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本編
Girs side38話~ヘルの説得~
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「よくきたな。もうすぐ大輝の誕生日なんだったか」
呑気な面しやがって、このジジイ……。
そっちは毎日玲央と戯れてご機嫌かもしれないが、こっちは今それどころじゃないんだ。
「ああ、そうだよ。それにあたって、必要なものがある。ヘルは何処?」
「ヘルなら今、玲央とフリッグと一緒に散歩に出ているはずじゃが」
「そうか。悪いが、一日だけヘルと玲央を借りる。話は私がつけるから、ヘルのところまで飛ばしてくれるか」
オーディンは複雑な顔をしていたが、渋々と言った様子で私をヘルの元へと転送させた。
目の前に現れた私を見て、ヘルは驚きに目を丸くしていたがフリッグは何となく予感でもしていたのだろう、特に驚いた様子はなかった。
「久しぶりだね、ヘル。と言っても一か月もまだ経ってないんだけどさ」
「……久しぶり。何の用なの?」
「そう邪険にするなって。別にお前を取って食おうってわけじゃないんだ。話をしに来たのさ」
私を見て警戒心を強めたヘルだったが、フリッグが優しくヘルを説得する。
「話くらいは、聞こうよ。どうするかを決めるのはヘル、あなただけど」
「…………」
嫌われたわけではないんだと思うが、おそらく顔を合わせづらいというところか。
そんなの私だって同じなんだけどな。
「ヘル、フリッグの言う通り、私の話を聞いた上でどうするかはあんたが決めてくれていい。だから、まずは聞いてくれないか?この通りだ」
実際、ヘルは先日の件に関して何も悪くなかった。
どちらかと言えば、ヘルと大輝を引き離すきっかけになってしまったのは私たちだ。
だから、私は土下座した。
額を神界の地にこすりつけて、頼み込んだ。
ヘルは慌てた様子で、やや混乱している様に見えた。
それはそうだろう。
私が過去に土下座なんかしたことはないし、それはこれからもおそらくそう。
これが最初で最後になるはずの、私の覚悟だ。
「ヘル、話を聞くだけならいいでしょ?」
フリッグはあくまで中立の様だ。
話がわかるやつでよかった。
「……話は、わかった。だけど……」
「まだ、顔を合わせづらいか?」
私たちはリンゴ園にきていた。
ここはかつてヘルとの戦闘でフリッグやイズン、それに私たちも必死で守った甲斐あって今も元気にその実をつけ続けている。
そこで私は、今の大輝の現状を語って、もうすぐ大輝の誕生日であることを告げた。
「ねぇヘル、何で大輝くんと顔を合わせづらいの?」
「それは……私の勝手で大輝を散々振り回してしまったから。それに、会ったら私はまた自分を抑えられなくなってしまうかもしれない」
「愛情の深さが枷になっている、っていうことでいいの?」
「多分、そうだと思う。私だって、本当だったら大輝に会いたい。声が聴きたい。抱きしめてほしい」
「随分素直になったもんだな」
「禁欲っていうのはそういうものだよ、スルーズ」
フリッグも何か経験があるのか、割と説得力のある言葉に聞こえた。
だが、ここで引き下がったら私がここにきた意味はなくなってしまう。
それに、神界の仲間の意志を代表してここにきているのだ。
簡単には引き下がれない。
「ヘル、お前の言い分はわかった。だが、聞きたいことがあるんだけど……いいか?」
「何……?」
「お前は、大輝の誕生日を祝ってやりたいって気持ち、あるのか?ないんだったら、そもそも誘う意味自体が皆無なんだけど」
実際には皆無ではない。
祝う意志がなかったとしても、そこにヘルがいるだけで大輝はきっと嬉しいはずだし、以前の様な気力を取り戻してくれるはずだ。
だが、完全に会いたくないとまでなってしまっている様だと話はだいぶ変わってくる。
「大輝がいなかったら、私は今こんな気持ちを抱えていないし、玲央だっていない。そんな大輝の誕生日が、おめでたくないわけがない」
「そうだよね、それを聞いて安心したよ。大輝がずっと落ち込んでる様子であることについては、どう思う?もちろん、お前だって同じ様に、もしかしたら大輝以上に落ち込んでいるのかもしれないけどさ」
「それは……私に関しては自業自得だから。だけど、大輝には私のことで傷なんか持ってもらいたくない」
昔、私は春海だったころに同じセリフを、今わの際に言った。
今は実際、そこまで気にしていないかもしれないが、春海の死後大輝は変わってしまっていた。
今回はそこまでに至ってないけど、それはみんながいたからに他ならない。
