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不眠症
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なんて。
「…すぐ、済ませるから、じゃあ待ってて」
…悪い大人。
そして二人ともだ、狡い人。みんなが最低。でもどうして?なんでなの?
「俺、する?」
途端にロボットのようになってしまった平中くんに少しぼーっとしてしまったが。
「…ん?あれ?ネコな気分なの?」
「え、いやぁそうじゃなく…ネ、ネコを愛でたい気分だけども…」
てんてんてん、と考えているうちに平中くんは照れたように顔を手で覆った状態で「……いや、待った…し、仕切り直す?」と言うのに…ちょっと申し訳ないけど「ふっ、」と笑ってしまった。
「あー察した察した。はいはい。んーでもお風呂は旦那としか入らないからダメ。じゃ」
意外と可愛い子だな。ホント、実は童貞だったのかな。
最近の子は事務所が昔より煩いらしいけど、流石にないか、抑制力はあんまりないし、今の子の方が頭良いし。
シャワーを借りて考える、ほどの時間もないけれど、まぁ少し焦らしちゃうかな、なんて……。
卑怯なやつだな。
例えば、母さんさ、わかってるんだよ愛してくれたことは。寂しかったことは。
でも酷かった。
芳明もそう、貴方もそこで苦しんだのはわかるんだ、察するんだ、それをはっきり伝えてきた、なんで、どうして劣等感で「愛」と言うの。
でも俺は考えるよ、芳明なんてね、年齢も仕事も乗っている、俺みたいな子供と…吊り橋効果みたいにぶら下がったこれが良くないんじゃないかと考えてしまうこれはきっと愛だけど、ねぇ、言えない俺ってあんたらと同じくらいきっと、なんて。
セックスにも良い思い出がないのにどうしてそれを求められ、大丈夫なことがあるの、俺ってどうしたら人間やっていけるんだろう。こうして無力化して言い訳じみて。
心はずっと、多分あのときから追い付いていないままなんだ。
前回タオルはこの辺だったよなと勝手に借りて洗濯機に放り込み、別の一枚を持って行くと、彼はしゃんと膝に手を置きベッドで待っていたが、俺を見た瞬間「は?」と肩の力を抜いたように見えた。
「え普通真っ裸フルチンで来る?」
「スーツ着替え直すの?」
「いや、まぁ、そうなんだけ」
ケータイが鳴った。
テキトーにソファーに掛けていたジャケットのポッケから取り出して見てみれば「眞田リーダー」とあった。
わぁ、まぁそうですよねと「はいもしもしすみませんでした」と捲し立ててしまった。
『…貴方の名前は「すみませんでした」さんじゃないでしょー……』
『あ、はい…』
『…現場から連絡があったんだけど、一体どうしたの、どこ?会社には』
「あーいや…彼と少し話したいので…夜会議で報告かな、とか…」
『……まぁ、鳴かず飛ばず取り敢えずな監督だとは聞いていたけど…悪い噂も最近ちらほら聞いてる。
平中くん、あと何回…いや、何話だっけ』
「二話…ですね」
『んーじゃぁ、その辺込みで。何か感じたのなら聞いてあげて。ただ、連絡は』
「すみませんでした、以後気を付けます」
『…はぁい』
切られた。
平中くんを見ると怯えたような目で俺を見るので「それで、どっちの気分?」とまた聞いておいた。
「…いや話し合いたいって、それ?」
「間違ったこと言った?」
「言ってないね、けどあんた今すっごくシュールだよ。写メ撮って見せたろか?」
「いい」
「…取り敢えずじゃあ隣に座ってくれませんかね…」
指示に従うと彼はまず、毛布をぱっと肩に掛けてくれた。
「あまりに情緒とかムードとかないとあれだね…どこ見ていいかわかんないな…」
