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第七十話 リカオンが変
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にわかには信じられない話だったが、もしそれが本当なら、そこから侵入できるかもしれない。そんな淡い期待を抱きながら、鍵のかかった箱を小脇に抱えたままルーファスと共に物置小屋の裏手にある、地下へ続く階段を降り地下倉庫へ向かった。
地下倉庫はそんなに深い場所ではないのにもかかわらず、とてもひんやりしておりここに色々な物を備蓄するのも頷けた。
倉庫内のどこそこに置いてあるランプに火を灯して回ると、そこにはかなり広い空間が広がっていて、そこは一見なんの変哲もない、物置小屋の地下とは思えない空間だった。
その中央には雑穀の入った雑袋が積んであり、壁際には坪が並んでいる。その一番奥に進むと、周囲の雰囲気にそぐわない背の高い棚が部屋の角に設置してあった。アルメリアとルーファスは同時にその棚に目を止めると、お互い見つめ合い無言で頷く。
洞窟へ続くドアがあるとするならば、この本棚の裏に間違いないだろう。
「この棚、かなり重そうですわ。私とルフスの二人で動かすには、少し難しいかもしれませんわね」
「確かに。中の物を少し出して動かしましょうか」
すると、背後から声がした。
「僕も、お手伝いしましょうか?」
振り向くとリカオンが立っていた。先ほどから見せていた不貞腐れた態度は微塵もなく、真剣な表情をしているリカオンにアルメリアは驚きながらも頷く。
「リカオン。手伝ってくれるなら助かりますわ、この棚を動かしたいんですの」
アルメリアはそう答えると棚に手を伸ばしたが、リカオンがそれを制した。
「動かすだけなら、助祭と僕の男性二人ならばなんとかなるでしょう。アルメリアは下がっていて下さい」
リカオンの態度の変化に戸惑いつつ、アルメリアは言われるまま数歩下がると二人の後ろで棚を動かすのを見ていた。
赤倉庫内にルーファスとリカオンの掛け声が響き、棚は床を擦りながら少しずつ動き始めた。棚の裏の壁が見えてきたものの、そこにあると期待していたドアはなくルーファスもアルメリアもがっかりした。
そんな二人の様子を見ていたリカオンが、不思議そうにアルメリアに質問する。
「そもそも、お二人はなにを探していたのですか?」
そこでアルメリアは、リカオンに呆れられるのを承知の上で今までの経緯を説明した。
「なるほど、それで一番疑わしい棚の裏を見てみようということになったのですね。ですが、それならもっとわかりずらくするのではないでしょうか? それにドアがあるとも限りませんよ。例えば……」
倉庫のある一角の床を指差した。
「ここの床板のこの部分、少しだけ板材が飛び出していますよね」
そう言うと、その板材をつかんで引っ張る。するとフックのような物が出てきた。リカオンは周囲を見渡し、倉庫の角から引っ掻き棒を取ってくると、それをフックに引っ掻け蓋を開けるような要領で床板を持ち上げた。
するとあっさり床の一部が開いた。その下にはぽっかりと穴が空いており、更に地下へと梯子が伸びているのが見えた。
アルメリアとルーファスは顔を見合わせ、興奮気味に声を揃えて言った。
「『凄い!』」
リカオンは冷静に答える。
「そんなに凄いことではありませんよ。昔、伯父が僕に話してくれた物語で、教会の地下から洞窟へ冒険する少年の話があったのです。その話に酷似していたので、もしやと思いました」
「まぁ、そうなんですの素敵ですわね。そうやって子どもたちも知らぬうちに、大切なことをちゃんと伝え続けているんですわね」
ルーファスも頷き、感心したように言う。
「そうですね、物語として聞かせればそれが重要な内容だと子どもたちにはわかりませんから、その情報を知ることによる危険やトラブルに巻き込まれることもありませんしね」
「でもそうして伝えられていたということは、この穴は本当に洞窟へ続いている可能性が高いですわよね?」
そう言うと、全員で屈んでその穴を覗きこみ、ランプの光で中を照らした。だが中は結構な広さの空間になっているようで、ランプの光はその中にすっかり吸い込まれてしまい、中の様子を見ることはできなかった。
