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Christmas Special (クリスマス特別編)
Christmas Tree (サンタへの伝言)
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Christmas Tree (サンタへの伝言)
「ママ、明日はクリスマスだよ、パパに逢えるよね?」
「ええ、そうね。良い子にしていたものね」
「うん!!」
娘は無邪気に笑って、元気良く答えた。夫はここ半年、帰っていない。娘には、遠いところへ御仕事に行っていると言う事に、なっている。でも、本当は、別れる寸前の別居だった。まずまず一流と言われる会社に勤めていた彼は、普通に暮らしてもいた。そして、私と出合い、愛し合い、そして、結婚した。娘が出来てから、彼の様子が少し変わった。
残業の無いはず日でも、帰るのは、夜遅く、娘はともかく、私の目を見る事も稀になった。
*********************************
隠し事。
夫婦の間の………………
それは、大きく分けて二つ、一つは経済的な事。もう一つは………… そう、浮気。
別にうちの経済状態が悪い訳ではない。必要十分な御金は、毎月入っている。会社を黙って辞めた様子もない。時々、会社から連絡が入っていた。
ならば………… 元来、淡白な夫であったが、もう、何ヶ月も、何の交渉も無くなっていた。つまりは…………
浮気。
私は、その証拠を探ろうとした。彼のスーツをチェック、携帯の発信、着信記録を抜き打ち的に見たりもした。通信会社に使用明細を請求したり、出張の時は、会社に確かめもした。
女の影は出てこなかった。
*********************************
暫らくはそのままにしていたが、やはり、なにかおかしい。
そして、憂鬱な梅雨空の、あの夜、私は夫を問い詰めた。
「何を隠しているの?女?」
「…………いや。 何も隠してない」
気の優しい夫は、私の目を見る事無く、そう言った。納得できない。煙の出ない所に、無理に火事を起こすような物だと言われても、彼の隠している物の正体が知りたかった。
執拗に問いただす私。
粘り強く否定する彼。
話しは平行線。
しかし、粘りは、私の方が勝っていた。
ついに、彼は彼の秘密を口にした。
「付き合っている男がいる。」
「………………」
言葉も出なかった。何故? 女なら話しはわかる。 育児にかまけて、夫を省みなかったと、反省も出来よう。 しかし、夫の相手が、男?!
殺意が湧いた。 相手にでは無く、夫に。
私の目が剣呑に、瞳孔が小さくなった。 彼以外のものが見えなくなった。 発作的に台所に立ち、包丁を片手に、夫の元に行く。 そう、何もかも発作的だった。 あとで、考えると、そこまでし無くても、幾らでもやりようはあったはずだ。
息を呑む夫。
怒りを通り越し、激情に感情が凍り固まった私。
睨み合いが続き、緊張の糸が張り詰め、いつ切れても、おかしくなかった。
あと、数瞬、娘の声がしなかったら、私は殺人者になっていた。
「おかあさん? 何してるの?」
常識と良心が、狂気の束縛から解き放たれた。鬼気が緩んだ。娘にだけはこんな姿を見せたくは無かった。出来るだけ優しく、娘に答えた。
「…………ああ、ちょっとね。 …………どうしたの?こんなに夜遅く…………」
「パパの声が聞こえたから………… 御帰りなさいって言いたかったの!」
「…………おっ、おお。 ただいま。」
取りあえずの危機を脱した為か、夫は安堵の表情で娘を見つめた。
「パパ~」
娘が夫にしがみ付いた。普段あまり構ってもらえない寂しさか、娘は甘えていた。話しは、娘を寝かしつけるまで、中断された。
夫は、娘を寝室に連れて行き、私は心を落ち着かせる為に、コーヒーをニ杯入れ砂糖をたっぷりと入れた。
夫が帰ってきた。食卓に坐り、私を、私の目を見た。今夜、初めて。
「家を出る。暫らく考えさせてくれ。」
「………………」
「しばらくの間だ。生活費はちゃんと家に入れる」
「………………」
テーブルに置いたコーヒーに手も付けず、彼は立ち上がり、自分達の寝室に行くと、自分の身の回りの物をバッグに入れ始めた。私は何も言えず、ただ、黙ってそれを見ていた。
夫は出て行った。何時、帰るとも、どうするとも云わずに...
