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本編
Girls side52話~望月和歌その1~
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私と大輝は、ちょっとしたところが似ていると思う。
たとえば誕生日。
私と大輝は二日違いだ。
……年齢は十近く離れてるけどな。
まぁ、あとは生まれ育ち。
私も大輝も孤児だ。
施設は全然違うところだし、幼い頃とか面識はなかったと思うが。
食べ物の好みに関しては私は大輝ほど好き嫌いはないし、寧ろ食べられないものの方が圧倒的に少ない。
最近は影を潜めている大食いキャラだが、私は大食いキャラではない。
超がつく大食いキャラだ。
普段でも人の三倍は食べるし、給料の半分くらいが食費で消えることも多々ある。
組の人間と一緒に、と思って誘ってみても、私と一緒に行くと死ぬほど食わされる、とか変な噂が立って大抵食事は一人だった。
別に太ったりはしていなかったが、寂しさから一瞬は大食いキャラ廃業しようかな、なんて考えたこともある。
しかしこれに関しては廃業しなくてよかったと今でも思っている。
大輝と知り合って、今があるのもこの大食いのおかげだからだ。
いや、厳密には違うけど……それでもきっかけくらいにはなったと思う。
あと大輝との共通点……思ったほどなかった。
身長も私の方が高いし……。
まぁ、そんな私でも大輝は大事にしてくれる。
もちろん、意識下の話で無意識化ではきっと睦月に勝てないわけだが。
しかし、大輝の意識の中で、いい意味で私たちのあらゆるところに対して興味がない。
これは、私に限ったことで言えばややプラスであると言える。
何故なら、私はまず低学歴だ。
世間的に中卒ということになっている。
施設で生活していた私は、当時手の付けられない荒くれもの……というと表現は古いが、不良とはちょっと違う感じの暴れん坊なイメージが近いか。
十二歳で施設の生活に嫌気がして施設を抜け出して、世の中を知らなかった私は行く宛てもなく彷徨っていた。
今じゃ考えられない様な生活をしていたと思う。
野草を食べて腹を壊すなんていうのは日常だったし、魚を取って生で食べて腹を壊して……女の人生とは思えない話だな。
とにかくそんな荒んだ生活が続いたある日、おやっさんに拾われて……。
ヤクザだって聞いた時は、私はきっと売り飛ばされるんだと思った。
何かの映画で見た記憶があったからだ。
ところが、そんな話をしたらおやっさんには死ぬほど笑われて、丁度いいから娘の面倒見てくれ、なんて言われたんだったっけ。
そこからお嬢の面倒を見ることになったんだけど、護衛って言う名目では当時まだなかったはずだ。
護衛にならないと、って思ったのは確か……お嬢が十歳になるかどうかくらいの時、誘拐未遂事件があって、その時に私は為す術もないままお嬢をさらわれて。
それでおやっさんに頼み込んでいろんな武術を叩き込んでもらって、めでたく護衛になった。
おやっさんも姐さんも、そこまでしなくていいって言ってくれたけど、あの時のあの無力感を埋める方法がこれ以外見つからなかった。
大検を取って大学へ行けとか、色々言ってくれたけど既に拾ってもらってここまで育ててもらって、その上学校までなんて贅沢すぎて御恩に報いる自信がなかったから辞退していた。
今にして思えば、少しくらい甘えさせてもらっても良かったのかな、なんて考えが浮かぶことがある。
学歴は、今やヤクザの中でもそれなりに重要視されるものになっているのと、今のメンバーたちは学生が多い。
大輝ももちろん学生だし、勉強に行き詰っていると聞いても私にできるのは夜食を作ってやったりとかその程度で、それが歯がゆい。
それに大輝は話に聞いた限りでは、大学にも行く様だ。
仮にもそんな大輝のパートナーを名乗るにあたって、それで良いのか?なんていつからか考える様になっていた。
先述の、いい意味で私たちに対して興味がない、というのは確かにあるのだが、それに甘えていていいのだろうか、と。
「あれ、今度は和歌さんか。まぁ順番から言ったら順当なところかな」
睦月が私の食事中に傍にやってきて、おもむろに呟く。
私の名前が出ているにも関わらず、私のことを言っているのだと理解するのにやや時間を要した。
