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白昼夢の痙攣
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場の収集がつかなくなりそうになり、一先ず病室に撤退。しかし。
「なぜ」
真樹の病室に撤退した一同。見張り番のように一之江は真樹の病室のドアに凭れていた。
「でさぁ、やっぱポールのさぁ、Get Back、俺いいと思うの~!けど高ぇ!チケット高ぇ!頭来て観光しまくったらストーンズのライブにもたまたま行き着いちゃったよもう俺やり残したことないよね?ね?」
「うるさい、お前内臓に響く声だな」
一之江が心底痛そうに腹に手を当てながらタバコを吸っている。確かにサイトウは少し声が低い。のにこのマシンガン。
そして気のせいだろうか、サイトウ若干、酒臭い。
「あ、具合悪そう。
ところで君たちは一体この変態医者とどういったお友達なんですか?」
今更!?
てかあんたも大分キてるよ。類友だよ多分!
「いやぁ、そのぅ、なんでしょう」
「医者と患者と生徒」
ナトリがどもるなか文杜が凄く淡々と答える。
ぱちくりと文杜を見てサイトウ、途端に「ふ、ははは!」と大爆笑を始めた。
「猫だ!こんな猫いるよね!君きっと黒猫!そしてなんだろ、良い声してますねぇ、あの、よく通るチバさんみたい。絶対チバさん唄わない方がいいと思います。
ええっとすみません。僕今日飲んじゃって飛行機乗ってゲロ吐いてきていまちょっとテンション上がってるんですよー。はい、遅ればせながら、あれの友人の西東嘉実と申します。
彼とは所謂同級生というヤツです」
「あぁ…はぁ」
取っ付きにくい。
何、この妙なテンション。変な人。
「えっとベース声の黒猫君、お名前はなんとおっしゃるんですか?」
「あ、はぁ…えっ、栗村文杜です」
「え、どんな字?」
「文に木に土です」
「あカッコいいね!
陽介君は?」
「いや、国木田ナトリ…名前はカタカナです一応はい。日本語変換多分出来ません」
「え何人」
「台湾と日本です」
「あー、え?台湾?それ凄い僕台湾って一度行ったの、暖かいよねぇ。ホントは石でもぶん投げられるかなぁとか思って旅行したらいまは違うのねぇ」
「え?そうなんですか?」
「ほらー、昔はも少し日本がさぁ、なんか奪っちゃった感あったかなぁとかまぁ難しいじゃん、中国と日本。したら逆にさ、なんか中国より日本の方がいい風潮でさぁ、へぇ、国ってこんな違うんだって。
日本人だけだよねぇ、閉鎖的なの。台湾だってさぁ。あーんなみんな優しくしてくれて。けど日本人は「中国人じゃねぇか」って、はぁ?みたいな。もっとグローバル!中国も日本も台湾も結局曲がってんじゃん?地球って丸いもーん」
なにそれ。
なんかすげぇ感覚。
「よっちゃん、多分高校生にはわからんよそれ。てかお前若干歪んでる。てかお前もわりとネジ飛んでるからなぁ」
「ネジ飛んでなきゃ君の迎えなんて来ませんよ。
で君は?なんか…昔の僕みたいな顔したでも僕より断然アイドル顔の君。お名前は何て言うんですか?」
海外出てりゃぁ。
まぁ色々ニュースとか、日本の事情は知らないか。てかまぁいいかと思い、「天崎真樹…です」と言ったのだが。
「あまあき?あき?凄いねaが、あが、挟みまくってるね」
そんなに舌足らずとは自覚がない。
確かに、さっき起きたとき舌が痛いなぁ、噛んだなぁ寝てる間に、とぼんやりと空虚に思っていたのだけど。
「あの、天崎真樹、ですこいつ。ちょっと舌が回ってないんですけど」
「へぇぇ、それはそれでまた可愛いね、でもあまは間違いない。ニックネームはきっとあまちゃんだね」
なにそれ。
初だわ。
「つか真樹、お前もしかして薬飲み過ぎてねぇか?舌噛んでねぇ?」
「ん…」
「今日はどうした、さっき聞きそびれたが…」
「あぁ、はい。てかあんたはどうなのよそれ」
「ん?」
「俺たち行った時めっさ血ぃ吐いてましたけど」
「んでもってぶっ倒れて俺が救急車呼んで。
その間チビはチビでクソほどパニックで俺らが気ぃ狂うとこだったわ」
「マジ。よく俺ら正常だねマジ。俺耳元で真樹のシャウトどんだけ聞いたか。もう多分難聴だわマジ」
「あー、なるほど、僕も漸く理解してきた」
「うっ」と「うぅ、」と言う、一之江と真樹の気まずい嗚咽が漏れて一拍間が流れた。それから。
「ふ、ははははは!
