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1章

9話

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ここにきてかれこれ2週間ほど経っただろうか。それだけ経つとさすがに生活にも慣れてきて習慣のようなものもできてきた。

朝起きてまずするのは横にいる人間を起こすところからだ。あの用意してもらった部屋は管理もあまりされてなかったようで、寝てみるとほこりっぽいし、何やら他の生物の匂いもするしで1日目にしてにゃぁにゃぁとないてあそこで寝るのはやめにした。ラクエルなんかは

「怖がりな奴だな」

と言って勘違いしていたが、森の沼地よりも埃の方がけむたくて嫌だったので我慢した。
それからは適当な人間の布団に入って寝る事にしている。人間は自分の寝るところは綺麗にしているらしくて、埃も少ないし、なによりも暖かいので眠るのにちょうどいいのだ。

今日はラクエルのベッドの中にいるので、早速起こす。
人間は手を噛んだりなんだりするよりも顔を舐めてやるとすぐに起きる。これもここでの生活で分かったことの一つだ。

「おい。やめろ。まだ寝れるだろ」

とラクエルは言うが、起こしてしまえばこっちのものだ。ラクエルは言葉は強いが、たいして僕に害を及ぼさないいい人間なのだ。

「まったくもう。お前の腹で俺の寝る時間が決まるなんてな」

なにかするとしてもこんな風に言って腹をくすぐるくらいだ。
こんな感じで朝はその横に寝てる人間と戯れご飯に行く。ご飯を食べたら外には出れないので少しこの宿舎の中を散歩する。
ここの人間も大体僕のことをわかったようで、会うと大体挨拶をしてくれる。僕の方も最初はあのいけ好かない護衛とラクエル以外は誰が誰なのかわからなかったが、今では鎧さえ来てなければ大体わかるようになってきた。
なんで大体かというと人間は顔が似通っててわかりずらいのだ。だからわかりずらい人間は匂いで判別してるというのに、なぜか鎧を着るとそれも消えてしまうので大体なのだ。
ちなみに僕の毛を毛布にしようとしてたのはダンという名前だ。すぐに覚えて近づかないようにしている。
ラクエルを連れて来てくれたあの人間はここの隊長らしくウィンダムという名前だこっちもすぐに覚えた。ウィンダムはことあるごとに僕に干し肉をくれるいい人間なのだ。道で見かければひとかけら。食堂で食事中もひとかけら。少し小腹のすいた夜にも部屋に訪れればまたくれる。
そこまで太った見た目をしてないのに多分ウィンダムは僕に負けず劣らずの食いしん坊なんだろう。

そんな快適な宿舎からも今日で一旦お別れかもしれないのだ。ラクエル曰く

「準備が出来たらしくて、お嬢様が呼んでるから邸宅に明日邸宅に行くぞ」

ということらしい。なんの準備かわからないが明日からは本邸暮らしになりそうだ。
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