*********************************
娘には夫が出張に出た事にした。良い子にしていたら、直ぐに戻ってくると、云って納得させた。私は自分の言葉に自信が持てなかった。
彼は約束を守り、家に給料の大半を入れてくれた。
それでは、足りない。今までの暮らしを守るために、私はパートを始めた。娘が学校に行く時間に出来る仕事を選び、たとえ時給が安くとも、娘との時間を削らない様にした。
そして、五ヶ月が過ぎた。
*********************************
娘には、クリスマスには、夫が帰ると云いきかしていた。 …………私もそう、望んでいた。 自分で封印した、夫の会社への電話。 彼からは一度も、かかってこない電話。 せめて娘には、逢わせてやりたい。 そういう想いで、会社に電話をした。
「あなた………… クリスマス………… どうするの?」
(…………用事がある)
「…………そう、 …………あの子、あなたの事、待っているわ…………」
(うん、わかっている)
「…………何とかならない? せめて、あの子にだけでも…………」
(わかった。)
電話を置く。 娘が私の方を見ていた。
「パパ、帰って来るの?」
「…………あなたが良い子にしてたらね」
何時もと、同じ答えしか出来なかった。娘もうすうす私達夫婦の亀裂を感じていた。寂しげな様子だった。堪らなくなり、娘をしっかり抱いて、耳元で言った。
「何時も、ママの言う事を聞いて、良い子でいるから、きっとパパ帰って来るよ」
「うん」
娘は頷いた。その目が信じても良いのと、私に尋ねていた。
*********************************
クリスマスの日。 昼前に夫から電話があった。 会える。ただ、夕方までという約束になった。 私は了承した。
娘に支度をさせ、約束の場所に向かおうと、マンションを出た。 そこに夫が立っていた。 手に娘へのプレゼンとを持ち、娘の姿を見つけると、軽く手を上げた。
「良い子にしてたか?」
「うん、だって良い子にしてたら、パパに会えるもん」
娘は、プレゼントの包みより、夫の大きな手が欲しかったのだ。 その気持ちは、痛いほど良くわかる。 夫に抱きつき、甘える娘を、私は嬉しく思った。 夫も娘にだけは誠実になりたかったのかも知れない。
遅い昼食をとろうと云う事になり、三人揃って近所のレストランに向かった。
後ろで、大きな黒い車がタイヤを軋ませ、猛スピードで走り去って行くのが見えた。反射的に娘を車道の反対側に遠ざけた。
「あぶない車だな」
「そうね」
半年振りに、夫と直かに話す言葉だった。
^^^^^^
娘にとって楽しい一時は、飛ぶように過ぎ去り、私にとって、夫を愛するがゆえに、拷問のような時間は、のろのろと過ぎていった。最後のコーヒーとケーキを食べ終わる頃、娘は寂しそうに言った。
「御仕事大変だね」
「…………ごめんな」
「良い子にしてるから、また直ぐに帰ってきてね」
「…………わかってる」
夫の言葉を信じたかった。
夫はマンションの前まで私達を送り、薄暗くなりつつある、街への道を去って行った。
残された私達は、家に戻り、娘は夫からのプレゼントを開いた。 手ごろなサイズの熊のぬいぐるみだった。
クリスマスツリーの電飾が、妙に白々しかった。 娘はそのぬいぐるみを自分のベットに乗せると、食卓に戻って、言った。
「ママ、ケーキたべよう」
娘が私に気を使ってくれている。小さい心で、私の哀しみを感じてくれていたのだ。
ゴメンネ
心のなかでそっと呟き、冷蔵庫から、近所で買い求めたケーキを出した。部屋を暗くして、クリスマスソングを歌い、娘と2人だけで、ケーキを食べた。
*********************************
十時を回り、娘は自分のベットに戻った。
私は一人、リビングにいた。これからの事を考えていた。
今日はなにも考えられそうに無かった。夫の優しい笑顔を見てしまったからだ。たとえそれが、自分に向けられた物では無くても。ぼんやりと光るクリスマスツリー。飾りのなかに一枚の紙がつるされていた。娘の文字があった。七夕と間違っているのかしら。
私は、何の気なしに、その紙を見た。
”サンタさんへ
プレゼントはいりません。ママとパパといっしょにいたいです。おねがいします”
涙が溢れ出た。あの子ったら………… 突然、電話の呼び出し音が鳴った。
びっくりしながら、受話器を取った。夫の声がした。
(…………お前か)
「何?」
(…………話したい事がある…………)
私は恐怖した。 世界中で愛を語る日に、冷たい現実が襲ってくるのを…………
「…………ええ、決心したの?」
震える声で、私は言った。
(…………ああ、 …………もし、 ………………もしも、お前が、許してくれるなら…… 俺………… 帰っても良いか?)
ああ、神様。気が付かないうちにしゃくりあげていた。
(ダメか?)
「ううん、ダメじゃない。見せたいものがあるの………… 早く帰ってきて…………」
(…………あぁ)
電話が切れた。
娘のサンタ宛の手紙を見て、彼はどんな顔をするのだろう?
赦しの季節。
私達には、時間が必要だったのかも知れない。
明日の朝、娘が起きて、夫の顔を見て彼女はどんな顔をするのだろう?
