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本編
5話
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「もう朝か……」
城から逃亡した後、森に身を潜め寝ていた。
まぁ外で寝ることなんて、あの牢屋にいるよりは断然マシだ。
俺は周りに誰もいないことを確認し、森の中を歩き始めた。
森を抜けると、小さな村を見つけた。
だが、全く人の姿が見当たらない。
小さな村のせいか活気がない村だ。
「そこの人、大丈夫かい?傷だらけのようじゃが」
村人の爺さんが話しかけて来た。
「ああ、すまないが、この村に食べ物はないか?」
牢屋では土の味がする飯を食わされ、城を出てから1日何も口にしていない。
復讐するにも餓死してしまっては元も子もない。
まずは何か食べたくて聞いたのだが、爺さんは困った顔をする。
爺さんは苦しそうに口を開く。
「今、この村には食料がもう無いのです。望んでいるような食べ物は出せないかと……」
「どんな飯でも構わないのだが」
「本当に何も無いのですじゃ……」
会話するにつれて爺さんの元気が無くなっていくように見えた。
「何かあったのか?」
「実は……」
爺さんが言うには、山から村に繋がる川があるらしく、この村の人はその川の水をよく飲んでいたらしい。
だが、ある時期から川の水を飲んだ者が次々と倒れ出し、村のほとんどが寝込んでいる状態だと言う。
噂だが、呪物が川に入り混じっていたのを見た者がいると言う。
呪いか……。
「呪いだったら俺のスキルを使えば、解けるかもしれないな」
「本当ですか!?」
爺さんの顔色が明るくなった。
そして、爺さんは俺を重度の呪いにかかっている少女がいるという家に案内した。
中に入ると、汗をかいてうなされている少女がいた。
「一か月前からうなされていて、助けてやってください」
何者か知らない俺を躊躇なく家に入れるほど焦っているのか。
俺は少女の隣に座り、《呪い解除》を使う。
《呪い解除》: 対象者の呪いを解く。
スキルを使った途端、さっきまでとてつもなくうなされていた少女が安心しきった表情に変わった。
「本当に治るとは!ありがとうございます!」
爺さんは泣きながら感謝する。
ケホッ!ケホッ!
「おい!爺さん、あんたも呪いにかかってるのか?」
「私より先に他の皆のほうを助けてやってください……」
「村のやつは全員治してやる。だが、俺は一文無しなんだ。多少金をくれたら助かる」
爺さんは咳き込みながら頷く。
それを確認した後、爺さんにも《呪い解除》を使った。
城から逃亡した後、森に身を潜め寝ていた。
まぁ外で寝ることなんて、あの牢屋にいるよりは断然マシだ。
俺は周りに誰もいないことを確認し、森の中を歩き始めた。
森を抜けると、小さな村を見つけた。
だが、全く人の姿が見当たらない。
小さな村のせいか活気がない村だ。
「そこの人、大丈夫かい?傷だらけのようじゃが」
村人の爺さんが話しかけて来た。
「ああ、すまないが、この村に食べ物はないか?」
牢屋では土の味がする飯を食わされ、城を出てから1日何も口にしていない。
復讐するにも餓死してしまっては元も子もない。
まずは何か食べたくて聞いたのだが、爺さんは困った顔をする。
爺さんは苦しそうに口を開く。
「今、この村には食料がもう無いのです。望んでいるような食べ物は出せないかと……」
「どんな飯でも構わないのだが」
「本当に何も無いのですじゃ……」
会話するにつれて爺さんの元気が無くなっていくように見えた。
「何かあったのか?」
「実は……」
爺さんが言うには、山から村に繋がる川があるらしく、この村の人はその川の水をよく飲んでいたらしい。
だが、ある時期から川の水を飲んだ者が次々と倒れ出し、村のほとんどが寝込んでいる状態だと言う。
噂だが、呪物が川に入り混じっていたのを見た者がいると言う。
呪いか……。
「呪いだったら俺のスキルを使えば、解けるかもしれないな」
「本当ですか!?」
爺さんの顔色が明るくなった。
そして、爺さんは俺を重度の呪いにかかっている少女がいるという家に案内した。
中に入ると、汗をかいてうなされている少女がいた。
「一か月前からうなされていて、助けてやってください」
何者か知らない俺を躊躇なく家に入れるほど焦っているのか。
俺は少女の隣に座り、《呪い解除》を使う。
《呪い解除》: 対象者の呪いを解く。
スキルを使った途端、さっきまでとてつもなくうなされていた少女が安心しきった表情に変わった。
「本当に治るとは!ありがとうございます!」
爺さんは泣きながら感謝する。
ケホッ!ケホッ!
「おい!爺さん、あんたも呪いにかかってるのか?」
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「村のやつは全員治してやる。だが、俺は一文無しなんだ。多少金をくれたら助かる」
爺さんは咳き込みながら頷く。
それを確認した後、爺さんにも《呪い解除》を使った。
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