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スカーレット

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大輝編56話~女神の新生活 三日目~

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街中で一人泣きじゃくる少女に、あいは声をかけた。
もしかしたら、あいはその少女に冥界で過ごして居た頃の自分を重ねたのかな、なんて俺は考える。
俺以外の人間に無関心なあいが、ここでどんな対応をするのかははっきり言って未知数だ。

「大輝、連れてきた」
「あ……え?」

予想してなかったわけじゃないが、何とあいはその女の子を俺の元に連れてきてしまった。
一人で何とかさせようなんてのが甘かったのかもしれない。

「えーっと……ママとか、どうしたの?」

連れてきてしまったものは仕方ないし、下手に騒げば俺もあいも悪者扱いされる懸念がある。
そう自分に言い聞かせ、この子の身許を確認することにした。

「はぐれちゃった。ママ、なみのこと嫌いになっちゃったのかな……」

なみというのはおそらくこの子の名前なのだろう。
どういう漢字を書くのかはわからないが、はぐれてしまったというのなら、探さなくてはならないだろう。

「なみちゃん、でいいかな?俺は大輝って言うんだ」
「私はあい。それより大輝、私喉乾いた」
「あ、ああ……」

それよりって……。
まぁ、連れてくるだけマシか。
ほったらかして同じことを言われたら、さすがに俺も怒っちゃってたかもしれない。

「なみちゃんも、喉乾いたんじゃない?お兄さんがジュース買ってあげようか」
「でも、ママが前に知らない人に物もらっちゃダメって」
「そっかぁ。でもさ、なみちゃんはもう俺の名前もあいの名前も知ってるだろ?なら知らない人じゃないよな?」

ちょっと強引かなと思ったが、さすがにこの炎天下で立ち尽くしていた子を放置して俺たちだけ飲み物を、というわけにも行かない。
幸いなみちゃんは納得してくれたみたいで、俺とあいについてくることになった。


「どれがいい?好きなの頼んでいいよ」

駅ビルに入ると、ミックスジュースやらの売っている店があったので、そこで足を止めた。
中は涼しくて、外との気温差で体を壊しそうな気がしたが、外で立っているよりはいいだろうと思えた。

三人分のジュースを買って、あいとなみちゃんにジュースを渡すと、なみちゃんは礼儀正しくお礼を言った。
親がちゃんと教えてるのかもしれない。
だとしたら、今もなみちゃんを探して彷徨っている可能性がある。 

「ゆっくり飲んでいいからな」
「うん」
「大輝、私また昨夜の飲みたい」
「うん?ああ、コーラ?じゃあスーパーで買ってくか?」
「ううん、違うよ。寝る前の営みで……」
「ちょ、ちょっと待て、それ以上言うんじゃない!」

五歳の女の子の前で、いきなり何を言い出すのか。
倫理観とかそういうものも、あいには教える必要がある様だ。

「営みって何?」
「なみちゃんにはまだわからないと思うから……また今度な」

そう、きっとこのあと会うことなんかないだろうけどな。

「なみちゃんも今度大輝に飲ませてもらう?」
「ちょ、お前!」

ほっとくと、あいがどんどん爆弾を落とすので俺はジュースを一気に飲み干して、ゴミ箱に放り込んだ。
さすがに周りの目も気になる。

「大輝は可愛い女の子なら、誰でもああいうことしたいのかと思って……」
「相手が五歳じゃ、さすがにそういう対象にはならんわ」

二人を立たせて、とりあえず駅前にある交番へ向かうことにした。
交番であいが爆弾を落とさない様に祈るばかりだ。

三人で暑い暑い言いながら交番へ行くと、女の人が一人いた。
なみちゃんがその人を見て、ママと言うのが聞こえて、俺は胸を撫で下ろす。 
あいは、何だか複雑な顔をしていた。

「何てお礼を言ったら良いか……」
「ああ、いえ気にしないでください」

なみちゃんのお母さんが涙目でしきりにお礼を述べる。
さすがにそこまでされると恐縮してしまうが、悪い気はしない。

「大輝、女が男にお礼するときは、体で払うんじゃないの?」

あいが、俺の耳元でぼそっととんでもないことを言い出した。
大きな声で言わなかったのだけは成長だな、うん。

「お前それ、この人に絶対言うなよ、本当……」
「ママ、大輝お兄さんがジュース買ってくれたの」
「え、そうなんですか?おいくらでしたか?さすがに申し訳ないので、お支払いしたいんですが……」
「いや本当、大したものじゃないので」
「なら、体で……モゴゴゴゴ」