だが、これから先何がきっかけで大輝が変わってしまうか、というのはさすがに私にも想像できなかった。
ヘルがいてくれることでそれが回避できるのであれば、力を貸してほしい。
それが正直な私の気持ちだった。
「スルーズは、何でそんなに大輝に対して一生懸命なの?」
「わからないか?ヘルならわかるかなって思うんだけど」
「大輝を思う、って部分が同じであることくらいは理解してるけど、根源にあるものが違うから……だから、もし話せるならそこを知りたい」
なるほど。
ヘルは私が春海の人生を何万回もやり直している間のことを知らないんだったか。
冥界でずっと一人で、オーディンを恨み続ける日々だった。
いい機会だから、ヘルにも語っておこう。
「そんなことが……」
「フリッグは、知ってたよね?」
「もちろん、ノルンやオーディンから聞いていたから。でも、そこまで行くともう執念とか怨念って言葉の方がしっくりきそうだけど」
「さすがにそれは心外だな……まぁ、ほかの人が同じことしてたら多分同じ様な感想持つんだけどさ」
「だから、スルーズは大輝を?」
「まぁ、一目惚れっていうのもあるけど、何だろうね。私も多分そこはヘルと同じさ。一緒にいて、安心できるから。見守りたいから」
私は普段、大輝を大事にしていると言葉にはする。
意思表示ももちろんする。
だけど、こういう奥深い事情とか、そういうのを語ることはめったにしない。
ただ、今回は相手が相手だし……それに、大輝を好きになって今尚思い悩むのであれば、共有できるのではないか、と思ったからだ。
「私は、一方的に大輝から離れてしまったから……私の都合で」
「まぁ、結果だけ見たらそうかもしれない。もしかしたら人間界のメンバーには、そういう風に思うメンバーもいるかもね。だけど、それだって発端は私たちが……」
「ううん、やっぱり私の弱い心が原因なんだと思う。だから、私はもっと強くならないといけなかった。大輝に甘えて、自分を律することができなかったから……だから今がある。玲央を育てていくのに、私が女でいるのもいけない様な気がするし」
「フリッグは、バルドルを育てるときそんなこと考えてたの?」
「私?んー……あの子は成長も早かったから……ほとんど手がかからなかったかな。聞き分けよすぎて逆に心配になったりはしたけど」
「じゃあ、夫婦生活の面は割とお盛んに?」
「ま、まぁ……私と夫がそういうことしてるときは、絶対に夜泣きとかしなかったかな……」
「…………」
そんなところにまで気を回すとか、子どものくせにちょっと怖いな……。
大体の事情を理解しているってことになるわけだし。
「私は、大輝に会ってもいいのかな……」
「ダメなんて誰も言ってないし、むしろヘルさえいいなら一緒に生活したっていいって言ったと思うんだけどな」
「確かにそう言ってたけど……私はきっと大輝を独占したくなっちゃう、って私は言ったと思うんだけど」
「ああ、言ってたね。まぁでも、その辺はみんなも同じ様なこと考えることくらいあるんじゃないかな。それくらいみんな、大輝を思ってるってことには変わりないから」
「大輝がスルーズを一番よく見てるっていうのは、私も理解してるし多分みんなも知ってるんだよね。だけど、私はそれがきっと耐えられなくて嫉妬の感情から、また邪悪な心を生み出しちゃうかもしれない。というか生み出すんだと思う。だから、私は離れることを選んだんだもん」
「ま、まぁ……それはね……でも定期的に会うくらいはしたっていいじゃないか。修行僧じゃないんだから。そこまで己を殺す必要はなくないか?」
ストイックと言えば聞こえはいいが、ここまでくると半分は意地なんだろう。
だが、大輝にとってもヘルにとっても、おそらくいいものではない。
もしかしたら慣れたりして、ってことはあるかもしれないけど、ふとした時に爆発でもされてはそれこそ本末転倒というものだ。
「そうやって私を甘やかすと、後で絶対後悔するよ。私だって後悔する。だから、私は自分で自分を律していかないといけないの」
「なぁ、一瞬で……っていうのはちょっとあれだけど……一日でいいんだ、大輝に会いに行ってやってくれないか?今の大輝は、私たちだけじゃダメなんだ。見ていられないんだよ、あんな大輝は……私たちが原因でもあるから、本来頼める話じゃないのはわかってる。だけど、お前じゃないとダメなんだ。頼むよ……」
「…………」
「何なら、二人だけの時間だって作ってやれる。玲央はその間私たちで面倒見るし」
「ねぇヘル、ここまでスルーズが頼んでいることだし……」
「…………」
「…………」
私は口を挟まず、フリッグとヘルを見守る。
正直これ以上、私がここでできることはない気がしたからだ。