女神であるこの睦月の前で隠し事なんか無意味だってことは十二分に理解していたが、その内容があまりにもくだらなくて、私は話すことを躊躇ってしまう。
「まぁ和歌さんは大人だからね。私の助言なんか多分必要ないと思うんだけど。きっと心のどこかではどうしたら良い、なんてわかってるんだろうから」
「大層な買い被りをしてくれている様だが、私はみんなが思うほど大人なんかじゃないぞ。まだまだ世間知らずだし、低学歴だし、戦闘と大食いくらいしか取り柄がない。いや……大食いだって取り柄というかただの個性だからな」
「個性って、大事だと思うけどなぁ。世間知らずなのだって、男から見たら案外可愛らしいって思えたりするんじゃないかな」
「そういうものか?私からしてみると、肝心な時に役に立たないしもどかしいばかりなんだが」
今日の夕飯は睦月お手製のグラタン、餃子、ハンバーグ、ポトフ、ハヤシライス。
残るはハヤシライスのみだが、それももうあと二口程度で食べ終わってしまう。
「私としては、作ったもの綺麗に残さず食べてくれる和歌さんの存在は嬉しいんだけどね」
「お母さんか……それでも、間抜け面の大飯食らいだなんて思われていたりしないか、なんて考えてしまうこともあるんだが……」
「間抜け面?何でそう思うの?そうは見えないんだけど」
私の大食いは、おそらく幼少期や施設を抜け出した頃の極貧生活が起因しているものだと思う。
おやっさんはまず拾ってきた私を、姐さんに頼んでまず風呂に放り込んだ。
そして風呂から上がった私に、生で魚が食べたいならこういうのにしておけ、とか言って大量の寿司を振舞ってくれた。
軽く五人前くらいあったはずだが、気づけば寿司が空になっていておやっさんを始めとする面々が目を丸くしていて、こいつは大したもんだ、なんて笑っていたっけ。
一心不乱に寿司を頬張る私を見て、食い意地は必ずしも卑しいものじゃないな、とかおやっさんが言っていたのが印象的だった。
「私も、別に食い意地が悪いものだとは思わないよ。だって、食欲なんて生きてれば誰だって持つものでしょ?」
「それはそうだが……何て言うんだろう、上手いこと表現できないのがもどかしいな……」
こういう時、学歴の低さが足を引っ張っている、なんて思う。
しかしそれは学歴のせいにして逃げているだけだ、ということを同時に考えてしまって、更に自分に嫌気がする瞬間でもあった。
学歴なんか関係ない、ということは頭では理解している。
だが、独自に勉強しようとか、そういう気持ちが湧いてこない。
お嬢の学校の教科書を見ても何だかめまいがしてくるし、大輝や睦月がこの小説は読みやすい、と言って貸してもらっても、ものの五ページ程度読んで眠ってしまう。
そんな私がこれから先教養など身に着けられるのか、という不安もあったりして。
このままいくと私は大食い以外に個性のないバカ女になってしまうんじゃないかって考えていたりした。
「そうかなぁ……和歌さん感受性高い方だと思うし、きっかけさえあれば色々化けそうなんだけどな」
「色々?私が?」
「そうだよ。だって和歌さん、今時珍しいくらい純粋だし。何だろうね、世の中に染まっていないっていうか」
「それは、褒めてるのか?捉え方によっては悪口にもなりえる気がするんだが……」
「そう、その通り。どう捉えるかは和歌さん次第なんだよ。どう捉えて、どんな風に努力をしていくのか。それによって和歌さんはどんな風にでも光り輝く、原石みたいな感じだよね」
「原石って、もう二十六だぞ……さすがに胸を張って言える様なことじゃない気がする……」
「歳なんか関係ないじゃん。少なくとも、大輝はそんなの欠片も気にしてないよ。もちろん私もね。まぁ、結婚とかその辺に関しては気にしてるというより気にかけてるみたいだけど」
そう言って睦月はシャワーを浴びる為に浴室へ消えていった。
残された私は、残り二口分のハヤシライスを口に放り込んで先ほどの言葉を反芻する。
原石か……。
私が光り輝く、というのがどうも想像できない。
このまま行ったらただの大食いおバカキャラで輝いてしまいそうだ。
いや、一つだけあるといえばある。
胸だ。
Dカップくらいのこの胸だが、以前大輝は形がいいとか言ってしきりにぼよんぼよんやっていた。
顔を埋めて、うひょー、とか言っていたっけ。
