18 / 41
18
しおりを挟む
オパールは鼻白んで答える。
「そう。貴女がそう思うならそうなんでしょうね」
そこでアリエルは言った。
「アラベル、みんなを信じたい気持ちはわかりますけれど、もう少し調べないとなんとも言えませんわ」
すると、アラベルはエルヴェに向き直った。
「殿下はどう思われますか?」
エルヴェは不機嫌そうに答える。
「なんにせよ、出入りしても目立たないものによる犯行なのだろう」
その返答にアラベルは嬉しそうに目を見開いた。自分の意図していた返答を得られたのだろう。
「殿下もそうお考えになりますか? 私もそう思います。それにそんなことを続けていればいずれ大事になってしまいますもの。本人に名乗り出てほしいものですわ」
そう言ってアラベルはアリエルに微笑みかけた。アリエルも微笑み返すと言った。
「そうですわね、私もそう思いますわ」
表面上にこやかにそう返したがこの時アリエルは、腸の煮えくり返るような思いだった。
このアラベルの相談と言う名のアリエルへの追及でその場がしらけてしまい、そのあとは会話が弾むこともなく食事を終わらせると各々が直ぐに部屋へ戻っていった。
アリエルは部屋へ戻ると早々にベッドへ潜ったが、アラベルの言ったことを思い出してしまい苛立ちを覚え寝付けずにいた。なので、少し庭に出て風に当たり頭を冷やすことにした。
だが部屋から出ると廊下の向こうからオパールとアラベルがひそひそと話す声が聞こえたので、アリエルは立ち止まり耳をそばだてた。
「恐らくアリエルお姉様はハイライン公爵令嬢が思っているような人物ではありません。殿下もそれが心配で急遽こちらにいらっしゃったのですわ」
「どういうことですの? お姉様が信頼できない人物だとでも? だとしたらその根拠はなんですの?」
「はい。アリエルお姉様はとても狡猾です。今日の湖でもそうでした。私はアリエルお姉様とボートに乗りたくてお誘いしたのです。けれどそれに対してアリエルお姉様は周囲に聞かれないように酷く私を罵ったのです。それで私カッとなってしまって……」
「突き飛ばしたんですのね?」
「はい。とても浅はかな行為でした」
その後しばらくの沈黙のあと、アラベルのすすり泣く声が聞こえた。そして嗚咽混じりに続ける。
「ハイライン公爵令嬢はご存知でしょうか、殿下と婚約するのはアリエルお姉様と決まっていました」
「えぇ。候補にあがっていることは知ってましたわ」
「それが、どうしたことか殿下はアリエルお姉様ではなく私とご一緒することが多くて。これについてアリエルお姉様は内心よく思っていないようなのです」
「では、お姉様が貴女に嫉妬していると?」
「はい。晩餐の時に相談しました件ですが、それが始まったのは私が殿下にエスコートされてからなのです」
「じゃあ貴女は最初からお姉様が犯人だと仰りたいの?」
「はい。あえてみなさんの前で話したのはあのように、もう誰が犯人なのか私には分かっているとアリエルお姉様に遠回しに言うことによって、私に罪を告白するかこっそりとでも盗った物を返してくれないかと期待したのです」
少し間を空けてオパールが言った。
「そんな話、信じられませんわね」
「はい、そうかもしれません。ですけれど私の話は整合性がとれていると思います。少しだけでも考えていただければと思ってお話しさせていただきました。いずれちゃんとした証拠が出せれば信じてもらえるでしょうか?」
「本当にそんなものがあれば考えますわ。やっていないのだから、そんなものはないと思いますけれど」
「わかりました。あとわかってほしいのですが、アリエルお姉様を追い詰めるためにこんなことをしている訳ではありません。ただ、姉妹として家族として正しくあってほしいだけなのです。それに……」
「まだなにかありますの?」
「はい。実はアリエルお姉様が『公爵令嬢にわざとぶつかった。今のうちに取り入っておけば自分の地位は安泰だ』って侍女のアンナに言っているのを聞いてしまいましたの」
「ふーん。それが本当ならみんなの前で本人に問い詰めたらどうですの?」
「そ、そうですわよね。ハイライン公爵令嬢、勇気が出ました。ありがとうございます!!」
そこまで話を聞いてアリエルは、以前も裏でこんなやり取りをしていたのかと思うと怒りに震えた。
すぐにでもその場に飛び出て文句を言ってしまいたかったが、それを堪え踵を返した。
怒りを抑えるために深呼吸すると、気を取り直して一階の廊下から庭に出ることにした。
