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天獄
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黙ってそれに暫く耐えていると、ふっと離れた誠一は真剣…というか欲情しきった顔で「わかったベッド行こ、」と、とにかく寝室には連れて行かれた。
雪崩れるように押し倒され、服に手を入れられ、脱がされる。
足でずる、ずる、と刺激もされ少し息が上がった頃、がっと下を脱がされ誠一がそこに顔を埋めるのだからビックリした。
あんまりそれ、あんたにはされないしとついつい頭に手をやり「どうしたのっ、」と聞いてしまった。
「嫌だったっけ」
え、
「別にだけどセイさん、」
そのままずるずると…かっとなっていく。
何、いま本当に何が起きてるの。
混乱のせいで一気に駆け昇る。
流石にマズイ、一回ちょっとと「出るから離してっ」と要求すれば離してはくれたが直前だ。
どうしようと思えば、ネクタイを外した誠一の姿に何故だか一瞬、波瀬の姿が頭に浮かんだ。
それも関係なくシャツも脱ぎ捨てた誠一が馬乗りになり「キスして良い?」と聞いた直後に口の中を犯してくる。
余してた熱も逃がすようにぐいぐいとしごかれ、一回イッたが出はしなかった。
それも全然関係なく、今度は触らせてきた誠一が「最後いつだったけ」と、息を吐きながら言う。
「…5日くらい?」
「…ぇ、」
「最後いつセックスしたの」
「…んぇっと、」
「波瀬としたのとか、マジでいつ?」
「え、」
ガタガタ、慌ただしくベッドの引き出しからゴムとローションを取ったように見えたが、多分間違えてる、それゴムふたつだよセイさん、と思えばあまり気にせず開けてしまった。
眺めて固まり、再び手を伸ばしありついた誠一は、ローションを手ですりすりし、触れてきては「いつだったの、」ともう一度言った。
「え、えっと…」
「わりとすぐってか、今日行くつもりだった?それとも江崎?」
「いや、」
煩わしそうにゴムをつけた誠一はあまり待たずに少しずつ、しかしぐいぐいと攻めてくる。
そのままいつも通り激しい、息遣いもままならなくなりまたヤバイ…ヤバイんだけどと思った瞬間、くいっと持ち上がり騎乗位体勢にされ、一瞬くっと、キそうになった。
いつもならここから「やれ、」という態度だが、今日の誠一はかなり珍しい。思いっきり来るので背まで反らして出してしまった。
はぁはぁしている暇もない。
「待って、ちょっと、」と言うのは耳に入らないらしい、しかし、どうやらくるっとした瞬間、足の震えには気付いたようで、誠一は漸く我に返った顔をした。
「…慧、」
…そう言った彼の声は、酷く枯れそうな震えた調子。
まるで、顔を見られたくないとでもいうように、胸に伏せて熱い息を整え始めた。
「…セイさん、何か…あった?」
そう聞くとはぁはぁしながら少し頷くので「…そうですか、」と頭を抱えて撫でてやる。
少し大人しくなったので、可愛い人だなと思いかけたのに、ばっと腕を払い顔を見てきたのだから………。
酷く、泣きそうな顔をしていた。
「…セイさん、」
「…お前みたいな、バカなヤツ…なんで、」
言葉に詰まっている。
「………」
言葉は出なくなってしまった。
…ずっと、淡としていて、自信家で、アドレナリンジャンキーで、でも…優しいとも知っている。
だから、ごめんなさい。
「セイさん」
手を伸ばせば、誠一のクセだ、自分で頬に手を持っていく、そのときはいつだって優しい顔をしているんだ。
「…嫌いじゃないんだ、ごめんなさい」
そう言うと誠一は目を閉じ、はーはーと素直に息をした。
どうしても、嫌いになれないよ。貴方は、守ってくれるって言った、唯一の人だから。
「…酷いヤツだな、俺は」
「そうだね、酷い人」
「慧」
開けた目はキラキラしていた。
少し苦しいなと、背伸びをするように起き上がり、自分から誠一にキスをする。
こんなにゆったりと、誠一と抱き合ったのは多分、初めてだ。
互いにわからなくなる、くしゃくしゃで、どうしようもなくて、こんな気持ちになるのなら、本当はこんな関係、切ってしまえばいいとわかっていたのに。
無感情ではない贈り物。それはいつでも本当は温かかった。あんたの方が割り切ってきたのだけど、トラウマだって引っ張り出してきたけれど。
だから、貴方のは特別だった。母親からのそれとも違う。実は、いつもポケットに貯めちゃうんだよね。
こんな危機管理能力も、まぁいいのかと、触れているうちにじわりと痺れ、こちらまで泣きたくなった。
言葉はいらない、なのにずっと足りていない。
何か言いたいのだけど、精一杯に愛情を感じてあげることしか出来なくなった。
…肉じゃが、多分醤油とか、入れておけばよかったな。
少し眠くなりそうな頃、「味付けしとけばよかったね」と、責任をもって誠一が残りを作ってくれた。
あまり料理をしてないだろう、そんなまどろっこしいこと、多分嫌いだと勝手に思っていたのを素直に謝った。玉ねぎも追加されている。ちゃんと旨くて驚いた。
「…なんでも出来るじゃん、セイさん」
夕飯には少し遅かったけど、二人でのんびり、警察24時を見ながらそれを食べた。
「理数系だから」
