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アンビバレンス
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「…ピルケースは俺も良い案だなって思ったよ。半井、ロゴ作りたいって言ってたよね」
「あ、うん、そーなんだよね」
「デザインとか決まってんすか?」
「あ、」
「あー、俺ちょっと考えたんだけど実はさ。ちょーっとさっき照れ臭くて言えなくて~」
「え、そーだったの!?」
「うん~」
にへら、と笑う半井についつい綻び「何それ超見たいじゃん、言ってよ!」と軽く腕を叩く。
「いや~ホントに?ホントに?」と楽しそうな半井の前に、ハゼはすっと紙と鉛筆を出し「はいどうぞ」と奨めてくれた。
「んっとね~」と半井が紙に向かうと、「他グッズとか出してる?」とハゼに聞かれ、「ああうん、出してるよ、半井作で」とスマホの物販ページを見せる。
ハゼはまるでバグのように固まった。
「なにこれ、猫?犬?チクワ?」
「わかんない…」
「ダメだな描けない!」と、半井も半井だ、物凄い早さでギブアップしたらしい。
「…俺のイメージと鉛筆力が伴わないかも、ちょっと待ってね」
そして半井はスマホを操作し始める。
「てゆうか連れて来たってことはこの人リーダー?」
「あ、いや、決まってない」
「え、そうなの?なんで?」
「そー」と上の空で言いながらケータイを弄る半井をよそに、ハゼから「あんたモテる?」と、めちゃくちゃ突拍子も何もない質問が飛び、意味がよくわからなかった。
「え、全然。見える?」
「女子ウケしそーな」
「あったぁ!」と半井は嬉しそうに、バッとスマホ画面を見せてくる。
…どうみても何かの当たり前なデザインフォントでしかなかった。
「いや、え!?」
「そうくるか~」
「いや、こんなような、なんて言うかもっと違うけど俺の画力では無理っていうか」
「は、ははは、」
そんなカオス現象に、強面ハゼは少し幼く笑った。
「もう、これでいいじゃん」
「えぇー…」
「か、これをよーく見ながらあんたが描いた微妙なオリジナリティとかどう?物販見たけど多分、らしいんじゃない?」
「いや違うんだこれじゃ微妙に俺が言いたい感じじゃないんだ」
「そこんとこどー?ちなみにフォントじゃぶっちゃけなんか、原価と売値0なんじゃないかって思う、買うのファンなら。納得しないよなと」
「う~ん……」
「俺が描いてみるってのも、なんか違うしなぁ」
「それ!」
「うんそれ!の方が多分良い!」
「…マジで?は?あんたらそれでいーの?」
言ってみた本人が「いや…え?」と混乱している。確かにそうだろう、しかし半井ではダメだとわかった。
勿論今まで地上に出て5年、黒田や真鍋くんや自分でもダメなのだから半井でやってきたのだ。
「…マジかよまぁ、うーんじゃあなんか動画とかない?バンドイメージ的なやつ立てたいわ、モヒカンと薄い系じゃ全然わかんねぇ、カオスだわ」
「あ、多分オルタナだとは思う」
説明しつつスマホの音源を開いて渡し、しまった、よく考えたら貴重品を渡していいのか?と過ったが、ハゼが「ん、」と無愛想に受け取りイヤホンをしてしまったのだから、引っ込みもつかなくなる。
「これあんた?歌うまいね」と片耳にイヤホンをし、半井を手でしっしとやる自称年下。しかし半井は嬉しそうに「はーいクローズしとく~」と緩い。
「いやあんたいま使えないから帰っていいよ。籠って練るから。あ、薬はいる?」
「いらな~い、今ハッピーだから!」
「あっそ。じゃ、あんたは残って、話しもしたいし。
あ、名刺ね、はい」
鉄製の、シンプルな名刺入れから一枚名刺を渡された。
