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第三話
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3人でブラブラと歩いて近くのショッピングセンターに向かった。ついでに夕飯も何か買おう。
テキトーにそれっぽいところを歩いてみたが、なかなか小夜のお眼鏡に敵わない。というより、小夜はどうやらこういう大きな店には初めて来たらしい。ずっとキョロキョロしていた。
ふと小夜が立ち止まったのはゲーセンの前だった。
「ん?」
小夜が恐る恐るといった感じに指差したのはUFOキャッチャーの青いクマだった。
「あれ?」
「あんなんでいいのか?」
俺と真里が二人して驚くなか小夜は頷いた。
「よし、俺が取ってやろう」
UFOキャッチャーは男の得意分野だ。大体女の子に取ってあげる係りをやらされるものだ。
100円入れてみても反応しない。あれ?
「光也さん、今のUFOキャッチャーはね、100円じゃないんだぜ」
「え?」
見たら1回200円。なんじゃそら。
「マジか。時代の流れやな」
仕方なくもう100円入れてやってみる。
こーゆーのは気持ちズレたところを狙うといいんだ。
あえなく失敗。UFOキャッチャーあるあるの、アームがクソゆるい。
「まだ勝負はこれからだ!手前の青いやつ転がそうかな」
アームがユルいときはこれをやるといい。が、これは同時に俺の操縦テクが関わってくる。
小銭を探したらなかった。
「真里、」
俺は財布から札を出した。間違えて1万円を出してしまったので慌ててしまって千円を真里に渡す。
「小遣いじゃないぞ?」
「あんたいつになく真剣だな…」
真里はすぐさまその千円を両替して戻ってきた。百円玉10枚計5プレイ。いける。絶対仕留めてやる。
クマとの戦い2ラウンド目スタート。
「真里、横から見てストップって言えよ?最初は自分でいく」
「へーい」
狙いを定めて縦方向!
「うああっ!行きすぎたわぁぁ!」
「これは次だな」
「つかなにこのボタン止まんねぇんだけどぉ!」
テキトーに左右ボタン押して終了、第3ラウンドへ。
「てか光也さん、言っとくが俺なら一発で穴に仕留めるぜ」
「おらやってみろヤリチンが」
※小夜がいて尚且つ公共の場なのを忘れています。
「一発でいったら俺にもご褒美くれるならやってやるよ」
「時と場合と物による!」
「んーじゃぁね、ちゅーね」
言ってるうちにタイムアップ。
「あっ」
思わず二人でハモった。第4ラウンド、選手交替で真里へ。
「光也さん甘いな。こーゆーのはなぁ」
え、めっちゃズレましたけど。横から見てても手前しか引っ掛からないんじゃ…。
「こーして、こうだ!」
クマ2匹取れるんじゃないかという位置でアームは止まり、降りた。案の定、クマ2匹掴んだが…。
「あっ!」
後のピンク色のクマと青色のクマ。どちらも持ち上げるのは不可能だが、それを利用したらしい。どちらもつかんだ結果どちらもずり落ち、後のピンク色のクマが青色のクマを蹴飛ばして見事ゴールイン。
「す、すげぇ…」
「伊達に暇な学生やってねーよ。ゲーマーなめんな」
真里の意外な一面を発覚。
思い出してクマを取りだし、小夜に渡した。
「ありがと!かわいい」
耳のところに花がついている。どうやらそれが気に入ったらしい。
「かっこよかったよ」
「だってよ、真里」
「んー」
残った400円をしまおうとしたら、
「なんかもの足りねぇな。小夜、も一個いる?ピンク」
「え?」
「ちょうど400円だ。勝負しようぜ。ちなみにさっきのチューは忘れてないからな」
「あれはなしだろータイムアップじゃん!」
「じゃぁもっかい唇貞操掛けて」
勝てる気がしない。
「えぇー」
「じゃぁあんた勝ったら何がいい?」
「んー…タバコ一箱」
「はいきたやるぜ」
なんでこんなコイツやる気満々なんだよー…。
ピンクのクマと俺の貞操を掛けていざ、勝負。
こーゆーのは作戦勝ちだ。どちらも一回キリならこっちが有利に立たねばなるまい。
さっきのピンクちゃん(仮名)は後ろに転がってしまったのでなかなか取りづらいが果たして真里はどれをゆくか。
「言い出しっぺ、先に行け」
「ま、元からそのつもりだ。あとで泣くなよセンパイ」
こいつなんでこんな自信があるんだ。どー頑張っても一発では無理だぞ。
「頑張るなよ後輩」
ここに来て弱気になる俺のもやし根性。それを見て真里はにやけて200円を入れた。
まさか、戦意喪失させる作戦なのか。
「あー楽しみだなぁ今夜♪」
「そこまでの貞操はやらんからな!」
正面に行ってくるっと回して…あ、やべ、持ち上がっちゃったけど…。足がしぶといな。よっしゃぁぁ!ギリギリで失敗、落ちた!
