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「ハジメ、ちょっといい?」
朝……というか昼近くなってから目を覚ました朔は、隣で裸で寝ているメラニーの姿を見て一瞬混乱した。
しかし、すぐに昨夜のことを思い出して深呼吸する。
――ああ、そうだった……朝から目の毒だなこれ……。
布団をかけなおしてやり、服を着なおす。
そして部屋を出て鍵だけかけて、軽く風呂でも、なんて思っていたらデリアに呼ばれる。
「どうした?珍しいな」
「ここじゃちょっと……私の部屋にきて」
「え、デリアの?いいのかよ」
「いいから!!」
強引に朔の手を引っ張って、デリアは自室に駆け込む。
「あの、まだ俺顔洗ってないから……水浴びくらいしてきてもいい?」
「メラニーの匂いがするものね」
「!?」
「知らないとでも?というかね……寝る時鍵くらいしなさいよ」
「え、開いてたのか……開いてたな」
「朝、起こしに行って固まったわよ……。で、メラニーとはもう、そういう仲になったの?」
「え、ええっと……」
「まぁ、あれで何もありませんでした、っていうのはさすがに苦しいわよね」
「……あの、内緒にしてくれると……」
「人に言えないでしょ、あんなこと……ソフィア様は多分察してるけどね」
デリアは立ち上がり、茶を淹れて朔に渡した。
受け取って一口すすり、礼を言う。
「で、どうだったの?」
「え、そんなの聞きたいの?」
「そりゃ、自分の知らない部分だし……興味はあるわよ」
「何か、日本の近所のおばさんみたいだなお前……」
「ほー、そういうこと言う?何なら今からみんなに二人のこと触れ回ってもいいんだけど」
「すみませんでした、何でも聞いてください」
これがジャパニーズ土下座だ、と朔が平伏する。
「最初からそういう態度でくればいいのに。どういう感じでああなったの?」
気は進まないし、恥ずかしいしで顔が熱くなるのを感じながら、朔は昨夜のことを語る。
途中で、頼むから誰にも言わないでくれ、という言葉を混ぜながら。
「……ってことは何?最後までしてないの?」
「そ、そうね……」
「ヘタレね……もう一回くらい頑張る甲斐性見せなさいよ」
「そんなこと言われてもだな……」
――それよりも、早く水浴びたい。
「私と話すの退屈?」
「い、いやそんなことない。ないけど……」
「メラニーの匂いさせながら、他の女の子と会話するのが気が引けちゃう?」
――グイグイくるなぁ……。まぁ概ねその通りなんだけど。
「なら、とりあえず行ってきていいわよ。終わったら戻ってきてね」
デリアのお許しが出たので、ひとまず歯磨きと水浴びを済ませる。
コテージの中の温度は神の力で常に一定に保たれているので、湯浴みにしなくても寒くて震える、ということがほとんどない。
――会いたくて震える、ならあるかもしれないけどな。
言われた通りデリアの部屋に戻ろうとすると、リビングのテーブルに食事が用意されていた。
一人分ずつ小分けにされて、かごの様なものがかぶせてある。
――デリアはもう食ったかな?
とりあえず一人分だけ持ってデリアの部屋のドアをノックする。
「おかえり、早かったわね」
「あ、おう……デリア、もう飯食ったよな?」
「食べたわよ」
「じゃあ、食いながらでいい?」
「行儀悪いけど、まぁいいわ」
――そういや、何で話終わってるはずなのに戻って来いなんて言ったんだろ。
「率直に聞くけど、ハジメはメラニーのこと、好きなのよね?」
「あ、ああ……そうなるな。何でそんなことを?」
「男って、何人も同時に攻略できる生き物だって聞いたから。私は、ハジメから見てどう?」
「は?」
「だから、私は女としてハジメの目にどう映るのか、って聞いてるの」
「何で、そんなこと……」
朔は考える。
デリア……色が白い。
白人だから当たり前なんだが。
金髪が綺麗だ。
清潔なイメージと、潔癖なイメージがある。
世話焼きだ。
胸は小さめ……かもしれない。
「今何か、ひどいこと考えたでしょ」
「めめめめ滅相もない!!」
――これって、もしかして……。
「ねぇハジメ、私もハジメといい仲になりたいって言ったら困る?」
「ぶっ!!」
その時飲んでいた、冷めたスープを勢いよく吹き出す。
「ちょっと……仕方ないわね」
仕方ないと言いながら手早くテーブルを拭いたりするデリアは、本当に世話焼きだ。
「ごっほ……お前、冗談にしてもちょっと度が過ぎるぞ」
「冗談に聞こえたの?」
「冗談じゃなかったら何なんだよ……」
「だって、メラニーばっかりずるい……」
デリアは下を見ながら言う。
――何この子、構ってほしいの?確かにメラニーにばっかり構ってたのは否定できないけど……。
「私だって、ハジメのこと……メラニーみたいにおっぱい大きくないけど……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。いきなりのことに頭が追いつかない」
「ねぇ、どうなの?」
「どうって言われても……俺にはもう、メラニーがいるから……」
「じゃあ、搦め手を使うから。私もいい仲にしてくれないなら、みんなにバラす」
「ひ、卑怯だなお前……」
「何とでも言いなさい。私だって、こう見えて必死なんだから……」
――何でここにきて、こんなことに?これも神の連中の思惑通りなのか?