今ヘルはフリッグやオーディンを完全に信用している。
玲央に向けてくれる愛情が並みではないから、というのもあるのだろうが。
そんなフリッグが言うことであれば、おそらくヘルの心も動かされるのではないか、という小さな希望が私をそうさせた。
玲央に食事を与える時間だから、と一旦ヘルが席を外す。
残された私とフリッグは、なんとなく気まずい。
「何だか、大変そうだね」
「まぁね……でも、こればっかりはやらないといけないことだから……」
「スルーズってもっと適当な人だと思ってたんだけど」
「昔はね。今は、守りたいものがあるから。そういうのができると、やっぱり変わるもんなのかもしれないね。ヘルなんかも、そうでしょ?まぁあれは元々愛情深いやつだったけど」
「確かにね。ヘルのは母性本能みたいなのが強まった様な印象かな。いい傾向ではあるけどね、たまに度が過ぎるのが怖いかな」
「あんまり過保護なのも、確かに困りものではあるよね」
軽く笑って、フリッグはヘル親子を見つめる。
いつくしむ様に見つめるその顔が、すっかりと親の様な顔になっている様に見えた。
「それより、今日はどうするの?泊っていくの?」
「そのつもりだよ。何としてもヘルを説得しないといけないから」
「あなたがそこまで入れ込むほどの男って、私も会ってみたい気がするけど……今度また連れてきてよね」
「ああ、構わないよ。大輝はオーディンに恩を感じているみたいだし。妻であるフリッグに会うのも問題はないと思う」
「本当、スルーズも変わったよね。ラグナロクの頃とは別人みたい」
「そうかな……本質は変わってないんだけどね。大事なものと、その周りのものを大事にするのは昔からだった気がするし」
「ヘルとスルーズは少し、似てると思うよ。やり方とか器用さが違うだけで」
そう言われてみると、確かにそうなのかもしれない、と思える部分がいくつかある。
私も子を持てば、また変わる部分が出てくるのだろうか。
「ヘルに関しては私も応援するから。何とかして大輝くんに会わせてあげましょ」
「それは心強い。よろしく頼んだよ」
その後私はソールのところへ行った。
ヘルは今日はもう、私とあまり話したがらないだろうと判断した為だ。
「そうでしたね、もうすぐ大輝の誕生日でした」
ソールに誕生日のことを告げると、ソールは目を細めて何やら懐かしんでいる様だった。
懐から何やら取り出して、私に手渡してきた。
「これを、大輝にわたしてやってもらえますか?あの子、また来ると言っていたのですが、一向に現れないものですから」
「そうだったのか、よく言っておくよ。それより、ヘルのことは知ってるか?」
「ええ、知っています。私も祖母になってしまったのですね。ヘルなら週に一度程度ですが、玲央を連れてきてくれていますよ」
「え?それは知らなかった。案外義理堅いな、あいつ……」
「大輝とのことも大体は聞いていますが、二人の問題ですからね。私は孫を愛でるだけに留めています」
ソールも玲央のことは可愛いらしく、手作りでおくるみなんかを作ってやったらしい。
確かに玲央は可愛い。
大輝のことを知らなければ、もしかしたら玲央につばでもつけて、なんて思っていたかもしれない。
赤子なのにギャンギャン泣いたりしないし、お腹がすいたらあの小さな手で服の裾を引っ張ってきたりして知らせてくれる。
食事を与えると、コロコロ笑う。
赤子は皆天使の様だ、なんて言う人がいるけど、その気持ちが少し理解できた様な気がする。
大輝だって、玲央の顔が見たいに決まっているし、他のメンバーも見たいって言っていた。
ならば私は、必ず玲央とヘルを連れて人間界に戻る。
ソールもまた、料理などは達者な様で出されたものはどれも美味しかった。
みんなでいるときには私も料理を振舞ったりすることが多いので、コツなどを聞いて頭の中でメモっておく。
まるで結婚後の親子の様だと言われ、少し気恥しい気持ちになったがこんなのも悪くないと思った。
ヘルはそういえば、料理などするのだろうか。
大輝と生活をしていた頃は全然できなかったみたいなことを聞いているが、今もそうだと今後面倒な気がする。
とりあえず、明日もヘルを口説かないといけないので、私はソールに寝床を借りてゆっくりと眠ることにした。
大輝たちはちゃんと寝てるだろうか。
盛り上がりすぎて寝ずのぶっ通しとかだとしたら……ちょっとだけうらやましい。
「今日もヘルの元へ行くのですか?」
「うん、そうだね。ここで諦めたら大輝の誕生日が台無しになっちゃうから」
「そうですか。あの子はそこまで弱い子だと、私は思いませんが……それでも、誰かが一生懸命になってくれるということを素直に喜べる子ですからね。スルーズ、今後も大輝をよろしくお願いします」