「うっし!」
「んだこのクソ機械。ぶっ壊すぞ」
「怖い怖い怖い!」
おかげで大変有利になった。やったな。セッターソフトパック一箱浮いたな。
そっからあっさりクマゲット。
「小夜、取れたぞ!」
そして小夜の両手はクマで塞がっていた。
「二つももらっちゃった」
「よかったなー」
「マリちゃん、みっちゃんありがと」
終わってみると、こんなのでホントによかったのかなって気もするが、小夜は今にもスキップしそうな勢いで喜んでいた。
「金のかからんガキだなぁ、小夜は」
青クマ800円、ピンククマ400円。確かに金のかからないご褒美だった。せめて夕飯くらいは何か好きなものでもと思ったが、「オムライス」とか言うもんだから、本日かかった出費は3000円に満たないくらいだった。
「どっか良いとこ連れてってやったらいいのかね?」
「いや、いいんじゃね?小夜がいいって言うんだし。そっちの方が嬉しいのかもよ。試しに聞いてみる?小夜ー!」
ホント間髪入れねぇな。
「ん?」
青クマを肩に背負って前を歩いてた小夜は振り返る。
「オムライスさ、デミグラスとケチャップどっち派?」
「え?…わかんない。ケチャップ?しか」
「あー、なるほどそうきたか。うんと、ハヤシライスのルーがかかってるヤツがデミグラス」
「え!なにそれ!」
すっげー興味津々だ。
「じゃぁさ、
超一流シェフが作るオムライス屋さんのオムライスと、俺か光也さんが作るオムライス、どっち食いたい?」
「んん?」
「超一流って言ってもわかんなくね?」
「んー…マジですごいコック」
「なんだそのガキみたいな説明」
「じゃぁ光也さんならなんて言うよ!?」
「んー…。美味しいお店」
「うわぁまとめた。けどなんか違ぇ」
「どこが違うよ」
「いや美味い店だけどね、なんか胃にすとんと落ちねぇな。あんたの面倒臭がりが凝縮された一言だわ」
「悪かったな」
とか二人でコントみたいなやり取りを繰り広げていると、小夜が笑い出した。
「また今度行きたい。今日はみんなで作ろ?」
「…そだな。材料買ったしな」
真里よりも大人だなぁ、小夜。
「なんか光也さんより大人じゃね?」
「…俺もいま、真里より小夜の方が大人だなって思ってた」
なんだか真里と二人でハモるように溜め息を吐いてしまった。
「あうんの呼吸?」
「え?どこで覚えたそんな言葉」
「意味若干違うし」
「遥子お姉ちゃん」
やっぱり!と言うのもまたハモってしまった。
「小夜、あのな、あいつわりと頭悪いからな。あいつから教わった言葉は一回辞書で調べようか」
「あとはね、私の辞書に不可能はないとか」
「あんのクソ姉貴っ!無駄なことばっかり…」
「隣の柿はよく客食う客だ」
「……」
「小夜、俺が一個教えてやる。今の光也さんのあの状態な、“絶句”って言うんだぜ」
「まさしく!」
「これが、あうんの呼吸」
今度会ったらぶちのめす。
あ、もう逢わないのか。
「…まいいや!帰ろ!」
気付いたら俺は二人より先に歩いていた。辺りはもう、夕方だ。
テキトーにそれっぽいところを歩いてみたが、なかなか小夜のお眼鏡に敵わない。というより、小夜はどうやらこういう大きな店には初めて来たらしい。ずっとキョロキョロしていた。
ふと小夜が立ち止まったのはゲーセンの前だった。
「ん?」
小夜が恐る恐るといった感じに指差したのはUFOキャッチャーの青いクマだった。
「あれ?」
「あんなんでいいのか?」
俺と真里が二人して驚くなか小夜は頷いた。
「よし、俺が取ってやろう」
UFOキャッチャーは男の得意分野だ。大体女の子に取ってあげる係りをやらされるものだ。
100円入れてみても反応しない。あれ?