――せいかーい。朔、君への試練だよ。君の男としての力、見せてもらおうか。
――あ、てめ!こんな時ばっかり返事しやがって!!
――デリアの好感度はもうほぼマックスだから。何もなかったはずなのに、おかしいねぇ?
――このやろ……チート使うのはさすがになしだろ……。
――ちなみに、デリアも攻略するんだったら、最初のうちはメラニーには黙っておいた方が無難かもね。
――ご丁寧にどうも……!けどな、俺はメラニー一筋に……。
――それは多分無理だと思うなぁ。ああ、安心していいよ。あと一人か二人くらいしか、朔の好感度に影響しない様にしてあるから。
――おい待て!!さらっと恐ろしいこと言っただろお前!!もう一人って誰だよ!!
――さぁてねぇ?今後のお楽しみということで。ほら、デリアが待ってるよ。
畜生、俺で遊びやがって……。
心の中で神に毒づきながら、朔はデリアを見る。
「な、なぁ、何で俺なの?レスターの方が数倍イケメンじゃないか?気も利くし」
「あんた、ソフィア様と修羅場迎える覚悟あるの?」
「いや、メラニーだったらいいのかよ……」
「いいか悪いかじゃないんだけどね。ハジメが一生懸命に戦ってるところ見てたら、何だかこう疼く感じが……」
「いきなり直結しようとするのやめよう?」
「べ、別に今すぐなんて……」
「いや、お前今獣みたいな目で俺のこと見てたから。一瞬戦慄したから」
「さすがにそれは失礼じゃない?私だって傷つくことくらいあるのよ?」
ちなみに、スルーズもフレイヤも黙っていたがチートの類は使っていない。
今回デリアの好感度が勝手に上がったのは、単に朔の戦いっぷりによるものだった。
メラニーの為に、とずっと自らを盾にして戦う姿勢が心を打った。
一生懸命な人間は、それだけで輝いて見えることがある、といういい見本だ。
「か、勘違いなら悪かったけど……」
残る一つのおかずを口に運びながら朔は言う。
「ねぇハジメ、ハジメのって、今のウィンナーとどっちが大きいの?」
「!?」
真面目だったデリアから思わぬ下ネタが飛び出し、朔はウィンナーを喉に詰まらせて悶絶した。
「こ、殺す気かお前……ていうか、そんなこと言うキャラだっけ?」
「メラニーみたいなこと言ったら喜ぶかなって」
「喜ばねぇよ!びっくりして危うくショック死だわ!!」
「ねぇ、ダメ?」
「だ、ダメ……」
「どうしても?」
「どうしても。バラしたかったらバラせよ。針の筵でも、俺は座り続けてやる」
「ふーん……」
「ああ、そうだ、俺の親友の圭介を紹介してやろう」
「ケイスケ?あの子女の子でしょ?」
それを聞いて、ふっと笑いが漏れる。
――俺だって、そうだったらどんなに良かったか。
「あいつは男だよ。女みたいで可愛いよな、確かに。気持ちはわかる」
「ずっと、女の子だと思ってたわ……」
「圭介なんて名前、日本じゃ女の子につけないからな」
「へぇ……」
そして、圭介に簡単に事情を説明してデリアを押し付ける。
「朔……そういうのはさすがにひどいと思うよ」
「言いたいことはわかる。けど、今の俺はそんな場合じゃないんだ。頼まれてくれよ」
「デリアさんは、朔のこと本気だと思うけどなぁ」
二人で耳打ちして会話するのを、デリアが不思議そうに見る。
――本当に、仲いいのね。
「とにかく、今の俺の手に負える話じゃないんだって。頼んだからな」
言って、朔は圭介の部屋を出た。
すれ違ったデリアの、妖艶な目が心に焼きつく。
「ハジメ、おきてたんだな。飯はっと……さすがソフィア」
メラニーも起きて来て、食事にとりかかる。
朔も食事は終わっているが、テーブルについてメラニーを見つめた。
「な、何だよ」
「いや……食べ方が可愛いなと」
「や、やめろよ食事中に……」
「朝から色ボケですか」
遥が茶を飲みに、リビングにやってきた。
女というのは勘がいいのか、遥も何となく二人の雰囲気で察した様だった。
「ああ、朝じゃなくてもうすぐ昼でした」
「何だ、羨ましいのか?」
「いいえ?まぁ、仲がいいのは悪いと思いませんけど。旅に支障だけは出さないでくださいね」
「何だ、そんなことか、任せろって」
ところ変わって、圭介の部屋。
「ねぇケイスケ。私、紹介してもらっておいて申し訳ないんだけど……」
「大丈夫、わかってるから。何とかして朔に振り向かせてみるよ」
「協力してくれるの?」
「うん、さすがに朔は難易度高めかもしれないけど……この世界って、男一人に女一人じゃないとダメとかあるのかな?」
「そういえばそういうの、聞いたことないわね。ちょっとレスター辺りにきいてみましょ」
そう言って、二人はレスターの部屋へ。