なぁにそれおもろ、ウケるカッコ笑いマジやべぇ。
死んだ魚のような顔をした君なんだね、その子。じゃぁやっぱりあまちゃんだ。僕って良いセンスしてない?陽介」
「…そうかもな」
「君たちみーんな頭悪いねぇ!まぁいいけどね。さぁて、帰ろうか。
あ、陽介。君はしばらくここでお留守番してね♪」
「はぁ?」
その西東の発言に一之江はずるっと腰が一度下がり、立ち上がり直す。
他三人の高校生も唖然としていた。
「当然じゃない、んな自殺未遂紛いのクソ医者なんて僕が引き取ってメリットないもの。僕、時間は有効活用したいの。君そんなんだからいつまで経っても自立出来ないんだよ頭良いんだから頭使えよ、ね?日本にいすぎたんじゃない?」
「んな、だって、したらそいつの主治医は」
「君よか誰でもマシでしょ。
あまちゃん、見たでしょこの人。お薬って怖いんだよー」
「えなに」
「どゆこと?」
「え?」
話がどうも通じない。一之江だけが気まずそう。
「あー、もぅはいはい、わかりましたよ…」
そして一之江は何本目だかわからないタバコに火をつける。
「なぜ」
真樹の病室に撤退した一同。見張り番のように一之江は真樹の病室のドアに凭れていた。
「でさぁ、やっぱポールのさぁ、Get Back、俺いいと思うの~!けど高ぇ!チケット高ぇ!頭来て観光しまくったらストーンズのライブにもたまたま行き着いちゃったよもう俺やり残したことないよね?ね?」
「うるさい、お前内臓に響く声だな」
一之江が心底痛そうに腹に手を当てながらタバコを吸っている。確かにサイトウは少し声が低い。のにこのマシンガン。
そして気のせいだろうか、サイトウ若干、酒臭い。
「あ、具合悪そう。
ところで君たちは一体この変態医者とどういったお友達なんですか?」
今更!?
てかあんたも大分キてるよ。類友だよ多分!
「いやぁ、そのぅ、なんでしょう」
「医者と患者と生徒」
ナトリがどもるなか文杜が凄く淡々と答える。
ぱちくりと文杜を見てサイトウ、途端に「ふ、ははは!」と大爆笑を始めた。
「猫だ!こんな猫いるよね!君きっと黒猫!そしてなんだろ、良い声してますねぇ、あの、よく通るチバさんみたい。絶対チバさん唄わない方がいいと思います。
ええっとすみません。僕今日飲んじゃって飛行機乗ってゲロ吐いてきていまちょっとテンション上がってるんですよー。はい、遅ればせながら、あれの友人の西東嘉実と申します。
彼とは所謂同級生というヤツです」
「あぁ…はぁ」
取っ付きにくい。
何、この妙なテンション。変な人。
「えっとベース声の黒猫君、お名前はなんとおっしゃるんですか?」
「あ、はぁ…えっ、栗村文杜です」
「え、どんな字?」
「文に木に土です」
「あカッコいいね!