「光也さん、今のUFOキャッチャーはね、100円じゃないんだぜ」
「え?」
見たら1回200円。なんじゃそら。
「マジか。時代の流れやな」
仕方なくもう100円入れてやってみる。
こーゆーのは気持ちズレたところを狙うといいんだ。
あえなく失敗。UFOキャッチャーあるあるの、アームがクソゆるい。
「まだ勝負はこれからだ!手前の青いやつ転がそうかな」
アームがユルいときはこれをやるといい。が、これは同時に俺の操縦テクが関わってくる。
小銭を探したらなかった。
「真里、」
俺は財布から札を出した。間違えて1万円を出してしまったので慌ててしまって千円を真里に渡す。
「小遣いじゃないぞ?」
「あんたいつになく真剣だな…」
真里はすぐさまその千円を両替して戻ってきた。百円玉10枚計5プレイ。いける。絶対仕留めてやる。
クマとの戦い2ラウンド目スタート。
「真里、横から見てストップって言えよ?最初は自分でいく」
「へーい」
狙いを定めて縦方向!
「うああっ!行きすぎたわぁぁ!」
「これは次だな」
「つかなにこのボタン止まんねぇんだけどぉ!」
テキトーに左右ボタン押して終了、第3ラウンドへ。
「てか光也さん、言っとくが俺なら一発で穴に仕留めるぜ」
「おらやってみろヤリチンが」
※小夜がいて尚且つ公共の場なのを忘れています。
「一発でいったら俺にもご褒美くれるならやってやるよ」
「時と場合と物による!」
「んーじゃぁね、ちゅーね」
言ってるうちにタイムアップ。
「あっ」
思わず二人でハモった。第4ラウンド、選手交替で真里へ。
「光也さん甘いな。こーゆーのはなぁ」
え、めっちゃズレましたけど。横から見てても手前しか引っ掛からないんじゃ…。
「こーして、こうだ!」
クマ2匹取れるんじゃないかという位置でアームは止まり、降りた。案の定、クマ2匹掴んだが…。
「あっ!」
後のピンク色のクマと青色のクマ。どちらも持ち上げるのは不可能だが、それを利用したらしい。どちらもつかんだ結果どちらもずり落ち、後のピンク色のクマが青色のクマを蹴飛ばして見事ゴールイン。
「す、すげぇ…」
「伊達に暇な学生やってねーよ。ゲーマーなめんな」
真里の意外な一面を発覚。
思い出してクマを取りだし、小夜に渡した。
「ありがと!かわいい」
耳のところに花がついている。どうやらそれが気に入ったらしい。
「かっこよかったよ」
「だってよ、真里」
「んー」
残った400円をしまおうとしたら、
「なんかもの足りねぇな。小夜、も一個いる?ピンク」
「え?」
「ちょうど400円だ。勝負しようぜ。ちなみにさっきのチューは忘れてないからな」
「あれはなしだろータイムアップじゃん!」
「じゃぁもっかい唇貞操掛けて」
勝てる気がしない。
「えぇー」
「じゃぁあんた勝ったら何がいい?」
「んー…タバコ一箱」
「はいきたやるぜ」
なんでこんなコイツやる気満々なんだよー…。
ピンクのクマと俺の貞操を掛けていざ、勝負。
こーゆーのは作戦勝ちだ。どちらも一回キリならこっちが有利に立たねばなるまい。
さっきのピンクちゃん(仮名)は後ろに転がってしまったのでなかなか取りづらいが果たして真里はどれをゆくか。
「言い出しっぺ、先に行け」
「ま、元からそのつもりだ。あとで泣くなよセンパイ」
こいつなんでこんな自信があるんだ。どー頑張っても一発では無理だぞ。
「頑張るなよ後輩」
ここに来て弱気になる俺のもやし根性。それを見て真里はにやけて200円を入れた。
まさか、戦意喪失させる作戦なのか。
「あー楽しみだなぁ今夜♪」
「そこまでの貞操はやらんからな!」
正面に行ってくるっと回して…あ、やべ、持ち上がっちゃったけど…。足がしぶといな。よっしゃぁぁ!ギリギリで失敗、落ちた!