今回はアラベルの言う『証拠』は出てこない。だとしてもそれまでのあいだにオパールがアラベルに懐柔されてしまったらきっとつらい思いをすることになるだろう。アリエルは月を見上げながらそう思った。
「眠れないのか?」
その声に驚き振り返ると、エルヴェが立っていた。今は会いたくない人物だ。
アリエルは軽く会釈をしてその場を立ち去ろうとしたが、腕をつかまれ引き止められた。
「お願いだ、少しだけでもいい、話をしたい」
そう懇願され、仕方なしに立ち止まるとエルヴェの横に立った。
「アラベルを連れてきてしまってすまない。君が彼女を避けているのは知っているのに。私は君を傷つけてばかりだな、不甲斐ないよ」
アリエルはエルヴェがなぜそんなことを言うのかわからず、驚いて顔を見上げると、エルヴェは月を見上げたまま言った。
「ここ数日君と会いたくて、話がしたくて仕方がなかった。だから、君が会ってくれなくとも何度も屋敷へ行っていた。そんなある日君がオパールとルーモイの別荘に行ったと聞いて、私は君が別荘にいるなら行けば絶対に会ってくれるだろうと思った」
そこでエルヴェは言葉を切ってアリエルを見つめる。
「だが、ルーモイのどの別荘なのか警備上誰も行き先を聞いていない」
そこまで聞いて、アリエルはなぜエルヴェがわざわざアラベルと一緒に来たのか気づいた。アラベルはアリエルがオパールからの手紙を渡した時に、アンナが湖を見るのを楽しみにしていたのを聞いていたはずだ。
「アラベルが行き先を知っていたから一緒に来られたのですか?」
エルヴェは頷く。
「そうだ、君の両親もルーモイのどの別荘かはわからなかったからね。仕方なしにアラベルに聞いたら教えるのと引き換えに自分も連れて行けと。姉が心配だからとかもっともらしい言い訳をしていたよ」
「そうですか」
アリエルはとりあえず納得したが、なぜエルヴェが自分にこうまで執着するのかわからなかった。恐らく先ほどアラベルがオパールに話していた内容をまだ聞いていないからではないかと思った。
前回エルヴェはアリエルの話も聞かずに、アラベルの言うことだけを信じていた。今回もきっとそうなるはずである。そう思うと、アリエルはエルヴェになにも話す気になれずそのまま押し黙った。
エルヴェは思い出したようにアリエルに訊いた。
「ところでアリエル。君はフィリップからベルと呼ばれていたのか?」
突然なぜそんな質問を? と思いつつも答える。
「いいえ、幼少のころは“エル”と呼ばれていました。アラベルは“ベル”と」
「たまに呼び間違えられたことは?」
不思議な質問をするものだと思い、その意図を探るようにエルヴェを見つめた。エルヴェは真剣な眼差しでアリエルを見つめ返して言った。
「お願いだ、大切なことだから答えてほしい」
その真剣な眼差しに気圧されるようにアリエルは答える。
「はい、よく間違えて呼ばれることがありました。でもあまりにもよく間違えられるので、どちらで呼ばれても返事をしていましたけれど」
「そう。貴女がそう思うならそうなんでしょうね」
そこでアリエルは言った。
「アラベル、みんなを信じたい気持ちはわかりますけれど、もう少し調べないとなんとも言えませんわ」
すると、アラベルはエルヴェに向き直った。
「殿下はどう思われますか?」
エルヴェは不機嫌そうに答える。
「なんにせよ、出入りしても目立たないものによる犯行なのだろう」
その返答にアラベルは嬉しそうに目を見開いた。自分の意図していた返答を得られたのだろう。
「殿下もそうお考えになりますか? 私もそう思います。それにそんなことを続けていればいずれ大事になってしまいますもの。本人に名乗り出てほしいものですわ」
そう言ってアラベルはアリエルに微笑みかけた。アリエルも微笑み返すと言った。
「そうですわね、私もそう思いますわ」
表面上にこやかにそう返したがこの時アリエルは、腸の煮えくり返るような思いだった。
このアラベルの相談と言う名のアリエルへの追及でその場がしらけてしまい、そのあとは会話が弾むこともなく食事を終わらせると各々が直ぐに部屋へ戻っていった。
アリエルは部屋へ戻ると早々にベッドへ潜ったが、アラベルの言ったことを思い出してしまい苛立ちを覚え寝付けずにいた。なので、少し庭に出て風に当たり頭を冷やすことにした。
だが部屋から出ると廊下の向こうからオパールとアラベルがひそひそと話す声が聞こえたので、アリエルは立ち止まり耳をそばだてた。