だけど胸要因は朋美という巨乳が……。
いや待て、そもそもそれ以外に色気なんかほとんどなくて、化粧だってまともにしたことがない私がその路線で売っていこうというのは無謀すぎる。
盛大にずっこけて大けがをするのが目に見えている。
「俺は、見てみたいですけどね。和歌さんの変化」
「乙女の独り言を聞いてそれに回答しちゃうのは、さすがにどうかと思うぞ……」
「あはは、すみません。何だか悩まし気に見えたもんで」
大輝が見てみたいと言った私の変化というのはきっと、笑える視点での話だろう。
私が滑稽に足掻いた挙句にめちゃくちゃな化粧とかして、普段とのギャップを楽しみたいとかそんなものだろうと思う。
こう見えて私だってそれなりに悩んでいるというのに……。
「俺、和歌さんが食べてる時の顔とか、結構好きなんですけどね。本当に美味しそうに食べるし。そういうのじゃダメなんですか?」
「それは……太めの女とかに言う誉め言葉じゃないのか?おデブキャラで売ってる女が言われて喜ぶパターンだと思うんだが……」
「そうですか?女性の笑顔って、どんな人でも可愛らしく見えてくるもんだと俺は思ってますけど。言い方悪いかもですけど、すげぇブス、とか言われてる様な芸人とかでも、笑ってると可愛いな、って思いません?」
「いや、そもそも私はあまりテレビ見ないから……」
「あー、確かに。だったら、普段やらないことに手を出してみるのもいいかもしれませんよ?ほら、よく慣れないことするから……とか言いますけど……俺は逆だと思うんですよね」
「どういうことだ?」
「慣れないことするから、っていうのは大事な場面での話だと思うんですよ。だけど、普段やらないことに手を出すって言うのは別に大事な場面でやる必要はないわけで……趣味の開拓だとか自分の一面を発見できる手段の一つになるんじゃないかなって。当たり前のことなんですけどね」
「なるほど……子どもだと思っていた大輝が、そんな風に考える様になっていたなんてな……」
こんなことを言ってはいるが、私は大輝を子ども扱いはしてない。
割としっかりした考え方をしているし、自立し始めていると感じてもいる。
一方私はどうだ?
こんな風に十近くも年下の彼氏にアドバイスをもらってたりして、カッコ悪いことこの上ない。
だが、せっかくもらったアドバイスだ。
それも、他でもない大輝からのアドバイス。
無駄にするという選択肢はなかった。
「ありがとう大輝。もう少し考えてみるよ」
そう言って私はリビングのパソコンの電源を入れた。
常識だとか、そういうものがやや欠落気味の私だがパソコンくらいは扱える。
自慢じゃないがそれなりに書類作成なども組でやっていたので、タイピングもそこそこに自信はある。
しかし、パソコンなどは仕事で使うものと私は決めてかかっていた。
正直なところ、私は機械の類があまり得意ではない。
だから今でも携帯は折り畳みだし、スマホやタブレットと言ったものに興味がないわけではないが、果たして使いこなせるのか、という不安があって未だに買い換えられずにいる。
以前愛美さんにそのことを相談したら、年寄りかよ……なんてため息をつかれて悔しい思いをした。
いきなりスマホに買い換えたりというのはいささか早計だが、まずは手始めに仕事用と割り切っていたパソコンを別用途で使うことから始めてみようと思った。
これについては、以前大輝に暴言を吐かれた時に色々な下ネタを検索したりと、ある程度の自信はある。
「なぁ大輝、動画ってどうやって見るんだ?」
「え……」
自信があったんじゃないのかよ、という様な顔をして、大輝が私を見ている。
「あの、和歌さん。ほら、あれですよ……検索の仕方はわかるんでしょ?だったら、動画サイト、とか検索窓に入れてですね……」
「そうか、なるほど……その発想はなかった」
「…………」
何で下ネタサイトの検索ができるのに動画サイトの検索ができない?と大輝の顔が言っている。
ここはちゃんとできるんだというところを見せてやらねば。
「このサイトなんかは、世界中で展開されてるし動画の数も多いから、飽きないんじゃないですかね」
「ほう」
「和歌さんは普段動画見ないんでしたっけ?どういうジャンルのが好きなんです?」
「ジャンル……?」
何だ、ジャンルというのは。
動画って、ただ流れているものを見ていればいいんじゃないのか?