「頼まれたよ。これも、きちんと渡しておくから」
ソールから渡されたプレゼントを掲げ、ウィンクする。
ソールから見たら私は、既にちょっとだけ手のかかる娘みたいに思われてるのかもしれない。
だとしたら喜ばしいことだ。
ソールにしばしの別れを告げて、私は再びヘルの元へと赴く。
光明こそ得られはしなかったが、私は昨日よりも少しだけ明るい気分で出ることができた。
「それがね、今朝出かけたっきり見当たらないのよ」
「は?」
こっちがやる気になっていざ、と思ったらヘルが玲央をオーディンに預けたまま出かけてしまったという。
普段ならそんなことはないのだが、今日に関しては私がいるからなのか、しかも数時間経過しているのに戻っていないという。
逃げたりする様なやつじゃない、とは思うものの、一方でやはり逃げられてしまったのではないか、という思いが出てきてしまう。
相手を信用できなくては、こういうことはまず上手くいかない。
態度や言葉の端々にそういうものが出てしまうことはよくあることだ。
とりあえず人間界にいるはずのノルンに連絡を取る。
ヘルが今朝から見当たらないことを伝えて、居場所を探せないかと頼んでみた。
「神界って狭い様で意外と複雑だからね。隠れてるんだとしたら至難の業だけど……ちょっと気配探ってみるよ」
心の中で親友に感謝して、私も探し始める。
死んだりする様なことはまずないし、玲央もオーディンのところにいる。
危険な目に遭ってるってことはまずないと思うが、それでもなんとなく嫌な予感がした。
意識的に気配を殺しているんだとしたら、もう目視で探すしか方法がない。
ノルンからの連絡はまだだろうか……。
「どうやって入り込んだの?ロキが入るときの隙でも狙った?」
突如、声が聞こえた。
この声は間違いなくヘルだ。
誰かと話しているのだろうか。
「あなたに、冥界に戻っていただきたいだけなのです。特にここでもめ事を起こすつもりはありません」
冥界と言っていたが、まさか冥界からきてるやつがいるってことか?
何だか剣呑な雰囲気だ。
ヘルが従わなければ、力づくでも、という様子が伝わってくる。
「私にはもう、冥界に戻る気持ちはない。ここが私の住処だと言ってくれる人もいるから」
「そうは言っても、あなたの統治がなければ冥界は荒れ放題になってしまうのです。どうか、お聞き届けいただくことはできませんか」
二人いるらしい、冥界からの使者がヘルに迫る。
異性としてどうこうって話ではない様だが、ヘルが統治していた頃の冥界と今じゃだいぶ違うのか?
ロキがたまに出張っていると聞いているが、あの男じゃやっぱりダメなのか。
使えない男だな、相変わらず。
「それはできない。私にはもう、守らなければならないものもある」
おっと、玲央のことを引き合いに出そうというのか、さすがにそれは愚策だ。
「ヘル、そこまでだ。それ以上はいけない」
「スルーズ……何でここに……」
「たまたまだよ。あんたら、何のためにヘルを連れ戻そうとしてるのか知らないけど、ヘルはもう私が予約してるんだ。引っ込んでくれないか」
「あなたは歴戦の戦女神スルーズですか。さすがに相手が悪そうですね」
「戦うつもりだっていうなら、容赦はしないよ。けど、無駄な血を流すだとか殺生をするってのは私も望むところじゃない。どうするんだ?」
私が一歩進み出て、軽く身構える。
二人の冥界人はオーラに気圧されたか後ずさる。
「スルーズ、ちょっと黙ってて」
「そうはいかないな。ここであんたを失うわけにはいかないんだ。仮に生きたまま冥界に行くことになるんだとしても、それじゃ何も意味はない」
「神を殺せるなんて大それたことは考えませんが……その守らなければならないものは、どうなるでしょうね」
「…………」
ヘルがやや殺気立つのを感じる。
こいつらは具体的に何かするとは言っていないが、ヘルは玲央に絡むこととなると猛獣の母親の様になる様だ。
「何をするつもりか知らんけどね。どうも穏やかではなさそうだ。私が先約でもあることだし、ここは引いてもらうわけにいかないか」
「それは出来かねます、戦女神スルーズ」
「フルネームっぽく呼ぶな。それは二つ名なんだから……ってまぁ、そっちがそうくるんであれば私も、戦わないわけにいかないな。ヘルを何としても守る必要が、私にはあるんだ」
私が剣を召喚して、前にかざす。
さすがに力量差があるのを感じているのか、冥界人は戦う意志は見せなかった。
無抵抗なのであれば攻撃を仕掛けるつもりはない。
だが。
「おーいヘル、玲央の食事の時間じゃぞい!」
何でここがわかったのか、という疑問はさておいて、オーディンが玲央を連れてきてしまった。
