生贄戦士 〜スキル《解除》を使って王国に復讐する〜

本編

3話

　心臓を食べ続けさせられて3週間が経った。
　いつも王女は俺が嫌がる顔を見ると、興奮している。
　悪趣味すぎる。
　あれから脱出しようと考えたが、鎖に繋がれているせいで何もできない。
　出される飯も土のような味。
　さらに、兵士達がストレス解消をしに、毎日暴力を受けている。
　普通なら精神も崩壊するはずだが、俺はあいつらを心底恨むことによって精神を保っていた。
　出てやる……ここから出てあいつらに復讐してやる…！

『スキル《解除LV1》を習得しました』

「はっ！？スキルを習得しただと……」

　天の声が聞こえた。
　この天の声はスキルを習得したり、上昇したりする時に聞こえる。
　だが、スキルを獲得するには何か条件があるはずだが……
　そんなことをした覚えはない。
　何なんだこのスキル。
　俺は自身のスキル一覧を見る。
《解除》のスキル能力は……この世界のありとあらゆる鍵によって錠がかかっているものを解錠可能。
　　　　　　　　　　　　　身体能力限界解除。
　　　　　　　　　　　　　封印解除。
　　　　　　　　　　　　　魔法解除。
　　　　　　　　　　　　　呪い解除。
　これは使えるぞ！
　やっとこの牢屋から脱出できる！
　解錠を使えばここから出られるはずだ。
　だが、牢屋番がいる前で脱出すれば即捕まってしまう。
　ただ単に解錠しても失敗するな。
　一体どうすればいいのか…
　この身体能力限界解除ってなんだ？
　スキル詳細を見る。

《身体能力限界解除 》: 自身の速さや攻撃などの身体能力が限界を超えて引き出せる。

　速さや攻撃が限界を超える！？
　これがあれば、あの牢屋番を倒せるかもしれない。
　一か八かの賭けすぎる。
　村人の俺が鎧を着た兵士を倒せるのか？
　だが、もう時間はない。
　俺は決意を固めた。
　手足の鎖を解錠した後、牢屋の扉も解錠した。
　牢屋番が驚く。

「お前！どうやって出たんだ！」

　牢屋番が槍を構える。
　ここからは俺のスキルがどれだけ働いてくれるか。
　俺は適当に拳で殴る構えを取る。
　牢屋番は俺に槍を刺そうとしてきたが……

「ぐはぁ！」

　槍が俺に届く前に物凄い速さで近づき、俺の拳は鎧を破壊して牢屋番の腹めがけて殴っていた。
　牢屋番は膝から崩れ落ちた。

「まさか、これほどの力だとは思わなかったな」

　本当に自分が殴ったとは思えない感触だ。
　《身体能力限界解除》の能力凄すぎるな。

「あそこか…」

　牢屋から地上へ繋がる階段を登ろうと思ったが、倒れている牢屋番を見ると、怒りが込み上げてくる。
　俺はあいつが落とした槍を手に取り、気絶している牢屋番に突き刺した。

「うぐっ……！」

　無防備な牢屋番に槍を何度も突き刺す。
　そして、最後の一刺しは肉を抉るように念入りに刺した。

「スッキリした。これで地上に戻れる」

　こうして、俺は地上への階段に向かった。