「それだと、テレビでいいだろって話になりませんか……?」
「あ、それもそうか」
とりあえず和歌さんには笑っていてほしいから、とか言いながら大輝がサイト内の検索窓に何やら入力していく。
出てきたのは、忙しい人のための、とか書いてある動画だった。
「ちょっと古い動画ですけど、それなりに笑えるものが多いですよ。まぁ、元ネタ知らないと何のこっちゃ、って感じなんですけど」
「ふむ……元ネタというのは?」
「ああ、このシリーズは主に有名な楽曲データを切り貼りして、元の歌詞とは全く別のものにしちゃってたりするんですよ。なので、元の曲を知っているほど楽しめたりしますね」
「へぇ……色々あるんだな」
とりあえず目についたものから順に再生してみることにした。
結果から言うと、一時間ほど忙しい人の為のシリーズなるものを見てみたが、考えてみたら私は音楽なんてものにまともに触れてきたことがなかった。
よって、笑えないこともなかったが半分くらいは本当に何のこっちゃ、というのが正直なところだ。
「あー……何かすみません。先に確認しておくべきでした」
「いや、私の常識のなさがそもそも……」
「ああ、大丈夫ですから!そんな顔しないでくださいって!えっと……じゃあ、俺とか睦月みたいに共通の話題持てる様なの行きます?」
「そんなのもあるのか?」
「まぁ、アニメなんですけど……愛美さんもたまに見たりしてるし、ライトなのから入ってみます?」
「それはありがたい。大輝のおすすめはどういうのなんだ?」
大輝が一度部屋に消えたと思ったら、ブルーレイのディスクを抱えて再び現れる。
こんなにあるのか……。
「まぁ、この辺とか見やすいんじゃないですかね」
激辛と人妻という、何か一見するといかがわしい動画なんじゃ、と思ってしまいそうなタイトルの作品。
パッケージには小さい女の子と眼鏡をかけた男性……父親だろうか。
テーマが食育と爆発するべきはリア充ということで、ほんわかムードで始まる様なものだった。
どうでもいいが、すごいテーマだと思うのは私だけなのか?
『やっぱり私のこと覚えてないんですね、大塚先生……私はあなたが副担任をしているクラスの生徒、飲田親鳥ですよ』
『そ、そうだったんですか、すみません……』
ふむ、この大塚という男は教師なのか。
この小さい子はその娘。
生徒と名乗った……飲田とか言うのは高校生だな。
なかなか赴き深い。
そして出てくる料理の数々が、たどたどしく作られていくのだが……実に旨そうだ。
しかし、この女子高生の名前……親は何を思ってつけたのだろうか。
早く結婚しろとか、そういう思いか?
あと娘の解ちゃんが無邪気で可愛いな。
一話辺り二十五分程度で、全十二話。
実に四時間以上に及ぶ作品だが、私は少しずつ引き込まれて一気に見た。
『大塚先生……私を人妻に、してくださいね』
最後は親鳥ちゃんのこのセリフで幕を閉じた。
人妻にしてください、って言うことは結婚してくださいということなのか、はたまた男を紹介しろということなのか。
いや、この親鳥ちゃんは大塚先生にベタ惚れだったし……前者なんだろうな。
生徒に手を出す展開とか……けしからん。
こりゃ確かに爆発しろとか思われても無理はないだろうな。
「どうでした?一気に見てたみたいですけど」
「うん、実に美味しそうだった。あと、先生は爆発すればいいと思う」
「ざっくりした感想ですね……まぁ、言いたいことはわかりますけど……」
感想を求めてきた大輝が、引きつった笑顔で私を見ている。
何かおかしなことを言ったのだろうか。
「何?和歌さんにアニメ布教なんかして、どうしたの?」
「おお、起きてきたか。いや、和歌さんが常識がどうとか言ってたから……」
「ははぁ、なるほど……まぁアニメとか見て人の心情を学ぶのは悪くないかもね。私たちが触れている文化がどういうものか、っていうのを知るのも、共通の話題になるしコミュニケーション手段の一つになるし」
「ごめん、そこまで考えたわけじゃないんだけどな。ただ普段、あんまり和歌さんと日常会話ってあんましないし、きっかけになればいいかな、くらいなもんで」
「そうだったのか……何だか気を遣わせたみたいですまない、大輝……」
「気にしないでくださいって。でも、楽しそうでしたね和歌さん」
「そうだな、パソコンでDVDが見られるなんて知らなかったし、見聞が広がった気がする」
「…………」
「…………」
何だ、この二人の変な顔は……。
またおかしなことを言ったのだろうか、私は。
「あ、じゃあさ。こないだ大輝がやってたゲームやってみようよ」
「え?こないだって……俺何個かやってるけどどれだ?」
睦月がそう言って、大輝のスマホを持ってくる。
というか何だ?
今時の携帯って。ゲームができるのか?
