その日の空は蒼かった

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「立太子の儀」の日に向かい合う、王国の真実

二人の侍女 その者達の強い意志(2)

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 今日もいい天気になりそうね。



 ウーノル殿下の「立太子の儀」は明日。 街は、とても騒がしいの。 第一軍、第一師団の騎士さん達が街の中あちこちに歩哨に立ち始めているの。 とても厳つい、騎士さん達なのよ。 指揮官は、エルブンナイト=フォウ=フルブランド大公閣下。 四大公爵家の中でも、「 武 」を持って陛下の藩屏たる、とっても偉い人。

 王太子となるウーノル殿下の周りを固める為に、第一軍から選抜きの騎士さん達を選抜したって、そういう噂が、街中のあちこちで聞こえるの。 「立太子の儀」に当たり、王都中央通りをパレードするんだものね。 警備は厳重にって所かしら。

 私は、一介の「薬師」だから、特別な御呼びも掛からないのよ、貴族の人達と違ってね。 あの人達は大変よ、王城に招かれて「立太子の儀」に参列して、ウーノル殿下に忠誠を誓うの。

 そして、その後の舞踏会がまた大変なの。 ウーノル殿下が王太子殿下に立太子されるとなると、その側に立たれる予定の方々に取り入ろうと、それは熾烈な社交が始まるんだから。

 王城で行われる舞踏会の招待状には限りがあるのよ。 爵位で云えば、侯爵位以上の方々が対象ね。 でも、その方々は、数名の方をご推薦する資格をお持ちなの。 だからね、この一ヶ月の間、王都の貴族街に、色んな業者さんが馬車を連ねて、右往左往してたの。 勿論、侯爵位以上の方々への付け届け。

 是非とも、王城舞踏会に参加したい、中、下位貴族さん達が、必死になって、金品を高位貴族さん達に貢いで、ご推薦を受けようと成されている訳なのよ。 おかげで、この一か月間は、王都の街の中は、歩きにくくて仕方なかったわ。 まぁ、人に紛れてこの第十三号棟に着やすかった人達も居るんだけれどね。



 そんな…… 騒がしい朝。 



 外の喧騒がうっすらと聞こえる、第十三号棟の中で、ラムソンさんとお茶をしてたの。 今日は、二人程、この倉庫にいらっしゃるらしからね。 朝ごはんは、手持ちの携帯食料で済ませたの。 いつ来るか判らないものね。

 二人して、お茶しながら、「毒薬大全」を、あぁでもない、こぅでもない なんて言いながら、読んでいたの。 目的は、森の民の使う毒薬の解析。 私自身が受けた毒だから、その成分とか構成とかは、判るの。 と云うよりも、ブラウニーと、レディッシュが教えてくれたわ。

 構造式と生成式を紙に書きだして、ラムソンさんと考察してたの。 どうやって解毒するか?とか、どうやって生成するか?とかをね。 普通に作ったら、物凄い手間と時間が掛かるんだもの。 丁度その時、扉をノックする音がしたの。



 トン トン トン トン



 礼典側に則った、ノックの音。 来たか…… どちらが先かな? 扉の前まで行き、「施錠」を解除して、細めに扉を開けるの。 そこに立つのは、侍女姿の獣人族の女性。 飴色の髪が、午前中の陽の光を受け、金色に輝いているわ。 瞳もまた金色。 とても強い光がその瞳に宿っているの。

 扉を開けて、手に荷物を持った彼女を中に招き入れる。

 どちらも無言。 中に入ると同時に、ラムソンさんが立ち上がり、臨戦態勢に移行したわ。 尻尾なんてブラシみたいにボワッってなっているし……

 片耳しか無いその女性。 尻尾も短いの。 途中で斬られている感じね。 表情の無い顔が、突然朗らかに笑いだすの。




「フフフフフ。 どうだ、来てやったぞ。 一滴の血も流さず、陽の光の中を歩いて来たぞ。 お前の侍女とすると、そう命じられた。 離れる事は許さないとも言われた。 条件は、満たしたか?」

「…………そ、そうなのね。 貴女が新しいこの場所の住人なのね、シルフィー」




 「暗殺者アサシン」の彼女が、どうやって潜り込んだのか。 何故、彼女が私の侍女になってやって来たのか。 疑問は、多々ある。 でも、そんな事よりも、ラムソンさん。 一触即発な感じで、爪まで出して、シルフィーを睨みつけているのよ……




