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Hydrangea
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そう言えば教えてもらったなぁ、勉強とか。
「そういえば勉強教えてもらった」
「大学生だったんだよ」
「みっちゃんとお仕事仲間だったよね」
「そうそう。光也さんがバイト先の先輩だった。
初めて小夜と会った時マジビビったよ。具合悪いとか言ってんのにバイトやるとか言い張っててさあの人。無理矢理家返して送ってったらガキいるんだもん。
ちょうどあの人彼女と別れたばっかだったからさ、え?妊娠させてガキ置いてかれたのかなとか色々考えちゃってさ」
懐かしさと意外な事実が入り交じっていて、だけどなんとなく、納得出来た。色々疑問だったことが繋がりそうだ。
「確かに遥子お姉ちゃんも初めて会ったとき、凄くみっちゃんに怒ってた?なんかよくわかんなかったけど勘違いしてたみたいで…誘拐がなんたらって」
「ふっはっは!ねぇさんらしいや。多分幼女誘拐と間違えたんだろうな。
あの人あの頃誰にも小夜のこと言わなかったからね。みんな家行ってみたらあれ?みたいな。
まぁ確かにさ、やけに忙しそうにしてんなとか、金欠ってかバイトばっかしてんなとは思ってたんだよ。
バイト終わるとソッコーで帰っちゃうし。一人で家いるの嫌いだったのになんでだろ?とか思ってたら…みたいなね」
「やっぱり。大変だったのかな」
「そりゃぁそうだよ。一人暮しだって大変なのに」
「実はね、これから一人暮しするの」
「え?」
そう言えばマリちゃんに話さなかったな。
「三重で?」
「違うよー、こっちで。寮なんだけどさ」
「マジ?すげーな。
金とか父ちゃん?」
「だったりバイトしたり…かなぁ」
「バイト先決まってんの?」
「まだ。東京来て3日目」
「ウチくる?」
「え?」
いや、寮なんだけどなぁ。
「ちょうどいいや。いまから行くしさ」
「寮だよ?」
「あーごめん、そうじゃなくて働く先。
実はね、あれから何だかんだあって、店やってんだよ。光也さんと」
「えっ!」
「うん。多分高校生大丈夫だと思うけど。っつってもバーだからな。
俺らが働いてたバイト先、あったじゃん?あそこの料理長が独立して店始めて、そこに俺ら引き抜かれたってか、一緒にやらねぇかって言われてさ。別に行くあてもなかったし。俺はそーゆー系の仕事やりたかったから丁度いいやってね。
光也さんいまはそこでバーテンやってんだぜ?すげぇだろ」
「うん、凄い」
「人も足りねぇし大丈夫じゃねぇかな。今日もそれで光也さん、店ちらっと顔出すって言ってたんだ」
「なるほどー」
なんとなくだけどあれから、あまり変わっていないような気がする。まだみっちゃんには会ってないからわからないけど。マリちゃんの話を聞くと、昔みたいに二人とも仲良しだし、仕事忙しそうだけどなんだか充実していそうだし。
昔のみっちゃんも、なんだか忙しそうにしていた。だから私はお留守番が多かった。寂しくもあったけど、帰ってきたらいつも気にかけてくれたし、疲れてるはずなのに、そんな素振りを見せないでいてくれたから、寂しいなんて言わなかったし、帰ってきたら寂しさなんて忘れてしまっていたんだ。
「まだ会ってないのになんか、みっちゃん変わってなさそうだなー」
「…そうかもね。小夜にはあのころの光也さんはどう見えてた?」
なんかそう聞かれるとなぁ…。なんで突然そんなこと聞くんだろう。
「とにかく優しかった。良くも悪くも。人にはものすごく。でもそれが不思議だったなぁ」
「不思議?」
「なんであんなに優しかったんだろうって離れてから考えた。あれから、あんなに優しい人、男の子も女の子も会ってないもん。なんでかなって。
私も頑張ろうとしたってさ、そうすると逆に嫌がられたり、それでやめてみたら冷たいって言われてみたり中途半端だって言われたり」
「まぁ人間観察もあるんだろうけど逆に俺は、小夜がそこまで人のことを考えるってのは優しすぎるんだと思う。
大抵の人間はこっちが考えてやっても本人は結構考えてないんだよ。相性ってのは、そのバランスがガッチリ合ったときに良いって言えるんだろう。そーゆーヤツと結婚したり生涯唯一の親友とかになるんだろうね。そんなヤツ、なかなか見つからないよ」
「マリちゃんはみっちゃんとぴったりだったの?」
「う~ん…。どうなんだろうね。このパターンはまた違う気がするけどここまでくるとそんな気もするし…。
ほら、難しいだろ?」
「なるほどね。難しい」
「小夜と俺たちはどうなんだろうね」
そう言って笑うマリちゃんの笑顔は昔と全然変わらない。
なんだろう、昔を振り返ってみるといまはっきり思い出すのは、マリちゃんの笑顔ってなんか印象的なんだよなぁ。子供っぽいのかな?無邪気なのかな?