余計なことを言わせない様に、俺は笑顔のままあいの口を手で塞いだ。
最初からこうしておけばよかった。

「じゃ、なみちゃん。今度はお母さんとはぐれない様にな」

頭を軽く撫でて手を振ると、なみちゃんは笑って手を振り返してきた。
可愛らしいなぁ、と思う。
お母さんも丁寧に頭を下げて、なみちゃんを連れて交番を出た。

あいが、またも複雑な顔でなみちゃんを見送る。

「ねぇ大輝、あの子……」
「うん?」
「私、連れて帰っちゃったらダメだった?」

意外な発言だった。
割となみちゃんのこと、気に入ってたのかな。
複雑そうな表情は、寂しさの表れだったのか。

「そうか、お前……なみちゃんと別れるの寂しかったのか」
「寂しい……そうなのかな?」
「多分な。あの子、お前にも結構懐いてたし」
「寂しい、か……」

俺がいるだろ、なんて陳腐なことは言えなかった。
けど、あいが寂しそうにしているのは何となく見ていられなくて、俺はあいの手を握る。
俺がなみちゃんのお母さんと繋がれば、なみちゃんと離れなくて済む、とか考えてあんなことを言ったのかもしれない。

二人でスーパーへ行き、買うものを選んでいく。
卵ほしいって言ってたな。
あと、温めるだけで食べられるものもいくつか……。

「大輝、私ほしいものがあるの」 
「お?珍しいな、言ってみ」

俺は食材をカートに放り込みながら、あいの言葉に耳を傾ける。
だが、あいがなかなか言い出さないのでどうしたのかとあいの方を見ると、あいは俯いている様だった。

「どうしたんだ?言いにくいことか?」
「ううん……大輝、私ね」
「うん」

いつになく神妙な顔をしているあい。
また爆弾でも落とすつもりなのかと、ちょっとだけ身構える。
睦月と違って、こいつは無自覚で言うからタチが悪い。

「私、子供がほしい」
「は?」

あいの発言に、周りがざわついた。
割と人が多くいるこのスーパーのど真ん中で、こいつは何ということを言い出すのか。

「あ、あの、あいさん?」
「ほしい。だから、作って?」

俺はなるべく愛想笑いを崩さない様に、しかしごく自然に見える様に、あいの肩を抱いてその場からフェードアウトしようと考えた。
このままだと、またしても俺は晒し者になる。
いや、もう手遅れかもしれないが……。

「宇堂くん、もうパパになりたいんだ?」

逃げようと思った背後から聞き覚えのある声がして、俺の背中を嫌な汗が伝った。

「こい……ずみさん……」

何でここに……しかも小泉さんは二人ほどの男を連れている。
前に言ってたお兄さんか弟くんだろうか。

「あ、お兄ちゃん。この人が前に言ってた大輝くん。私の彼氏」
「あ、どうもこんにちは。兄の誠二せいじです」
「その弟の竜太りゅうたです」
「あ、ど、どうも……宇堂大輝です……」

何というタイミングで現れるのか……。
よりによって、あいの爆弾投下直後だなんて……。

「そちらは?可愛らしい人だね」

小泉さんがあいに興味を持った様だ。
これは良くないと、俺の中の勘が忠告してくる。

「私は地ノ神あい。大輝の……大輝、私大輝の何?」
「え、えっとだな……」

小泉さんのお兄さん二人がニコニコしながら、俺とあいを見る。
誤魔化すのは不可能だろうと思って、俺は正直に話すことにした。

「実はこの子と生活してて……」
「大輝に色々食べさせてもらったり、飲ませてもらったりしたの」
「ちょっとお前は黙ってなさい」

このまま行くと、またあいが爆弾を落とすのが目に見えていたので、俺はあいを制する。
小泉さんはどうやら察した様で、ちょっと複雑そうだ。

「宇堂くん、相変わらずお盛んみたいだけど……今度また私の相手もしてくれるよね?」
「あ、ああもちろん……」
「お兄ちゃん、行こう?」

小泉さんが気を遣ってくれて、お兄さん二人が軽く会釈などして、その場を去った。
どっ、と嫌な汗をかいて、俺は一息つく。

「大輝、大丈夫?」
「あ、ああ……大丈夫」
「さっきの女も、大輝と?」
「まぁ……期間限定だけど」
「そうなんだ」

さっきなみちゃんと別れた時とはまた違った顔をして、あいが小泉さんを見送る。

「あい、もしかして……ヤキモチ妬いてる?」
「ヤキモチ?」
「嫉妬してるの?って意味ね」
「嫉妬……わからない。だけど、二人が昨夜みたいなことしてるの、想像したらちょっとモヤモヤした」

それは完全にヤキモチだ。
嬉しくないこともないが、色々と危ういかもしれない。

「それで大輝、子供だけど」
「ま、待ってくれ。その話は帰ってからにしないか?」
「何で?」
「こういう、人が多いところでする話じゃないからだよ」

作ってほしいなんてこんなところで言われても、はいわかりましたともダメです、とも言えない。

ひとまず、痛い視線を感じながら俺は次々と食材を放り込んで会計をすることにした。
あいが、早く話したくて仕方ないと言った様子で落ち着かない様だったが、申し訳なく思いながら無視した。