お嬢なんかそんな風に使ってるの見たことないんだが……。
というか私の携帯まだ折り畳みなんだが、それでも大丈夫なんだろうか。
一抹の不安はあるものの、先ほど薦めてもらったアニメが面白かったので、今まで感じたことのないワクワクした感情が湧いてくる。
睦月や大輝が薦めてくるのであれば、ハズレはないだろう、そんな呑気なことを考えて大輝のスマホのゲームが起動するのを見つめていた。
たとえば誕生日。
私と大輝は二日違いだ。
……年齢は十近く離れてるけどな。
まぁ、あとは生まれ育ち。
私も大輝も孤児だ。
施設は全然違うところだし、幼い頃とか面識はなかったと思うが。
食べ物の好みに関しては私は大輝ほど好き嫌いはないし、寧ろ食べられないものの方が圧倒的に少ない。
最近は影を潜めている大食いキャラだが、私は大食いキャラではない。
超がつく大食いキャラだ。
普段でも人の三倍は食べるし、給料の半分くらいが食費で消えることも多々ある。
組の人間と一緒に、と思って誘ってみても、私と一緒に行くと死ぬほど食わされる、とか変な噂が立って大抵食事は一人だった。
別に太ったりはしていなかったが、寂しさから一瞬は大食いキャラ廃業しようかな、なんて考えたこともある。
しかしこれに関しては廃業しなくてよかったと今でも思っている。
大輝と知り合って、今があるのもこの大食いのおかげだからだ。
いや、厳密には違うけど……それでもきっかけくらいにはなったと思う。
あと大輝との共通点……思ったほどなかった。
身長も私の方が高いし……。
まぁ、そんな私でも大輝は大事にしてくれる。
もちろん、意識下の話で無意識化ではきっと睦月に勝てないわけだが。
しかし、大輝の意識の中で、いい意味で私たちのあらゆるところに対して興味がない。
これは、私に限ったことで言えばややプラスであると言える。
何故なら、私はまず低学歴だ。
世間的に中卒ということになっている。
施設で生活していた私は、当時手の付けられない荒くれもの……というと表現は古いが、不良とはちょっと違う感じの暴れん坊なイメージが近いか。
十二歳で施設の生活に嫌気がして施設を抜け出して、世の中を知らなかった私は行く宛てもなく彷徨っていた。
今じゃ考えられない様な生活をしていたと思う。
野草を食べて腹を壊すなんていうのは日常だったし、魚を取って生で食べて腹を壊して……女の人生とは思えない話だな。
とにかくそんな荒んだ生活が続いたある日、おやっさんに拾われて……。
ヤクザだって聞いた時は、私はきっと売り飛ばされるんだと思った。
何かの映画で見た記憶があったからだ。
ところが、そんな話をしたらおやっさんには死ぬほど笑われて、丁度いいから娘の面倒見てくれ、なんて言われたんだったっけ。
そこからお嬢の面倒を見ることになったんだけど、護衛って言う名目では当時まだなかったはずだ。
護衛にならないと、って思ったのは確か……お嬢が十歳になるかどうかくらいの時、誘拐未遂事件があって、その時に私は為す術もないままお嬢をさらわれて。
それでおやっさんに頼み込んでいろんな武術を叩き込んでもらって、めでたく護衛になった。
おやっさんも姐さんも、そこまでしなくていいって言ってくれたけど、あの時のあの無力感を埋める方法がこれ以外見つからなかった。
大検を取って大学へ行けとか、色々言ってくれたけど既に拾ってもらってここまで育ててもらって、その上学校までなんて贅沢すぎて御恩に報いる自信がなかったから辞退していた。
今にして思えば、少しくらい甘えさせてもらっても良かったのかな、なんて考えが浮かぶことがある。
学歴は、今やヤクザの中でもそれなりに重要視されるものになっているのと、今のメンバーたちは学生が多い。
大輝ももちろん学生だし、勉強に行き詰っていると聞いても私にできるのは夜食を作ってやったりとかその程度で、それが歯がゆい。
それに大輝は話に聞いた限りでは、大学にも行く様だ。
仮にもそんな大輝のパートナーを名乗るにあたって、それで良いのか?なんていつからか考える様になっていた。
先述の、いい意味で私たちに対して興味がない、というのは確かにあるのだが、それに甘えていていいのだろうか、と。
「あれ、今度は和歌さんか。まぁ順番から言ったら順当なところかな」
睦月が私の食事中に傍にやってきて、おもむろに呟く。