アイテムショップhaze:クリエイター波瀬亮太
器用に、曲を聞きながら鉛筆を持った波瀬を見て「わかった、あとで連絡よろしく!」と、半井は店から出て行ってしまった。
「あ、うん、そーなんだよね」
「デザインとか決まってんすか?」
「あ、」
「あー、俺ちょっと考えたんだけど実はさ。ちょーっとさっき照れ臭くて言えなくて~」
「え、そーだったの!?」
「うん~」
にへら、と笑う半井についつい綻び「何それ超見たいじゃん、言ってよ!」と軽く腕を叩く。
「いや~ホントに?ホントに?」と楽しそうな半井の前に、ハゼはすっと紙と鉛筆を出し「はいどうぞ」と奨めてくれた。
「んっとね~」と半井が紙に向かうと、「他グッズとか出してる?」とハゼに聞かれ、「ああうん、出してるよ、半井作で」とスマホの物販ページを見せる。
ハゼはまるでバグのように固まった。
「なにこれ、猫?犬?チクワ?」
「わかんない…」
「ダメだな描けない!」と、半井も半井だ、物凄い早さでギブアップしたらしい。
「…俺のイメージと鉛筆力が伴わないかも、ちょっと待ってね」
そして半井はスマホを操作し始める。
「てゆうか連れて来たってことはこの人リーダー?」
「あ、いや、決まってない」
「え、そうなの?なんで?」
「そー」と上の空で言いながらケータイを弄る半井をよそに、ハゼから「あんたモテる?」と、めちゃくちゃ突拍子も何もない質問が飛び、意味がよくわからなかった。
「え、全然。見える?」
「女子ウケしそーな」
「あったぁ!」と半井は嬉しそうに、バッとスマホ画面を見せてくる。
…どうみても何かの当たり前なデザインフォントでしかなかった。
「いや、え!?」
「そうくるか~」
「いや、こんなような、なんて言うかもっと違うけど俺の画力では無理っていうか」
「は、ははは、」
そんなカオス現象に、強面ハゼは少し幼く笑った。
「もう、これでいいじゃん」
「えぇー…」
「か、これをよーく見ながらあんたが描いた微妙なオリジナリティとかどう?物販見たけど多分、らしいんじゃない?」
「いや違うんだこれじゃ微妙に俺が言いたい感じじゃないんだ」
「そこんとこどー?ちなみにフォントじゃぶっちゃけなんか、原価と売値0なんじゃないかって思う、買うのファンなら。納得しないよなと」
「う~ん……」
「俺が描いてみるってのも、なんか違うしなぁ」
「それ!」
「うんそれ!の方が多分良い!」
「…マジで?は?あんたらそれでいーの?」
言ってみた本人が「いや…え?」と混乱している。確かにそうだろう、しかし半井ではダメだとわかった。
勿論今まで地上に出て5年、黒田や真鍋くんや自分でもダメなのだから半井でやってきたのだ。
「…マジかよまぁ、うーんじゃあなんか動画とかない?バンドイメージ的なやつ立てたいわ、モヒカンと薄い系じゃ全然わかんねぇ、カオスだわ」
「あ、多分オルタナだとは思う」
説明しつつスマホの音源を開いて渡し、しまった、よく考えたら貴重品を渡していいのか?と過ったが、ハゼが「ん、」と無愛想に受け取りイヤホンをしてしまったのだから、引っ込みもつかなくなる。
「これあんた?歌うまいね」と片耳にイヤホンをし、半井を手でしっしとやる自称年下。しかし半井は嬉しそうに「はーいクローズしとく~」と緩い。
「いやあんたいま使えないから帰っていいよ。籠って練るから。あ、薬はいる?」
「いらな~い、今ハッピーだから!」
「あっそ。じゃ、あんたは残って、話しもしたいし。
あ、名刺ね、はい」
鉄製の、シンプルな名刺入れから一枚名刺を渡された。
アイテムショップhaze:クリエイター波瀬亮太
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