「さ、帰ろう。アイス溶けちゃうからな」

あいの手を引いて、逃げる様にして俺はあいのアパートへの道を急いだ。
しばらく来れないじゃないか、このスーパー……。


「さて……何で子どもがほしいんだ?」

頭ごなしにダメとか言っちゃうのは、さすがに俺の性に合わないのでとりあえず理由から聞くことにした。
とは言っても、寂しいからなんだろうと言うのは想像できるんだが。

「本当は、なみちゃん持って帰ってこれたら良かったんだけど」

よく、可愛い子とか見て持ち帰りたい、とか言う輩がいるのは俺も知ってはいる。
だが、こいつのは本気だし、割と洒落にならない。
持って帰ろう、なんて言い出さなくて良かった。

「ま、まぁそれはわかった。だから俺と子ども作るのか?」
「ダメ?」
「いや、ダメって言うか……」

どう答えるのが正解なんだろうか。
人間界の仕組みや常識を説いた上で、俺がまだ学生だからってことを理由にするべきか?
作らない前提で、って言うのが何となく引っかかるが……。

「大輝は私の子ども、ほしくない?」
「そ、そういうわけじゃないんだ」

まだパパになりたくない、という気持ちは確かにゼロじゃない。
だが正直相手は女神だし、生活なんかどうにでも出来るだろう。
俺も女神だし……。

しかし、そういう理由以前に他のメンバーにどう説明するのか。
そこが一番の問題だ。
隠し通せるわけもないし、何より隠そうなんて考えたら後が怖い。

助けて、ムツえもん……。

「呼んだ?」

俺のモノローグに答えるかの様に、突如睦月が俺たちの目の前に現れた。
これにはさすがにあいも驚いた様で、俺にしがみついて離れない。

「んー……あい、あのさ。俺だけの問題じゃないから、睦月には話しておきたいんだけど、いいかな」
「でも……」

まだあいはきっと、睦月が怖いんだろうなと思う。
おびえ方が尋常じゃない。

「大体の事情は理解してるから、無理に話さなくて良いけどね」

睦月は事も無げに言い、あいを見た。
あいは睦月に見つめられて、少したじろいで見える。

「大輝、何で大輝にあいを任せたか、わかる?」
「え?えっと……寂しくさせない様に?」
「うん、よくできました」

にっこり笑って、睦月が俺の頭を撫でる。
目が笑ってないとか、そういうこともない様だ。

「女神勢にはさすがに隠せないけど、人間界出身のメンバーには内緒にしてあげられるよ?」
「それって、子どもを作れって意味か?」
「あいには、人を思う気持ちとか色々知ってほしいしね。言い方は悪いけど、一石二鳥ではあるんだよね」
「割とドライな考え方だな。睦月はそれでいいのか?あいは一番新顔でもあるけどさ」
「私たちは、正直人間界出身のメンバーに合わせて作りたいって意見で一致してるからね。だから、あいが先に子ども作ったとしても別に怒ったりしないよ」

ってことは何だ、あのメンバー全員と子ども作るのはもう規定事項なわけ?
何年後になるのかわからんけど、俺の子ども何人になるんだろう……。

「えーと……あい、あのさ」
「…………」 

俺も睦月も怒ったりはしてないはずだが、あいは怒られた子どもみたいな顔をしていた。
母性とか、そういうのあいにもやっぱりあるんだろうか。
今はこっちの勝手とかわからなくて、子どもみたいなやつだけど……でも女なんだよな。

「まぁ、大輝に任せる、なんて言うと大輝は何日も悩んじゃうよね、きっと。だからね」
「え?」
「寧ろ、作っておいて。最悪孕むまで帰ってこないでも良いよ」
「お、お前何言って……」
「私、大輝の為にもなると思うし、今後の私たちの為にもなると思うから。だからあい、大輝に沢山愛してもらって?」
「いいの?」
「もちろん。神界出身のメンバーはそれで納得してるからね」
「だ、だからってそんな、勝手なこと……」 
「数年後、大輝は私たちとも子作りするんだよ?今から練習しといてよ。子育てに関しても、私興味あるし」

それは俺とあいの子で練習するってことかよ……。
さすがに人間の思考じゃこんなこと、思いつかないだろうな。

「大輝、それでいい?」

あいが不安そうな顔をする。
そんな顔をされたら、俺だってさすがに断れない。
心配事はそれなりにあるけど、とりあえず腹を括らないといけないか……。

睦月はヒラヒラと手を振り、自宅に帰って行った。
あいの期待の籠もった視線を一審に受けて、俺は子どもを作ることを了承した。

ここまできたら、とことん付き合ってやるよ……。
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