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殿下、俺じゃダメですか?

15 むらむらむら ※

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 いつの間にかまた夜を迎え、風呂上がりの俺はベッドの端で座って待っていた。
 そして俺はいつになくムラムラしていた。

 だって仕方がないだろ。ここ数カ月会えてなかったのだし、俺はまだ若いし、好きな人が俺の家にいて今お風呂に入っているし、何よりさっき風呂に入った時に一人で自慰した事を思い出して。

 ……ああああああっ、なんか恥ずかしぃぃぃっ!

 俺は頭を抱えて、ぶんぶんっと左右に振る。しかしそこへ風呂上がりのレオナルド殿下が戻ってきた。

「セス、湯を頂いたよ。あと、服をありがとう」
「あ、いえ!」

 俺はすぐに声を上げて、レオナルド殿下を見た。
 そこには俺が用意したシャツとズボンを着ているレオナルド殿下がいた。ズボンは裾は短いもののきちんと着れていたが、体格がいいレオナルド殿下には俺のシャツはやっぱり小さかったのか前が閉められず、逞しい胸板が露わになっていた。

 あわわわっ!

「私には少し小さくてね、不作法ですまない」
「あ、うっ、そ、そんな、こと、ないです」

 俺は上擦った声で返事をしてしまった。そんな俺を見てレオナルド殿下はくすっと笑い、俺の前に立つ。

「セス、緊張してるの?」
「ひゃへ?! べ、別にそんなんじゃ!」
「じゃあ、どうしてそんなに身を固くしてるの?」
「おおおお、俺は、身を固くなんかっ」
「本当に?」

 レオナルド殿下は俺の顎をくいっと持ち上げると俺を見つめた。サファイアの瞳が蠱惑的に俺を見ている。

「セスを抱きたいんだけど、ダメかな?」

 レオナルド殿下の低くて甘い声で言われちゃうと、俺の腰はびくんっと疼いてしまう。
 だから本当は言ってしまいたい。

『俺も』って。

 でも俺には一つの懸念があった。昼間にあれだけ騒いだのだが、もしそう言う事になったら絶対に俺は声を抑えられない。そうなったら俺の喘ぎ声が外に漏れて……もしかしたらおじいちゃんに。

 ……いやいや、それは恥ずかしすぎるッ! それに俺の喘ぎ声なんて、誰も聞きたくないだろう!

「セス、どうしたの?」
「あ……う、その……俺、声、出ちゃうから」

 俺は目を逸らしつつも正直にレオナルド殿下に言った。するとレオナルド殿下は「なんだ、その事か」と呟いた。

「?」
「セスは聞いてなかったのかい? おじいさんがここを改築した時、全ての部屋を防音にしたんだと言っていたじゃないか」

 レオナルド殿下はそう俺に教えた。でも俺には覚えがない。

「え? そんな事、言っていましたっけ?」
「ああ、だから大丈夫だよ。でも、そんなに心配なら防音魔法をかけておこうか?」
「あ、いや……その、お願いします」

 俺が頼むとレオナルド殿下はすぐに防音魔法をかけた。こんな事にレオナルド殿下の魔法を使わせるのはどうかと思ったが、今後のご近所さん付き合いの為には必要な事だ。
 もし俺の声が聞こえてしまったら、気まずい事この上ない。うん。

「さ、これで憂いは晴れたかな? さっきの答えを聞いても?」

 レオナルド殿下は俺にもう一度尋ねた。
 もう声も気にしなくていい。目の前には愛しい人がいる。なら、言う事はひとつだけ。

「レオ……だ、抱いて、ください」

 俺はぎゅっとレオナルド殿下の服の袖を掴んで頼んだ。もうちょっとこう、色っぽい誘い方とかが出来ればいいんだけど、今の俺にはこれだけで精一杯だった。
 けれどレオナルド殿下には十分効果はあったみたい。
 気が付いたら、どさっとベッドに倒されていた。

「セスから求められることほど、嬉しいものはないよ」

 レオナルド殿下は俺を見下ろしながら、嬉しそうに微笑んで言った。だから俺もつい微笑み返してしまう、だけど。

「あ、でも……体調はもういいんですか? 魔力は安定しているみたいですけど」
「ああ、あのミシアの薬が効いたみたいだ。もうすっかり元気だよ。ここもね」

 レオナルド殿下はくいっと俺の股間に股間を押し付けてきた。そこはもうふっくら膨らんでいる。

 ……わわわわっ、げ、元気!