途中で朔とメラニーと遥が何やら話しているのが見えたが、ひとまずは無視する。
「やぁ、珍しいね。入るかい?」
レスターは二人にお茶を出して、座る様勧めた。
「レスター、聞きたいことがあるの」
「何だい?僕に答えられることなら答えるよ」
圭介とデリアは、顔を見合わせて頷く。
「この世界って、男と女は一人ずつしか結ばれないの?」
「はい?」
「だから、たとえば……男一人に女が数人恋人とか妻になったりっていうのは問題ある?」
「ああ、そういう……実はね、この世界にはそういうことに対しての明確な取り決めはないんだ。だから、結果だけ言うと男が何人女を囲っても罰せられたりしない。それどころか、ステータスであるという風潮すらあるよ」
「そうなの?でも、レスターはソフィア様一人よね」
「あ、当たり前だろう……他に女なんか作ろうものなら……」
ガクガクとレスターが震える。
その顔がやたらと青ざめていて、デリアはソフィアを本当に恐ろしい女なのだと理解した。
「デリアの話から察するに……ハジメのことかな?多分今頃メラニーといい仲になってると思うけど」
「そうなの。でね……」
デリアは案外口が軽い様で、レスターにある程度事情を話してしまった。
「そ、そうなんだ……勇敢だね、デリア……」
「だって、私だってハジメのこと……」
「そうか、大分人気者になってきたみたいで僕も嬉しいよ。けどね」
レスターは一息ついて、デリアを見た。
「冒険に支障だけは出さない様にしよう。ハジメが言ったことが本当なんだったら、また神が乗り出してくる危険があるし」
「その点は考えてるから。午後から、また出るんでしょ?」
「そのつもりだよ。まぁ、メラニーがどんな顔するのか、想像もできないけど、健闘を祈るよ」
収穫はあった。
法の問題等は何もない。
あとは感情の問題。
デリアはひとまず圭介と別れ、旅の準備に入った。
「午後から、また出発するよ。今度はミエリックスの国を目指すことになる」
「ミエリックスって、ここからそう遠くない国だったよな、確か。なら、宿取ったり出来るか?」
「そうだね、三~四時間くらい歩くけど、夕方には到着できるんじゃないかな。メンヒサルの街が一番近いかな、ここからだと」
ミエリックスもまた王国で、王が跡継ぎ問題でもめているという事情がある。
跡継ぎになるはずだった王子が病気で死んでしまい、その妹であるオフィーリアが次期女王になる予定ではあるが、女王制に反対の臣下が色々と画策している、という噂があった。
「あそこは今割とピリピリしてなかった?長期の滞在はちょっと難しそうな気がするんだけど」
クラリスが心配そうにレスターを見る。
クラリスの出身は、このミエリックスの隣のヌティアという国で、噂は少しずつ耳に入っていた。
「そうだね。ただ今回、次期女王にあたるオフィーリア姫の提示された試練というのがあるらしくて、龍に関連することなんだ」
「マジか。龍に関連って……想像がつかねぇな」
「王になる器を示すために、龍の住処と言われる洞窟に行って何かを取って来いって言われてるって聞いてる」
「クラリス、詳しいな」
「出身が隣の国だったから。嫌でも耳に入ってくるの。綺麗な人なんだけどね、オフィーリア様」
「そんな人に洞窟行かせるって……そうか、俺たちが手伝ってやるのか?」
「まぁ、内密に、ってことにはなるだろうけど、それが一番なんじゃないかって思う」
それなら、と各自準備を完了させ、コテージをしまった。
ここからきちんとミエリックスに到着しておかなければ、コテージを使うことができないので野宿になってしまう。
そうなると神の加護も何もない状態で、見張りを常に立てるということをしなくてはならなくなるのだ。
元々が非戦闘要員である圭介はもちろんだが、女性の多いこのパーティでそういうのはできるだけ避けたい、というのが朔の考えだった。
街道を歩き、できる限り怪物との遭遇を控える。
午前中、朔とメラニーが眠りこけていたので訓練は自然と中止になり、翌日からまた再開しようと言うことになっていた。
「なぁ、あれ……」
「あれは……龍?だよな」
朔が指差した方角を見ると、龍が人を襲っていた。
立ち向かうなど当然出来るわけもなく、襲われている側の人間は必死で逃げ惑っていた。
「あの方角……まずいな。あっちには、集落があったはずだ」
「やるしかねぇか……」
全員が武器を構える。
圭介だけは、朔から下がっている様に言われて一番後ろで待機する。
まず遥が龍の足元に矢を放ち、隆起した地面から恐ろしいほどの高さの土の刃を展開した。
