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20 魔草原液 ※
しおりを挟む甘いお香が焚かれているのか、気が付いた時にその匂いがまずレイの鼻についた。でも目も開けられないほど疲れていて、レイは呼吸するのがやっとだった。
「レイ……そう、ゆっくり飲んで」
ルークは後ろから抱きしめる様にレイの体を起こして、少し開いたレイの口に何かを飲ませた。それは苦くて、草っぽい味にレイは思わず顔を微かに顰める。
吐き出したいがルークがゆっくりと飲ませてくるので、吐き出すこともできない。レイは結局、ルークが飲ませた分だけ全部飲んだ。喉の奥に苦みが広がって、なんとも言えない味が口の中に残る。
……まずい。水、飲みたい。
レイが思うと、レイの気持ちを察したようにルークは水を飲ましてくれた。レイはちょっとほっとし、幾分か口の中がマシになった。
でもしばらくすると胸にあった痛みがすっと消えた。じんじんと痛んだ手や足の痛みも。しかし痛みは消えたのに、今度は身体に酷い怠さが襲ってくる。
それは今朝、感じた同じ怠さだ。でも、朝よりももっとずっと怠い。体、指先の一本も動かせない。何倍もの重力が体にかかっているかのようだった。そのせいで息もうまく吸えない。
……なんだ、これ……どうなってんだ?
レイは思いながら、声も出せずにベッドに横たわるしかなかった。しかし、そんなレイの頬をルークがなぞり、レイは何とかうっすらと瞳を開ける。
水色の瞳がこちらを見ている。
……ルーク?
「レイ……ごめんね。後で僕を罵ってくれていいから」
ルークはそう言うと、後ろから抱きしめていたレイをそっとベッドに横にし、レイの顎に手を当てると唇にキスをした。無防備なレイの唇を開けて、口腔内をルークの舌が舐める。
……る、ルークのし、舌がッ!
レイは身体は動かないが、意識と感覚はしっかりあるのでルークに深いキスをされて内心動揺した。でも体が動かないからどうすることもできない。できるのは、吐息を出すだけ。
「あふっ……ん」
舌を絡められ、お互いの唾液が行き交う。
レイは恥ずかしさに顔が熱くなってくる。でも、ルークとキスしていると体の怠さが少しだけ軽減された気がした。そして、ルークを見ると色っぽい瞳が見えた。
「ん、ル……ク」
「レイ、ごめんね。好きだよ」
ルークに耳元に顔を寄せて艶っぽく囁いた。その声にレイは体がぞわりと粟立つ。
そしてルークはボロボロのレイの上衣を脱がすと、レイの体をゆっくりと手でなぞった。
あの男の手が一瞬レイの中に蘇って体が強張りそうになるが、その手が優しくて、ルークの手だ、とわかると体の力は抜けた。
ルークの手はレイを労わるように体をなぞっていく。暖かい手だった。
……こうも違うなんて。
心の奥で密かに感心していると、不意にルークの湿った唇がレイの乳首に寄せられた。柔らかいそれが胸に当たって、その感触にレイは反射的にピクリと動いた。
でもその反応を見てルークは微笑みをレイに見せる。その笑みが男の色っぽい顔で、レイはますます顔が熱くなった。
……い、色っぽ過ぎだろ! というか、こんなおっさんの体を!
レイが心の中で呟いている内にルークは躊躇わず、レイが媚薬の熱に浮かれた時と同じように胸の飾りを舐め始めた。まるでレイの胸に何か甘いものが付いているかのようにぺろぺろと。
その光景が酷く扇情的で、レイは心臓も息も勝手に上がってしまう。
「レイの心臓、ドキドキしてる。気持ちい?」
ルークは胸を舐めながら、見上げる様にレイを見つめた。
ルークに舐められてるってだけでも恥ずかしいのに、柔らかい唇と舌で胸を突きながら上目遣いで見つめられて、レイの下半身に一気に血が集まってくる。
でもレイは恥ずかしさで何も答えられず、視線を逸らした。
「レイ、可愛い」
ルークは笑いながらそう言い、体を少し起こすと、レイのズボンに手をかけた。
「あ、ル、クッ、だぁめっ」
レイは何とか声を上げてルークに言ったが、ルークは優しく声をかけた。
「大丈夫だよ、レイ」
ルークはそれだけ言うと、手を止めることなくレイのズボンを下着ごと脱がした。
駄目だ! とレイが思った時には、ルークにつるんっと剥かれ、兆しているレイの性器はルークの眼前に晒された。恥ずかしさにレイは頬だけじゃなくて、体全身熱くなる。けど、手も動かせない今、そこを隠すことも敵わない。
うぅっ、恥ずかしいっ。
レイは泣きそうな気持になったけど、ルークはうっとりした顔でレイを見つめていた。
「レイ……はぁっ」
欲情に浮かされたような目でルークはレイのものを見つめ、前と同じように躊躇いなくレイの性器に手を触れた。
「あっ、だ、ぁめ!」
反射的に声が出た。でもルークはレイの言葉なんか聞かなかった。
服を着たままのルークは首元を緩めると、ベッド脇に置いていたらしい何かの小瓶を手に取って、蓋を開けるなり、それを手に付けた。ルークはそれを両手でこねて温めるとふんわりといい香りがレイの元に漂い、それが香油だという事に気が付いたのはルークの手が自分の兆したそれに触った後だった。
ルークの手はぬるっと滑り、レイの性器を片手で包む。
「あっ、ぅぅっ」
レイはぴくぴくっと体を動かし、声を上げた。ルークの手の感触が気持ちいい。でも、その手に感じているのだとルークに悟られたくなくてレイは奥歯を噛み締めた。だけど、これはまだほんの始めにしか過ぎなかった。
「レイ、もっと気持ち良くするね」
少し切羽詰まった声で言われ、もっと? とレイが思っている間にレイの性器を扱いている手とは別の手がレイのお尻をやわやわと触り、指先がレイの後ろの蕾にひたりと当たった。
まさかっ! とレイの体は強張るが、そこはレイの思いとは裏腹に、香油もあってすんなりとルークの中指を咥え込んだ。
「あっぁぁっ」
……嘘! ルークの指、中にッ! やだ、これッ!!