勝機、とばかりに冥界人がほくそ笑むのを、私は見た気がして戦闘態勢に入る。
どうやら、バトルは免れない様だ。
呑気な面しやがって、このジジイ……。
そっちは毎日玲央と戯れてご機嫌かもしれないが、こっちは今それどころじゃないんだ。
「ああ、そうだよ。それにあたって、必要なものがある。ヘルは何処?」
「ヘルなら今、玲央とフリッグと一緒に散歩に出ているはずじゃが」
「そうか。悪いが、一日だけヘルと玲央を借りる。話は私がつけるから、ヘルのところまで飛ばしてくれるか」
オーディンは複雑な顔をしていたが、渋々と言った様子で私をヘルの元へと転送させた。
目の前に現れた私を見て、ヘルは驚きに目を丸くしていたがフリッグは何となく予感でもしていたのだろう、特に驚いた様子はなかった。
「久しぶりだね、ヘル。と言っても一か月もまだ経ってないんだけどさ」
「……久しぶり。何の用なの?」
「そう邪険にするなって。別にお前を取って食おうってわけじゃないんだ。話をしに来たのさ」
私を見て警戒心を強めたヘルだったが、フリッグが優しくヘルを説得する。
「話くらいは、聞こうよ。どうするかを決めるのはヘル、あなただけど」
「…………」
嫌われたわけではないんだと思うが、おそらく顔を合わせづらいというところか。
そんなの私だって同じなんだけどな。
「ヘル、フリッグの言う通り、私の話を聞いた上でどうするかはあんたが決めてくれていい。だから、まずは聞いてくれないか?この通りだ」
実際、ヘルは先日の件に関して何も悪くなかった。
どちらかと言えば、ヘルと大輝を引き離すきっかけになってしまったのは私たちだ。
だから、私は土下座した。
額を神界の地にこすりつけて、頼み込んだ。
ヘルは慌てた様子で、やや混乱している様に見えた。
それはそうだろう。
私が過去に土下座なんかしたことはないし、それはこれからもおそらくそう。
これが最初で最後になるはずの、私の覚悟だ。
「ヘル、話を聞くだけならいいでしょ?」
フリッグはあくまで中立の様だ。
話がわかるやつでよかった。
「……話は、わかった。だけど……」
「まだ、顔を合わせづらいか?」
私たちはリンゴ園にきていた。
ここはかつてヘルとの戦闘でフリッグやイズン、それに私たちも必死で守った甲斐あって今も元気にその実をつけ続けている。
そこで私は、今の大輝の現状を語って、もうすぐ大輝の誕生日であることを告げた。
「ねぇヘル、何で大輝くんと顔を合わせづらいの?」
「それは……私の勝手で大輝を散々振り回してしまったから。それに、会ったら私はまた自分を抑えられなくなってしまうかもしれない」
「愛情の深さが枷になっている、っていうことでいいの?」
「多分、そうだと思う。私だって、本当だったら大輝に会いたい。声が聴きたい。抱きしめてほしい」
「随分素直になったもんだな」
「禁欲っていうのはそういうものだよ、スルーズ」
フリッグも何か経験があるのか、割と説得力のある言葉に聞こえた。
だが、ここで引き下がったら私がここにきた意味はなくなってしまう。
それに、神界の仲間の意志を代表してここにきているのだ。
簡単には引き下がれない。
「ヘル、お前の言い分はわかった。だが、聞きたいことがあるんだけど……いいか?」
「何……?」
「お前は、大輝の誕生日を祝ってやりたいって気持ち、あるのか?ないんだったら、そもそも誘う意味自体が皆無なんだけど」
実際には皆無ではない。
祝う意志がなかったとしても、そこにヘルがいるだけで大輝はきっと嬉しいはずだし、以前の様な気力を取り戻してくれるはずだ。
だが、完全に会いたくないとまでなってしまっている様だと話はだいぶ変わってくる。
「大輝がいなかったら、私は今こんな気持ちを抱えていないし、玲央だっていない。そんな大輝の誕生日が、おめでたくないわけがない」
「そうだよね、それを聞いて安心したよ。大輝がずっと落ち込んでる様子であることについては、どう思う?もちろん、お前だって同じ様に、もしかしたら大輝以上に落ち込んでいるのかもしれないけどさ」
「それは……私に関しては自業自得だから。だけど、大輝には私のことで傷なんか持ってもらいたくない」
昔、私は春海だったころに同じセリフを、今わの際に言った。
今は実際、そこまで気にしていないかもしれないが、春海の死後大輝は変わってしまっていた。
今回はそこまでに至ってないけど、それはみんながいたからに他ならない。
だが、これから先何がきっかけで大輝が変わってしまうか、というのはさすがに私にも想像できなかった。
ヘルがいてくれることでそれが回避できるのであれば、力を貸してほしい。
それが正直な私の気持ちだった。
「スルーズは、何でそんなに大輝に対して一生懸命なの?」