 恥ずかしい、でも俺相手に欲情しているんだと思うと嬉しさもある。

「セス」

 甘い声が降り注ぐと同時に、レオナルド殿下は俺に顔を寄せた。美しい顔がゆっくりと下りてきて、俺の唇にふにっと到着する。
 その後レオナルド殿下は俺の唇を啄むように唇ではむはむっと優しく挟んだ。

 俺達は、ちゅっちゅっちゅっと甘やかなキスをして、それからそっとレオナルド殿下は顔を離すと俺の服を脱がそうとした。でも俺はレオナルド殿下の手を掴んで止めた。

「お、俺、自分で脱ぐっ!」

 優しいキスにムラムラしていた俺は早くレオナルド殿下に触れたくて、自分から服を脱ぎ始めた。そんな俺を止めるでもなく、レオナルド殿下も俺の傍で服を脱ぎ始めた。
 そして曝け出される逞しい身体に俺は抱き着きたい衝動に駆られる。まるで発情期の兎みたいだ。

 ムラムラムラムラムラムラムラッ。うーん、なんかすごくレオにくっつきたい!

 その思いから、ついついじーっと見つめているとレオナルド殿下は男らしく笑った。

「そんなに見つめられると、恥ずかしいな」

 そう言ったけど、全然恥ずかしがっている風じゃない。俺から視線を逸らすでもないし、ビンッと勃っているあそこも隠す素振りもない。
 だから俺の視線は自然とそこに集まってしまう。

 レオナルド殿下の性器はしっかりと硬く勃っていて、まだ直立している程ではないけど、それでも十分な太さがあった。

 ……俺がずっと欲しかったもの。

「レオ……舐めてもいい?」

 俺は溜まりに溜まった欲求不満から、気が付けばレオナルド殿下に尋ねていた。
 まさか、俺がそんな事を言うとは思っていなかったのかレオナルド殿下は驚いた顔をした。けれどすぐに「いいよ」と言ってくれた。

 ムラムラして、欲情している俺はレオナルド殿下に近寄って足の間に頭を下げる。目の前には金色の下生えから勃ち上がっているレオナルド殿下のモノ。

「はぁっ……」

 俺は思わずうっとりと息を吐き、初めてちゅっと先端にキスをする。

 ……初めてだけど、上手くやれるかな。

 レオナルド殿下にはよくされるけど、俺は今まで口淫なんてしたことがなかった。レオナルド殿下も俺に求めなかったし、俺に勇気がなかったからなんとなく。
 でもキスした途端、ぴくっとレオナルド殿下の腰が揺れたのが可愛くて、俺は嫌悪感もなくぺろぺろっと舐め始めた。

 レオナルド殿下が俺にしてくれるのと同じように、唇も舌も余すことなく使って舐めていく。そうするとじわっと先端から先走りが溢れて、俺はその匂いを嗅いで、頭がくらくらした。いい匂いじゃないのに、俺の腰がうずうずと疼いてしまう。

「んぁ」

 俺はレロレロと全体を舐めた後、歯を当てないようにぱくりっと口に咥えた。そして一生懸命、頭を上下にする。けどおっきくて全て飲み込めない。

 ……レオのおっきいから途中で喉の奥に当たるっ。

「んっ、んんぅっ」

 俺はただただぼんやりとしてきた頭で必死に舐め続けた。気持ち良くなって欲しくて、 じゅぼじゅぼっといやらしい音を立てて。

「んっ、セス」

 レオナルド殿下の声が聞こえて、咥えたまま見上げると劣情を宿した瞳で俺を見ていた。その視線に俺は体がぞくぞくっと震えて、腰が揺れてしまう。

「セス、腰が揺れてる」

 レオナルド殿下は楽し気に言った。でも、腰が揺れてるだけじゃない。もうしっかり俺のモノもぴぴんっと勃っているし、先走りの汁がだらしなく垂れている。触られてもないのに。