ルーファスが口を開く。
「中に入るならば、しっかりした装備を整えた方がよいでしょう。それに、本当に教会本部へ続いているかもわかりませんし」
その意見に頷き、アルメリアは呟く。
「せめて、教会本部の設計図を手に入れられれば、本当に洞窟が続いているのかどうか、確認できるのですけれど」
ルーファスは申し訳なさそうに答える。
「あまりお役に立てなくて、すみません」
アルメリアは慌てて首を振りながら答える。
「違いますわ、ルフスを責めているわけではありませんのよ」
そこでリカオンが横から口を挟んだ。
「アルメリア、待ってください。教会本部の設計図は、貴女なら簡単に閲覧することができるはずですが?」
アルメリアは驚いて、リカオンの顔をまじまじと見つめた。
「どういうことですの?」
リカオンは苦笑すると、説明し始めた。
「アルメリアは相談役なのですよ? 相談役は城内の古い文献や古書の閲覧をできる特権を殿下より賜っています。その古書の中には、国に提出された建物の設計図も含まれていますから、閲覧したければいつでも閲覧可能です」
アルメリアは、少しムッとした顔で答える。
「相談役のそんな特権、知りませんでしたわ。誰かさんが、最初に説明してくださらなかったから」
そう言ってそっぽを向いた。そんなアルメリアを見てくすくすと笑いながらリカオンは答える。
「ですが、アルメリアも僕に質問なさらなかったでしょう?」
リカオンは微笑みながら、アルメリアの乱れた髪にそっと触れた。
アルメリアはなんとなく先ほどからいつもと違う雰囲気のリカオンに戸惑い、振り向いてリカオンを見つめる。と、リカオンもじっとアルメリアを見つめていた。お互いしばらくそうして見つめ合っていたが、アルメリアはリカオンがどうかしてしまったのかと思い、問いかける。
「リカオン?」
すると、リカオンが手を伸ばし、アルメリアの頬に触れようとした。そのとき、横にいたルーファスが、思い切りわざとらしい咳払いをしたあと、大きな声で言った。
「それでは! 教会本部の設計図を確認し、準備を整えてからこの地下へ続く穴の中に入りましょう!」
「そ、そうですわね。時間がありませんから、急がなければいけませんわね。それと、この鍵のかかった箱。この中に重要な証拠があるかもしれませんし、鍵を探さないといけませんわね」
そう言うと、三人とも立ちあがった。
地下倉庫はそんなに深い場所ではないのにもかかわらず、とてもひんやりしておりここに色々な物を備蓄するのも頷けた。
倉庫内のどこそこに置いてあるランプに火を灯して回ると、そこにはかなり広い空間が広がっていて、そこは一見なんの変哲もない、物置小屋の地下とは思えない空間だった。
その中央には雑穀の入った雑袋が積んであり、壁際には坪が並んでいる。その一番奥に進むと、周囲の雰囲気にそぐわない背の高い棚が部屋の角に設置してあった。アルメリアとルーファスは同時にその棚に目を止めると、お互い見つめ合い無言で頷く。
洞窟へ続くドアがあるとするならば、この本棚の裏に間違いないだろう。
「この棚、かなり重そうですわ。私とルフスの二人で動かすには、少し難しいかもしれませんわね」
「確かに。中の物を少し出して動かしましょうか」
すると、背後から声がした。
「僕も、お手伝いしましょうか?」
振り向くとリカオンが立っていた。先ほどから見せていた不貞腐れた態度は微塵もなく、真剣な表情をしているリカオンにアルメリアは驚きながらも頷く。
「リカオン。手伝ってくれるなら助かりますわ、この棚を動かしたいんですの」
アルメリアはそう答えると棚に手を伸ばしたが、リカオンがそれを制した。
「動かすだけなら、助祭と僕の男性二人ならばなんとかなるでしょう。アルメリアは下がっていて下さい」
リカオンの態度の変化に戸惑いつつ、アルメリアは言われるまま数歩下がると二人の後ろで棚を動かすのを見ていた。
赤倉庫内にルーファスとリカオンの掛け声が響き、棚は床を擦りながら少しずつ動き始めた。棚の裏の壁が見えてきたものの、そこにあると期待していたドアはなくルーファスもアルメリアもがっかりした。
そんな二人の様子を見ていたリカオンが、不思議そうにアルメリアに質問する。
「そもそも、お二人はなにを探していたのですか?」
そこでアルメリアは、リカオンに呆れられるのを承知の上で今までの経緯を説明した。