「わからないか?ヘルならわかるかなって思うんだけど」
「大輝を思う、って部分が同じであることくらいは理解してるけど、根源にあるものが違うから……だから、もし話せるならそこを知りたい」
なるほど。
ヘルは私が春海の人生を何万回もやり直している間のことを知らないんだったか。
冥界でずっと一人で、オーディンを恨み続ける日々だった。
いい機会だから、ヘルにも語っておこう。
「そんなことが……」
「フリッグは、知ってたよね?」
「もちろん、ノルンやオーディンから聞いていたから。でも、そこまで行くともう執念とか怨念って言葉の方がしっくりきそうだけど」
「さすがにそれは心外だな……まぁ、ほかの人が同じことしてたら多分同じ様な感想持つんだけどさ」
「だから、スルーズは大輝を?」
「まぁ、一目惚れっていうのもあるけど、何だろうね。私も多分そこはヘルと同じさ。一緒にいて、安心できるから。見守りたいから」
私は普段、大輝を大事にしていると言葉にはする。
意思表示ももちろんする。
だけど、こういう奥深い事情とか、そういうのを語ることはめったにしない。
ただ、今回は相手が相手だし……それに、大輝を好きになって今尚思い悩むのであれば、共有できるのではないか、と思ったからだ。
「私は、一方的に大輝から離れてしまったから……私の都合で」
「まぁ、結果だけ見たらそうかもしれない。もしかしたら人間界のメンバーには、そういう風に思うメンバーもいるかもね。だけど、それだって発端は私たちが……」
「ううん、やっぱり私の弱い心が原因なんだと思う。だから、私はもっと強くならないといけなかった。大輝に甘えて、自分を律することができなかったから……だから今がある。玲央を育てていくのに、私が女でいるのもいけない様な気がするし」
「フリッグは、バルドルを育てるときそんなこと考えてたの?」
「私?んー……あの子は成長も早かったから……ほとんど手がかからなかったかな。聞き分けよすぎて逆に心配になったりはしたけど」
「じゃあ、夫婦生活の面は割とお盛んに?」
「ま、まぁ……私と夫がそういうことしてるときは、絶対に夜泣きとかしなかったかな……」
「…………」
そんなところにまで気を回すとか、子どものくせにちょっと怖いな……。
大体の事情を理解しているってことになるわけだし。
「私は、大輝に会ってもいいのかな……」
「ダメなんて誰も言ってないし、むしろヘルさえいいなら一緒に生活したっていいって言ったと思うんだけどな」
「確かにそう言ってたけど……私はきっと大輝を独占したくなっちゃう、って私は言ったと思うんだけど」
「ああ、言ってたね。まぁでも、その辺はみんなも同じ様なこと考えることくらいあるんじゃないかな。それくらいみんな、大輝を思ってるってことには変わりないから」
「大輝がスルーズを一番よく見てるっていうのは、私も理解してるし多分みんなも知ってるんだよね。だけど、私はそれがきっと耐えられなくて嫉妬の感情から、また邪悪な心を生み出しちゃうかもしれない。というか生み出すんだと思う。だから、私は離れることを選んだんだもん」
「ま、まぁ……それはね……でも定期的に会うくらいはしたっていいじゃないか。修行僧じゃないんだから。そこまで己を殺す必要はなくないか?」
ストイックと言えば聞こえはいいが、ここまでくると半分は意地なんだろう。
だが、大輝にとってもヘルにとっても、おそらくいいものではない。
もしかしたら慣れたりして、ってことはあるかもしれないけど、ふとした時に爆発でもされてはそれこそ本末転倒というものだ。
「そうやって私を甘やかすと、後で絶対後悔するよ。私だって後悔する。だから、私は自分で自分を律していかないといけないの」
「なぁ、一瞬で……っていうのはちょっとあれだけど……一日でいいんだ、大輝に会いに行ってやってくれないか?今の大輝は、私たちだけじゃダメなんだ。見ていられないんだよ、あんな大輝は……私たちが原因でもあるから、本来頼める話じゃないのはわかってる。だけど、お前じゃないとダメなんだ。頼むよ……」
「…………」
「何なら、二人だけの時間だって作ってやれる。玲央はその間私たちで面倒見るし」
「ねぇヘル、ここまでスルーズが頼んでいることだし……」
「…………」
「…………」
私は口を挟まず、フリッグとヘルを見守る。
正直これ以上、私がここでできることはない気がしたからだ。
今ヘルはフリッグやオーディンを完全に信用している。
玲央に向けてくれる愛情が並みではないから、というのもあるのだろうが。
そんなフリッグが言うことであれば、おそらくヘルの心も動かされるのではないか、という小さな希望が私をそうさせた。