「セス、私のを咥えただけで気持ち良くなってきた?」
「んむっ、だ、って」

 俺は腰をもぞもぞと動かしてレオナルド殿下に言う。すると、レオナルド殿下は俺の頭に手を置いて優しく撫でながら低い声で囁いた。

「セス……もう我慢できないよ。そろそろセスの中に入れさせてくれないかい?」

 甘い言葉を吐かれて、俺はひくんっと後孔が反応する。早く中に入れたいって。
 俺はちゅぽんっと口を離し、体を起こす。

「レオ……」

 俺が名を呼ぶと、レオナルド殿下は俺を抱き寄せ、頬に手を当てた。

「すっかり蕩けた顔をして可愛いね、セス」
「レオ……。ぁんっ!」

 じっとサファイアの瞳を見つめていたら、空いている左手でついっと後孔の内を指先で撫でられた。

「クリームをたっぷり塗ろうね」

 そう言って、いつものクリーム缶から潤滑油代わりのクリームを指先に取った。

 ……いつの間に用意したんだろう。

 そう思ったけれど、もうぼんやりとしている俺の頭に考える余裕はなくて。ただただ、早く解して、中に熱い楔を打ち込まれたいって思うだけで。

「あっ、ふぅっ……んっ」

 俺はレオナルド殿下の肩に両手を置き、縋るように身を寄せる。

「しばらくしていなかったから、固く閉じてるね。セス、痛くない?」

 レオナルド殿下は俺の後孔に指先をぬぽぬぽっと射れながら尋ねた。俺の指じゃない、レオナルド殿下の指だと思うと気持ち良さに体がぴくぴく跳ねてしまう。
 でも、これだけじゃ物足りない。

「んっ、痛く、ないっ。気持ちいぃっ、早く、早く中に挿れて……っ」

 俺がぎゅっと抱き着いて強請るとレオナルド殿下の動きがピキッと止まった。

「セス……本当に私を誘うのが上手くなったね? こちらは必死に我慢していると言うのに」

 ……誘うの、上手くなったのかな?

 俺はよくわかんなかったけど、そんな事、今はどうでもいい。

「我慢しなくていいから、早くっ」

 俺がごねるとレオナルド殿下は俺をベッドに倒した。はーはーっとレオナルド殿下の息が荒い。でも、それは俺も同じ。

「セス、なら我慢しないよ。でも、痛かったらちゃんと言うんだよ」
「言うからっ、早くッ」

 最後まで俺への気遣いを忘れないレオナルド殿下。でも今はそんなのいらない。
 レオナルド殿下はそう言うと俺の足の膝裏を持ち上げると、くの字に曲げた。そして俺の後孔に先端を宛がった。

「くっ……挿れるよ」

 その言葉の後、ぐぷぷぷぅっと一気に俺の中を貫き、ミチミチッと入り口が広げられた。少し痛みを感じるけれど、電撃みたいな快感が俺の中に走る。

「あああああっ!」

 俺は背を弓のようにしならせ、嬌声を上げる。でも感極まった俺の体は同時にびゅくっと精液を吐きだした。白濁が俺の腹の上に飛び散る。

 ……あ、で、出ちゃった。

 不意打ちに出てしまった事に俺は少し恥ずかしさを感じるけど、それよりも満たされた幸福感の方が大きかった。

「ははっ……気持ち良かった?」

 レオナルド殿下は俺を愛おしそうに見て、尋ねた。そんなの決まってる。

「はぁっはぁっ、うんっ……気持ちいい」

 きゅんきゅんっと腹の奥に感じる気持ち良さを受け止めながら、俺が素直に言うとレオナルド殿下は苦し気に眉間に皺を寄せた。

「はぁっ、今日のセスはいつも以上に愛らしいな。貪りつくしてしまいそうだ」

 レオナルド殿下はそう言ったけれど、俺はそのレオナルド殿下の方が愛おしい。
 荒い息を吐いて、必死に腰を動かすのを我慢している。俺の内壁がぎゅむぎゅむとレオナルド殿下の肉棒を捕まえて離さないからだ。俺の中でレオナルド殿下がぴくぴくっしてる。