声にならない声が口から洩れていき、レイは拒否の色を出したが、その姿はルークの熱を更に煽った。
「狭い……でも、柔らかいな。レイの中」
熱を持った声にレイは恥ずかしさを覚える。体に力が入り切らない今、レイの体はルークの指を簡単に咥え込んでいる。長い中指が中を探るように触れ、レイは違和感しかないのにされるがままだ。
……そこは出すところで、入れるとこじゃないーっ!
レイは心の中で叫ぶが、ルークの指はレイの中を広げる様にずくずくと出し入れをし始める。そして前の扱きも忘れない。
レイ自身から出ている先走りの汁と香油もあって、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が部屋を包む。それが恥ずかしい。それに気持ち良さと同時にお尻に変な感じもあって、レイは小さな悲鳴を上げた。
「ぅぅっあっ、やぁぁっ」
声を上げ、嫌だという事をレイは何とか主張しようとするが、ルークの手は止まない。
ヤダって言ってるのに―!
レイは涙目になって思ったが、しばらくしてルークの指先がレイの中のある部分に当たった時、ぴりりっと快感が走り、体が勝手にぴくんっと動いた。
……え? え? なに、今のっ。
「ここがレイのいいところなんだね」
ルークは獲物を見つけた捕食者みたいな顔をして笑うと、そこを指先で執拗に責めてきた。ぐにぐにっと押されて、擦られ、射精感がどんどん高まる。
「あっぃっルぅぅっ」
ルークの指が気持ち良くて、体が動かないはずなのに勝手に反応してぴくんぴくんっと跳ねる。まるで打ち上げられた魚みたいだ。
だがそんなレイを見て、ルークは微笑む。
「可愛い、レイ」
ルークはそう言いながら、指をいつの間にか二本に増やして後ろの蕾を目一杯広げてくる。前も後ろも弄られて、レイは気持ち良すぎて、とうとうぽろぽろと涙を流し始めた。
「あぅんんー、るぅぅ、やあぁぁぁっ」
「レイ、一回出しておこうね」
ルークはレイの拒否を無視して、二本の指を激しく動かし、レイの性器を強く扱きながら、何の躊躇いもなく、パクっとレイの性器の先端を口に含んだ。
そんな事をされたら、レイなんかイチコロだ。すでに高まっていた体は気持ち良さにのまれて、簡単に射精した。
「ああああぁぁぁ!」
体を大きく跳ねさせて、レイはルークの口の中にどぴゅっと精液を放った。
ビクンビクンっと腰を動かし、射精した後も、レイの体はぴくぴくと小刻みに震えた。
そのレイを見ながらルークはごくりっと嚥下した。
……また、ルークに精液飲まれた……。
レイは放心状態のまま、心の中でぽつりと呟いたが、そんなレイにルークはにこりと笑った。
「レイのおいしい、もっと飲みたい」
いやらしく言われて、レイは顔がカアアアッと熱くなった。
……おいしい訳ないだろ! もっとなんてっ。
レイはそう思ったが、ずりゅりっとルークがお尻に入れていた指を引き抜き、思わずレイの口から「あんっ」と甘い声が出る。
女みたいな声を出してレイは恥ずかしく思ったが、自分のお尻にはいつの間にかルークの指が三本も入っていたらしい。ルークはその指を一本一本、レイの前で丁寧に舐めた。
……お、お、おおおお、俺の尻に入っていた指をーーッ!! 汚いから止めなさいー!