よくわからない答えだったけど、それはそれで良いやと思えた、そんな夜。
「またしたいけどなぁ」
わかってあげられなかった、傷付けてきてしまった、そんなことがもどかしい。自分は、純粋で綺麗な、優しい人にばかり出会えたから。
雪崩れるように押し倒され、服に手を入れられ、脱がされる。
足でずる、ずる、と刺激もされ少し息が上がった頃、がっと下を脱がされ誠一がそこに顔を埋めるのだからビックリした。
あんまりそれ、あんたにはされないしとついつい頭に手をやり「どうしたのっ、」と聞いてしまった。
「嫌だったっけ」
え、
「別にだけどセイさん、」
そのままずるずると…かっとなっていく。
何、いま本当に何が起きてるの。
混乱のせいで一気に駆け昇る。
流石にマズイ、一回ちょっとと「出るから離してっ」と要求すれば離してはくれたが直前だ。
どうしようと思えば、ネクタイを外した誠一の姿に何故だか一瞬、波瀬の姿が頭に浮かんだ。
それも関係なくシャツも脱ぎ捨てた誠一が馬乗りになり「キスして良い?」と聞いた直後に口の中を犯してくる。
余してた熱も逃がすようにぐいぐいとしごかれ、一回イッたが出はしなかった。
それも全然関係なく、今度は触らせてきた誠一が「最後いつだったけ」と、息を吐きながら言う。
「…5日くらい?」
「…ぇ、」
「最後いつセックスしたの」
「…んぇっと、」
「波瀬としたのとか、マジでいつ?」
「え、」
ガタガタ、慌ただしくベッドの引き出しからゴムとローションを取ったように見えたが、多分間違えてる、それゴムふたつだよセイさん、と思えばあまり気にせず開けてしまった。
眺めて固まり、再び手を伸ばしありついた誠一は、ローションを手ですりすりし、触れてきては「いつだったの、」ともう一度言った。
「え、えっと…」
「わりとすぐってか、今日行くつもりだった?それとも江崎?」
「いや、」
煩わしそうにゴムをつけた誠一はあまり待たずに少しずつ、しかしぐいぐいと攻めてくる。
そのままいつも通り激しい、息遣いもままならなくなりまたヤバイ…ヤバイんだけどと思った瞬間、くいっと持ち上がり騎乗位体勢にされ、一瞬くっと、キそうになった。
いつもならここから「やれ、」という態度だが、今日の誠一はかなり珍しい。思いっきり来るので背まで反らして出してしまった。
はぁはぁしている暇もない。
「待って、ちょっと、」と言うのは耳に入らないらしい、しかし、どうやらくるっとした瞬間、足の震えには気付いたようで、誠一は漸く我に返った顔をした。
「…慧、」
…そう言った彼の声は、酷く枯れそうな震えた調子。
まるで、顔を見られたくないとでもいうように、胸に伏せて熱い息を整え始めた。
「…セイさん、何か…あった?」
そう聞くとはぁはぁしながら少し頷くので「…そうですか、」と頭を抱えて撫でてやる。
少し大人しくなったので、可愛い人だなと思いかけたのに、ばっと腕を払い顔を見てきたのだから………。
酷く、泣きそうな顔をしていた。
「…セイさん、」
「…お前みたいな、バカなヤツ…なんで、」
言葉に詰まっている。
「………」
言葉は出なくなってしまった。
…ずっと、淡としていて、自信家で、アドレナリンジャンキーで、でも…優しいとも知っている。
だから、ごめんなさい。
「セイさん」
手を伸ばせば、誠一のクセだ、自分で頬に手を持っていく、そのときはいつだって優しい顔をしているんだ。
「…嫌いじゃないんだ、ごめんなさい」
そう言うと誠一は目を閉じ、はーはーと素直に息をした。
どうしても、嫌いになれないよ。貴方は、守ってくれるって言った、唯一の人だから。
「…酷いヤツだな、俺は」
「そうだね、酷い人」
「慧」
開けた目はキラキラしていた。
少し苦しいなと、背伸びをするように起き上がり、自分から誠一にキスをする。
こんなにゆったりと、誠一と抱き合ったのは多分、初めてだ。
互いにわからなくなる、くしゃくしゃで、どうしようもなくて、こんな気持ちになるのなら、本当はこんな関係、切ってしまえばいいとわかっていたのに。
無感情ではない贈り物。それはいつでも本当は温かかった。あんたの方が割り切ってきたのだけど、トラウマだって引っ張り出してきたけれど。
だから、貴方のは特別だった。母親からのそれとも違う。実は、いつもポケットに貯めちゃうんだよね。
こんな危機管理能力も、まぁいいのかと、触れているうちにじわりと痺れ、こちらまで泣きたくなった。
言葉はいらない、なのにずっと足りていない。
何か言いたいのだけど、精一杯に愛情を感じてあげることしか出来なくなった。
…肉じゃが、多分醤油とか、入れておけばよかったな。
少し眠くなりそうな頃、「味付けしとけばよかったね」と、責任をもって誠一が残りを作ってくれた。
あまり料理をしてないだろう、そんなまどろっこしいこと、多分嫌いだと勝手に思っていたのを素直に謝った。玉ねぎも追加されている。ちゃんと旨くて驚いた。
「…なんでも出来るじゃん、セイさん」
夕飯には少し遅かったけど、二人でのんびり、警察24時を見ながらそれを食べた。
「理数系だから」
よくわからない答えだったけど、それはそれで良いやと思えた、そんな夜。
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