私の名前が出ているにも関わらず、私のことを言っているのだと理解するのにやや時間を要した。
女神であるこの睦月の前で隠し事なんか無意味だってことは十二分に理解していたが、その内容があまりにもくだらなくて、私は話すことを躊躇ってしまう。
「まぁ和歌さんは大人だからね。私の助言なんか多分必要ないと思うんだけど。きっと心のどこかではどうしたら良い、なんてわかってるんだろうから」
「大層な買い被りをしてくれている様だが、私はみんなが思うほど大人なんかじゃないぞ。まだまだ世間知らずだし、低学歴だし、戦闘と大食いくらいしか取り柄がない。いや……大食いだって取り柄というかただの個性だからな」
「個性って、大事だと思うけどなぁ。世間知らずなのだって、男から見たら案外可愛らしいって思えたりするんじゃないかな」
「そういうものか?私からしてみると、肝心な時に役に立たないしもどかしいばかりなんだが」
今日の夕飯は睦月お手製のグラタン、餃子、ハンバーグ、ポトフ、ハヤシライス。
残るはハヤシライスのみだが、それももうあと二口程度で食べ終わってしまう。
「私としては、作ったもの綺麗に残さず食べてくれる和歌さんの存在は嬉しいんだけどね」
「お母さんか……それでも、間抜け面の大飯食らいだなんて思われていたりしないか、なんて考えてしまうこともあるんだが……」
「間抜け面?何でそう思うの?そうは見えないんだけど」
私の大食いは、おそらく幼少期や施設を抜け出した頃の極貧生活が起因しているものだと思う。
おやっさんはまず拾ってきた私を、姐さんに頼んでまず風呂に放り込んだ。
そして風呂から上がった私に、生で魚が食べたいならこういうのにしておけ、とか言って大量の寿司を振舞ってくれた。
軽く五人前くらいあったはずだが、気づけば寿司が空になっていておやっさんを始めとする面々が目を丸くしていて、こいつは大したもんだ、なんて笑っていたっけ。
一心不乱に寿司を頬張る私を見て、食い意地は必ずしも卑しいものじゃないな、とかおやっさんが言っていたのが印象的だった。
「私も、別に食い意地が悪いものだとは思わないよ。だって、食欲なんて生きてれば誰だって持つものでしょ?」
「それはそうだが……何て言うんだろう、上手いこと表現できないのがもどかしいな……」
こういう時、学歴の低さが足を引っ張っている、なんて思う。
しかしそれは学歴のせいにして逃げているだけだ、ということを同時に考えてしまって、更に自分に嫌気がする瞬間でもあった。
学歴なんか関係ない、ということは頭では理解している。
だが、独自に勉強しようとか、そういう気持ちが湧いてこない。
お嬢の学校の教科書を見ても何だかめまいがしてくるし、大輝や睦月がこの小説は読みやすい、と言って貸してもらっても、ものの五ページ程度読んで眠ってしまう。
そんな私がこれから先教養など身に着けられるのか、という不安もあったりして。
このままいくと私は大食い以外に個性のないバカ女になってしまうんじゃないかって考えていたりした。
「そうかなぁ……和歌さん感受性高い方だと思うし、きっかけさえあれば色々化けそうなんだけどな」
「色々?私が?」
「そうだよ。だって和歌さん、今時珍しいくらい純粋だし。何だろうね、世の中に染まっていないっていうか」
「それは、褒めてるのか?捉え方によっては悪口にもなりえる気がするんだが……」
「そう、その通り。どう捉えるかは和歌さん次第なんだよ。どう捉えて、どんな風に努力をしていくのか。それによって和歌さんはどんな風にでも光り輝く、原石みたいな感じだよね」
「原石って、もう二十六だぞ……さすがに胸を張って言える様なことじゃない気がする……」
「歳なんか関係ないじゃん。少なくとも、大輝はそんなの欠片も気にしてないよ。もちろん私もね。まぁ、結婚とかその辺に関しては気にしてるというより気にかけてるみたいだけど」
そう言って睦月はシャワーを浴びる為に浴室へ消えていった。
残された私は、残り二口分のハヤシライスを口に放り込んで先ほどの言葉を反芻する。
原石か……。
私が光り輝く、というのがどうも想像できない。
このまま行ったらただの大食いおバカキャラで輝いてしまいそうだ。
いや、一つだけあるといえばある。
胸だ。
Dカップくらいのこの胸だが、以前大輝は形がいいとか言ってしきりにぼよんぼよんやっていた。
顔を埋めて、うひょー、とか言っていたっけ。