でも、一つだけ確かな事がある。彼女は、私同様、サンタの存在を、心のなかで確信するだろう事だけは、想像できた。
「ママ、明日はクリスマスだよ、パパに逢えるよね?」
「ええ、そうね。良い子にしていたものね」
「うん!!」
娘は無邪気に笑って、元気良く答えた。夫はここ半年、帰っていない。娘には、遠いところへ御仕事に行っていると言う事に、なっている。でも、本当は、別れる寸前の別居だった。まずまず一流と言われる会社に勤めていた彼は、普通に暮らしてもいた。そして、私と出合い、愛し合い、そして、結婚した。娘が出来てから、彼の様子が少し変わった。
残業の無いはず日でも、帰るのは、夜遅く、娘はともかく、私の目を見る事も稀になった。
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隠し事。
夫婦の間の………………
それは、大きく分けて二つ、一つは経済的な事。もう一つは………… そう、浮気。
別にうちの経済状態が悪い訳ではない。必要十分な御金は、毎月入っている。会社を黙って辞めた様子もない。時々、会社から連絡が入っていた。
ならば………… 元来、淡白な夫であったが、もう、何ヶ月も、何の交渉も無くなっていた。つまりは…………
浮気。
私は、その証拠を探ろうとした。彼のスーツをチェック、携帯の発信、着信記録を抜き打ち的に見たりもした。通信会社に使用明細を請求したり、出張の時は、会社に確かめもした。
女の影は出てこなかった。
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暫らくはそのままにしていたが、やはり、なにかおかしい。
そして、憂鬱な梅雨空の、あの夜、私は夫を問い詰めた。
「何を隠しているの?女?」
「…………いや。 何も隠してない」
気の優しい夫は、私の目を見る事無く、そう言った。納得できない。煙の出ない所に、無理に火事を起こすような物だと言われても、彼の隠している物の正体が知りたかった。
執拗に問いただす私。
粘り強く否定する彼。
話しは平行線。
しかし、粘りは、私の方が勝っていた。
ついに、彼は彼の秘密を口にした。
「付き合っている男がいる。」
「………………」
言葉も出なかった。何故? 女なら話しはわかる。 育児にかまけて、夫を省みなかったと、反省も出来よう。 しかし、夫の相手が、男?!
殺意が湧いた。 相手にでは無く、夫に。
私の目が剣呑に、瞳孔が小さくなった。 彼以外のものが見えなくなった。 発作的に台所に立ち、包丁を片手に、夫の元に行く。 そう、何もかも発作的だった。 あとで、考えると、そこまでし無くても、幾らでもやりようはあったはずだ。
息を呑む夫。
怒りを通り越し、激情に感情が凍り固まった私。
睨み合いが続き、緊張の糸が張り詰め、いつ切れても、おかしくなかった。
あと、数瞬、娘の声がしなかったら、私は殺人者になっていた。
「おかあさん? 何してるの?」
常識と良心が、狂気の束縛から解き放たれた。鬼気が緩んだ。娘にだけはこんな姿を見せたくは無かった。出来るだけ優しく、娘に答えた。
「…………ああ、ちょっとね。 …………どうしたの?こんなに夜遅く…………」
「パパの声が聞こえたから………… 御帰りなさいって言いたかったの!」
「…………おっ、おお。 ただいま。」
取りあえずの危機を脱した為か、夫は安堵の表情で娘を見つめた。
「パパ~」
娘が夫にしがみ付いた。普段あまり構ってもらえない寂しさか、娘は甘えていた。話しは、娘を寝かしつけるまで、中断された。
夫は、娘を寝室に連れて行き、私は心を落ち着かせる為に、コーヒーをニ杯入れ砂糖をたっぷりと入れた。
夫が帰ってきた。食卓に坐り、私を、私の目を見た。今夜、初めて。
「家を出る。暫らく考えさせてくれ。」
「………………」
「しばらくの間だ。生活費はちゃんと家に入れる」
「………………」
テーブルに置いたコーヒーに手も付けず、彼は立ち上がり、自分達の寝室に行くと、自分の身の回りの物をバッグに入れ始めた。私は何も言えず、ただ、黙ってそれを見ていた。
夫は出て行った。何時、帰るとも、どうするとも云わずに...