「大して効いていませんね。となると、土が弱点ではない様です」
「なら、私が」
デリアが、呻く龍めがけて風の刃を飛ばす。
続いてクラリスも、ナイフを三本投げた。
漸く龍がこちらを向き、標的を変える。
「これまた効いた、というわけではない様ですね」
「ですね、単に痛かったから、って感じ」
メイヴィスとソフィアが詠唱に入る。
朔とレスターとで、ひとまず龍をひきつけることにした。
「おら、こっちだウスノロ!!」
強烈な冷気を纏った一撃を加え、即座にその場から離れると、レスターが電撃を飛ばして龍を狙撃する。
「俺たちのでもない、ってことは……」
ソフィアが傀儡を召喚する。
二人は一旦パーティの下に戻る。
「これですよね、きっと」
メイヴィスが炎の矢を五本飛ばし、全弾命中する。
まともにくらった龍は、やっと苦しむ素振りを見せた。
苦し紛れに、つむじ風を発生させてパーティに向けて飛ばす。
「ちょ、これはまずくないか?」
「ハジメ、氷壁を!ソフィア様も土壁をお願いします!!」
二人が同時に壁を展開して、つむじ風の衝撃に備える。
思っていたほどの威力はなかった様で、壁が砕けると同時に風も消えた。
「メイヴィス、俺とレスター、それにメラニーとデリアに属性付与だ!」
「了解!!」
前衛四人で切り込み、その間でまた詠唱に入ってもらう。
残っているメンバーには圭介の護衛を任せる。
「よし、いくぞ」
属性付与を受けた四人が龍めがけて突進する。
レスターが朔とメラニー、デリアに速度付与をかけて、火の属性が乗った雷を浴びせる。
これはさすがに効いた様で、一瞬動きが止まる。
メラニーが重力波を放ち、更に動きが鈍ったところにデリアの発生させた竜巻と朔の氷の刃が、それぞれ龍を引き裂いた。
「いけ、メイヴィス!!」
最後にメイヴィスが放った特大の火球が龍を捉え、巨大な火柱が上がった。
「他に敵はいないか?一応確認しよう」
レスターが辺りを見回しながら言い、朔があることに気づいた。
「なぁ、さっきの人間は?」
「こ、ここです……」
戦っている間に逃げればいいのに、と朔は思ったが、義理堅いのかもしれない、と思いなおす。
「すみません、助かりました」
草むらに身を潜めていたらしく、服に草が何本か付着していた。
その男は、ロイドと名乗った。
二十歳前後のすらっとした長身で、腰には剣を携えている。
「何で逃げなかったの?」
デリアが思ったまま口にした。
ロイドは少し照れながら頭を掻き、笑う。
「いや、お礼を、というのもあるんですが……実は、この先また怪物なんかに襲われたら、と思うと怖くなりまして」
言いながらロイドが腰の剣を抜いて見せると、その剣は鍔の少し先あたりで折れている様だった。
なるほど、とレスターは頷く。
「失礼ですが、目的地はどちらですか?」
「ミエリックスの先にある村なんですが……」
「丁度ミエリックスまで行く途中なので、そこまでで良ければお助けしましょうか」
レスターは物のついで、という感じで提案する。
ロイドも、地獄に仏と言った表情でその提案に乗った。
「戦闘になったら俺たちで戦うから、少し下がって待機してください」
朔が言い、ロイドは深く頷いた。
途中二回ほど戦闘になり、そのどれもを軽々と乗り越える。
予定よりも一時間弱遅れて、ミエリックスに到着した。
「ありがとうございました。実はこの先の村で宿屋をやってまして……もし寄ることがあれば、是非いらしてください。サービスしますので」
ロイドは深々と頭を下げて立ち去った。
「さ、少し遅くなってしまったけど宿を探そう。部屋は四つ、空いてるといいんだけど」
レスターが先に立って宿を探す。
結果として部屋はちゃんと四つ見つかった。
男性三人は同じ部屋で。
女性陣はメラニーとデリア、クラリスと遥、メイヴィスとソフィアで相部屋になる。
ちなみにこの組み合わせはデリアが提案した。
彼女としては、メラニーと一緒であれば他は誰が誰と組んでも良いと思っている。
そして、デリアの中でメラニーへの挑戦がこのあと、始まろうとしていた。
朝……というか昼近くなってから目を覚ました朔は、隣で裸で寝ているメラニーの姿を見て一瞬混乱した。
しかし、すぐに昨夜のことを思い出して深呼吸する。
――ああ、そうだった……朝から目の毒だなこれ……。
布団をかけなおしてやり、服を着なおす。
そして部屋を出て鍵だけかけて、軽く風呂でも、なんて思っていたらデリアに呼ばれる。
「どうした?珍しいな」
「ここじゃちょっと……私の部屋にきて」
「え、デリアの?いいのかよ」
「いいから!!」
強引に朔の手を引っ張って、デリアは自室に駆け込む。
