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プロローグ
災禍の目覚め
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王国トネラント。
小さな国ではあるものの、武力はそこらの国より断然上とされる強き国。
幾年かに渡った戦も勝ち抜いており、
それ程までに強力な統率者が代々国を支えてきた。
如何なる問題も、悉く解決されていく
平和で豊かな国。
しかし今日、そんな強国すら震撼させる報告が知らされたのだ。
『北の果ての大地に封印されていた
魔王が復活した』とのことだ。
”魔王,,それはかつて、数多の災厄を引き起こし邪悪の限りを尽くした史上最悪の存在。
言わば、世を生きる者達の敵。
だが、数百年も前に勇者と呼ばれる者の手によって封印されたのだ。
その魔王が何故、復活をしたのか。
特別な封印をしてある為、そう簡単には復活できないのだ。
原因も気になる所だが、それよりも不可解な事がある。
今回、この知らせを届けてくれたのはなんと、妖精の森から来た使いの妖精達なのだ。
本来、妖精の森の妖精達は外界の者達とは関わりを持たない主義なのだ。
それが何故わざわざ王国に出向き、報告をしてきたのだろう。
そしてあの態度、妙に緊張感が張り詰めていた。何かに焦っているようだった。
国王はその凛々しき顔を歪め唸る。
魔王の復活に、妖精達のあの態度…。
何か、とてつもない事が起ころうとしているに違いない。
彼の本能が、直感がそう告げるのだ。
王の感は良く当たる。
ならば、早急にこれからの事に備えなくてはならない。
国王ヴァンゲルは思考する。
「(妖精達の態度が先ず気になるな…。あの焦り様は魔王復活の事だけではなさそうだ……。仮に同盟を結びに来たとしても、彼らは我々よりも強い力を持っている。魔王が勢力を広げても自分たちでどうにかできるはずだ……。同盟を結ぶ訳がない。)」
考えているが情報が少なく、中々答えが出てこない。
こうなったら……。ヴァンゲルは深いため息と共に、ある人物を呼び出した。
従者と共に玉座の間に入って来たのは
薄紫のローブを羽織った女性だった。
彼女は宮廷魔導師のシャルム。
トネラント三大英雄であり、ヴァンゲルの古い友人である。
「急に呼び出されて……どうかなさったの?」
憂鬱そうに尋ねてくる。
どうやら機嫌が悪い様だ。
「(また勝手に街へ行こうとしてたのか……)急に呼び出したりしてすまない。少し相談したい事があってな。」
「あら、何かしら?」
「実は…妖精の森から使いが来た。」
「?!何ですって…?」
不機嫌な顔が驚愕の色に染まる。
「魔王復活の事は既に耳にしているな?」
「……えぇ。北の地に施された封印が何らかの原因で解けたのよね。」
「妖精達はそれを余に伝えてきた。」
「妖精達がわざわざ?外界と交わる事がない種族なのに何故…?」
「それが分からないのだ。魔王復活の話も大事なのだが、先ずは妖精達の様子を伺いたいと思う。お主は精霊を呼び寄せる事が出来るのであろう?精霊に妖精達の事を探らせてみてはくれぬか?」
「……わかったわ。情報優先で動けば良いんでしょう?簡単よ。連絡が入り次第報告するわ。それじゃあ私はこれで。」
「あぁ、頼んだ。」
シャルムが玉座の間から出て行った。
恐らく街へ行くのだろう。
彼女は仕事をさせれば優秀なのだが、
サボり癖がある。
その為、よく街で目撃されてるのだ。
毎度城へ戻すのが大変なのである。
「はぁ……上手く行けば良いのだが。」
ともかく、今は妖精達の様子を伺うのが最優先である。
事が上手く進めば、同盟を結べるかもしれない。
そうなれば魔王など、簡単にひねり潰せる。
「民の命こそが、守るべきものよ。」
全ては、魔王を倒すために。
小さな国ではあるものの、武力はそこらの国より断然上とされる強き国。
幾年かに渡った戦も勝ち抜いており、
それ程までに強力な統率者が代々国を支えてきた。
如何なる問題も、悉く解決されていく
平和で豊かな国。
しかし今日、そんな強国すら震撼させる報告が知らされたのだ。
『北の果ての大地に封印されていた
魔王が復活した』とのことだ。
”魔王,,それはかつて、数多の災厄を引き起こし邪悪の限りを尽くした史上最悪の存在。
言わば、世を生きる者達の敵。
だが、数百年も前に勇者と呼ばれる者の手によって封印されたのだ。
その魔王が何故、復活をしたのか。
特別な封印をしてある為、そう簡単には復活できないのだ。
原因も気になる所だが、それよりも不可解な事がある。
今回、この知らせを届けてくれたのはなんと、妖精の森から来た使いの妖精達なのだ。
本来、妖精の森の妖精達は外界の者達とは関わりを持たない主義なのだ。
それが何故わざわざ王国に出向き、報告をしてきたのだろう。
そしてあの態度、妙に緊張感が張り詰めていた。何かに焦っているようだった。
国王はその凛々しき顔を歪め唸る。
魔王の復活に、妖精達のあの態度…。
何か、とてつもない事が起ころうとしているに違いない。
彼の本能が、直感がそう告げるのだ。
王の感は良く当たる。
ならば、早急にこれからの事に備えなくてはならない。
国王ヴァンゲルは思考する。
「(妖精達の態度が先ず気になるな…。あの焦り様は魔王復活の事だけではなさそうだ……。仮に同盟を結びに来たとしても、彼らは我々よりも強い力を持っている。魔王が勢力を広げても自分たちでどうにかできるはずだ……。同盟を結ぶ訳がない。)」
考えているが情報が少なく、中々答えが出てこない。
こうなったら……。ヴァンゲルは深いため息と共に、ある人物を呼び出した。
従者と共に玉座の間に入って来たのは
薄紫のローブを羽織った女性だった。
彼女は宮廷魔導師のシャルム。
トネラント三大英雄であり、ヴァンゲルの古い友人である。
「急に呼び出されて……どうかなさったの?」
憂鬱そうに尋ねてくる。
どうやら機嫌が悪い様だ。
「(また勝手に街へ行こうとしてたのか……)急に呼び出したりしてすまない。少し相談したい事があってな。」
「あら、何かしら?」
「実は…妖精の森から使いが来た。」
「?!何ですって…?」
不機嫌な顔が驚愕の色に染まる。
「魔王復活の事は既に耳にしているな?」
「……えぇ。北の地に施された封印が何らかの原因で解けたのよね。」
「妖精達はそれを余に伝えてきた。」
「妖精達がわざわざ?外界と交わる事がない種族なのに何故…?」
「それが分からないのだ。魔王復活の話も大事なのだが、先ずは妖精達の様子を伺いたいと思う。お主は精霊を呼び寄せる事が出来るのであろう?精霊に妖精達の事を探らせてみてはくれぬか?」
「……わかったわ。情報優先で動けば良いんでしょう?簡単よ。連絡が入り次第報告するわ。それじゃあ私はこれで。」
「あぁ、頼んだ。」
シャルムが玉座の間から出て行った。
恐らく街へ行くのだろう。
彼女は仕事をさせれば優秀なのだが、
サボり癖がある。
その為、よく街で目撃されてるのだ。
毎度城へ戻すのが大変なのである。
「はぁ……上手く行けば良いのだが。」
ともかく、今は妖精達の様子を伺うのが最優先である。
事が上手く進めば、同盟を結べるかもしれない。
そうなれば魔王など、簡単にひねり潰せる。
「民の命こそが、守るべきものよ。」
全ては、魔王を倒すために。
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