玲央に食事を与える時間だから、と一旦ヘルが席を外す。
残された私とフリッグは、なんとなく気まずい。
「何だか、大変そうだね」
「まぁね……でも、こればっかりはやらないといけないことだから……」
「スルーズってもっと適当な人だと思ってたんだけど」
「昔はね。今は、守りたいものがあるから。そういうのができると、やっぱり変わるもんなのかもしれないね。ヘルなんかも、そうでしょ?まぁあれは元々愛情深いやつだったけど」
「確かにね。ヘルのは母性本能みたいなのが強まった様な印象かな。いい傾向ではあるけどね、たまに度が過ぎるのが怖いかな」
「あんまり過保護なのも、確かに困りものではあるよね」
軽く笑って、フリッグはヘル親子を見つめる。
いつくしむ様に見つめるその顔が、すっかりと親の様な顔になっている様に見えた。
「それより、今日はどうするの?泊っていくの?」
「そのつもりだよ。何としてもヘルを説得しないといけないから」
「あなたがそこまで入れ込むほどの男って、私も会ってみたい気がするけど……今度また連れてきてよね」
「ああ、構わないよ。大輝はオーディンに恩を感じているみたいだし。妻であるフリッグに会うのも問題はないと思う」
「本当、スルーズも変わったよね。ラグナロクの頃とは別人みたい」
「そうかな……本質は変わってないんだけどね。大事なものと、その周りのものを大事にするのは昔からだった気がするし」
「ヘルとスルーズは少し、似てると思うよ。やり方とか器用さが違うだけで」
そう言われてみると、確かにそうなのかもしれない、と思える部分がいくつかある。
私も子を持てば、また変わる部分が出てくるのだろうか。
「ヘルに関しては私も応援するから。何とかして大輝くんに会わせてあげましょ」
「それは心強い。よろしく頼んだよ」
その後私はソールのところへ行った。
ヘルは今日はもう、私とあまり話したがらないだろうと判断した為だ。
「そうでしたね、もうすぐ大輝の誕生日でした」
ソールに誕生日のことを告げると、ソールは目を細めて何やら懐かしんでいる様だった。
懐から何やら取り出して、私に手渡してきた。
「これを、大輝にわたしてやってもらえますか?あの子、また来ると言っていたのですが、一向に現れないものですから」
「そうだったのか、よく言っておくよ。それより、ヘルのことは知ってるか?」
「ええ、知っています。私も祖母になってしまったのですね。ヘルなら週に一度程度ですが、玲央を連れてきてくれていますよ」
「え?それは知らなかった。案外義理堅いな、あいつ……」
「大輝とのことも大体は聞いていますが、二人の問題ですからね。私は孫を愛でるだけに留めています」
ソールも玲央のことは可愛いらしく、手作りでおくるみなんかを作ってやったらしい。
確かに玲央は可愛い。
大輝のことを知らなければ、もしかしたら玲央につばでもつけて、なんて思っていたかもしれない。
赤子なのにギャンギャン泣いたりしないし、お腹がすいたらあの小さな手で服の裾を引っ張ってきたりして知らせてくれる。
食事を与えると、コロコロ笑う。
赤子は皆天使の様だ、なんて言う人がいるけど、その気持ちが少し理解できた様な気がする。
大輝だって、玲央の顔が見たいに決まっているし、他のメンバーも見たいって言っていた。
ならば私は、必ず玲央とヘルを連れて人間界に戻る。
ソールもまた、料理などは達者な様で出されたものはどれも美味しかった。
みんなでいるときには私も料理を振舞ったりすることが多いので、コツなどを聞いて頭の中でメモっておく。
まるで結婚後の親子の様だと言われ、少し気恥しい気持ちになったがこんなのも悪くないと思った。
ヘルはそういえば、料理などするのだろうか。
大輝と生活をしていた頃は全然できなかったみたいなことを聞いているが、今もそうだと今後面倒な気がする。
とりあえず、明日もヘルを口説かないといけないので、私はソールに寝床を借りてゆっくりと眠ることにした。
大輝たちはちゃんと寝てるだろうか。
盛り上がりすぎて寝ずのぶっ通しとかだとしたら……ちょっとだけうらやましい。
「今日もヘルの元へ行くのですか?」
「うん、そうだね。ここで諦めたら大輝の誕生日が台無しになっちゃうから」
「そうですか。あの子はそこまで弱い子だと、私は思いませんが……それでも、誰かが一生懸命になってくれるということを素直に喜べる子ですからね。スルーズ、今後も大輝をよろしくお願いします」
「頼まれたよ。これも、きちんと渡しておくから」
ソールから渡されたプレゼントを掲げ、ウィンクする。
ソールから見たら私は、既にちょっとだけ手のかかる娘みたいに思われてるのかもしれない。