「あの、まだ俺顔洗ってないから……水浴びくらいしてきてもいい?」
「メラニーの匂いがするものね」
「!?」
「知らないとでも?というかね……寝る時鍵くらいしなさいよ」
「え、開いてたのか……開いてたな」
「朝、起こしに行って固まったわよ……。で、メラニーとはもう、そういう仲になったの?」
「え、ええっと……」
「まぁ、あれで何もありませんでした、っていうのはさすがに苦しいわよね」
「……あの、内緒にしてくれると……」
「人に言えないでしょ、あんなこと……ソフィア様は多分察してるけどね」
デリアは立ち上がり、茶を淹れて朔に渡した。
受け取って一口すすり、礼を言う。
「で、どうだったの?」
「え、そんなの聞きたいの?」
「そりゃ、自分の知らない部分だし……興味はあるわよ」
「何か、日本の近所のおばさんみたいだなお前……」
「ほー、そういうこと言う?何なら今からみんなに二人のこと触れ回ってもいいんだけど」
「すみませんでした、何でも聞いてください」
これがジャパニーズ土下座だ、と朔が平伏する。
「最初からそういう態度でくればいいのに。どういう感じでああなったの?」
気は進まないし、恥ずかしいしで顔が熱くなるのを感じながら、朔は昨夜のことを語る。
途中で、頼むから誰にも言わないでくれ、という言葉を混ぜながら。
「……ってことは何?最後までしてないの?」
「そ、そうね……」
「ヘタレね……もう一回くらい頑張る甲斐性見せなさいよ」
「そんなこと言われてもだな……」
――それよりも、早く水浴びたい。
「私と話すの退屈?」
「い、いやそんなことない。ないけど……」
「メラニーの匂いさせながら、他の女の子と会話するのが気が引けちゃう?」
――グイグイくるなぁ……。まぁ概ねその通りなんだけど。
「なら、とりあえず行ってきていいわよ。終わったら戻ってきてね」
デリアのお許しが出たので、ひとまず歯磨きと水浴びを済ませる。
コテージの中の温度は神の力で常に一定に保たれているので、湯浴みにしなくても寒くて震える、ということがほとんどない。
――会いたくて震える、ならあるかもしれないけどな。
言われた通りデリアの部屋に戻ろうとすると、リビングのテーブルに食事が用意されていた。
一人分ずつ小分けにされて、かごの様なものがかぶせてある。
――デリアはもう食ったかな?
とりあえず一人分だけ持ってデリアの部屋のドアをノックする。
「おかえり、早かったわね」
「あ、おう……デリア、もう飯食ったよな?」
「食べたわよ」
「じゃあ、食いながらでいい?」
「行儀悪いけど、まぁいいわ」
――そういや、何で話終わってるはずなのに戻って来いなんて言ったんだろ。
「率直に聞くけど、ハジメはメラニーのこと、好きなのよね?」
「あ、ああ……そうなるな。何でそんなことを?」
「男って、何人も同時に攻略できる生き物だって聞いたから。私は、ハジメから見てどう?」
「は?」
「だから、私は女としてハジメの目にどう映るのか、って聞いてるの」
「何で、そんなこと……」
朔は考える。
デリア……色が白い。
白人だから当たり前なんだが。
金髪が綺麗だ。
清潔なイメージと、潔癖なイメージがある。
世話焼きだ。
胸は小さめ……かもしれない。
「今何か、ひどいこと考えたでしょ」
「めめめめ滅相もない!!」
――これって、もしかして……。
「ねぇハジメ、私もハジメといい仲になりたいって言ったら困る?」
「ぶっ!!」
その時飲んでいた、冷めたスープを勢いよく吹き出す。
「ちょっと……仕方ないわね」
仕方ないと言いながら手早くテーブルを拭いたりするデリアは、本当に世話焼きだ。
「ごっほ……お前、冗談にしてもちょっと度が過ぎるぞ」
「冗談に聞こえたの?」
「冗談じゃなかったら何なんだよ……」
「だって、メラニーばっかりずるい……」
デリアは下を見ながら言う。
――何この子、構ってほしいの?確かにメラニーにばっかり構ってたのは否定できないけど……。
「私だって、ハジメのこと……メラニーみたいにおっぱい大きくないけど……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。いきなりのことに頭が追いつかない」
「ねぇ、どうなの?」
「どうって言われても……俺にはもう、メラニーがいるから……」
「じゃあ、搦め手を使うから。私もいい仲にしてくれないなら、みんなにバラす」
「ひ、卑怯だなお前……」
「何とでも言いなさい。私だって、こう見えて必死なんだから……」
――何でここにきて、こんなことに?これも神の連中の思惑通りなのか?