*********************************
娘には夫が出張に出た事にした。良い子にしていたら、直ぐに戻ってくると、云って納得させた。私は自分の言葉に自信が持てなかった。
彼は約束を守り、家に給料の大半を入れてくれた。
それでは、足りない。今までの暮らしを守るために、私はパートを始めた。娘が学校に行く時間に出来る仕事を選び、たとえ時給が安くとも、娘との時間を削らない様にした。
そして、五ヶ月が過ぎた。
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娘には、クリスマスには、夫が帰ると云いきかしていた。 …………私もそう、望んでいた。 自分で封印した、夫の会社への電話。 彼からは一度も、かかってこない電話。 せめて娘には、逢わせてやりたい。 そういう想いで、会社に電話をした。
「あなた………… クリスマス………… どうするの?」
(…………用事がある)
「…………そう、 …………あの子、あなたの事、待っているわ…………」
(うん、わかっている)
「…………何とかならない? せめて、あの子にだけでも…………」
(わかった。)
電話を置く。 娘が私の方を見ていた。
「パパ、帰って来るの?」
「…………あなたが良い子にしてたらね」
何時もと、同じ答えしか出来なかった。娘もうすうす私達夫婦の亀裂を感じていた。寂しげな様子だった。堪らなくなり、娘をしっかり抱いて、耳元で言った。
「何時も、ママの言う事を聞いて、良い子でいるから、きっとパパ帰って来るよ」
「うん」
娘は頷いた。その目が信じても良いのと、私に尋ねていた。
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クリスマスの日。 昼前に夫から電話があった。 会える。ただ、夕方までという約束になった。 私は了承した。
娘に支度をさせ、約束の場所に向かおうと、マンションを出た。 そこに夫が立っていた。 手に娘へのプレゼンとを持ち、娘の姿を見つけると、軽く手を上げた。
「良い子にしてたか?」
「うん、だって良い子にしてたら、パパに会えるもん」
娘は、プレゼントの包みより、夫の大きな手が欲しかったのだ。 その気持ちは、痛いほど良くわかる。 夫に抱きつき、甘える娘を、私は嬉しく思った。 夫も娘にだけは誠実になりたかったのかも知れない。
遅い昼食をとろうと云う事になり、三人揃って近所のレストランに向かった。
後ろで、大きな黒い車がタイヤを軋ませ、猛スピードで走り去って行くのが見えた。反射的に娘を車道の反対側に遠ざけた。
「あぶない車だな」
「そうね」
半年振りに、夫と直かに話す言葉だった。
^^^^^^
娘にとって楽しい一時は、飛ぶように過ぎ去り、私にとって、夫を愛するがゆえに、拷問のような時間は、のろのろと過ぎていった。最後のコーヒーとケーキを食べ終わる頃、娘は寂しそうに言った。
「御仕事大変だね」
「…………ごめんな」
「良い子にしてるから、また直ぐに帰ってきてね」
「…………わかってる」
夫の言葉を信じたかった。
夫はマンションの前まで私達を送り、薄暗くなりつつある、街への道を去って行った。
残された私達は、家に戻り、娘は夫からのプレゼントを開いた。 手ごろなサイズの熊のぬいぐるみだった。
クリスマスツリーの電飾が、妙に白々しかった。 娘はそのぬいぐるみを自分のベットに乗せると、食卓に戻って、言った。
「ママ、ケーキたべよう」
娘が私に気を使ってくれている。小さい心で、私の哀しみを感じてくれていたのだ。
ゴメンネ
心のなかでそっと呟き、冷蔵庫から、近所で買い求めたケーキを出した。部屋を暗くして、クリスマスソングを歌い、娘と2人だけで、ケーキを食べた。
*********************************
十時を回り、娘は自分のベットに戻った。
私は一人、リビングにいた。これからの事を考えていた。
今日はなにも考えられそうに無かった。夫の優しい笑顔を見てしまったからだ。たとえそれが、自分に向けられた物では無くても。ぼんやりと光るクリスマスツリー。飾りのなかに一枚の紙がつるされていた。娘の文字があった。七夕と間違っているのかしら。
私は、何の気なしに、その紙を見た。
”サンタさんへ
プレゼントはいりません。ママとパパといっしょにいたいです。おねがいします”
涙が溢れ出た。あの子ったら………… 突然、電話の呼び出し音が鳴った。
びっくりしながら、受話器を取った。夫の声がした。
(…………お前か)
「何?」
(…………話したい事がある…………)
私は恐怖した。 世界中で愛を語る日に、冷たい現実が襲ってくるのを…………
「…………ええ、決心したの?」
震える声で、私は言った。
(…………ああ、 …………もし、 ………………もしも、お前が、許してくれるなら…… 俺………… 帰っても良いか?)
ああ、神様。気が付かないうちにしゃくりあげていた。
(ダメか?)
「ううん、ダメじゃない。見せたいものがあるの………… 早く帰ってきて…………」
(…………あぁ)
電話が切れた。
娘のサンタ宛の手紙を見て、彼はどんな顔をするのだろう?
赦しの季節。
私達には、時間が必要だったのかも知れない。
明日の朝、娘が起きて、夫の顔を見て彼女はどんな顔をするのだろう?
でも、一つだけ確かな事がある。彼女は、私同様、サンタの存在を、心のなかで確信するだろう事だけは、想像できた。
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