげぇ」

 俺が唖然としているなか、霞は一人デスクに戻っていく。

 内容がわかりやすくて相当細かい。

「何がすげぇの?」
「見て見ろこれ」

 覗き込んできた潤にポイっと書類を渡してみた。

「へぇ…。なかなか優秀だねぇ。霞ちゃん!」
「はぁーい」
「君二課だよね?
 ついでに鑑識課のサイバーのデータ送ってもらって。そっちの手伝い」
「えぇぇ~!」
「後でケーキ奢ってあげるから」
「もぉ~、潤さんってばぁ」

 すげぇ潤。

「あー、で、そうだ、流星。麻薬物件一個持ってきたぞ」
「はいはい」

 政宗がデータをパソコンに送ってくる。

 そんななか再び着信。再び高田だ。

「…悪い、後で目ぇ通します」

 何やら今日は忙しい。
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