――せいかーい。朔、君への試練だよ。君の男としての力、見せてもらおうか。
――あ、てめ!こんな時ばっかり返事しやがって!!
――デリアの好感度はもうほぼマックスだから。何もなかったはずなのに、おかしいねぇ?
――このやろ……チート使うのはさすがになしだろ……。
――ちなみに、デリアも攻略するんだったら、最初のうちはメラニーには黙っておいた方が無難かもね。
――ご丁寧にどうも……!けどな、俺はメラニー一筋に……。
――それは多分無理だと思うなぁ。ああ、安心していいよ。あと一人か二人くらいしか、朔の好感度に影響しない様にしてあるから。
――おい待て!!さらっと恐ろしいこと言っただろお前!!もう一人って誰だよ!!
――さぁてねぇ?今後のお楽しみということで。ほら、デリアが待ってるよ。
畜生、俺で遊びやがって……。
心の中で神に毒づきながら、朔はデリアを見る。
「な、なぁ、何で俺なの?レスターの方が数倍イケメンじゃないか?気も利くし」
「あんた、ソフィア様と修羅場迎える覚悟あるの?」
「いや、メラニーだったらいいのかよ……」
「いいか悪いかじゃないんだけどね。ハジメが一生懸命に戦ってるところ見てたら、何だかこう疼く感じが……」
「いきなり直結しようとするのやめよう?」
「べ、別に今すぐなんて……」
「いや、お前今獣みたいな目で俺のこと見てたから。一瞬戦慄したから」
「さすがにそれは失礼じゃない?私だって傷つくことくらいあるのよ?」
ちなみに、スルーズもフレイヤも黙っていたがチートの類は使っていない。
今回デリアの好感度が勝手に上がったのは、単に朔の戦いっぷりによるものだった。
メラニーの為に、とずっと自らを盾にして戦う姿勢が心を打った。
一生懸命な人間は、それだけで輝いて見えることがある、といういい見本だ。
「か、勘違いなら悪かったけど……」
残る一つのおかずを口に運びながら朔は言う。
「ねぇハジメ、ハジメのって、今のウィンナーとどっちが大きいの?」
「!?」
真面目だったデリアから思わぬ下ネタが飛び出し、朔はウィンナーを喉に詰まらせて悶絶した。
「こ、殺す気かお前……ていうか、そんなこと言うキャラだっけ?」
「メラニーみたいなこと言ったら喜ぶかなって」
「喜ばねぇよ!びっくりして危うくショック死だわ!!」
「ねぇ、ダメ?」
「だ、ダメ……」
「どうしても?」
「どうしても。バラしたかったらバラせよ。針の筵でも、俺は座り続けてやる」
「ふーん……」
「ああ、そうだ、俺の親友の圭介を紹介してやろう」
「ケイスケ?あの子女の子でしょ?」
それを聞いて、ふっと笑いが漏れる。
――俺だって、そうだったらどんなに良かったか。
「あいつは男だよ。女みたいで可愛いよな、確かに。気持ちはわかる」
「ずっと、女の子だと思ってたわ……」
「圭介なんて名前、日本じゃ女の子につけないからな」
「へぇ……」
そして、圭介に簡単に事情を説明してデリアを押し付ける。
「朔……そういうのはさすがにひどいと思うよ」
「言いたいことはわかる。けど、今の俺はそんな場合じゃないんだ。頼まれてくれよ」
「デリアさんは、朔のこと本気だと思うけどなぁ」
二人で耳打ちして会話するのを、デリアが不思議そうに見る。
――本当に、仲いいのね。
「とにかく、今の俺の手に負える話じゃないんだって。頼んだからな」
言って、朔は圭介の部屋を出た。
すれ違ったデリアの、妖艶な目が心に焼きつく。
「ハジメ、おきてたんだな。飯はっと……さすがソフィア」
メラニーも起きて来て、食事にとりかかる。
朔も食事は終わっているが、テーブルについてメラニーを見つめた。
「な、何だよ」
「いや……食べ方が可愛いなと」
「や、やめろよ食事中に……」
「朝から色ボケですか」
遥が茶を飲みに、リビングにやってきた。
女というのは勘がいいのか、遥も何となく二人の雰囲気で察した様だった。
「ああ、朝じゃなくてもうすぐ昼でした」
「何だ、羨ましいのか?」
「いいえ?まぁ、仲がいいのは悪いと思いませんけど。旅に支障だけは出さないでくださいね」
「何だ、そんなことか、任せろって」
ところ変わって、圭介の部屋。
「ねぇケイスケ。私、紹介してもらっておいて申し訳ないんだけど……」
「大丈夫、わかってるから。何とかして朔に振り向かせてみるよ」
「協力してくれるの?」
「うん、さすがに朔は難易度高めかもしれないけど……この世界って、男一人に女一人じゃないとダメとかあるのかな?」