だとしたら喜ばしいことだ。
ソールにしばしの別れを告げて、私は再びヘルの元へと赴く。
光明こそ得られはしなかったが、私は昨日よりも少しだけ明るい気分で出ることができた。
「それがね、今朝出かけたっきり見当たらないのよ」
「は?」
こっちがやる気になっていざ、と思ったらヘルが玲央をオーディンに預けたまま出かけてしまったという。
普段ならそんなことはないのだが、今日に関しては私がいるからなのか、しかも数時間経過しているのに戻っていないという。
逃げたりする様なやつじゃない、とは思うものの、一方でやはり逃げられてしまったのではないか、という思いが出てきてしまう。
相手を信用できなくては、こういうことはまず上手くいかない。
態度や言葉の端々にそういうものが出てしまうことはよくあることだ。
とりあえず人間界にいるはずのノルンに連絡を取る。
ヘルが今朝から見当たらないことを伝えて、居場所を探せないかと頼んでみた。
「神界って狭い様で意外と複雑だからね。隠れてるんだとしたら至難の業だけど……ちょっと気配探ってみるよ」
心の中で親友に感謝して、私も探し始める。
死んだりする様なことはまずないし、玲央もオーディンのところにいる。
危険な目に遭ってるってことはまずないと思うが、それでもなんとなく嫌な予感がした。
意識的に気配を殺しているんだとしたら、もう目視で探すしか方法がない。
ノルンからの連絡はまだだろうか……。
「どうやって入り込んだの?ロキが入るときの隙でも狙った?」
突如、声が聞こえた。
この声は間違いなくヘルだ。
誰かと話しているのだろうか。
「あなたに、冥界に戻っていただきたいだけなのです。特にここでもめ事を起こすつもりはありません」
冥界と言っていたが、まさか冥界からきてるやつがいるってことか?
何だか剣呑な雰囲気だ。
ヘルが従わなければ、力づくでも、という様子が伝わってくる。
「私にはもう、冥界に戻る気持ちはない。ここが私の住処だと言ってくれる人もいるから」
「そうは言っても、あなたの統治がなければ冥界は荒れ放題になってしまうのです。どうか、お聞き届けいただくことはできませんか」
二人いるらしい、冥界からの使者がヘルに迫る。
異性としてどうこうって話ではない様だが、ヘルが統治していた頃の冥界と今じゃだいぶ違うのか?
ロキがたまに出張っていると聞いているが、あの男じゃやっぱりダメなのか。
使えない男だな、相変わらず。
「それはできない。私にはもう、守らなければならないものもある」
おっと、玲央のことを引き合いに出そうというのか、さすがにそれは愚策だ。
「ヘル、そこまでだ。それ以上はいけない」
「スルーズ……何でここに……」
「たまたまだよ。あんたら、何のためにヘルを連れ戻そうとしてるのか知らないけど、ヘルはもう私が予約してるんだ。引っ込んでくれないか」
「あなたは歴戦の戦女神スルーズですか。さすがに相手が悪そうですね」
「戦うつもりだっていうなら、容赦はしないよ。けど、無駄な血を流すだとか殺生をするってのは私も望むところじゃない。どうするんだ?」
私が一歩進み出て、軽く身構える。
二人の冥界人はオーラに気圧されたか後ずさる。
「スルーズ、ちょっと黙ってて」
「そうはいかないな。ここであんたを失うわけにはいかないんだ。仮に生きたまま冥界に行くことになるんだとしても、それじゃ何も意味はない」
「神を殺せるなんて大それたことは考えませんが……その守らなければならないものは、どうなるでしょうね」
「…………」
ヘルがやや殺気立つのを感じる。
こいつらは具体的に何かするとは言っていないが、ヘルは玲央に絡むこととなると猛獣の母親の様になる様だ。
「何をするつもりか知らんけどね。どうも穏やかではなさそうだ。私が先約でもあることだし、ここは引いてもらうわけにいかないか」
「それは出来かねます、戦女神スルーズ」
「フルネームっぽく呼ぶな。それは二つ名なんだから……ってまぁ、そっちがそうくるんであれば私も、戦わないわけにいかないな。ヘルを何としても守る必要が、私にはあるんだ」
私が剣を召喚して、前にかざす。
さすがに力量差があるのを感じているのか、冥界人は戦う意志は見せなかった。
無抵抗なのであれば攻撃を仕掛けるつもりはない。
だが。
「おーいヘル、玲央の食事の時間じゃぞい!」
何でここがわかったのか、という疑問はさておいて、オーディンが玲央を連れてきてしまった。
勝機、とばかりに冥界人がほくそ笑むのを、私は見た気がして戦闘態勢に入る。
どうやら、バトルは免れない様だ。
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