「ラムソンと云ったな。 殺気を押さえろ。 殺しに来たのでは無い。 パエシア一族が最後の一人、シュトカーナ様との約定も有る。 そして、シュトカーナ様を守護されている、薬師錬金術士リーナに仕える為に来た。 ……おまえもそうなのだろ?」




 フゥゥゥ




 ラムソンさんの口から、威嚇音が聞こえるの。 その威嚇を、涼しい顔をして受け流しているのは、シルフィー。 なんの警戒もせずに、トコトコと部屋の中を進む彼女。 作業台の近くまでやって来て、手に持った、荷物をコトリと下ろし、作業台の近くにある椅子に、すとんと腰を下ろしたのよ。




「まぁ、座れ。 話をしよう。 ラムソン、お前が警戒し、殺気を放つのも判るが、落ち着け。 もし、私が ” 殺し ” に来たのなら、すでに戦端は開かれている。 判るだろ? 私はそのつもりは無い。 ただ、シュトカーナ様に仕える為に…… いや違うな。 シュトカーナ様を守護されている薬師錬金術士リーナ様に仕える為に来たんだ」

「信じられん。 お前は、リーナを害した」

「そうだな。 それは事実だ。 しかし、今の目的は違う。 それにな、シュトカーナ様に逢った時の私のオーナーは私自身だった。 もう、「暗殺者アサシン」の『疾風の影』は居ない。 薬師院に潜り込む為に、奴隷商を脅して、私を売り込ませた。 あぁ、勿論、殺しては居ないし、血も流していない。 ただ、死にたくなかったら、云う通りにしろと、告げただけだ」

「……ほんとうに殺して無い?」

「奴はもうすでに、王都から脱出している。 私の眼と手が届かない所に逃げ出した。 あえて、何もしていない。 もう、この国に戻って来る事は無いだろうな」

「何処に? ……帰ったの?」

「マグノリア王国の王都さ。 奴らの本拠地がある。 そして、そこでも、『疾風の影』の名はよく通っている。 様々な憶測が流れるだろうが、気にしていない」

「……厄介な事を」

「お前が出した条件だ。 問題なかろう? なにか、問題があっても、私が対応する。 それで、いいだろ」

「シルフィー…… 手に血は付けないで。 お願いだから」

「善処する」




 ラムソンさんが、ゆっくりと警戒しながらも、椅子に腰を下ろしたの。 彼女の云う通り、殺しに来たんなら、すでに戦端は開かれている筈だものね。 睨みつけるラムソンさん。 その様子を面白そうに頬杖を突きながら見ているシルフィ―。 なんだか、もう…… ね。




「それで、シルフィーは、侍女としてここに来たの?」

「そうだ。 私は言葉遣いが出来ていないから、あまり、こんな潜入方法はとらなかったが、出来なくもない。 口が効けないふりをすればいいだけだからな。 ただ、もう『疾風の風』としては、動くつもりは無いので、顔を晒して来た。 情報はそれなりに集めてな。 ここ第十三号棟は厄介者の巣だ。 だから、奴隷商に私を薬師院に売らせて、反抗的に振舞った。 目論見は完遂したな」

「貴方って人は…… でも、その奴隷紋は…… いいの?」

「今のオーナーは、王宮薬師院、人事局だ。 問題はあるまい? ラムソンとて、同じだろ」




 表面上はね。 どうしようかなぁ。 ラムソンさんとは違って、シルフィーは雷撃にも耐えるし、奴隷紋が与える苦痛など無視できるくらいの獣人族ひとだけど…… でも、そこに痛みや苦しみが有るのは嫌だよね。 なら…… ラムソンさんと同じにしなきゃ、私が嫌だものね。 判った。




「シルフィー。 この第十三号棟の面々はみな同僚なの。 上下関係を作りたくないの。 そりゃ、私が一応上司って事には成ってるけど、その為に貴方たちに痛みを与えるような事はしたくないの。 知ってるよね」

「あぁ、そんな気がしている。 そうでなくては、シュトカーナ様がリーナを害する事を禁ずるわけがない」

「だからね、ちょっと、オトナシクしていてね」




 そう言って、彼女の後ろに立つの。 結い上げた髪、白い薄っすらと産毛に覆われたうなじ。 そこに刻まれている、奴隷紋。 紋章の上に手を翳すの。 見るからに胡乱気な術式。 術式を展開して書き換えをやらないとね。