「そういえばそういうの、聞いたことないわね。ちょっとレスター辺りにきいてみましょ」
そう言って、二人はレスターの部屋へ。
途中で朔とメラニーと遥が何やら話しているのが見えたが、ひとまずは無視する。
「やぁ、珍しいね。入るかい?」
レスターは二人にお茶を出して、座る様勧めた。
「レスター、聞きたいことがあるの」
「何だい?僕に答えられることなら答えるよ」
圭介とデリアは、顔を見合わせて頷く。
「この世界って、男と女は一人ずつしか結ばれないの?」
「はい?」
「だから、たとえば……男一人に女が数人恋人とか妻になったりっていうのは問題ある?」
「ああ、そういう……実はね、この世界にはそういうことに対しての明確な取り決めはないんだ。だから、結果だけ言うと男が何人女を囲っても罰せられたりしない。それどころか、ステータスであるという風潮すらあるよ」
「そうなの?でも、レスターはソフィア様一人よね」
「あ、当たり前だろう……他に女なんか作ろうものなら……」
ガクガクとレスターが震える。
その顔がやたらと青ざめていて、デリアはソフィアを本当に恐ろしい女なのだと理解した。
「デリアの話から察するに……ハジメのことかな?多分今頃メラニーといい仲になってると思うけど」
「そうなの。でね……」
デリアは案外口が軽い様で、レスターにある程度事情を話してしまった。
「そ、そうなんだ……勇敢だね、デリア……」
「だって、私だってハジメのこと……」
「そうか、大分人気者になってきたみたいで僕も嬉しいよ。けどね」
レスターは一息ついて、デリアを見た。
「冒険に支障だけは出さない様にしよう。ハジメが言ったことが本当なんだったら、また神が乗り出してくる危険があるし」
「その点は考えてるから。午後から、また出るんでしょ?」
「そのつもりだよ。まぁ、メラニーがどんな顔するのか、想像もできないけど、健闘を祈るよ」
収穫はあった。
法の問題等は何もない。
あとは感情の問題。
デリアはひとまず圭介と別れ、旅の準備に入った。
「午後から、また出発するよ。今度はミエリックスの国を目指すことになる」
「ミエリックスって、ここからそう遠くない国だったよな、確か。なら、宿取ったり出来るか?」
「そうだね、三~四時間くらい歩くけど、夕方には到着できるんじゃないかな。メンヒサルの街が一番近いかな、ここからだと」
ミエリックスもまた王国で、王が跡継ぎ問題でもめているという事情がある。
跡継ぎになるはずだった王子が病気で死んでしまい、その妹であるオフィーリアが次期女王になる予定ではあるが、女王制に反対の臣下が色々と画策している、という噂があった。
「あそこは今割とピリピリしてなかった?長期の滞在はちょっと難しそうな気がするんだけど」
クラリスが心配そうにレスターを見る。
クラリスの出身は、このミエリックスの隣のヌティアという国で、噂は少しずつ耳に入っていた。
「そうだね。ただ今回、次期女王にあたるオフィーリア姫の提示された試練というのがあるらしくて、龍に関連することなんだ」
「マジか。龍に関連って……想像がつかねぇな」
「王になる器を示すために、龍の住処と言われる洞窟に行って何かを取って来いって言われてるって聞いてる」
「クラリス、詳しいな」
「出身が隣の国だったから。嫌でも耳に入ってくるの。綺麗な人なんだけどね、オフィーリア様」
「そんな人に洞窟行かせるって……そうか、俺たちが手伝ってやるのか?」
「まぁ、内密に、ってことにはなるだろうけど、それが一番なんじゃないかって思う」
それなら、と各自準備を完了させ、コテージをしまった。
ここからきちんとミエリックスに到着しておかなければ、コテージを使うことができないので野宿になってしまう。
そうなると神の加護も何もない状態で、見張りを常に立てるということをしなくてはならなくなるのだ。
元々が非戦闘要員である圭介はもちろんだが、女性の多いこのパーティでそういうのはできるだけ避けたい、というのが朔の考えだった。
街道を歩き、できる限り怪物との遭遇を控える。
午前中、朔とメラニーが眠りこけていたので訓練は自然と中止になり、翌日からまた再開しようと言うことになっていた。
「なぁ、あれ……」
「あれは……龍?だよな」
朔が指差した方角を見ると、龍が人を襲っていた。
立ち向かうなど当然出来るわけもなく、襲われている側の人間は必死で逃げ惑っていた。