レイはますます顔を赤くし、心の中で大絶叫したが、一方であまりに淫靡なルークの姿に胸がドッドッドッドッと鳴った。そして、指を舐め終えたルークは獰猛な獣のようにのしっのしっとベッドに手をついてレイに覆いかぶさった。
「レイのお尻……すっかり解れたね」
ルークに囁かれ、レイはポールの言葉を思い出す。
『おじさん、もしもお尻に何かあった時には!』
男同士もできるという事は勿論レイも知っていたが、話に聞くのと自分がされてるのじゃ、全然違う。そしてお尻を解されたレイはルークが次に何をしようとしているのか、もうハッキリとわかってしまった。
「レイ……」
切羽詰まった男の声。ルークの瞳は欲情で滾り、呼吸は荒い。薄く開いた唇から漏れ出る熱い息は色香を纏い、こんな姿を見たら、ドキリとしないはずがなかった。
「ル……ク」
レイはドキドキしながらルークを見詰めた。透き通った水色の瞳が自分をじっと見つめてくる。そしてその瞳は懇願するように言っていた。
『欲しい、レイの全部が欲しいっ』
言葉で聞かずともルークの瞳は言い、そんな目で見つめられて恥ずかしかったけど、レイは恥ずかしさを抑えて自然と微笑んだ。こんなに求められて、もう拒否なんてレイにはできなかった。それにルークなら大丈夫だ。
「ルぅ……いょ」
レイは何とか声を出して言った。その声にルークの瞳が大きく開き、そしてゆっくりと極上の笑みを零すと軽い触れるだけのキスをレイにした。
「レイ、大好き……できるだけ痛くしないようにするから」
ルークはそう言うと体を少し起こして、着ているズボンの前を広げた。天にそそり立つ、大きくなったルークのそれが外に出る。体を起こせないレイでも、それははっきりと見えた。
……嘘、でかいっ。子供の頃はあんなじゃなかったのに。というか、俺のより大きくないか!? あんなの入るのか!?
レイはそんな事を思ったが、悠長に考えられるのもここまでだった。
ルークはそう言うと体を動かせないレイの膝裏に手を置き、足をくの字に曲げると、後ろの蕾にぴたっとルークのそれを当てた。その感触にレイは心臓はドキドキとうるさいほど鳴る。
不安と期待が胸を突き破ってきそうな勢いだ。
「入れるね」
ルークは小さく告げると、後ろの蕾を開き、ぐぐぐっと腰を動かしてレイの中にそれを奥まで埋め込んだ。解されていたとは言え、レイはあまりの圧迫感と痛みに、無意識に息を止める。
「いっ!」
小さく唸り、レイの目尻には生理的な涙が伝った。痛いのもあるけど、違和感がすごい。指で弄られたなんて可愛いものだった、と思わされるほど。
そしてルークも辛いのか、苦しそうに眉間に皺を寄せた。でも、そのままでいる事はなかった。
「はぁっはぁっ、レイ、動くよ」
ルークは荒げた息を吐きながら言い、ゆっくりと腰を動かし始めた。レイの熱を上げる様に、中を擦り、ゆっくりと出たり入ったりする。その度にレイの体はベッドと共に揺れる。
「あっ、いっ、んぅぅっ」
自分じゃない甘い声が出て、本当に恥ずかしい。けれど声を出さない手段はなかった。
そして最初は違和感しかなかったそれが、段々と気持ち良さに変ってきた。その上、ルークが気持ち良さそうに腰を動かしているのを見れば、レイはなんだかとてつもなく幸せで、胸の奥がぎゅうぎゅうと締め付けられた。
「はぁっはぁっ、ル、クぅっ」
レイが今までにない甘い声で名前を呼ぶと、ルークの瞳がぎらりと光った。そしてレイの腰をがっしりと掴むと、苦しそうにレイに告げた。
「はっ、はぁっ、レイっ、ごめんっ。も、僕、我慢できないっ」
ルークはそう言うと、ゆっくりと動かしていた腰を激しく動かし始めた。ぱちゅぱちゅっと出入りする音が響く。
「あっあっあぁっ!」
レイは中を抉られて、声を上げるしかなかった。その上、ルークが片手でまた勃ちあがっているレイの性器を擦り上げる。レイの体は燃え上がり、目の前がチカチカし始め、悲鳴のように声を上げた。
「ルーっ、も、出……るぅぅっ!」
「うん、出してっ、僕も出るッ!」
ルークはパンパンッと音が鳴るほどレイに腰を打ち付けた。その行き過ぎた快感に、レイは頭の中が真っ白になってスパークした。
「あぁっ、ああぁぁーっ!」
自分が熱を放出するのと同時に、レイは体の中にルークの吐き出した熱がぴしゃっとかかるのがわかった。
だがその途端、体にあった倦怠感がすっと消えた。
でも代わりに波立つ快感がざわざわと体を支配し、レイは結局指一つ動かせなかった。
……き、気持ちいぃ。
レイは息を荒げながら、快感の余韻に体をぴくぴくっと震えさせた。そしてすぐに圧倒的な睡魔がレイを襲う。
まだ起きていたくて懸命に瞼を開けようとするのに、自分の意志に反して瞼が勝手に落ちていく。そして、そんなレイの目元にルークは優しくキスをした。
「愛してる……おやすみ、レイ」
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