だけど胸要因は朋美という巨乳が……。
いや待て、そもそもそれ以外に色気なんかほとんどなくて、化粧だってまともにしたことがない私がその路線で売っていこうというのは無謀すぎる。
盛大にずっこけて大けがをするのが目に見えている。
「俺は、見てみたいですけどね。和歌さんの変化」
「乙女の独り言を聞いてそれに回答しちゃうのは、さすがにどうかと思うぞ……」
「あはは、すみません。何だか悩まし気に見えたもんで」
大輝が見てみたいと言った私の変化というのはきっと、笑える視点での話だろう。
私が滑稽に足掻いた挙句にめちゃくちゃな化粧とかして、普段とのギャップを楽しみたいとかそんなものだろうと思う。
こう見えて私だってそれなりに悩んでいるというのに……。
「俺、和歌さんが食べてる時の顔とか、結構好きなんですけどね。本当に美味しそうに食べるし。そういうのじゃダメなんですか?」
「それは……太めの女とかに言う誉め言葉じゃないのか?おデブキャラで売ってる女が言われて喜ぶパターンだと思うんだが……」
「そうですか?女性の笑顔って、どんな人でも可愛らしく見えてくるもんだと俺は思ってますけど。言い方悪いかもですけど、すげぇブス、とか言われてる様な芸人とかでも、笑ってると可愛いな、って思いません?」
「いや、そもそも私はあまりテレビ見ないから……」
「あー、確かに。だったら、普段やらないことに手を出してみるのもいいかもしれませんよ?ほら、よく慣れないことするから……とか言いますけど……俺は逆だと思うんですよね」
「どういうことだ?」
「慣れないことするから、っていうのは大事な場面での話だと思うんですよ。だけど、普段やらないことに手を出すって言うのは別に大事な場面でやる必要はないわけで……趣味の開拓だとか自分の一面を発見できる手段の一つになるんじゃないかなって。当たり前のことなんですけどね」
「なるほど……子どもだと思っていた大輝が、そんな風に考える様になっていたなんてな……」
こんなことを言ってはいるが、私は大輝を子ども扱いはしてない。
割としっかりした考え方をしているし、自立し始めていると感じてもいる。
一方私はどうだ?
こんな風に十近くも年下の彼氏にアドバイスをもらってたりして、カッコ悪いことこの上ない。
だが、せっかくもらったアドバイスだ。
それも、他でもない大輝からのアドバイス。
無駄にするという選択肢はなかった。
「ありがとう大輝。もう少し考えてみるよ」
そう言って私はリビングのパソコンの電源を入れた。
常識だとか、そういうものがやや欠落気味の私だがパソコンくらいは扱える。
自慢じゃないがそれなりに書類作成なども組でやっていたので、タイピングもそこそこに自信はある。
しかし、パソコンなどは仕事で使うものと私は決めてかかっていた。
正直なところ、私は機械の類があまり得意ではない。
だから今でも携帯は折り畳みだし、スマホやタブレットと言ったものに興味がないわけではないが、果たして使いこなせるのか、という不安があって未だに買い換えられずにいる。
以前愛美さんにそのことを相談したら、年寄りかよ……なんてため息をつかれて悔しい思いをした。
いきなりスマホに買い換えたりというのはいささか早計だが、まずは手始めに仕事用と割り切っていたパソコンを別用途で使うことから始めてみようと思った。
これについては、以前大輝に暴言を吐かれた時に色々な下ネタを検索したりと、ある程度の自信はある。
「なぁ大輝、動画ってどうやって見るんだ?」
「え……」
自信があったんじゃないのかよ、という様な顔をして、大輝が私を見ている。
「あの、和歌さん。ほら、あれですよ……検索の仕方はわかるんでしょ?だったら、動画サイト、とか検索窓に入れてですね……」
「そうか、なるほど……その発想はなかった」
「…………」
何で下ネタサイトの検索ができるのに動画サイトの検索ができない?と大輝の顔が言っている。
ここはちゃんとできるんだというところを見せてやらねば。
「このサイトなんかは、世界中で展開されてるし動画の数も多いから、飽きないんじゃないですかね」
「ほう」
「和歌さんは普段動画見ないんでしたっけ?どういうジャンルのが好きなんです?」
「ジャンル……?」
何だ、ジャンルというのは。
動画って、ただ流れているものを見ていればいいんじゃないのか?