「うっし!」
「んだこのクソ機械。ぶっ壊すぞ」
「怖い怖い怖い!」
おかげで大変有利になった。やったな。セッターソフトパック一箱浮いたな。
そっからあっさりクマゲット。
「小夜、取れたぞ!」
そして小夜の両手はクマで塞がっていた。
「二つももらっちゃった」
「よかったなー」
「マリちゃん、みっちゃんありがと」
終わってみると、こんなのでホントによかったのかなって気もするが、小夜は今にもスキップしそうな勢いで喜んでいた。
「金のかからんガキだなぁ、小夜は」
青クマ800円、ピンククマ400円。確かに金のかからないご褒美だった。せめて夕飯くらいは何か好きなものでもと思ったが、「オムライス」とか言うもんだから、本日かかった出費は3000円に満たないくらいだった。
「どっか良いとこ連れてってやったらいいのかね?」
「いや、いいんじゃね?小夜がいいって言うんだし。そっちの方が嬉しいのかもよ。試しに聞いてみる?小夜ー!」
ホント間髪入れねぇな。
「ん?」
青クマを肩に背負って前を歩いてた小夜は振り返る。
「オムライスさ、デミグラスとケチャップどっち派?」
「え?…わかんない。ケチャップ?しか」
「あー、なるほどそうきたか。うんと、ハヤシライスのルーがかかってるヤツがデミグラス」
「え!なにそれ!」
すっげー興味津々だ。
「じゃぁさ、
超一流シェフが作るオムライス屋さんのオムライスと、俺か光也さんが作るオムライス、どっち食いたい?」
「んん?」
「超一流って言ってもわかんなくね?」
「んー…マジですごいコック」
「なんだそのガキみたいな説明」
「じゃぁ光也さんならなんて言うよ!?」
「んー…。美味しいお店」
「うわぁまとめた。けどなんか違ぇ」
「どこが違うよ」
「いや美味い店だけどね、なんか胃にすとんと落ちねぇな。あんたの面倒臭がりが凝縮された一言だわ」
「悪かったな」
とか二人でコントみたいなやり取りを繰り広げていると、小夜が笑い出した。
「また今度行きたい。今日はみんなで作ろ?」
「…そだな。材料買ったしな」
真里よりも大人だなぁ、小夜。
「なんか光也さんより大人じゃね?」
「…俺もいま、真里より小夜の方が大人だなって思ってた」
なんだか真里と二人でハモるように溜め息を吐いてしまった。
「あうんの呼吸?」
「え?どこで覚えたそんな言葉」
「意味若干違うし」
「遥子お姉ちゃん」
やっぱり!と言うのもまたハモってしまった。
「小夜、あのな、あいつわりと頭悪いからな。あいつから教わった言葉は一回辞書で調べようか」
「あとはね、私の辞書に不可能はないとか」
「あんのクソ姉貴っ!無駄なことばっかり…」
「隣の柿はよく客食う客だ」
「……」
「小夜、俺が一個教えてやる。今の光也さんのあの状態な、“絶句”って言うんだぜ」
「まさしく!」
「これが、あうんの呼吸」
今度会ったらぶちのめす。
あ、もう逢わないのか。
「…まいいや!帰ろ!」
気付いたら俺は二人より先に歩いていた。辺りはもう、夕方だ。
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