「恐らくアリエルお姉様はハイライン公爵令嬢が思っているような人物ではありません。殿下もそれが心配で急遽こちらにいらっしゃったのですわ」
「どういうことですの? お姉様が信頼できない人物だとでも? だとしたらその根拠はなんですの?」
「はい。アリエルお姉様はとても狡猾です。今日の湖でもそうでした。私はアリエルお姉様とボートに乗りたくてお誘いしたのです。けれどそれに対してアリエルお姉様は周囲に聞かれないように酷く私を罵ったのです。それで私カッとなってしまって……」
「突き飛ばしたんですのね?」
「はい。とても浅はかな行為でした」
その後しばらくの沈黙のあと、アラベルのすすり泣く声が聞こえた。そして嗚咽混じりに続ける。
「ハイライン公爵令嬢はご存知でしょうか、殿下と婚約するのはアリエルお姉様と決まっていました」
「えぇ。候補にあがっていることは知ってましたわ」
「それが、どうしたことか殿下はアリエルお姉様ではなく私とご一緒することが多くて。これについてアリエルお姉様は内心よく思っていないようなのです」
「では、お姉様が貴女に嫉妬していると?」
「はい。晩餐の時に相談しました件ですが、それが始まったのは私が殿下にエスコートされてからなのです」
「じゃあ貴女は最初からお姉様が犯人だと仰りたいの?」
「はい。あえてみなさんの前で話したのはあのように、もう誰が犯人なのか私には分かっているとアリエルお姉様に遠回しに言うことによって、私に罪を告白するかこっそりとでも盗った物を返してくれないかと期待したのです」
少し間を空けてオパールが言った。
「そんな話、信じられませんわね」
「はい、そうかもしれません。ですけれど私の話は整合性がとれていると思います。少しだけでも考えていただければと思ってお話しさせていただきました。いずれちゃんとした証拠が出せれば信じてもらえるでしょうか?」
「本当にそんなものがあれば考えますわ。やっていないのだから、そんなものはないと思いますけれど」
「わかりました。あとわかってほしいのですが、アリエルお姉様を追い詰めるためにこんなことをしている訳ではありません。ただ、姉妹として家族として正しくあってほしいだけなのです。それに……」
「まだなにかありますの?」
「はい。実はアリエルお姉様が『公爵令嬢にわざとぶつかった。今のうちに取り入っておけば自分の地位は安泰だ』って侍女のアンナに言っているのを聞いてしまいましたの」
「ふーん。それが本当ならみんなの前で本人に問い詰めたらどうですの?」
「そ、そうですわよね。ハイライン公爵令嬢、勇気が出ました。ありがとうございます!!」
そこまで話を聞いてアリエルは、以前も裏でこんなやり取りをしていたのかと思うと怒りに震えた。
すぐにでもその場に飛び出て文句を言ってしまいたかったが、それを堪え踵を返した。
怒りを抑えるために深呼吸すると、気を取り直して一階の廊下から庭に出ることにした。
今回はアラベルの言う『証拠』は出てこない。だとしてもそれまでのあいだにオパールがアラベルに懐柔されてしまったらきっとつらい思いをすることになるだろう。アリエルは月を見上げながらそう思った。
「眠れないのか?」
その声に驚き振り返ると、エルヴェが立っていた。今は会いたくない人物だ。
アリエルは軽く会釈をしてその場を立ち去ろうとしたが、腕をつかまれ引き止められた。
「お願いだ、少しだけでもいい、話をしたい」
そう懇願され、仕方なしに立ち止まるとエルヴェの横に立った。
「アラベルを連れてきてしまってすまない。君が彼女を避けているのは知っているのに。私は君を傷つけてばかりだな、不甲斐ないよ」
アリエルはエルヴェがなぜそんなことを言うのかわからず、驚いて顔を見上げると、エルヴェは月を見上げたまま言った。
「ここ数日君と会いたくて、話がしたくて仕方がなかった。だから、君が会ってくれなくとも何度も屋敷へ行っていた。そんなある日君がオパールとルーモイの別荘に行ったと聞いて、私は君が別荘にいるなら行けば絶対に会ってくれるだろうと思った」
そこでエルヴェは言葉を切ってアリエルを見つめる。
「だが、ルーモイのどの別荘なのか警備上誰も行き先を聞いていない」
そこまで聞いて、アリエルはなぜエルヴェがわざわざアラベルと一緒に来たのか気づいた。アラベルはアリエルがオパールからの手紙を渡した時に、アンナが湖を見るのを楽しみにしていたのを聞いていたはずだ。
「アラベルが行き先を知っていたから一緒に来られたのですか?」