 ……ああ、可愛いなっ。

 レオナルド殿下に愛しさがどんどん膨れ上がっていく。だから俺はレオナルド殿下の首に腕を回し、そして足を腰に巻き付け、ぎゅっと抱き着いた。
 動いていいよ、と言う代わりに違う言葉を吐いて。

「レオ……、好き、好きですっ」

 俺が耳元で囁くと「ぐっ」と堪える声が聞こえて、レオナルド殿下は俺の耳元で囁き返した。

「ごめん、セス」

 そう言うなり、レオナルド殿下は激しく腰を動かし始めた。ぐぷんぐぷんっと何度も俺の奥を抉り、パンパンッと俺のお尻に腰を打ち付ける。

「あっあぅっ! れ、レオっ」

 奥の奥まで入れられて、内壁をかき乱されたら俺の頭はすぐにスパークする。激しさに少し痛みを感じるけど、それよりもずっと気持ち良さの方が勝って快感に支配された。

「あああぁぁっ、きもちぃぃぃぃっ」
「はっはっはぁっ、セスッ!!」

 レオナルド殿下は俺をぎゅっと抱き込み、俺の耳をかじっと軽く噛んだ。その刺激にさえ、俺は気持ち良く感じてしまう。

「あぅんっ!」
「セス、可愛い」

 レオナルド殿下はそう言って、俺の頬にキスをした。そして甘く甘く、俺に囁いたんだ。

「はぁ……セス、好きだっ」

 激しく抱かれて、こんな事を熱い吐息と共に言われたら、体の奥から快感の波が押し寄せる。気持ち良くて愛おしくて、俺はびくびくびくっと体を震えさせた。

「ぅあああああっ!」
「うっっ」

 触ってもないのに俺はまたびゅくぅぅっと射精して、俺の中にいるレオナルド殿下をぎゅうううっと締め付けた。その締め付けにレオナルド殿下も俺の中に吐精した。

 俺の中でぶるるっと震えて、ドクドクと精液を吐き出しているのがわかる。じんわりそれが広がっていって、俺の心の中も溢れるくらい幸せで満たされる。

「はぁはぁっ……」

 俺は放心状態になりながら、ただただ気持ち良さを享受するしかなかった。

 ……きもちぃーーっ、いつもしゅごいけど、きょうは……もっとしゅごかったぁぁ。

 身も心も快楽成分が一杯放出されて、ぽややんっとしている俺の頭は幼児レベルまで落ちる。

「はぁっ、セス」

 レオナルド殿下に呼ばれて視線を向けると、キラキラと一段と輝くサファイアの瞳が俺を見ていた。
 この時にだけ見れる、俺だけが知っている情熱的で幸せそうな特別な瞳の輝き。

 俺の大事な大事な宝石。

「レオ……」

 俺達はお互いに名前を呼び合い、そっと顔を寄せて、唇を合わせた。
 ただキスをしているだけなのに自分が世界で、いや宇宙で一番幸福だと思える。

 ……レオもそう思ってくれてるかな。

 そう思いながら、そっと唇を離すとレオナルド殿下は優しく微笑んだ。

「私は世界一、いや宇宙一の幸せ者だな」

 幸せそうに呟き、俺は思わず顔がふにゃんっと緩んでしまう。俺と同じ気持ちでいてくれた事が嬉しくて。

「俺も幸せです」

 ふにゃふにゃのしまりのない顔で言ったのだが、レオナルド殿下はそんな俺を愛おしそうに見つめて、頬や鼻にちゅっちゅっとキスをしていった。
 そしてキスをしながら、レオナルド殿下はまた腰を動かし始めた。今度はゆっくり、俺の中を味わうみたいに。

「あっん、レオっ」
「セス、好きだよ。ずっと」

 レオナルド殿下はそう言って、俺はまた嬌声を上げ始める。

 そしてその日の夜。俺達はお互いの熱を分け合い、俺が気を失うまでずっと抱き合ったのだった。


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