俺たち別に結婚初夜みたいな、時代錯誤な関係じゃないと思うんだけど…。童貞サバ読みを例えば前回していたとしたって一回寝たじゃん…。
顔を背けがちでシャツのボタンを自分で外し始めたその手を取り、まず股あたりを触らせて俺がボタンを外してあげた。
ぎこちなく、太股をもにゅもにゅと軽く揉んでくる彼はされるがままに、「…例えばどこ触って欲しいの?」だなんて聞いてくる。
「ん?」
…いやぁ、だから結婚初夜とかでもなんでもないじゃん…。
「いや、まぁ」
「平中くんはどこがいいかな?」
スキニーのボタンもチャックも外して下着越しにもにゅもにゅすると、やっぱりデカいなと感じた。
真似るように俺に触れて来て、互いに目が合えばふっと顔を近付けてくるが、ふいっと避けた。
「……なんすか、キスは旦那としか的なやつっすかこれ」
「…いや、上手くないけど確かにそれが大半」
「意外と乙女っつーか…」
「君に言われたくないよ」
自然と雪崩れ込む、ベッドはふわっとしていた。
このベッド、多分良いやつだなあと思っていると、彼は俺にもにゅもにゅされたまま乳首に触れてきた。
「こことか開発されてる系…?」
「…どれ見たか知らないけど、そういうのも、使ってたでしょ?」
「……ギロチンみたいなやつ?」
「ギロチンて……イヤリングの方が近くない?」
「…あれって痛くないの?実際は」
くりくり、こねこねしながら聞いてくる彼の下着の中に手を滑らせる。
「あれやる前に針?のやつで、あの、肩こり取るシールね。あれで慣らしてたから…」
「針…」
ちょっと萎えたらしいなと、筋を撫で上げる。
「…気持ち良くなるよ?ちゃんと。まぁ、ギロチンよりこうして触られる方が、痛くないのは確かだけど」
「………」
黙って俺を眺めながら両方の乳首を弄り、今度は首筋をすっと舐める彼は耳元で「これは開発…じゃないよね?」と聞いてきた。
「…すぐ、済ませるから、じゃあ待ってて」
…悪い大人。
そして二人ともだ、狡い人。みんなが最低。でもどうして?なんでなの?
「俺、する?」
途端にロボットのようになってしまった平中くんに少しぼーっとしてしまったが。
「…ん?あれ?ネコな気分なの?」
「え、いやぁそうじゃなく…ネ、ネコを愛でたい気分だけども…」
てんてんてん、と考えているうちに平中くんは照れたように顔を手で覆った状態で「……いや、待った…し、仕切り直す?」と言うのに…ちょっと申し訳ないけど「ふっ、」と笑ってしまった。
「あー察した察した。はいはい。んーでもお風呂は旦那としか入らないからダメ。じゃ」
意外と可愛い子だな。ホント、実は童貞だったのかな。
最近の子は事務所が昔より煩いらしいけど、流石にないか、抑制力はあんまりないし、今の子の方が頭良いし。
シャワーを借りて考える、ほどの時間もないけれど、まぁ少し焦らしちゃうかな、なんて……。
卑怯なやつだな。
例えば、母さんさ、わかってるんだよ愛してくれたことは。寂しかったことは。
でも酷かった。
芳明もそう、貴方もそこで苦しんだのはわかるんだ、察するんだ、それをはっきり伝えてきた、なんで、どうして劣等感で「愛」と言うの。
でも俺は考えるよ、芳明なんてね、年齢も仕事も乗っている、俺みたいな子供と…吊り橋効果みたいにぶら下がったこれが良くないんじゃないかと考えてしまうこれはきっと愛だけど、ねぇ、言えない俺ってあんたらと同じくらいきっと、なんて。
セックスにも良い思い出がないのにどうしてそれを求められ、大丈夫なことがあるの、俺ってどうしたら人間やっていけるんだろう。こうして無力化して言い訳じみて。
心はずっと、多分あのときから追い付いていないままなんだ。