エルヴェは頷く。
「そうだ、君の両親もルーモイのどの別荘かはわからなかったからね。仕方なしにアラベルに聞いたら教えるのと引き換えに自分も連れて行けと。姉が心配だからとかもっともらしい言い訳をしていたよ」
「そうですか」
アリエルはとりあえず納得したが、なぜエルヴェが自分にこうまで執着するのかわからなかった。恐らく先ほどアラベルがオパールに話していた内容をまだ聞いていないからではないかと思った。
前回エルヴェはアリエルの話も聞かずに、アラベルの言うことだけを信じていた。今回もきっとそうなるはずである。そう思うと、アリエルはエルヴェになにも話す気になれずそのまま押し黙った。
エルヴェは思い出したようにアリエルに訊いた。
「ところでアリエル。君はフィリップからベルと呼ばれていたのか?」
突然なぜそんな質問を? と思いつつも答える。
「いいえ、幼少のころは“エル”と呼ばれていました。アラベルは“ベル”と」
「たまに呼び間違えられたことは?」
不思議な質問をするものだと思い、その意図を探るようにエルヴェを見つめた。エルヴェは真剣な眼差しでアリエルを見つめ返して言った。
「お願いだ、大切なことだから答えてほしい」
その真剣な眼差しに気圧されるようにアリエルは答える。
「はい、よく間違えて呼ばれることがありました。でもあまりにもよく間違えられるので、どちらで呼ばれても返事をしていましたけれど」
493
お気に入りに追加
2,761
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
【取り下げ予定】アマレッタの第二の人生
ごろごろみかん。
恋愛
『僕らは、恋をするんだ。お互いに』
彼がそう言ったから。
アマレッタは彼に恋をした。厳しい王太子妃教育にも耐え、誰もが認める妃になろうと励んだ。
だけどある日、婚約者に呼び出されて言われた言葉は、彼女の想像を裏切るものだった。
「きみは第二妃となって、エミリアを支えてやって欲しい」
その瞬間、アマレッタは思い出した。
この世界が、恋愛小説の世界であること。
そこで彼女は、悪役として処刑されてしまうこと──。
アマレッタの恋心を、彼は利用しようと言うのだ。誰からの理解も得られず、深い裏切りを受けた彼女は、国を出ることにした。
一方、彼女が去った後。国は、緩やかに破滅の道を辿ることになる。
王子様、あなたの不貞を私は知っております
岡暁舟
恋愛
第一王子アンソニーの婚約者、正妻として名高い公爵令嬢のクレアは、アンソニーが自分のことをそこまで本気に愛していないことを知っている。彼が夢中になっているのは、同じ公爵令嬢だが、自分よりも大部下品なソーニャだった。
「私は知っております。王子様の不貞を……」
場合によっては離縁……様々な危険をはらんでいたが、クレアはなぜか余裕で?
本編終了しました。明日以降、続編を新たに書いていきます。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。
はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。
周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。
婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。
ただ、美しいのはその見た目だけ。
心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。
本来の私の姿で……
前編、中編、後編の短編です。
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
【完結済み】婚約破棄致しましょう
木嶋うめ香
恋愛
生徒会室で、いつものように仕事をしていた私は、婚約者であるフィリップ殿下に「私は運命の相手を見つけたのだ」と一人の令嬢を紹介されました。
運命の相手ですか、それでは邪魔者は不要ですね。
殿下、婚約破棄致しましょう。
第16回恋愛小説大賞 奨励賞頂きました。
応援して下さった皆様ありがとうございます。
リクエスト頂いたお話の更新はもうしばらくお待ち下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる