魔王軍幹部の吸血鬼が雑魚ダンジョン統括に左遷されるらしいです

第2話 現状は…

我は雑魚スライムにこのダンジョンの現状を教えてもらった。
ほぼ金なし。
崩壊寸前。
そして、所属しているモンスターはスライム4匹とゴブリン2匹というカス戦力。
これはヤバい。
冒険者1人でもダンジョン攻略できるほどの戦力だ。
カモでしかない。
まず、戦力の調達が必要だ。

「出でよ！俺の眷属達！」

我は数匹の吸血コウモリを召喚した。

「仲間を召喚できるなんて流石です！」

スライムは目をキラキラさせながらこっちを見る。
この程度の吸血コウモリは直接的な攻撃はほぼ無く、毒のデバフをメインで戦う。
我からしたら、ただの数合わせに過ぎない。
この程度で目を輝かせるとは、貧弱すぎる。
我が不在の時に、襲撃されたらこのダンジョンのモンスターは呆気なく殲滅されてしまうだろう。
もっとモンスターの強化が必要だ。
それとは別に、恐ろしい事に気づく。

「おい！そういえば、このダンジョンは罠を張っていないのか？」

我はスライムに問う。

「罠なんて高すぎて買っておりません」

なんだと！ダンジョンだというのに罠が一個もないというのか！
これでは冒険者達も呆れるぞ。
だが、たった500Gでは新品の罠を3個変えたら良いところだ。
最低でも罠は10個以上設置したい。
一流のダンジョンというのは戦う前に勝っているのだ。
どうすれば罠を確保できるか……。

「貴様！この近くの魔族ホームセンターはどこだ！」

我はスライムに聞く。

「近くであれば、20km先にありますが」

遠！
徒歩で行くのは大変だな。
飛んでいくか。
我はコウモリの翼を広げ飛び立とうとしたが、

「プペル様！私も一緒に連れていってくださいませ！」

スライムごときが我に指図するなど…と思ったが、スライムのうるうるとした瞳を見たプペルは無視することはできず、スライムを手に抱え連れて行った。