前回タオルはこの辺だったよなと勝手に借りて洗濯機に放り込み、別の一枚を持って行くと、彼はしゃんと膝に手を置きベッドで待っていたが、俺を見た瞬間「は?」と肩の力を抜いたように見えた。
「え普通真っ裸フルチンで来る?」
「スーツ着替え直すの?」
「いや、まぁ、そうなんだけ」
ケータイが鳴った。
テキトーにソファーに掛けていたジャケットのポッケから取り出して見てみれば「眞田リーダー」とあった。
わぁ、まぁそうですよねと「はいもしもしすみませんでした」と捲し立ててしまった。
『…貴方の名前は「すみませんでした」さんじゃないでしょー……』
『あ、はい…』
『…現場から連絡があったんだけど、一体どうしたの、どこ?会社には』
「あーいや…彼と少し話したいので…夜会議で報告かな、とか…」
『……まぁ、鳴かず飛ばず取り敢えずな監督だとは聞いていたけど…悪い噂も最近ちらほら聞いてる。
平中くん、あと何回…いや、何話だっけ』
「二話…ですね」
『んーじゃぁ、その辺込みで。何か感じたのなら聞いてあげて。ただ、連絡は』
「すみませんでした、以後気を付けます」
『…はぁい』
切られた。
平中くんを見ると怯えたような目で俺を見るので「それで、どっちの気分?」とまた聞いておいた。
「…いや話し合いたいって、それ?」
「間違ったこと言った?」
「言ってないね、けどあんた今すっごくシュールだよ。写メ撮って見せたろか?」
「いい」
「…取り敢えずじゃあ隣に座ってくれませんかね…」
指示に従うと彼はまず、毛布をぱっと肩に掛けてくれた。
「あまりに情緒とかムードとかないとあれだね…どこ見ていいかわかんないな…」
俺たち別に結婚初夜みたいな、時代錯誤な関係じゃないと思うんだけど…。童貞サバ読みを例えば前回していたとしたって一回寝たじゃん…。
顔を背けがちでシャツのボタンを自分で外し始めたその手を取り、まず股あたりを触らせて俺がボタンを外してあげた。
ぎこちなく、太股をもにゅもにゅと軽く揉んでくる彼はされるがままに、「…例えばどこ触って欲しいの?」だなんて聞いてくる。
「ん?」
…いやぁ、だから結婚初夜とかでもなんでもないじゃん…。
「いや、まぁ」
「平中くんはどこがいいかな?」
スキニーのボタンもチャックも外して下着越しにもにゅもにゅすると、やっぱりデカいなと感じた。
真似るように俺に触れて来て、互いに目が合えばふっと顔を近付けてくるが、ふいっと避けた。
「……なんすか、キスは旦那としか的なやつっすかこれ」
「…いや、上手くないけど確かにそれが大半」
「意外と乙女っつーか…」
「君に言われたくないよ」
自然と雪崩れ込む、ベッドはふわっとしていた。
このベッド、多分良いやつだなあと思っていると、彼は俺にもにゅもにゅされたまま乳首に触れてきた。
「こことか開発されてる系…?」
「…どれ見たか知らないけど、そういうのも、使ってたでしょ?」
「……ギロチンみたいなやつ?」
「ギロチンて……イヤリングの方が近くない?」
「…あれって痛くないの?実際は」
くりくり、こねこねしながら聞いてくる彼の下着の中に手を滑らせる。
「あれやる前に針?のやつで、あの、肩こり取るシールね。あれで慣らしてたから…」
「針…」
ちょっと萎えたらしいなと、筋を撫で上げる。
「…気持ち良くなるよ?ちゃんと。まぁ、ギロチンよりこうして触られる方が、痛くないのは確かだけど」
「………」
黙って俺を眺めながら両方の乳首を弄り、今度は首筋をすっと舐める彼は耳元で「これは開発…じゃないよね?」と聞いてきた。
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