 そう、ラムソンさん同様にね。 


 術式を展開して構成を読み取る。 人の行動を制限し、懲罰という名の痛みを与えるのはラムソンさんのと同じ。 害意を持った途端に、電撃が加えられるように書かれているのね。 ほんと、嫌らしいわ。

 魔方陣自体を潰すと、後で面倒なことになりそうだから、外側は残し中身は改変するよ。 まずは、拘束式一式。 これは、潰す。 電撃は、表皮から上に流れる様に改変。  それで、害意を持っても、電撃は生まれるけれど、シルフィーの表皮を覆う感じになるわ。 もう、痛くなったり、意識を刈ったりする事は無くなる。

 あとは…… 行動範囲の設定? なんだろうこれ? あぁ、そうか、奴隷の主から一定の距離、離れられないようにするものね。 いいや潰しちゃえ。 これでいいかな? あとは…… 感情抑制系統の「闇」魔法関連…… これね、かなり奥まで食い込んでる。

 でもね、これだって、問題ないのよ。 だって、私の魔力は「闇」属性。 だから、こうやって…… 抑制系統の「闇」魔法だって、入り口と出口を繋いじゃえば、問題なくなるものね。  一応、これで、「奴隷紋」は潰せたよ。 ホントに厄介な紋章だもんね。 外側からの、入力には反応して、紋章には魔力が流れるけど、彼女には影響しないようにしたのよ。 まぁ、彼女ならこんな事しなくても、耐えるんだろうけれどもっ! 

 全ての書き換えが終わった時…… シルフィーがくるりと頭を回して、私を見たの。




「何をしたんだ? 体が……楽になったぞ?」

「奴隷紋の制約を解いたの。 動けるわよ、本来の貴女の通りに。 もう、奴隷紋が貴女を苛むことは無いわ。 でも、この国に居る限りは、その表面上の奴隷紋は消せない。 それは……」

「判っている。 これでも、闇の中で生きて来たんだ。 なぁ、リーナ」

「なに?」

「お前は、何者で、何が目的でこんな事をするんだ?」

「……わたしは、薬師錬金術士。 「闇」の精霊様に誓約を捧げました。 生きとし生ける者を安寧に導くと」

「シュトカーナ様が居られる訳だ…… 判った。 リーナ。 貴方に誓約を捧げる。 我、シルフィー=ブレストン。 この命 果てるその時まで、リーナを護る。 パエシア一族がシュトカーナ様への忠誠の元、ここに誓約する。 いいな、リーナ」

「判りました。 シルフィー。 貴女の誓約を受け入れます。 幾久しく、よろしくお願いします」

「うん、ありがとう。 ラムソン。 お前とは同僚だ。 そして、同志だ。 いいな。 お前同様、私はリーナの剣となり盾となる。 もし、お前が腑抜けるような事が有れば、私が鍛え直す」

「……ぬかせ」

「はははは! 小気味いいな。 よし、では、侍女の業務を始めるとするか!!」




 そう言って、立ち上がると、テーブルに置いてある、茶器を使い、薬草茶を淹れ始めたの。 漂う香気がいつもと違う感じ。 シルフィー…… 手慣れているわね。




「毒見は必要か?」

「いいえ、貴女の誓約を受け入れたのですもの、毒見なんか必要ないわ」




 コップに入れられた、薬草茶を啜るの。 いい香りと、薬効を十分に引き出したお茶。 おばば様が自らお淹れ下さったモノと遜色ないわ。 凄い。




「お茶を淹れるのが上手いのね」

「あぁ、習い覚えた。 どんな所に潜入するか判らないからな。 あぁ、そうだ、言って呉れれば、あちこちの情報も取ってこれる。 むしろ、そっちの方が得意だ」

「……いずれ、お願いするかもしれないわ。 その時は、よろしく。 そうだ、貴方の寝床を作んなきゃね。 ラムソンさんの向こう側。 使ってない薬草箱を積み上げた壁の向こう側でいい?」

「どこだっていいさ。 少し前までは、眠る場所は、男の腹の上ばかりだったからな。 一人で眠れるなら、それに越したことはない。 起きてから、匂いを抜くのに苦労せずに済むしな」





 な、なんてことを!




 ば、ばかぁ……





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