「なるほど、それで一番疑わしい棚の裏を見てみようということになったのですね。ですが、それならもっとわかりずらくするのではないでしょうか? それにドアがあるとも限りませんよ。例えば……」
倉庫のある一角の床を指差した。
「ここの床板のこの部分、少しだけ板材が飛び出していますよね」
そう言うと、その板材をつかんで引っ張る。するとフックのような物が出てきた。リカオンは周囲を見渡し、倉庫の角から引っ掻き棒を取ってくると、それをフックに引っ掻け蓋を開けるような要領で床板を持ち上げた。
するとあっさり床の一部が開いた。その下にはぽっかりと穴が空いており、更に地下へと梯子が伸びているのが見えた。
アルメリアとルーファスは顔を見合わせ、興奮気味に声を揃えて言った。
「『凄い!』」
リカオンは冷静に答える。
「そんなに凄いことではありませんよ。昔、伯父が僕に話してくれた物語で、教会の地下から洞窟へ冒険する少年の話があったのです。その話に酷似していたので、もしやと思いました」
「まぁ、そうなんですの素敵ですわね。そうやって子どもたちも知らぬうちに、大切なことをちゃんと伝え続けているんですわね」
ルーファスも頷き、感心したように言う。
「そうですね、物語として聞かせればそれが重要な内容だと子どもたちにはわかりませんから、その情報を知ることによる危険やトラブルに巻き込まれることもありませんしね」
「でもそうして伝えられていたということは、この穴は本当に洞窟へ続いている可能性が高いですわよね?」
そう言うと、全員で屈んでその穴を覗きこみ、ランプの光で中を照らした。だが中は結構な広さの空間になっているようで、ランプの光はその中にすっかり吸い込まれてしまい、中の様子を見ることはできなかった。
ルーファスが口を開く。
「中に入るならば、しっかりした装備を整えた方がよいでしょう。それに、本当に教会本部へ続いているかもわかりませんし」
その意見に頷き、アルメリアは呟く。
「せめて、教会本部の設計図を手に入れられれば、本当に洞窟が続いているのかどうか、確認できるのですけれど」
ルーファスは申し訳なさそうに答える。
「あまりお役に立てなくて、すみません」
アルメリアは慌てて首を振りながら答える。
「違いますわ、ルフスを責めているわけではありませんのよ」
そこでリカオンが横から口を挟んだ。
「アルメリア、待ってください。教会本部の設計図は、貴女なら簡単に閲覧することができるはずですが?」
アルメリアは驚いて、リカオンの顔をまじまじと見つめた。
「どういうことですの?」
リカオンは苦笑すると、説明し始めた。
「アルメリアは相談役なのですよ? 相談役は城内の古い文献や古書の閲覧をできる特権を殿下より賜っています。その古書の中には、国に提出された建物の設計図も含まれていますから、閲覧したければいつでも閲覧可能です」
アルメリアは、少しムッとした顔で答える。
「相談役のそんな特権、知りませんでしたわ。誰かさんが、最初に説明してくださらなかったから」
そう言ってそっぽを向いた。そんなアルメリアを見てくすくすと笑いながらリカオンは答える。
「ですが、アルメリアも僕に質問なさらなかったでしょう?」
リカオンは微笑みながら、アルメリアの乱れた髪にそっと触れた。
アルメリアはなんとなく先ほどからいつもと違う雰囲気のリカオンに戸惑い、振り向いてリカオンを見つめる。と、リカオンもじっとアルメリアを見つめていた。お互いしばらくそうして見つめ合っていたが、アルメリアはリカオンがどうかしてしまったのかと思い、問いかける。
「リカオン?」
すると、リカオンが手を伸ばし、アルメリアの頬に触れようとした。そのとき、横にいたルーファスが、思い切りわざとらしい咳払いをしたあと、大きな声で言った。
「それでは! 教会本部の設計図を確認し、準備を整えてからこの地下へ続く穴の中に入りましょう!」
「そ、そうですわね。時間がありませんから、急がなければいけませんわね。それと、この鍵のかかった箱。この中に重要な証拠があるかもしれませんし、鍵を探さないといけませんわね」
そう言うと、三人とも立ちあがった。
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