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the end
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「ねぇ悠一。私は悠一のことが大嫌いよ」
二人きりの部屋。
二人以外誰もいない部屋。
斜めに差す陽がやけに眩しい。
肌は一層白く浮かび上がる。
「ほお」
互いの言葉はぽつり、ぽつりと落ちていく。
形には残らない。
「ずいぶんと素っ気ないのね」
「そんなことねえよ」
服を整えながら答える悠一は、真璃をちらりとも見はしない。
「そんなことある、って言ったら?」
真璃が何を言ったって、悠一は驚きもしなければ悲しみもしない。
もちろん、喜ぶことも。
真璃の言葉が、悠一の耳に届いているのかさえわからない。
けれども、彼の心に届いていないことだけは知っている。
露わになった真璃の肌にすら執着しない悠一が、彼女の言葉に興味を持つわけがないのだ。
「どうでもいい」
予想通りの言葉に苦笑した。
外から微かに聞こえる日常の音が、やけに遠く感じる。
秒針よりも遅い時間が、ここには流れているような気がした。
真璃は気だるさを感じながら、悠一の広い背に言葉を投げつけた。
「罪な男って、アンタみたいな奴のことを言うのよ。まさにぴったりだわ。綺麗な顔をして。心にもない言葉を囁いて。自分の欲のことしか考えない。ずるくて、憎くて、汚くて、勇気のない男」
ぴたり、と悠一の動きが止まった。
「アンタが何を考えているのか、私は知ってる。どうしてこんなことをしているのか。誰を見ているのかも」
言葉を紡ぎながら、こんなに長く会話をしたのは初めてかもしれないと真璃は思った。
顔すら見えておらず、一方的に話しているのだけれども。
「私、自惚れてなんかないわよ。アンタに心酔してる女たちとは違うもの」
沈黙。
この場所だけぽっかりと切り取られたかのような、長くとも短くとも、軽いとも重いとも感じられる空気だった。
「そうか」
やっと返ってきた悠一の言葉は、またぽつりと落ちて――割れた。
真璃は、頬を伝う生温かさが悔しくて、憎くて。
「やっぱり私、悠一のことたまらなく嫌いよ」
そう言うしかなかったのだ。
無言で出ていく悠一の後ろ姿を見つめながら、溢れて止まらなかった。
一人きりの部屋。
自分以外誰もいない部屋。
白い肌の上に落ちた雫は、陽を受けて揺れていた。
二人きりの部屋。
二人以外誰もいない部屋。
斜めに差す陽がやけに眩しい。
肌は一層白く浮かび上がる。
「ほお」
互いの言葉はぽつり、ぽつりと落ちていく。
形には残らない。
「ずいぶんと素っ気ないのね」
「そんなことねえよ」
服を整えながら答える悠一は、真璃をちらりとも見はしない。
「そんなことある、って言ったら?」
真璃が何を言ったって、悠一は驚きもしなければ悲しみもしない。
もちろん、喜ぶことも。
真璃の言葉が、悠一の耳に届いているのかさえわからない。
けれども、彼の心に届いていないことだけは知っている。
露わになった真璃の肌にすら執着しない悠一が、彼女の言葉に興味を持つわけがないのだ。
「どうでもいい」
予想通りの言葉に苦笑した。
外から微かに聞こえる日常の音が、やけに遠く感じる。
秒針よりも遅い時間が、ここには流れているような気がした。
真璃は気だるさを感じながら、悠一の広い背に言葉を投げつけた。
「罪な男って、アンタみたいな奴のことを言うのよ。まさにぴったりだわ。綺麗な顔をして。心にもない言葉を囁いて。自分の欲のことしか考えない。ずるくて、憎くて、汚くて、勇気のない男」
ぴたり、と悠一の動きが止まった。
「アンタが何を考えているのか、私は知ってる。どうしてこんなことをしているのか。誰を見ているのかも」
言葉を紡ぎながら、こんなに長く会話をしたのは初めてかもしれないと真璃は思った。
顔すら見えておらず、一方的に話しているのだけれども。
「私、自惚れてなんかないわよ。アンタに心酔してる女たちとは違うもの」
沈黙。
この場所だけぽっかりと切り取られたかのような、長くとも短くとも、軽いとも重いとも感じられる空気だった。
「そうか」
やっと返ってきた悠一の言葉は、またぽつりと落ちて――割れた。
真璃は、頬を伝う生温かさが悔しくて、憎くて。
「やっぱり私、悠一のことたまらなく嫌いよ」
そう言うしかなかったのだ。
無言で出ていく悠一の後ろ姿を見つめながら、溢れて止まらなかった。
一人きりの部屋。
自分以外誰もいない部屋。
白い肌の上に落ちた雫は、陽を受けて揺れていた。
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