「あの方角……まずいな。あっちには、集落があったはずだ」
「やるしかねぇか……」
全員が武器を構える。
圭介だけは、朔から下がっている様に言われて一番後ろで待機する。
まず遥が龍の足元に矢を放ち、隆起した地面から恐ろしいほどの高さの土の刃を展開した。
「大して効いていませんね。となると、土が弱点ではない様です」
「なら、私が」
デリアが、呻く龍めがけて風の刃を飛ばす。
続いてクラリスも、ナイフを三本投げた。
漸く龍がこちらを向き、標的を変える。
「これまた効いた、というわけではない様ですね」
「ですね、単に痛かったから、って感じ」
メイヴィスとソフィアが詠唱に入る。
朔とレスターとで、ひとまず龍をひきつけることにした。
「おら、こっちだウスノロ!!」
強烈な冷気を纏った一撃を加え、即座にその場から離れると、レスターが電撃を飛ばして龍を狙撃する。
「俺たちのでもない、ってことは……」
ソフィアが傀儡を召喚する。
二人は一旦パーティの下に戻る。
「これですよね、きっと」
メイヴィスが炎の矢を五本飛ばし、全弾命中する。
まともにくらった龍は、やっと苦しむ素振りを見せた。
苦し紛れに、つむじ風を発生させてパーティに向けて飛ばす。
「ちょ、これはまずくないか?」
「ハジメ、氷壁を!ソフィア様も土壁をお願いします!!」
二人が同時に壁を展開して、つむじ風の衝撃に備える。
思っていたほどの威力はなかった様で、壁が砕けると同時に風も消えた。
「メイヴィス、俺とレスター、それにメラニーとデリアに属性付与だ!」
「了解!!」
前衛四人で切り込み、その間でまた詠唱に入ってもらう。
残っているメンバーには圭介の護衛を任せる。
「よし、いくぞ」
属性付与を受けた四人が龍めがけて突進する。
レスターが朔とメラニー、デリアに速度付与をかけて、火の属性が乗った雷を浴びせる。
これはさすがに効いた様で、一瞬動きが止まる。
メラニーが重力波を放ち、更に動きが鈍ったところにデリアの発生させた竜巻と朔の氷の刃が、それぞれ龍を引き裂いた。
「いけ、メイヴィス!!」
最後にメイヴィスが放った特大の火球が龍を捉え、巨大な火柱が上がった。
「他に敵はいないか?一応確認しよう」
レスターが辺りを見回しながら言い、朔があることに気づいた。
「なぁ、さっきの人間は?」
「こ、ここです……」
戦っている間に逃げればいいのに、と朔は思ったが、義理堅いのかもしれない、と思いなおす。
「すみません、助かりました」
草むらに身を潜めていたらしく、服に草が何本か付着していた。
その男は、ロイドと名乗った。
二十歳前後のすらっとした長身で、腰には剣を携えている。
「何で逃げなかったの?」
デリアが思ったまま口にした。
ロイドは少し照れながら頭を掻き、笑う。
「いや、お礼を、というのもあるんですが……実は、この先また怪物なんかに襲われたら、と思うと怖くなりまして」
言いながらロイドが腰の剣を抜いて見せると、その剣は鍔の少し先あたりで折れている様だった。
なるほど、とレスターは頷く。
「失礼ですが、目的地はどちらですか?」
「ミエリックスの先にある村なんですが……」
「丁度ミエリックスまで行く途中なので、そこまでで良ければお助けしましょうか」
レスターは物のついで、という感じで提案する。
ロイドも、地獄に仏と言った表情でその提案に乗った。
「戦闘になったら俺たちで戦うから、少し下がって待機してください」
朔が言い、ロイドは深く頷いた。
途中二回ほど戦闘になり、そのどれもを軽々と乗り越える。
予定よりも一時間弱遅れて、ミエリックスに到着した。
「ありがとうございました。実はこの先の村で宿屋をやってまして……もし寄ることがあれば、是非いらしてください。サービスしますので」
ロイドは深々と頭を下げて立ち去った。
「さ、少し遅くなってしまったけど宿を探そう。部屋は四つ、空いてるといいんだけど」
レスターが先に立って宿を探す。
結果として部屋はちゃんと四つ見つかった。
男性三人は同じ部屋で。
女性陣はメラニーとデリア、クラリスと遥、メイヴィスとソフィアで相部屋になる。
ちなみにこの組み合わせはデリアが提案した。
彼女としては、メラニーと一緒であれば他は誰が誰と組んでも良いと思っている。
そして、デリアの中でメラニーへの挑戦がこのあと、始まろうとしていた。
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