陽介君は?」
「いや、国木田ナトリ…名前はカタカナです一応はい。日本語変換多分出来ません」
「え何人」
「台湾と日本です」
「あー、え?台湾?それ凄い僕台湾って一度行ったの、暖かいよねぇ。ホントは石でもぶん投げられるかなぁとか思って旅行したらいまは違うのねぇ」
「え?そうなんですか?」
「ほらー、昔はも少し日本がさぁ、なんか奪っちゃった感あったかなぁとかまぁ難しいじゃん、中国と日本。したら逆にさ、なんか中国より日本の方がいい風潮でさぁ、へぇ、国ってこんな違うんだって。
日本人だけだよねぇ、閉鎖的なの。台湾だってさぁ。あーんなみんな優しくしてくれて。けど日本人は「中国人じゃねぇか」って、はぁ?みたいな。もっとグローバル!中国も日本も台湾も結局曲がってんじゃん?地球って丸いもーん」
なにそれ。
なんかすげぇ感覚。
「よっちゃん、多分高校生にはわからんよそれ。てかお前若干歪んでる。てかお前もわりとネジ飛んでるからなぁ」
「ネジ飛んでなきゃ君の迎えなんて来ませんよ。
で君は?なんか…昔の僕みたいな顔したでも僕より断然アイドル顔の君。お名前は何て言うんですか?」
海外出てりゃぁ。
まぁ色々ニュースとか、日本の事情は知らないか。てかまぁいいかと思い、「天崎真樹…です」と言ったのだが。
「あまあき?あき?凄いねaが、あが、挟みまくってるね」
そんなに舌足らずとは自覚がない。
確かに、さっき起きたとき舌が痛いなぁ、噛んだなぁ寝てる間に、とぼんやりと空虚に思っていたのだけど。
「あの、天崎真樹、ですこいつ。ちょっと舌が回ってないんですけど」
「へぇぇ、それはそれでまた可愛いね、でもあまは間違いない。ニックネームはきっとあまちゃんだね」
なにそれ。
初だわ。
「つか真樹、お前もしかして薬飲み過ぎてねぇか?舌噛んでねぇ?」
「ん…」
「今日はどうした、さっき聞きそびれたが…」
「あぁ、はい。てかあんたはどうなのよそれ」
「ん?」
「俺たち行った時めっさ血ぃ吐いてましたけど」
「んでもってぶっ倒れて俺が救急車呼んで。
その間チビはチビでクソほどパニックで俺らが気ぃ狂うとこだったわ」
「マジ。よく俺ら正常だねマジ。俺耳元で真樹のシャウトどんだけ聞いたか。もう多分難聴だわマジ」
「あー、なるほど、僕も漸く理解してきた」
「うっ」と「うぅ、」と言う、一之江と真樹の気まずい嗚咽が漏れて一拍間が流れた。それから。
「ふ、ははははは!
なぁにそれおもろ、ウケるカッコ笑いマジやべぇ。
死んだ魚のような顔をした君なんだね、その子。じゃぁやっぱりあまちゃんだ。僕って良いセンスしてない?陽介」
「…そうかもな」
「君たちみーんな頭悪いねぇ!まぁいいけどね。さぁて、帰ろうか。
あ、陽介。君はしばらくここでお留守番してね♪」
「はぁ?」
その西東の発言に一之江はずるっと腰が一度下がり、立ち上がり直す。
他三人の高校生も唖然としていた。
「当然じゃない、んな自殺未遂紛いのクソ医者なんて僕が引き取ってメリットないもの。僕、時間は有効活用したいの。君そんなんだからいつまで経っても自立出来ないんだよ頭良いんだから頭使えよ、ね?日本にいすぎたんじゃない?」
「んな、だって、したらそいつの主治医は」
「君よか誰でもマシでしょ。
あまちゃん、見たでしょこの人。お薬って怖いんだよー」
「えなに」
「どゆこと?」
「え?」
話がどうも通じない。一之江だけが気まずそう。
「あー、もぅはいはい、わかりましたよ…」
そして一之江は何本目だかわからないタバコに火をつける。
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