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想い数4
仄暗く愛おしい
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泣きながら、名前を呼ぶ声に反応するように瑞樰の内側にいた光が彼女の中から出てきた。
それまでは、気配すら微かで言われなければ存在にも気が付かなかったのに。いざ、表に出てきたその光は気が付かなかったのが嘘のように強い力を感じさせた。
「あぁ、瑞樰が求めるとやっぱり出てくるんだな。」
雹樹の声に、瑞樰は泣きながら周りを見渡した。
「目の前に、居るけど・・・瑞樰には見えてないようだな。」
彼女の様から、自分達には見えている者が瑞樰には見えないのだと改めて確認した。
「雹樹、本当にこれは鏡乃信さんで間違いないのか?
幾ら、瑞樰さんの一族だとは言えこんなにも激しい力を持つ存在に俺達が気付かなかったなんて。」
瑞樰の体を取り巻くように光は次第に大きくなってきていた。それは、まるで誰にも瑞樰を渡さないと主張するかのように。光の輝きはキラキラと美しく見えるが、行為は次第に支配欲を増しているようにも思えた。
「僕は、元々の存在を知らないけど。瑞樰がその名前を呼ぶたびにこの光は喜んでいる。」
「でも、こんな光・・・・人間の持つ力量じゃないよ。」
雹樹の言葉に、尊は恐れを隠し切れづに呟いた。それほどまでに、光が持つ力は大きかった。俗な言い方をすれば、一種の神のような。
「極めれば、相当な術者になっただろうな。」
尊に続き、鏡も息を飲んだ。認めたくはないが、力だけでいえば完全に負けている。悔しいとかそんな感情が出てくる以前の問題だった。
「瑞樰の中に居たから、力を眠らせていたんだろう。瑞樰に負担を掛けない様に、彼女を守る事だけに全ての力を向けていたようだし。それが、表に出てきて一気に外側に向けられているんだ。」
瑞樰を守る為の力が、外に向けられていると言う雹樹の言葉に三人の間に緊張が走った。
こんな、存在に敵認定されたとは思いたくはないがどうにも嫌な予感がする。もしも、瑞樰の中に居た時からこんな風に周りに意識が向いていたとした。瑞樰の身の回りで起きたこと全て、知っていたとしたら。
「外敵を排除しようとしているのだろうな。」
三人の焦りを態々声に出して、雹樹は憐れみを込めた視線を向けてきた。
(だよねー。ここに、思いっきり害虫がいるもんね。)
雹樹の言葉に、クリスは苦虫を噛み潰したような思いでで鏡を睨んだ。
(彼氏がいるのに気が付かないで、ヤッっちゃった的な?)
そんな可愛らしいモノでもないが、他に例えが浮かばなかった。クリスが、束の間そんな現実逃避をしている間にも光は隙間なく瑞樰を包んでいく。全てから、彼女を守るように。
(これ、完全に敵認定だよね?)
キラキラとした光は、瑞樰を優しく包みながらそれ以外を射殺すかのような鋭さを帯び始めていた。
それまでは、気配すら微かで言われなければ存在にも気が付かなかったのに。いざ、表に出てきたその光は気が付かなかったのが嘘のように強い力を感じさせた。
「あぁ、瑞樰が求めるとやっぱり出てくるんだな。」
雹樹の声に、瑞樰は泣きながら周りを見渡した。
「目の前に、居るけど・・・瑞樰には見えてないようだな。」
彼女の様から、自分達には見えている者が瑞樰には見えないのだと改めて確認した。
「雹樹、本当にこれは鏡乃信さんで間違いないのか?
幾ら、瑞樰さんの一族だとは言えこんなにも激しい力を持つ存在に俺達が気付かなかったなんて。」
瑞樰の体を取り巻くように光は次第に大きくなってきていた。それは、まるで誰にも瑞樰を渡さないと主張するかのように。光の輝きはキラキラと美しく見えるが、行為は次第に支配欲を増しているようにも思えた。
「僕は、元々の存在を知らないけど。瑞樰がその名前を呼ぶたびにこの光は喜んでいる。」
「でも、こんな光・・・・人間の持つ力量じゃないよ。」
雹樹の言葉に、尊は恐れを隠し切れづに呟いた。それほどまでに、光が持つ力は大きかった。俗な言い方をすれば、一種の神のような。
「極めれば、相当な術者になっただろうな。」
尊に続き、鏡も息を飲んだ。認めたくはないが、力だけでいえば完全に負けている。悔しいとかそんな感情が出てくる以前の問題だった。
「瑞樰の中に居たから、力を眠らせていたんだろう。瑞樰に負担を掛けない様に、彼女を守る事だけに全ての力を向けていたようだし。それが、表に出てきて一気に外側に向けられているんだ。」
瑞樰を守る為の力が、外に向けられていると言う雹樹の言葉に三人の間に緊張が走った。
こんな、存在に敵認定されたとは思いたくはないがどうにも嫌な予感がする。もしも、瑞樰の中に居た時からこんな風に周りに意識が向いていたとした。瑞樰の身の回りで起きたこと全て、知っていたとしたら。
「外敵を排除しようとしているのだろうな。」
三人の焦りを態々声に出して、雹樹は憐れみを込めた視線を向けてきた。
(だよねー。ここに、思いっきり害虫がいるもんね。)
雹樹の言葉に、クリスは苦虫を噛み潰したような思いでで鏡を睨んだ。
(彼氏がいるのに気が付かないで、ヤッっちゃった的な?)
そんな可愛らしいモノでもないが、他に例えが浮かばなかった。クリスが、束の間そんな現実逃避をしている間にも光は隙間なく瑞樰を包んでいく。全てから、彼女を守るように。
(これ、完全に敵認定だよね?)
キラキラとした光は、瑞樰を優しく包みながらそれ以外を射殺すかのような鋭さを帯び始めていた。
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