「私たちかぁ」
みっちゃんが私に最後に残した言葉で私はなんとなくやってこれた気もする。答えをずっと聞きたいと思って考えた。考えたけど全然分からなかった。
「神様、ホントにいるかな」
「ん?」
子供のころ、神様なんて大嫌いだと思ってた時にくれた言葉。それが希望にもなったし、錘になったこともあった。だから、
「早く会いたいな」
「もう着くよ」
「そういえば勉強教えてもらった」
「大学生だったんだよ」
「みっちゃんとお仕事仲間だったよね」
「そうそう。光也さんがバイト先の先輩だった。
初めて小夜と会った時マジビビったよ。具合悪いとか言ってんのにバイトやるとか言い張っててさあの人。無理矢理家返して送ってったらガキいるんだもん。
ちょうどあの人彼女と別れたばっかだったからさ、え?妊娠させてガキ置いてかれたのかなとか色々考えちゃってさ」
懐かしさと意外な事実が入り交じっていて、だけどなんとなく、納得出来た。色々疑問だったことが繋がりそうだ。
「確かに遥子お姉ちゃんも初めて会ったとき、凄くみっちゃんに怒ってた?なんかよくわかんなかったけど勘違いしてたみたいで…誘拐がなんたらって」
「ふっはっは!ねぇさんらしいや。多分幼女誘拐と間違えたんだろうな。
あの人あの頃誰にも小夜のこと言わなかったからね。みんな家行ってみたらあれ?みたいな。
まぁ確かにさ、やけに忙しそうにしてんなとか、金欠ってかバイトばっかしてんなとは思ってたんだよ。
バイト終わるとソッコーで帰っちゃうし。一人で家いるの嫌いだったのになんでだろ?とか思ってたら…みたいなね」
「やっぱり。大変だったのかな」
「そりゃぁそうだよ。一人暮しだって大変なのに」
「実はね、これから一人暮しするの」
「え?」
そう言えばマリちゃんに話さなかったな。
「三重で?」
「違うよー、こっちで。寮なんだけどさ」
「マジ?すげーな。
金とか父ちゃん?」
「だったりバイトしたり…かなぁ」
「バイト先決まってんの?」
「まだ。東京来て3日目」
「ウチくる?」
「え?」
いや、寮なんだけどなぁ。
「ちょうどいいや。いまから行くしさ」
「寮だよ?」
「あーごめん、そうじゃなくて働く先。
実はね、あれから何だかんだあって、店やってんだよ。光也さんと」
「えっ!」
「うん。多分高校生大丈夫だと思うけど。っつってもバーだからな。
俺らが働いてたバイト先、あったじゃん?あそこの料理長が独立して店始めて、そこに俺ら引き抜かれたってか、一緒にやらねぇかって言われてさ。別に行くあてもなかったし。俺はそーゆー系の仕事やりたかったから丁度いいやってね。
光也さんいまはそこでバーテンやってんだぜ?すげぇだろ」
「うん、凄い」
「人も足りねぇし大丈夫じゃねぇかな。今日もそれで光也さん、店ちらっと顔出すって言ってたんだ」
「なるほどー」
なんとなくだけどあれから、あまり変わっていないような気がする。まだみっちゃんには会ってないからわからないけど。マリちゃんの話を聞くと、昔みたいに二人とも仲良しだし、仕事忙しそうだけどなんだか充実していそうだし。
昔のみっちゃんも、なんだか忙しそうにしていた。だから私はお留守番が多かった。寂しくもあったけど、帰ってきたらいつも気にかけてくれたし、疲れてるはずなのに、そんな素振りを見せないでいてくれたから、寂しいなんて言わなかったし、帰ってきたら寂しさなんて忘れてしまっていたんだ。
「まだ会ってないのになんか、みっちゃん変わってなさそうだなー」
「…そうかもね。小夜にはあのころの光也さんはどう見えてた?」
なんかそう聞かれるとなぁ…。なんで突然そんなこと聞くんだろう。
「とにかく優しかった。良くも悪くも。人にはものすごく。でもそれが不思議だったなぁ」
「不思議?」
「なんであんなに優しかったんだろうって離れてから考えた。あれから、あんなに優しい人、男の子も女の子も会ってないもん。なんでかなって。
私も頑張ろうとしたってさ、そうすると逆に嫌がられたり、それでやめてみたら冷たいって言われてみたり中途半端だって言われたり」
「まぁ人間観察もあるんだろうけど逆に俺は、小夜がそこまで人のことを考えるってのは優しすぎるんだと思う。
大抵の人間はこっちが考えてやっても本人は結構考えてないんだよ。相性ってのは、そのバランスがガッチリ合ったときに良いって言えるんだろう。そーゆーヤツと結婚したり生涯唯一の親友とかになるんだろうね。そんなヤツ、なかなか見つからないよ」
「マリちゃんはみっちゃんとぴったりだったの?」
「う~ん…。どうなんだろうね。このパターンはまた違う気がするけどここまでくるとそんな気もするし…。
ほら、難しいだろ?」
「なるほどね。難しい」
「小夜と俺たちはどうなんだろうね」
そう言って笑うマリちゃんの笑顔は昔と全然変わらない。
なんだろう、昔を振り返ってみるといまはっきり思い出すのは、マリちゃんの笑顔ってなんか印象的なんだよなぁ。子供っぽいのかな?無邪気なのかな?
「私たちかぁ」
みっちゃんが私に最後に残した言葉で私はなんとなくやってこれた気もする。答えをずっと聞きたいと思って考えた。考えたけど全然分からなかった。
「神様、ホントにいるかな」
「ん?」
子供のころ、神様なんて大嫌いだと思ってた時にくれた言葉。それが希望にもなったし、錘になったこともあった。だから、
「早く会いたいな」
「もう着くよ」
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