「それだと、テレビでいいだろって話になりませんか……?」
「あ、それもそうか」
とりあえず和歌さんには笑っていてほしいから、とか言いながら大輝がサイト内の検索窓に何やら入力していく。
出てきたのは、忙しい人のための、とか書いてある動画だった。
「ちょっと古い動画ですけど、それなりに笑えるものが多いですよ。まぁ、元ネタ知らないと何のこっちゃ、って感じなんですけど」
「ふむ……元ネタというのは?」
「ああ、このシリーズは主に有名な楽曲データを切り貼りして、元の歌詞とは全く別のものにしちゃってたりするんですよ。なので、元の曲を知っているほど楽しめたりしますね」
「へぇ……色々あるんだな」
とりあえず目についたものから順に再生してみることにした。
結果から言うと、一時間ほど忙しい人の為のシリーズなるものを見てみたが、考えてみたら私は音楽なんてものにまともに触れてきたことがなかった。
よって、笑えないこともなかったが半分くらいは本当に何のこっちゃ、というのが正直なところだ。
「あー……何かすみません。先に確認しておくべきでした」
「いや、私の常識のなさがそもそも……」
「ああ、大丈夫ですから!そんな顔しないでくださいって!えっと……じゃあ、俺とか睦月みたいに共通の話題持てる様なの行きます?」
「そんなのもあるのか?」
「まぁ、アニメなんですけど……愛美さんもたまに見たりしてるし、ライトなのから入ってみます?」
「それはありがたい。大輝のおすすめはどういうのなんだ?」
大輝が一度部屋に消えたと思ったら、ブルーレイのディスクを抱えて再び現れる。
こんなにあるのか……。
「まぁ、この辺とか見やすいんじゃないですかね」
激辛と人妻という、何か一見するといかがわしい動画なんじゃ、と思ってしまいそうなタイトルの作品。
パッケージには小さい女の子と眼鏡をかけた男性……父親だろうか。
テーマが食育と爆発するべきはリア充ということで、ほんわかムードで始まる様なものだった。
どうでもいいが、すごいテーマだと思うのは私だけなのか?
『やっぱり私のこと覚えてないんですね、大塚先生……私はあなたが副担任をしているクラスの生徒、飲田親鳥ですよ』
『そ、そうだったんですか、すみません……』
ふむ、この大塚という男は教師なのか。
この小さい子はその娘。
生徒と名乗った……飲田とか言うのは高校生だな。
なかなか赴き深い。
そして出てくる料理の数々が、たどたどしく作られていくのだが……実に旨そうだ。
しかし、この女子高生の名前……親は何を思ってつけたのだろうか。
早く結婚しろとか、そういう思いか?
あと娘の解ちゃんが無邪気で可愛いな。
一話辺り二十五分程度で、全十二話。
実に四時間以上に及ぶ作品だが、私は少しずつ引き込まれて一気に見た。
『大塚先生……私を人妻に、してくださいね』
最後は親鳥ちゃんのこのセリフで幕を閉じた。
人妻にしてください、って言うことは結婚してくださいということなのか、はたまた男を紹介しろということなのか。
いや、この親鳥ちゃんは大塚先生にベタ惚れだったし……前者なんだろうな。
生徒に手を出す展開とか……けしからん。
こりゃ確かに爆発しろとか思われても無理はないだろうな。
「どうでした?一気に見てたみたいですけど」
「うん、実に美味しそうだった。あと、先生は爆発すればいいと思う」
「ざっくりした感想ですね……まぁ、言いたいことはわかりますけど……」
感想を求めてきた大輝が、引きつった笑顔で私を見ている。
何かおかしなことを言ったのだろうか。
「何?和歌さんにアニメ布教なんかして、どうしたの?」
「おお、起きてきたか。いや、和歌さんが常識がどうとか言ってたから……」
「ははぁ、なるほど……まぁアニメとか見て人の心情を学ぶのは悪くないかもね。私たちが触れている文化がどういうものか、っていうのを知るのも、共通の話題になるしコミュニケーション手段の一つになるし」
「ごめん、そこまで考えたわけじゃないんだけどな。ただ普段、あんまり和歌さんと日常会話ってあんましないし、きっかけになればいいかな、くらいなもんで」
「そうだったのか……何だか気を遣わせたみたいですまない、大輝……」
「気にしないでくださいって。でも、楽しそうでしたね和歌さん」
「そうだな、パソコンでDVDが見られるなんて知らなかったし、見聞が広がった気がする」
「…………」
「…………」
何だ、この二人の変な顔は……。
またおかしなことを言ったのだろうか、私は。
「あ、じゃあさ。こないだ大輝がやってたゲームやってみようよ」
「え?こないだって……俺何個かやってるけどどれだ?」
睦月がそう言って、大輝のスマホを持ってくる。
というか何だ?
今時の携帯って。ゲームができるのか?
お嬢なんかそんな風に使ってるの見たことないんだが……。
というか私の携帯まだ折り畳みなんだが、それでも大丈夫なんだろうか。
一抹の不安はあるものの、先ほど薦めてもらったアニメが面白かったので、今まで感じたことのないワクワクした感情が湧いてくる。
睦月や大輝が薦めてくるのであれば、ハズレはないだろう、そんな呑気なことを考えて大輝のスマホのゲームが起動するのを見つめていた。
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